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【HYBE】パン・シヒョクのIPO問題はどう着地するのか【中間まとめ】


【追記:2026/8/4】「その後の進展」に「詐欺罪への容疑変更も検討中」を追加

気が付けば540日も見守っていた

BTSバンタンの生みの親であり、HYBE創業者であるパン・シヒョク議長。IPOに絡んだ不正取引疑惑が取り沙汰されて、もう長いですね。

最近、彼に対して出された拘束令状申請が2回も却下されたというニュースを読んでいて、「そもそもいつから捜査してたっけ」などと振り返っていました。
前に一度調べたんですが、スパンが長すぎて続報が来る前に記憶が薄れるんですよね( ;∀;)

それにこの件は追いかけてる人でも、どのスタンスから見てるかでかなり見えるものが違う気がします。
日本人と韓国人、株主とARMY、ミン・ヒジン関連の裁判を見ているかどうかでも差がある気がしたので、一回自分が受け取っているものをまとめてみたいと思います。

注意事項

私は韓国の法律や金融市場に関する専門家ではありません。
BTSファンの立場から、パン議長やHYBE、ミン・ヒジン関連の裁判を追っている一日本人です。飲み屋の話を立ち聞きしてる程度の距離感でお願いします。

事件の経緯

そもそもどういう事件なの?

  1. 2019年前後

    • HYBEは投資家を求めてソフトバンクなどと交渉をしていたが、断られている

      • BTSに頼った新興企業のイメージが強かった上に入隊前だったので、兵役後の活動保証がないため引き受ける相手がいなかった

      • この時点でHYBEは投資家に「IPO計画はない」と回答している

    • 結果として、知り合いのファンドに引き受けてもらう形でIPOを選択

      • 事前契約(アーンアウト条項)を結ぶ

        • IPOが成功した場合、利益の30%をパン議長が得る

        • IPOが成功しない場合、パン議長が損失(1000億ウォン規模とも)を補う

  2. 2020年10月

    • HYBEが株式市場に上場し、結果的に成功してパン議長は利益を得る

      • 報道での利益額が「1900億ウォン~4000億ウォン」と幅広いのは、実際には半分を税金で納めていることや、他に参加したHYBE幹部の利益も含めていたりすることが理由

  3. 2024年11月

    • 金融当局に情報提供があり、内偵が開始

      • この事前契約がIPO時の有価証券届出書等の目論見書で開示されていなかったことを問題視

    • 韓国経済新聞のスクープをきっかけに、韓国メディアが一斉にこの事前契約を「株主をだまして利益を得た」疑惑として報じる

  4. 2025年6~7月

    • 金融監督院の調査結果を受け、証券先物委員会が資本市場法違反の疑いでパン議長を検察へ告発(役所から司法機関へバトンタッチ)

    • 警察による捜査が開始

      • 警察が韓国取引所(6/30)およびHYBE本社(7/24)を家宅捜索

  5. 2025年8月

    • パン議長を含むHYBE幹部に、渡航制限がかかる

  6. 2025年9~11月

    • ソウル警察庁金融犯罪捜査隊が計5回、パン議長を召喚し長時間の事情聴取を実施

      • 年末から捜査の進展がなくなり、「法理検討中」となる

  7. 2026年4月

    • 在韓アメリカ大使館が「パン議長の海外渡航制限を解除してほしい」と警察に直接要請

    • 警察はパン議長の拘束令状を請求したが、「疎明不足につき再捜査が必要」として検察に却下される

      • 6日後再申請するも、「再捜査されてない」と再却下

私が最初にこの話を知ったのは、2024年11月のスクープが出た時でした。ミン・ヒジン関連をウォッチしているところだったので、反射的に「また世論戦か」と思いましたね。
何故かというと、スクープ前日にNewJeansが専属契約解除宣言の記者会見をしたところだったからです。正直「2019年のIPOまで持ってくるとは」と思いました。

