テニス上達メモ566.本当に「いい天気」なのか?──テニス上達情報との距離感
どんな情報を入れるかで人生は決まる。テニス上達も同じ。元NHK武田真一アナは、「いい天気」という情報が主観を含むと語る。評価が入れば、事実は解釈に変わる。専門用語やスロー動画の「正しそうな説明」も同様。自分で確かめられる事実を選びたい。効かなければ、それが答えだ。
▶人生は「情報選択」で決まる
「どんな情報を入れるかで人生は決まる」とお伝えしています。
だとすれば重要なのは、その取捨選択。
特に今のような玉石混交のネット時代には、なおさらでしょう。
▶「いい天気」は誰の評価か
元NHKの武田真一アナウンサーは「いい天気」と言ったら、ものすごく怒られたそうです。
雨を喜ぶ人もいれば、困る人もいる。
じゃのめでお迎えを喜ぶ女の子もいるし、畑に向かって手を合わせる農家さんもいる(関連記事「雨を喜ぶメンタル」)。
天気に「良い・悪い」という評価を加えること自体が、強い主観を伴います。
評価が入った瞬間、事実は解釈に変わり、受け手は扇動されかねません。
だからこそ武田アナは、「聞き手側に立つ」「大切なのはファクト」「一人称」と語っています。
これは非常に示唆的です。
▶公正さを支える仕組み
NHKのウェブサイトには、受信料によって編集・編成の自主性が保たれている、という説明があります。
https://www.nhk.or.jp/faq-corner/2jushinryou/01/02-01-02.html
特定の勢力や視聴率に左右されず、公共性の高い番組を届けるための仕組みだ、という立場です。
なるほど、そうした考え方があるのだと理解できます。
▶立場が変われば、見え方も変わる
ということは、裏を返して、さらに裏を返して率直に翻訳すると、「CMで成り立っている民放は、大人の事情を抱えつつ、数字とにらめっこの番組をお届けしています」くらいのニュアンスにも、聞こえなくはない。
NHKの「受信料理論」をそのまま使うと、民放はなぜか肩身が狭くなる相関……。
▶作り手の責任感という本音
一方で民放の現場に目を向けると、元日テレ藤井貴彦アナウンサーが「担当している自分の番組以外は信じない」と語ったのでしたね。
ピー音の内容を知りたがるブラックバードが問うた時に、思わず出た本音(いやはや)。
これは裏を返せば、「自分が責任を持って作っていない情報は、簡単には信用できない」という、作り手としての率直な感覚とも受け取れます。
そんな番組を、私たちは見ています。
▶伝えるプロと、専門家は別
現在、多くの情報番組や検証番組が存在します。
ただし、番組制作者は情報を伝えるプロではあっても、特定分野の専門家というわけではありません。
専門家に取材し、その内容を伝える立場(仕事)です。
これはテレビに限らず、学会誌や同人誌等を除いたほぼすべてのオールドメディアに当てはままるでしょう。
▶アカデミック=万人向けではない
テニスの分野でも同様です。
「専門家」とされる人たちが、伝えるプロのメディアを通じて、専門用語や連続写真、スロー動画を駆使し「これぞアカデミック!」な説明を提示します。
情報自体は事実かもしれませんが、そこに主観的な評価が入ると、私たちは扇動されかねません。
すべての人に当てはまるとは限らない玉石混交。
私たちは、どういう取捨選択をすればいいでしょうか?
▶言葉は派手さより、腹落ち
くだんの武田アナは「洒落た修飾語がなくても、心に落とし込める言葉があればいい」と言いました。
情報の価値は、言葉の派手さではなく、自分の中で確かめられるかどうかにあります。
その通りだと思います。
人生は、心身を通じた実験に、ほかならないのですから。
▶「魔法のフォアハンド」は『ネイチャー』で特集されない
つい「魔法の~」とか「奇跡の~」とか「絶対に~」などという修飾語に、耳目を奪われてしまいがち。
でも、言えば言うほどファクトから遠ざかる気がするのは、私だけなのでしょうか?
科学の世界では、再現性と検証が重視されます。
そもそも「魔法」は、科学とは真逆の概念。
『ネイチャー』や『サイエンス』に「魔法のフォアハンド」という論文は、まさか載りません。
その観点から見れば、言葉の強さは、必ずしも信頼性を保証しません。
▶テニス上達は、魔法より種明かし
ちなみに『ベースメソッド』は、確かにテニス上達の「魔法」ではないけれど、手品の錯覚を見破った「種明かし」のようなものだと、お伝えしています。
逆に、動画を止めて細部を拡大して見せたり、写真の一部を丸で囲って目立たせたりする手法は、目を逸らせるための「手品の手口」とも、お伝えしているのです!(いやはや)。
関連記事はもちろんこちら。
『ベースメソッド』に非科学的な話などは一切出てきませんので、SF好きの方はご了解を。
オールノンフィクションです。
▶効かなければ、それが事実
どれほど説得力のある説明であっても、どれほど権威ある人物の発言であっても、実際に試してみて自分に効果がなければ、少なくとも自分にとっては「向いていなかった」と言えます。
そこに誰かを否定するニュアンスは含まれません。
にもかかわらず、情報のほうを信じて、自分の感覚や経験、結果を疑い続けると、苦しくなります。
▶評価を外して、事実を見る
本当にこれは「いい天気」なのか?
評価が入った瞬間、事実は解釈に変わり、受け手の印象は扇動されかねないのでした。
一度、空を見上げてみてもいい。
合わないなら「向いてなかった」と諦める(明らかにする)。
不向きでもやる「べき」というとらわれが、人生をしんどくするのです(関連記事「不向きは『やらない』。その一択で人生もテニスも軽快(連載その3)」)。
▶プロの言語化は、「後づけ」もある
「プロが言っているから正しい」という考え方も、自然なものです。
ただ、プロに「打つとき何を意識していますか?」と尋ねると、実際には無意識で行っていることを、あとから言語化して答えている場合も少なくありません(関連記事「質問063:プロ級の上級者はフォームなど気にしていない!」)。
その説明が、聞き手にとっての「正解」になるとは限らない。
▶情報にも「選球眼」がいる
まとめます。
ボールとの距離感が狂うと、テニスは途端に難しくなります。
情報もまた同じ。
近づきすぎず、離れすぎず。
突っ込みすぎず、待ちすぎず。
自分にとって「これだ!」と思える距離感で受け取る、情報の選球眼こそが、ナイスショットの始まりです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero