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【HYBE】プットオプション裁判第一審判決は何を意味するか【ミン・ヒジン】


【追記:2026/2/20】HYBE控訴とKMCA(韓国音楽コンテンツ協会)声明を追記

第一審はミン・ヒジン勝訴、HYBEは控訴姿勢

今日、HYBEとミン・ヒジンが255億₩をかけて争っていた裁判の第一審判決が出ました。
裁判所は「独立の試みは事実だが、株主間契約の違反ではない」と判断し、HYBEに支払いを命じました。

ソウル中央地裁民事合議31部(裁判長ナム・インス部長判事)は12日、HYBEがミン前代表を相手取り提起した株主間契約解除確認請求を棄却し、ミン前代表がHYBEを相手取り提起した株式売買代金請求(プットオプション)を認容した。
裁判部はHYBEがミン前代表に255億ウォン、シン元副代表に17億ウォン、キム元理事に14億ウォンをそれぞれ支払うよう命じたと明らかにした。
(中略)
HYBE側は「当社の主張が十分に受け入れられず残念だ」とし、「判決文検討後、控訴など今後の法的手続きを進める予定だ」と明らかにした。

朝鮮ビズ「ミン・ヒジンが1審勝訴 HYBEの解除請求棄却」より

ちなみに、何で支払い相手がミン・ヒジン以外にもいるのかというと、ミン・ヒジンがパン・シヒョクに個人的に20億₩を借りてADOR株20%を買い、うち約2%分を腹心のシン・ドンフンとキム・イェミンの元ADOR社内取締役コンビに分けており、この二人も一緒に買い取り請求をしていたからだと思われます。

注意書き

これは記事や訴状を読んだ上でのBTSファンサイドからの感想であり、法的な正確性は保証しません。

どういう裁判だったのか

すごく簡単にまとめると、以下のようになります。

ミン・ヒジンはADOR株の約18%を持っています。
HYBEとミン・ヒジンは株主間契約を結んでおり、ここにはミン・ヒジンの株をこの価格で買い取れというものが入っていました。この契約が有効かどうかで、ミン・ヒジンが受け取れる金額は大幅に変わります。

HYBEは
「ミン・ヒジンが重大な契約違反を犯したので株主間契約は破棄する(売却権もない)」
と主張し、ミン・ヒジンは
「契約が破棄される理由はないから株主間契約は有効(買い取れ)」
と主張していました。

時系列

以前書いた記事(「ARMY目線:ミン・ヒジンを巡る騒動」)から、時系列を貼っておきます。

  • 2024/2/?
    HYBEとADORの間で株主間契約の見直しがあり、ミン・ヒジンから以下の申し出があった。HYBEは拒否した模様。

    • プットオプションの比率の大幅引き上げ(13倍から30倍へ)