上の時系列は、ニュースなどで裏取りができる内容であり、事実ベースですが、でも実際にはNewJeansの記者会見を含め、その外側でも色んなことが起きています。
私がこの案件を考える時、一緒の引き出しに入れてしまう人物や事件をまとめてみます。

関連しているかもしれないあれこれ

韓国の政治的混乱

2024年12月の非常戒厳令宣告に始まり、韓国では大きな混乱を経て、大統領が交代しました。
ちょうどジン君の誕生日前日だったので、ライブ配信が来るかと思って0時を待っていたら大変なことになり、驚愕したのを覚えています。当時は軍も出動しましたが、兵役中だったBTSメンバー、特にSDT(特殊部隊)にいたテテがどうなるかと気が気ではありませんでした……。

この影響で、2025年12月に当時の警察のトップであるチョ・ジホ警察庁長官が罷免され、まだ後任が決まっていないらしいです。要するに、戒厳令の影響で警察には「責任を取る人がいなくなった」形です。
HYBEへの具体的な捜査活動が止まったのもこの時期であり、2025年12月から翌年4月まで、警察は「捜査は終了したが法理検討中」を理由に五ヶ月沈黙していました。長い。

その後現大統領が就任したんですが、この人が「株式不公正取引はいかん、一回やったらアウトや!」と言い出し、余計に面倒になった感も若干あります。いや、不正はダメなんだけどさあ。

現政権(李在明政権)は2025年春から金融犯罪に対し「ワンストライクアウト(即告発・厳罰主義)」を掲げ、捜査当局に厳しい対応を指示しています。

この政策により、主に金融監督当局や検察庁の運用方針の厳格化が目指されています。パン議長の件は、やり玉に挙げるのにちょうどよかったのではないでしょうか。
「財閥を恐れずメスを入れる清廉な政権」を目指しつつ、「長年にわたる政界・財閥の癒着」とのバランスも取りたい場合、新興勢力であるHYBEはターゲットになりやすいように映るからです。

「【HYBE】パン・シヒョク告発をどう見るか【韓国メディア】」より

警察と検察との関係

検察の拘束令状申請差し戻し理由については、以下をご覧ください。

何故警察が出した拘束令状申請を検察が却下したのかというと、韓国のシステムが日本と違うからです。

韓国では、2021年に検察が独占してきた権限が見直され(主に汚職防止が目的)、警察の捜査権が強化されました。
しかし憲法上、拘束令状を請求したり起訴したりといった権限は、検察が持ったままになっています。

そのため司法組織同士の間で足並みが揃わず、私からすれば
警察「自分も金融犯罪捜査くらいできるッス!」
検察「まだまだだな。出直しだ」
みたいな不信感と責任の押し付け合いが発生しているように見受けられます。

しかも、2026年10月に大規模な組織再編が行われ検察庁は解体されることが決まっています。
要するに、各組織の幹部が次の人事を前にして全員「責任を取りたくない」と思っている状況であり、このIPO問題はその真ん中で宙に浮いているわけです。まさに黒ひげ危機一髪。

検察庁が持ってた「捜査権」は警察へ行き、「起訴権」「重大犯罪捜査権」は、10月からは公訴庁と重大犯罪捜査庁がそれぞれ引き継ぐらしいです。
秋からは公訴庁が「起訴できるか」のチェック係になるわけで、今回の拘束令状申請に対する塩対応もその前段階なのかもしれませんね。「こんなんで起訴できると思うなよ?」みたいな。

在韓アメリカ大使館を巡る反応

2026年4月に、在韓アメリカ大使館が警察に対し「パン議長らHYBE幹部の渡航禁止を解除してほしい」という要望を出しました。
これで初めて、パン議長だけでなく他の幹部も半年以上渡航禁止を食らっていることを知りました。グローバル企業にとっては迷惑な話だと思います。

韓国は「法律より情緒法が強い情治国家」だと言われることがありますが、ある面で市民が非常に声を上げていく社会だと思います。
社会の近代化に従い皆が言論権を獲得していく過程で、権力者や金持ちを非難できる時代が来たことにより、逆に非難することが正義みたいな価値観が生まれた、という説を読んだことがありますが、確かに日本人とは感覚が違うなと思うことがよくあります。世論戦という考え方も、推定無罪といった法の原則を無視して世論を形成してしまえば勝ちという価値観ですし。

実際、警察や政府筋などへの意見提出や告発ルートも日本より多く、ニュース記事を読んでいるとそういった公権力側も市民の顔色を窺っている節があって、驚かされます。
このアメリカ側からの要求に関しても、同じような印象を受けました。

アメリカ側からすれば、BTSツアーは地域経済にも大きく貢献するので「もう一日やってくれない?」「ここお代わりできない?」と直接持ち掛けたいのにパン議長が国から出られない状態なわけです。
何で外交筋から攻めなかったんだろうと思いましたが、たらい回しにされるくらいなら直接掛け合おうと警察へ言ったのかもしれません。知らんけど。ちなみにHYBEは「知らないし、招待もされてない」って言ってました。

しかし、元々の国民感情として、こういう外国からの介入には敏感な部分があると思われる韓国です。
トップ不在の警察にとって、クーパン事件で反米感情が高まっている時期に米国大使館の要求を受け入れるのは、正直自殺行為に等しかったように感じられます。

クーパン問題
韓国はネット通販が生活になくてはならないが、そこの最大手であるクーパンが「約3,370万人分」という規模の個人情報流出事件を起こした。韓国政府も反応し規制をかけたが、アメリカ企業だったため下院議員が抗議し、米韓の外交摩擦にまで発展した。

韓国国内でも「内政干渉だ」という反米的な世論が沸騰していた

警察は大使館へ返答する代わりにパン議長に対して二度も拘束令状を出し、両方共「説明に足る証拠がないから再捜査して」「再捜査してないじゃん」と即却下されてますが、それは法理検討が終わったから次の段階へ行ったというよりは、「自分は頑張ってるッスけど検察が許さないッス!」というアリバイ作りに見えました。

そもそも、2019年の事件を17ヶ月かけて捜査した上で疎明不足って、再捜査は可能なのか、起訴したとしても勝てるのか、という疑問しか出ません。
韓国警察のメンツには興味がありませんが、この後どうするつもりなのかは気になりますね!

リークしたのは誰なのか

このへんからが、ミン・ヒジンウォッチャー仲間じゃないと共有してないかもしれないという点です。

ADORの元CEOだったミン・ヒジンには、当時イ・ソンウ(またはイ・サンウ / L副代表)という腹心がいました。
ミン・ヒジンによるADOR独立画策を巡る騒動のキーマンで、世論戦も一緒にやっていた様子が判決文にも書かれています。

今回カトクログを出したイ・ソンウは、ミン・ヒジン回りのキーパーソン。
セクハラで訴えられ、ミン・ヒジンがパワハラで罰金刑くらう遠因にもなった人です。ウォッチャーはチェックしてね!

元々HYBEでIPO/IR担当だったんですが、ADORへ異動後ミン・ヒジンの部下になって色々使われていたらしいです。
HYBEの主張に依ればミン・ヒジンはBTSの会計士にまで接触してたそうなのですが、その手先になったのがこの人。

HYBEの監査を受けて「成功したらミンヒジンから3000万円報酬をもらう約束をしてもらった」とか言いつつ、あっさりログを提出してました。
そのため、HYBEはイ・ソンウだけ訴えから外しています。元IPO担当かあ、へえ……。

「【ARMY目線】NewJeansの裁判で語られたミン・ヒジン【専属契約確認訴訟判決文】」より

この人はKakaoGamesからHYBE(当時Big Hit Entertainment)に来た人で、2019年から2020年にかけての新規株式公開(IPO)の準備段階において実務を担当してたんですよね。

昔公開されてたFacebookより

しかもADORへ行った後、HYBEの社内財務フォルダから無断で資料をダウンロードしており、この情報などを基にHYBEを攻撃するための内部文書を作成していたのが内部監査で見つかったようです。

