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質問184:ほんの少しコースがずれるのはなぜ?

シングルスでのことなんですが、アプローチがサイドに1ボールアウトすることが多いです。練習相手には「そこまで狙わなくてもいいから、もっと内側に打ったほうがいいよ」と言われます。1ボール内側やオンラインも多いので「試合ではアウトって言われちゃうよ」とも。

確かにそうなのです。あと30センチ内側でも相手を崩すことはできると思いますし、「本当にアウトでしたか?」と聞きたくなるジャッジをされることも多いです。


ただ、決してラインを狙って打っているわけではないのです。ポイント間に「アプローチはオープンコートへ」とか「逆クロスのアプローチが続いてるからクロスも混ぜようかな」ぐらいは考えていますが・・・


アプローチのミスを減らせばかなり試合の展開が楽になると思うのですが、ボールを見ることとコースを少し修正することは、どのように両立させるといいでしょうか?

回答


▶狙い方のプロセスは真っ当


※※さんはコントロールがよいプレーヤーです。

イメージどおりの配球ができている。

しかも、ポイントとポイントの間にどこを狙うかを定めておいて、実際に打つ時にはどこを狙うか「考えない」という狙い方のプロセスも、真っ当です。

▶イメージどおりの「イメージ」がズレている


繰り返しますが、イメージどおりのコントロールができている。

だけど、「そのイメージに問題がある」といったら、どうでしょうか?

※※さんは、イメージどおりのコースに打っているのだけれど、そのイメージが、現実のコートとの間にギャップがあるのです。

こういう場合、多くのプレーヤーはスイングやフォームをどうにかすることで解決しようとしますが、まずもって上手くいきません。

「ラケット面を少し内側に向けてインパクトする?」

「体を閉じたまま打つ?」

「あるいは体をもっと開く?」

このような打ち方を意識し出すと余計に上手くいかないという話は、これまでにも再三申し上げているとおりなので、ご理解いただけているとも思います。

▶「スイカの場所」が違う!


目隠しして行う「スイカ割り」なんです。

日本の夏の風物詩スイカ割りでは、スイカのある場所をまず正確にイメージとして保有しておかなければなりませんよね。

あさっての方向へ進んでしまっては、棒をコンチネンタルグリップで握っていようとも、構え方にセミオープンスタンスを採用しようとも、スナップを効かせて振り下ろそうとも、フォームを試行錯誤したところで、当たるわけはないのです(苦笑)。

これとまったく同じ。

テニスは、打つときにはコースではなくボールを見ながら打ちますから、コースに関しては「目隠し」状態

ですから事前に頭の中で、正しい空間認知のイメージを保有しておく必要があるのです。

※※さんは、そのイメージがほんの少しズレて記憶されている。

ですから、コントロールが非常にいいぶん、毎回ほんの少しだけジャストアウトのエラーが繰り返されるというのが、この問題のカラクリです。

▶コース分け目の 「観察力」で、空間を制す


もちろん、だからといってコースをイメージしながら打つという話ではありませんよ。

それだと、言葉は「イメージ」と言いながらも、打ちながら「考えてしまう」思考なので、上手くはいきません(関連記事「そのイメージは『思考』」)。

感覚的に、コートの広さ、幅、奥行き、ネットの高さなどをつかんでおく必要があるのです。

私がよくおすすめするのは、人がいない空(から)のテニスコートを、いろんな場所から、いろんな高さから、いろんな角度から、ジロジロ見るという方法。

ボールを打ち合いながらだと、ボールに集中するので、コートのレイアウトは分かりません。

ボールを打たずにジロジロ見て確かめる観察が、テニスコートの基礎的空間認知イメージを備える上で有効です。

とはいえテニスコートを見ると言えば、一般的にテレビ放映などに多い「斜め上」などからのアングルがイメージされがちです(関連記事「『自分の目』は自分で見られない」)。

そのため、たとえばショートクロスを狙えないプレーヤーは、ショートクロスを打つ打点目線から、ネットを越えて相手コート側へ落とし込むプレースメントを、実際に目で見たためしがないのです。