    • NewJeansの専属契約を取締役会を経ずに解除できる権利

  • 2024/4/22
    HYBEがADORに対して「経営権奪取企図」を理由に監査に着手し、ADOR臨時株主総会を通じてミン・ヒジンの解任を推進。

  • 2024/4/25
    ミン・ヒジンが記者会見。

  • 2024/4/26
    HYBEがミン・ヒジンを業務上背任の疑いで刑事告発。

  • 2024/5/7
    ミン・ヒジンがHYBEを相手に、5/31の臨時株主総会で解任されないよう、議決権行使禁止仮処分を申請。

  • 2024/5/17
    ソウル中央地裁でミン・ヒジンとHYBE側の仮処分申請審問が行われる。

  • 2024/5/30
    裁判所がミン・ヒジン側の議決権行使禁止仮処分申請を認める。

    • 背反の企図は認められたが行為は認められないとし、ミン・ヒジンの解任に一旦ストップがかかった形。

  • 2024/5/31
    ADOR臨時株主総会が開催される。ミン・ヒジンの解任は阻止されたが、HYBE側が推薦した3名の取締役が選任される。

    • ADOR取締役代表を選出する取締役会が、実質HYBE派になった状況。

  • 2024/7/8
    HYBEがミン・ヒジンとの株主間契約解約を通知。その後、株主間契約解除確認の訴訟を提起。

    • 5/30の判断で企図は認められたため、それを根拠に解除した、という流れ。

  • 2024/8/27
    ADORが取締役会を開き、ミン・ヒジンの解任と新代表キム・ジュヨンの選任を決定。

  • 2024/9/13
    ミン・ヒジンが再度仮処分申請を提出。ADOR臨時株主総会を招集し、自身を取締役に再選任した後、CEOとして選任することを要求。

  • 2024/10/29
    ソウル地裁が、ミン・ヒジンのCEOの再任を求める仮処分を却下。

    • 翌日のADOR取締役会で、ミン・ヒジンのCEO再選任案が否決。

  • 2024/11/初め
    ミン・ヒジンが、HYBEにプットオプション行使を通知。

  • 2024/11/20
    ミン・ヒジンがADOR社内取締役を辞任すると発表し、プットオプション行使による代金請求訴訟を提起。

この判決をどう見るか

今回、裁判所は
「背任を企んだことは事実」
「しかし契約を破棄するほどの重大な違反とは言えない」
「従って株主間契約は有効」
としてHYBEの訴えを退けた形です。

裁判部は独立の試みは事実だがHYBEとの株主間契約の違反ではないとみた。ミン前代表の独立構想がHYBEの同意を前提に行われたと判断したためである。
HYBEがミン前代表を業務上背任容疑で告発し「嫌疑なし」で結論づけられた陳述書と不送致決定書などを根拠に挙げた。ここにはADOR独立方策の一つとして新規株式公開(IPO)のために「HYBEの同意を得て3000億ウォンを調達する」などの内容が盛り込まれた。

裁判部は「このような行為(ミン前代表の独立試み)がADORの成長発展を阻害したり損失を招いたのかは疑問だ」とし、「ミン・ヒジン側は複数の投資家と接触してADOR独立方策を模索したとみられるが、いずれもHYBEの同意を前提とした方策だ」と説明した。

朝鮮ビズ「ミン・ヒジンが1審勝訴 HYBEの解除請求棄却」より

「ミン前代表の独立構想がHYBEの同意を前提に行われた」はちょっとよくわからなかったのですが、要するに独立計画の中にADORのIPOが含まれていたためのようです。

その場合当然親会社の許可が必要なので、ミン・ヒジンはHYBEがADORを手放したくなるよう、NewJeansの離脱を含めた価値の下落方法を模索していた……と目されているのですが、そういった計画の中に「HYBEの許可が必要」という文言が残っていたため、「言うつもりがあったなら背任じゃない(=計画段階である)」という解釈が成立したようです。

えっほんとに?( ゚Д゚)

ちなみに今回の判決を見た感じ、裁判所はHYBEが契約解除を通達した2024年7月までの行為を判断対象としたように思います。
要するに、8月に行われたNewJeans緊急配信へのミン・ヒジンの関与とか、9月に行われたダボリンク会長との会合とか、そういうものは判断外ということです。

2024年5月の仮処分

これを見て思い出すのが、「2024年5月の仮処分」です。

2024/5/30裁判所がミン・ヒジン側の議決権行使禁止仮処分申請を認める。
・背反の企図は認められたが行為は認められないとし、ミン・ヒジンの解任に一旦ストップがかかった形。

時系列より

当時の韓国商法では、会社の代表(ミン・ヒジンCEO)は「会社に対して忠実である義務」があるが株主(HYBE)に対してはない、という状況でした。

そのためこの判決は原則論に則ったものではあるのですが、当時はビックリしましたね。
「ADORに損害を与えていなければ、親会社HYBEへの裏切り企図は違反じゃない」という意味になるので。そんなの怖すぎる((( ゚Д゚)))

企業ガバナンスとかどうなってるの!?と思い、調べて「コリア・ディスカウント」などのキーワードを知りました。国が違えば問題や観点も違うものなのね……。

「韓国企業ガバナンス・フォーラム」は21日に発表した論評で、「韓国の株式投資の成果が思わしくない理由は(上場企業の)ガバナンス(支配構造)の悪さのため」だとし、
(中略)
フォーラムはまた、「取締役の株主に対する忠実義務規定が追加されなければ、韓国の取締役会は今後も株主の意思に反する議案を承認し続けるだろう」と説明した。