争点の大きなポイントの一つは、ADORの元副社長でミン氏の側近だったイ・ソンウ氏に関するものだ。HYBEは、イ氏がADOR入社後、許可なくHYBEの社内財務フォルダにアクセスし、複数のレーベルに関連する51件の財務書類をダウンロードしたと主張している。
また、同社は、イ氏が昨年1月に異動する前に、ミン氏の要請で他のレーベルの業務資料を共有していたことを示す携帯電話のメッセージも提出した。

「Min Hee-jin and Hybe’s legal battle grinds on — even as NewJeans exit fight(ミン・ヒジンとHYBEの法廷闘争は、NewJeansの撤退を巡る争いの中でも、依然として続いている)」より

パン議長のIPO問題がどこから始まったのか考えると、結局「金融当局と韓国経済新聞にタレ込んだのは誰で、その情報の出元はどこなのか」という疑問に行きつきます。被害届が出て始まった事件ではなく、タレ込みがきっかけになっているからです。
……まあ、正直真っ黒に見えますよね。誰がとは言わないんですけど。

韓国経済新聞と消えた記者

前の記事にも書いたんですが、IPO問題について最初にスクープを出し、その後も社説や記事を通じてこの件を叩いていた韓国経済新聞というメディアが、記事を使って株の価格操作をした金融詐欺の疑いで家宅捜査を受けました。

この家宅捜査の後、韓国経済新聞の記者が消えています。
ネット記事なので記者名をクリックしたらその記者の記事が出てくる本人ページへ行けるんですが、それがなくなりました。

それが、IPOスクープ記事(初日の4本)全部に名前のあるチャ・ジュンホ(チャ・ジュノ)記者です。警察の捜査が入って以来記事をアップしなくなったので、ウォッチされてたんですよね。

韓国経済新聞の記事を「HYBE(하이브)」で検索した結果

2025年にはこういう話もありました。要するに、「株価が下がれば利益が出る」状態で株を売った翌日にマイナス材料の独占ニュースが出て、2.3億円の儲けが出たという話です。いい利益幅ですね。

5/27、誰かがHYBEの約10万株を空売りしました。
5/28、韓国経済日報が独占報道を掲載し、
5/29、空売りポジションが決済されました。
約20億ウォンの利益が見込まれています。

@a1071364さんのポストより
@a1071364さんのポストより

ちなみに、韓国経済新聞はミン・ヒジンが号泣記者会見を開いた2024/4/22に、独占インタビューで言い分を載せたところです。これもチャ・ジュンホ(チャ・ジュノ)記者でした。ご縁があるんだなと思っています。

ミン代表は22日、韓国経済新聞とのインタビューを通じて、HYBE傘下のレーベルであるBELIFT LABの盗作疑惑を提起した。

FREE NEWS「[단독] 민희진 "방시혁의 '뉴진스 베끼기'가 갈등 원인"([単独] ミン・ヒジン「「ニュージンスのための正当な抗議…突然解任手続きを踏むと通知」」より

見え方は人それぞれですが

というわけで、私からするとこの案件は

A「本社との経営権紛争を有利に進めたいから、悪徳記者に渡して世論戦用に使おうよ。株価操作にも使えてWin-Winだね。分け前もくれるよね?」
B「新しいボスの清廉アピールに、因縁のない新参はちょうどいいぜ! しかも俺たちの有能さも見せつけてやれるしな!」

ってなった結果が

A「あいつほんとにわるいよねー」
B「えっ誰もいない……いや俺は悪くないけど詰め腹切らされたくないから、責任者決まるまで誰かに押し付けとけ」

ってなってるように見えるわけです。知らんけど。

本当に起訴できるのか

そもそも今回の拘束令状申請なども、「法廷で有罪を立証できるか」という本来の法的プロセスから完全に逸脱しているように見えます。
17ヶ月も捜査しといて「疎明不足」って、起訴する気あるの!? その税金の使われ方に国民は納得するの!?