たとえばローボレーをネットミスしてしまうプレーヤーは、ローボレーを打つ打点目線のプローン(伏臥位)で、ネットを越えていく角度を、実際に目で見たためしがないのです。

ここでは紙幅の都合上、練習メニューまで詳しくご説明できませんが、シングルスコートの横幅が8.23メートルと知識として知っていても、実戦では役立ちません。

何歩で走れるか体感値として身につけておくイメージが有効です。

▶体の向きが変わっても、コートの向きは変わらないから


悩ましいのは、私たちテニスプレーヤーはいつもいつも、前を向いて打てるわけではないということ。

ボールを追いかけるために、ときに横へ走り出したり、あるいはときに頭上を抜かれたロビングを追いかけるために、後ろへ走り込んだりもします。

そのようにコートを縦横無尽に走り回りながらも、コースを狙う空間認知を、そのつどアジャストできるか否か。

スイカ割りで、グルグル回るのと同じです(笑)。

要するに体が、前や横や斜めや後ろ向きになっても、一定のコースを正確にイメージできるかどうか。

それが叶うと、後ろを向きながら前へ打つ股抜きでパスを射抜くコントロールも、正確になるというわけです!

https://www.youtube.com/watch?v=6x_hyaB9pgg

▶全部「そんなの関係ねぇ!」


股抜きなんて、普通に打つのに比べたら、フォームなんてグッチャグチャ

「打つコースへ前足を踏み込む?」

「狙う方向にラケットを振り抜く?」

「体を回すor回さない?」

全部そんなの関係ねぇ!というわけなのです!

▶まるで「迷いの煩悩」


ちなみに「走り回る」から悩ましいと述べました。

これはまるで「迷いの煩悩」そのものではありませんか!

三毒と呼ばれる根本煩悩は、欲・怒り・迷い(ほかはすべてこの3つからの派生)。

その中でも最強最悪と指名手配されているのが「迷いの煩悩」であり、グルグル定まらぬ思考をきっかけとして「上手く狙いたい」という欲や、「狙えなかったら厄介だ」という怒りの感情が湧いてきて、集中力を損ない物事に失敗するという定め。

失敗する「原因」を見誤っては、「結果」を良い方向へ変えようもありません(関連記事「この世の中には『原因と結果の法則』が、ひとつの例外もなく作用している」)。

テニスで言えば迷いの煩悩のせいで、打球タイミングが合わなくなる(=コントロールがバラつく)のです(関連記事「集中に必須の『感情コントロール』」)。

▶迷いを「楽しい」と錯覚して「苦しむ」私たちの心


買い物などの日常生活でも、「どちらか迷う」という状況はよくあると思います。

その本質はストレスなのだけれど、心は「楽しい」などと錯覚するから、「もっと得するほうを選びたい」と慾望し、「損するほうはゴメンだ」などと怒りに振れるから、苦しむ。

迷うくらいなら、そもそもどちらにも欠点があるのだから、大差なし。

だったらさっさと決めてせいせいするのが、長期目線で見て心にとって得策です。

身口意(しんくい)は癖になりますからね!(関連記事「学習能力は諸刃の剣」)。

「食べたいけれどダイエットに失敗する」といった具合に、欲望と嫌悪の間で激しく葛藤し続ける人生となりかねません。

▶狙いは合ってるのに外れる? そのズレ、ノーコンとは違います


※※さんは冒頭で申し上げたとおり、コントロールがとてもいいのですから、パワーでねじ伏せようとしなくてもプレースメントで勝負するプレースタイルは、かなりの武器になると思います。

内側30センチを狙っているのに、毎回オンラインへ行ってしまうズレがある人にも、今回の話はおすすめ。

ただしコントロールがまだバラつくというノーコンには、また別のアプローチが必要

狙いどおりのコースへボールが行かずにコントロールが定まらないといっても、両者の課題は「まったく別」です。

頭の中で、目で見なくてもイメージされるコートの空間認知が定まれば、今回ご質問いただきました「ボールを見つつコースを狙う」課題の克服は両立します(関連記事「ノールック打法は効果絶大でした 」)。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
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