ハンギョレ新聞「「コリアディスカウントは上場企業のガバナンスが原因」…日本の市場改善の理由は」より

その後商法改正が進められ、2025/3/13に株主全体が対象に含まれる方向での改正案が可決されました。

他の契約関連訴訟はどうか

振り返ると、NewJeans vs ADORの裁判やイルカ誘拐団の裁判でも同じく、契約書重視の判決方針であったように感じられます。

  • NewJeans vs ADOR

    • 専属契約書にない事項は違反事項として認めず

    • ADORに「契約違反」はないとしてNewJeansの訴えを却下

  • イルカ誘拐団 vs ADOR

    • 口頭契約は有効と認めず、明文化された内容を優先

    • 監督版動画を無断で公開したことは「契約違反」にあたると認定

今回の判決も同じく契約書重視であり、2024年5月の判決の流れを継承したものであるように見えます。
要するに、「契約書を重視し、それを乗り越える条件を高く設定している」と言う流れです。限定的な視野で法解釈している、と言えなくもないと思います。

同じ原則に従って、NewJeansは黄金期となるべき時間と評判を失い、ミン・ヒジンには金銭的利益がもたらされたわけで、皮肉な結果だと思いました。

次の展開はどうなるの?

HYBEがミン・ヒジンに対して行った背任容疑については、警察で一度不送致決定→異議申し立て→検察により再捜査命令、という流れになっています。
今回の判決の結果はこちらにも影響すると見られ、非常に気になる展開です。

HYBEとマルチレーベル・ガバナンス

HYBEは控訴の意向を明らかにしています。
金銭的な部分に限れば、損害賠償裁判もあるのでそこまでではないと思うのですが(それでも充分大きい金額ですが)、やはりこれを認めるとマルチレーベルにおけるガバナンス、要するに親会社の統治力が問われることになりますので、問題となる判例を残さないためにも法廷闘争は続くと思われます。

要するに、マルチレーベル王国を安定させるため、ここはいい感じの判例を残す目的でまだまだ戦うと思います、という見立てです。
支払い命令に対しては、供託金の形で一回裁判所に預けて執行停止して、控訴かなと思います。イルカ誘拐団もそうしてます。

マルチレーベルのガバナンスという面では、今後ミン・ヒジンやZICOタイプの「株式持ち子会社CEO」は難しくなるかもしれませんね。
NewJeansの件は専属契約書を取り巻く人々に「信頼破綻の条件をもっと具体的に盛り込もう」と思わせ、結果として被契約者への縛りがきつくなったのではないかと思われますが、今回の件も株主間契約に同じ結果を生んだのではないかと思われます。

正直自分が親会社ならそんな「考えるだけなら損害与えてない」とか言い出す子会社は危なすぎますし、自分が投資家でもそんな謎ガバナンスな国に投資するの怖い、って思っちゃいますね……。
2025年に法改正もされてますし、今後の運用に期待です。

今日の株価は元気な様子

2024年4月のミン・ヒジン記者会見は株価下落を引き起こしましたが、現在3月のBTSカムバを前に、HYBEの株は元気です。
今日決算報告が出ているので、明日まとめて反応が出るでしょう。

【追記:2026/2/14】2025年実績かんたんまとめは以下。

  • 売上高は前年比18%増の約2兆6,500億₩で、創業以来最高を記録

  • 新人デビュー投資や事業再編に伴う一時的な減損処理により、前年比73%減の499億₩(現金の流出を伴わない会計上の処理)

  • 公演売上が約69%急増し、グローバルプロモーター「Big4」入り

  • 来期はBTS復活に加え、新規IPやインド市場、YouTubeプロジェクトなどを展開予定

  • K-コンテンツ企業初の「最低配当制度(株主あたり最低500₩)」導入

HYBEのプロモーターとしての成長を背景に、来期は最大収益が見込まれるBTSワルツが行われます。それを前に清算しFCFを宣言したという点に、来期のキャッシュフローは盤石という経営陣の自信が窺えます。
簡単に言うと、来期めっちゃ儲かるし株主還元もしていくんだろうなって感じ。