韓国法曹界からは、以前から警察が適用しようとしている「資本市場法第178条」は無理筋、という声が出ていました。
4月の拘束令状申請却下くらいから、そういう意見が記事として上がる頻度が多くなったように感じます。

個人的に興味深く思ったのは、これでした。

「資本市場法第178条」は日本の法律を参考にして作られたが、罪刑法定主義への懸念などから、処罰の事例はほとんどない

etoday「【寄稿】両刃の剣になった「バンシヒョク捜査」」より

韓国の「資本市場法第178条」は日本の「金融商品取引法第157条」などを参考にして作られたそうです。
これは、
「取引をする時、不正な手段やごまかしを使ってはいけない」
というざっくりとしたルール(包括的禁止条項)です。

しかし、これは近代法の絶対ルール
「ルールが明確でないのに人を罰してはいけない」
に抵触します。
何をしたらダメで罰はこれ、という内容が予め法律で決められていなければならないのに(罪刑法定主義)、ちょっとざっくりしすぎているわけです。

「不正な手段」という曖昧な表現で何でも処罰できてしまうと、後からのこじつけが可能になってしまうため、日本では「インサイダー取引」などのもっと具体的な罪状で処罰を求めるのが一般的だとか。
しかし韓国警察はこれでゴリ押ししてるんですよね……。検察が通すかなあ。

また、2019年時点で「上場計画はない」と言ったことを、後の上場差益を狙った確定的犯意だと立証できるのか、というのも疑問です。
だってそれは「上場差益」が発生することを予測していた、という前提がないと成り立たない論理だからです。

HYBEのIPOを後押ししたのはBTS『Dynamite』の世界的ヒットだと思いますが、これは2019年末以降コロナ禍により公演できなくなった影響からの玉突き事故みたいにして出た曲で、リリースは2020/8/21です。
どうやってその成功を予測できたというのでしょうか。それは後知恵バイアスだと思うんですよね。

後知恵バイアス
出来事の結果を知った後で、その結果が最初から予測可能だった、あるいは必然的だったと錯覚してしまう心理的傾向のこと

今日のTMI

ちなみにミン・ヒジンが「私も2019年1月にIPO計画ないって言われました!」と、何故か全然関係ないプットオプション裁判で証言してたことを思い出したので、置いときます。

HYBEのパン・シヒョク議長(取締役会議長)が、2019年にミン・ヒジン前ADOR代表を迎え入れる際にも「上場計画はない」と発言していた状況が明らかになった。

ハンギョレ「[단독] 민희진 “방시혁 의장, 내게도 ‘상장 계획 없다’고 했다”([単独] ミン・ヒジン「パン・シヒョク議長、私にも『上場計画はない』と言った」)」より

株主でもない入社前の人に(入社は7月)上場計画漏らす創業者おらんやろ、と思ったものです。当時パン議長が事情聴取で任意出頭してたんで、話題に乗っかったんだなと受け取ってました。
結果的にHYBEの言い分を裏付けてしまったせいか、その後は言及していません。

株主間契約の提出がされていなかったことをもってして、陰謀の証拠とするのも難しいと思います。
何故なら、2024年末に、韓国取引所がIPO時に提出するチェックリストを改定しているからです。逆に言えば、Big Hitの上場当時はその報告が義務付けられていなかったことになります。

これまでIPO審査プロセスにおいて株主間契約の提出は必須ではありませんでした。しかし、HYBEのパン・シヒョク議長による秘密契約疑惑が浮上し、KRX(訳注:韓国取引所)は少数株主の保護を強化するために今回の変更を導入した模様です。

nate「Korea Exchange Strengthens IPO Review Procedures to Prevent 'Another HYBE Case'(韓国取引所、HYBE事件再発防止のためIPO審査手続きを強化)」より

警察がこの件をどう丸めるのか、私は興味を持って見守っています。
パン議長はエスパーでBTSの大成功を確信しており、詐欺的行為に踏み切ったのか。標準的なリスクヘッジに「資本市場法第178条」のラベルを付けたとして、それが法廷で通るのか。

正直、当時問題なかったものが後からこんな形で起訴案件になるとか、韓国怖いなっていう反応が海外からの投資家をドン引きさせそうな気しかしない……と、財布を握りしめながらドン引きしてます。

どう刀を納めるのか、それとも振り下ろすのか

判断次第では、恣意的な法適用としてブーメランが返ってしまいそうなこの案件。
拘束令状にまつわるやり取りを見ても、「在宅のまま検察へ送る(不拘束送致)」からの「嫌疑不十分(不起訴)」でうやむやになるんじゃないかという気がしますが、正直韓国は何が飛び出してくるかわからないので、油断できません。司法機関自体が再編成を控えて過渡期ですしね……。

個人的には、パン議長がバンタンのアルバム作成もそこそこにアメリカから呼び戻され、そのまま渡航禁止をくらい続けて彼らの晴れ舞台も韓国でしか見られなかったのは、本当に残念です。

っていうか、商売に差し支えるから早く解除してほしい。グローバル企業のトップ陣が去年の9月から移動できずにいるとか、実質ペナルティ状態というか既に営業妨害であって、推定無罪の原則とか基本的人権の侵害とかどうなっとんねん、と思わなくもないです。はよ進めなはれ。

……というのが、現時点での私の意見です。
見守ってるうちに、「韓国の検察が次新組織に分かれるんだけどさ」などと誰にどこで話していいのかわからない小ネタばかりが増えていくので、そろそろ進展してほしいです。次は在韓アラブ首長国連邦大使館あたりから要望来ないかな。

おまけ:最近のパン・シヒョク議長

最近、以下のような流れで総額約330億円相当の株式(個人資産)を会社に無償提供してました。

しかもその後、お代わりが来ました。

HYBE「役員や職員のため、成果報酬を出します」
パンPD「これ使いなさい💰(2550億₩)」
HYBE「ありがとうございます! あっちょっと足りない……」
パンPD「これもあげるから💰(453億₩)」

念のため断りますが、想像です

という流れで、パンPDが総額約330億円相当の株式(個人資産)を会社に無償提供した様子。予算の中で均等割りするとかじゃないんだ、と変な感心をしました。いや、もらう側からしたらほんとありがたいです!

普通、成功した創業者って会社売り払って現金に換え、後は悠々自適……なイメージだったのですが、パン議長はひたすらHYBEを大きくすることに執心してて、いっそ感心します。

社員へのボーナスになるだけでなく、筆頭株主の彼が持ち株を出すことで会社の現金も減らず市場に株も放出されず、全体からいえばちょっとだけなんで経営権にも影響が出ず、で大変合理的な判断だと思います。
おかげでちょっと営業利益が下がりましたがw

社員へのボーナスは人件費として営業費用になるんですが、株の贈与は営業した儲けじゃないから営業利益の計算には入らず、別々の財布で管理されます。
そのため、資産としてはプラマイゼロでも、帳簿上だとマイナスになっちゃうということが発生し、投資家からすると「思ってたより儲かってないやん!?(アーニングショック)」という見え方になってしまうそうなんですよね。

一応2月に「ボーナス用にパン議長が株くれるって!」って記事は出てたんですが、それでも予想外の金額だったんですね( ;∀;)
お代わりくれたから、次も453億ウォンの営業費用が出ていきますね。よろしくお願いいたします。私もボーナス欲しいw

その後の進展

2026/6/1:進展なし

パク庁長は、パン議長に対して2度にわたり請求した逮捕状が検察に却下されたことに関連し、「検察が令状を請求しなかったため、必要な補完捜査を進めている」とした上で、「(捜査が)終われば結論を出す」と明らかにした。