HYBEに勝算はあるのか

HYBEは今回、ミン・ヒジンが契約違反をしたという立証に失敗したわけです。仮処分と今回で二回逃しているので、控訴するにはこれまでの判断を覆す証拠が必要になります。

ここで気になるのが、ADOR帰還組のNewJeansとその保護者ですね。彼らが「いえ、実際に離脱の試みを行っていました」と証言するのか、今回裁判所が判断に採用した証拠を覆す何かを出すのか、まだ私たちに見えていないものがありそうで気になります。

2026年1月の記者会見で、ミン・ヒジン代表側弁護士は「NewJeansのタンパリングはメンバー保護者と某起業家との共謀」説を唱えました。
要するに、ヘイン伯父とダボリンクを名指しした状態なわけですが、名指しされた側も黙ってはいないのではないかという気がします。

また「裁判部が業務上背任容疑に関連して警察の不送致決定書を主要な判断資料として参照した点も目を引く」とし、「裁判に提出された不送致決定書やカカオトークでのやり取りはいずれも解釈の余地がある資料であり、新証拠が提出されたり裁判部の見解によっては控訴審で判断が変わる可能性もある」と付け加えた。

朝鮮ビズ「ミン・ヒジンが1審勝訴 HYBEの解除請求棄却」より

注目される損害賠償訴訟

このプットオプション裁判を扱っている裁判所は、ADORがダニエルとその家族、およびミン・ヒジンを相手に起こした「違約罰および損害賠償請求訴訟」も担当しています。
金銭的面では、こちらの方が大きくなる可能性があります。

私はこちらの損害賠償裁判を見て「わあ性格が悪いw」と思ったのですが、その理由は利害関係が一致しない人たちをまとめた点です。
そのため、ダニエルママとミン・ヒジンは互いを裏切れば自分の払うお金が少なくなる構図となっています。タッグを組んで共闘するのか、泥沼戦になるのか、ウォッチャーとしては目が離せません。

NewJeans5人のうち、ハニ・ヘイン・ヘリンはADORへ復帰し、ダニエルは独立を選び、ミンジは返事を保留していると見られます。
今回の判決を受けて、彼女がどういう道を選択するのかも気になるところですね。BTSのカムバを待ちながら、こちらの続報も楽しみにしたいと思います。

おまけ:判決を受けての声明

HYBE側は「当社の主張が十分に受け入れられず残念だ」とし、「判決文検討後、控訴など今後の法的手続きを進める予定だ」と明らかにした。

朝鮮ビズ「ミン・ヒジンが1審勝訴 HYBEの解除請求棄却」より

慎重かつ客観的な判断を下してくださった裁判部に深い敬意を表します。今回の判決を通じて株主間契約の有効性とプットオプション権利の正当性が確認された点について、裁判部の決定を尊重し、謙虚に受け入れる所存です。

ミン・ヒジン代表は、今回の訴訟過程が個人の権利救済を超え、K-POP産業内の不合理な慣行が正され、契約の厳重さを再確認する契機になることを希望してきました。
判決の結果とは別に、これまでの紛争の過程で疲弊されたファンの皆様とエンターテインメント業界関係者の方々に、申し訳ない気持ちを伝えます。長い法的攻防を共にしたHYBE関係者の方々にも、お疲れ様でしたという言葉を伝えたいと思います。

OOAK Recordsとミン・ヒジン代表は、過去の紛争に留まることなく、当初の計画通り未来へ向かって進もうとしています。
安定した経営環境を構築し、ただアーティストの価値を最大化させ、K-POP産業を代表する新たな人材を育成することに、すべての能力を集中させます。

OOAK Recordsならではの独創的な方式でアーティストを発掘し、グローバルなファンにインスピレーションを与えるコンテンツを作ることに、すべてのエネルギーを注ぎます。
ミン・ヒジン代表も、これからはクリエイターでありプロデューサー、そして経営者としての本業に専念する計画です。

STAR NEWS「'풋옵션 승소' 민희진 "하이브 고생했다..이제 본업 전념할 것"[전문](「プットオプション勝訴」ミン・ヒジン “HYBE、お疲れ様でした…これからは本業に専念する”[全文])」よりOOAK Records立場文

おまけ:パン・シヒョク議長の寄付

255億₩の支払い命令が出た日に2700億₩を寄付するパンPD、パンクだなw

韓国音楽業界の反応

KEPA(韓国芸能制作者協会)からの声明

KEPAは深い遺憾の意を表明し、これはHYBEとミン・ヒジンによる私的な争いではなく、K-POP業界の秩序を揺るがすものだと伝えました。
反応の速さから、業界からの注目と受けた衝撃の大きさがわかりますね。

本文要約:
以下のポイントから、「K-POP産業の根幹を揺るがす危険な判決だ」と強い危機感を示し、司法に是正を求めている。
・「未遂ならセーフ」は業界の秩序を破壊する
・裏切りの計画を立てた時点で、事前投資の前提である信頼は破綻している
・この判決は、投資の萎縮→K-POPの衰退を招く
・K-POP業界の特殊性や実情を理解し、健全なシステムを守るための判断を

MBC enews「연제협, 하이브·민희진 판결에 유감 “템퍼링 면죄부…K-팝 산업 붕괴 우려”(KEPA、ハイブ・ミン・ヒジン判決に残念「タンパリング免罪符…K-POP産業崩壊の懸念」)」より

KMCA(韓国音楽コンテンツ協会)からの声明

その後KMCAからも声明が出ました。
内容はKEPAと似ていますが、K-POPだけの問題ではないという点を強く訴えています。CEOの「忠実義務」がタンパリングと共存しうるか?という疑問には同意します。

本文要約:
KEPA同様、「K-POP産業の根幹を破壊しかねない」として判決に対し強い懸念を表明している。
・「信頼関係の破綻」に対する判断基準が狭く実体とかけ離れており、タンパリング容認を招く可能性が高い
・この判断は投資の枯渇を招き、中小事務所や新人育成、従事者を直撃する
・K-POP産業だけでなく、IP産業・契約市場・先行投資構造全体への影響を考慮し、バランスの取れた基準を築いて欲しい

BreakNews「
음콘협 “하이브·민희진 1심 판결, 깊은 우려..K팝 산업 중대한 타격”(音コン協「HYBE・ミン・ヒジン1審判決、深い懸念…K-POP産業への重大な打撃」)」より

ちなみにKMCAはサークルチャートを持ってます。

韓国音楽コンテンツ協会(KMCA)は、不正操作疑惑に関与したアーティストとレーベルのアルバム販売数をサークルチャートから除外することを検討していると、金曜日に発表した。
KMCAはまた、「Mカウントダウン」「ミュージックバンク」「ショー!音楽中心」「人気歌謡」など8つの国内音楽番組や、サークルチャート・ミュージックアワード、MAMAアワード、ゴールデンディスクアワードなどの音楽賞に提供しているデータも除外対象に含む可能性を示唆した。

Korea JoongAng Daily「音楽コンテンツ協会、データ改ざんに関与したアーティストやレーベルの除外を検討」より

何故業界が反応するのか

今回裁判所は「企んだが実行していない」という理由で、株主間契約解除に至るほどの重大な違反ではないと見なしました。
タンパリングの場合は契約中に他事務所と接触した時点でアウトなのですが、この判決に従うと「引き抜き終わってなければ違反じゃないならいいじゃん」という口実を与えてしまう可能性があります。

K-POPはデビュー前に事務所側が大規模投資をしますから、それをやられると「耕してない奴に収穫を盗まれる」結果になり業界はダメージを免れない、というのが危機感の理由だと思われます。
泥棒が出入り自由な畑に、わざわざ肥料を買い与えたい投資家はいないですからね。

NewJeansが「専属契約にない内容を理由に一方的に契約解除する」という先例を作りかけた時も音楽業界は反応し、5団体が合同で反対の声を上げて、タンパリングに関与したアーティストの音源はチャートに含めない、とまで言いました。
これも「秋を前に収穫を盗まれる」ことを許さない、という反応です。