ニュース1「경찰, 김병기 수사 지연에 "때 되면 종결"…방시혁엔 "보완 수사 중"(警察、キム・ビョンギ捜査遅延に「時が終われば終結」…バンシヒョクには「補完調査中」)」より

2026/7/8:検察、警察に容疑変更の検討を提案していた

検察は、二度も逮捕請求棄却される状況で起訴に至るのは困難と見て、警察に詐欺罪などへの容疑変更を検討するよう提案していたとのこと。5回も召喚調査したのに( ;∀;)
変更しても立証できるかどうかは別問題……。

金監院の特司警も並行捜査をしているはずだけど、こっちはとんと話を聞かない。同じ「立証不能」の壁に当たっているのでは。

ただし、詐欺罪に容疑を変更したとしても、立証は容易ではないという分析が出ている。
金融犯罪事件を主に扱うある弁護士は、「詐欺的不正取引は『欺瞞行為』があったという程度で十分だが、詐欺罪はパン議長の嘘によって既存の投資家たちが株式を処分したという因果関係まで立証しなければならない。また、詐欺を働いた時点から利益を得るまでに1年の時間差があるため、被害額の算出が難しくなる可能性がある」と指摘した。

続けて、「警察が今の段階で容疑を変更すれば、捜査の方針が大きく変わることで事件記録が煩雑になる恐れがあり、逮捕状の審査にも不利に働く可能性がある」と言及した。

Law Times「「詐欺的不正取引の立証は困難」検察、警察に嫌疑変更提案」より

その後、警察は「公式に容疑変更を打診されたことはない」と回答し、「非公式にはどうなんや」と突っ込まれたのであった(私に)。

2026/7/27:何周目かの仕上げ段階に突入

バン・シヒョクHYBE議長の詐欺的不正取引の疑いの捜査は、仕上げ段階に入った。パク庁長は「捜査チームが仕上げ手続きを進行中」とし「最大限早く整理するために努力している」と明らかにした。

マネートゥデイ「경찰 "'김병기 사건' 수사 마무리 노력 중"…10개월째 장기화(警察「『キム・ビョンギ事件』捜査仕上げ努力中」… 10ヶ月目の長期化)」より

年明けくらいから、ずっとこの返答を見続けている気がします。

2026/8/3:詐欺罪への容疑変更も検討中

また警察は、詐欺的不正取引の疑いが持たれているHYBE(ハイブ)のパン・シヒョク議長に関連する事件について、詐欺容疑を適用するかどうかの追加検討を行っている。ホン本部長は「最近提起された詐欺容疑の適用可能性も検討している」と述べた。

ノーカットニュース「국수본부장 "보완수사권 폐지 존중…김병기 수사는 곧 마무리"(国捜本部長「補完捜査権の廃止を尊重…キム・ビョンギ氏の捜査は近く終了」)」より
  • 記事「検察、警察に容疑変更の検討を提案していた」

  • 警察「公式に容疑変更を打診されたことはない」

  • 警察「最近提起された詐欺容疑の適用可能性も検討している」👈イマココ

10月からはいよいよ検察が廃止されて新体制になりますので、警察はそれまでに一定の結論を出したい状況ですね。

ちなみにこの件は、今警察と金融監督院の特司警がダブルで捜査しています。私の予想はこう。

金監院「告発します!」
検察「じゃあ特司警でやりなさい」
警察「いやうちが先にやってたんで!」
検察「警察君には任せられないが協力してやりなさい」

真面目な人は記事を読んでね(/ω\)

でも10月からは検察が起訴専門の公訴庁になり、操作指揮権がなくなります。
ということは、普通に考えると二重捜査が整理されると思われます。少なくとも、補完捜査の2カ月を超えた時点で、強制的に特司警か新設の重大犯罪捜査庁への一元化が可能になります。10月までに動きがなければ、次は12月ですね( ;∀;)ナガイ

警察はそれまでに詐欺罪で滑り込めるのでしょうか。
包括的な「市場取引法」でダメなものを、「詐欺罪」で何とかするのはちょっと難しいような気がしますが……。


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