5つの音楽団体は本日(19日)、報道資料を通じて「健全で持続可能な発展のため、一部の企画会社とアーティストたちには世論を誘導した根拠のない心理戦を通じて自分の利益を収めようとする行為を中断するよう、国会と政府には主要な葛藤の原因になる“タンパリング”の防止のための政策支援を進めてくださるよう、心からお願いする」と訴えた。

Kstyle「NewJeansの独自活動を批判…韓国の音楽団体が声明文を発表「K-POP自体が危機に陥る」」より

NewJeansの専属契約訴訟で「勝手に解除しようとしてもダメ」という空気ができてホッとした瞬間、これが来たわけですから、音楽業界もそりゃ反応しますね。
正直私が業界の人間だったら、HYBEに「勝つまでやってください」「こんな先例残されたら困ります」って直訴します。

ちなみにこれらの業界団体にHYBEが入ってるから、団体のスタンスは偏っているという意見もあるらしいんですが、まあ業界最大規模の事務所が入ってない団体なんか、アメリカが抜けた国連みたいなもんですからね(危険な例え)。入ってない方がおかしくないでしょうか。

しかしこの状態でミン・ヒジンはボーイズグループを作ると言ってるわけですが、デビューできたとして韓国音楽界に居場所はあるんでしょうか。
タンパリング企んで行動してたのは他の裁判所も認定してるわけですが、サークルチャートには入れてもらえるんでしょうか。今中国は行きづらくない?

判決後ミン・ヒジンは「もう争いには関わりとうない」と述べており、2024年の第二回記者会見で「和解しましょう」と言って「記者会見で相手を犬呼ばわりしてたの自分やろ」と突っ込まれてたのとまったく同じ展開です。

関わりとうないと言っても、BELIFT LABもSOURCE MUSICもハラスメント訴訟もありますし、HYBEも控訴予定らしいので、まだまだ先は長いですね。
ダボリンク会長らを刑事告発する予定だと、1月の記者会見で弁護士が言ってませんでしたっけ。

悪法でも法は法。それが法治社会のルールです。無視して香港Complexコンに出たりしてはならず、決着は法廷でつけなければなりません。
傍から見て変な法律だなと思ったとしても、彼らはその国で生きてるわけですから、何とか攻略方法を見つけてほしいものですね。正直周りが気の毒です。

その後:HYBE控訴

2/19、HYBEが控訴しました。構図としてはこう。

  • 一審判決

    • ミン・ヒジンが会社の独立を企てた事実は認めたが、「交渉段階にとどまり、実際に会社に重大な損害を与えていないため、契約解除の条件である『重大な違反』には当たらない」と判断

重大な違反:
10億ウォン以上の財産的損害を与えたり、横領が発生したり、契約の根本的な目的を破壊するほどの深刻な行為

下記KBSニュースより
  • HYBE側の対応

    • 控訴と理由

      • 「契約破棄の意図」や悪意を示すカカオトークの会話が言及されなかった点

        • 「HYBEの改善とか聞いてもないし気にもしてない」、「母親たちを利用しなければならない」、「防弾(BTS)がいない時が一番弱い時期」など

      • 「ILLITがNewJeansを盗作したとはみなせない」といった過去の裁判結果を無視し、現在再捜査中である龍山警察署の不送致理由書を何度も引用した点

      • 「信頼関係が完全に壊れれば契約解除できる」という過去の判例があるにもかかわらず、重大な契約違反のみを解除条件とした点

  • 執行停止の申請

これにより、「信頼関係の破綻とは何か」を問い直す裁判になるのかなという感じです。
予想通り執行停止申請も行われました。要するに、控訴審が終わるまではお金は渡さない、という形です。判決が出るまでの間、ミン・ヒジンが裁判費用やOoak運営費をどう賄うのかが注目されます。

通常、2審の判決までには少なくとも6ヶ月から1年程度かかります。 最終的な結論は2026年下半期か2027年初めに出ると予想されますが、もし2審でもミン前代表が勝訴した場合、HYBEはプットオプションの256億ウォンに遅延利息を加えた金額を支払わなければなりません。

KBSニュース「하이브 VS 민희진, 하이브는 왜 1심에서 패소했나?(HYBE VS ミン・ヒジン、HYBEはなぜ1審で敗訴したのか?)」より

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