質問1577:何も心の声が聞こえない時はタイミングが合う
吉田様
サービスの立ち位置だけ確認したらコートは一切見ないで打つようにしてみました。
自分の中のセカンドサービスをファーストサービスで打ってフォルトした時にセカンドサービスでフォルトしそうな気が頭をよぎります。そしてダブルフォルトする時があります。
それは毛に集中できていないということですか?
セカンドではずれてもいいように真ん中を狙うようにした方がよろしいですか?
ボールがバック側に来て(浅いと深いの両方)、バックバンドスピンは入らない気がしても無理にスピンを打つとタイミングがまったくあいません。
毛に集中できていないということですか?
バックバンドスピンを打とうして何も心の声が聞こえない時はタイミングが合います。
※※
回答
▶テニスの上達はたった「2段階」
テニスのミス(上達)は、原則的に2段階のプロセスを経ます。
「現実に対するイメージ」がズレていると、ミスします(上達しません)。
ご質問いただいているサービスで言えば、前にもお伝えした空間認知のズレが疑われます(関連記事「壁だとスムーズだが、コートだと上手くいかない」)。
トスした打点目線で見た相手コートのレイアウトが現実どおりに、イメージとして脳に備わっているか否か?
実際にサービスする時には打点目線ではありませんから、イメージとしてネットの高さ、サービスライン、サイドラインの位置関係を目で見て確認できないので、あらかじめ頭の中に備えておく必要があるという話なのでしたね。
▶サービスは「ノールックショット」になりやすいから楽
特にサービスは上を向きながら打つショットなので、(ストロークやボレーもそうですが)狙う場所を見ないノールックで打つ姿勢が強調されます。
だからどちらかというと、楽。
逆に言えば、ストロークやボレーだと曲がりなりにも前を見ながら打てるので、ノールックになりにくいぶん対戦相手が目に入るから焦って、サービスより手こずるプレーヤーも少なくありません。
▶体が狙う
空間認知として備わっているイメージに従い、頭で考えなくても体は相手コートのサービスボックスを狙います。
「体が狙う」などというといぶかしがる向きもあるかもしれませんけれども、「そういうふうにできている」のです。
それが証拠に私たちは何も意識しなくても、基本的にバックフェンスやサイドフェンスではなく、相手コート側の前を狙って打ちますよね。
それはテニスコートのイメージがあるからであり、それがないテニスを始めたばかりの子どもはラケットを上下左右前後斜めへとパタパタ羽ばたかせるという話もすでにお伝え済みです(関連記事「ネットのどこを通してどこにバウンドさせるかをイメージします」)。
その「相手コート」を狙うイメージが、サービスでは「サービスボックス」という限定されたエリアにサイズが絞られるだけの違いなのです。
イメージがズレていたら(よくあるのが打ち下ろしても入ると思い込む物理的な齟齬)、直線的な弾道で打ったりして、2メートル以上の身長がないと入らないのはご理解いただけていると思います(関連記事「物理の法則を踏まえれば、テニスはもっとシンプル」)。
まずこれが1段階目。
▶集中に必須の「感情コントロール」
そしてイメージが正確(現実どおり)にも関わらずサービスが入らないとしたら、それは2段階目となる打球タイミングのズレが原因です。
テニスのミス(上達)は、たったこの2段階というシンプルな原則なのです。
正確なイメージに従い「今だ!」とご自身が感じるジャストのタイミングで打てばサービスは入るのですけれども、その「今だ!」が、微妙にズレている。
この場合は仰せのとおり、「毛に集中」できていません。
その原因は、いみじくも「セカンドサーブでフォールトしそうな気が頭をよぎる」とおっしゃっているとおりだからでしょう。
入れたい「欲」や、ミスしたくない「怒り」によって破壊されるのが集中力ですから、高めるためには感情のコントロールが求められるというわけです。
▶「入れたい」と思うと「入らない」
「セカンドではずれてもいいように真ん中を狙うようにした方がいいか?」は、技量と調子と状況によります。
コーナーギリギリを狙うべき技量と調子と状況なのか?
これはその時々で調整することになるでしょうけれども、あまり深く考えすぎるとまた「毛に集中」できなくなるから、イメージが正確であったとしてもタイミングを外して入らなくなるのでご注意ください。
やはり「入れたい」欲を克服したとき、皮肉にも、勝手に「入る」ようになるのです。
ですから『柔』の歌詞「勝つと思うな思えば負けよ」は本当なのです(関連記事「恋愛もお金も、追えば逃げる」)。
▶これをすると「ノーコンが止まらない」
ただし調整といっても、真ん中を狙って少し右へ行ったからそのぶん、真ん中より左を狙えばちょうど真ん中へ行くだろうという調整は危険です。
これをすると空間認知のイメージと、体が狙うコントロール力とが、いつまでたっても一致しません。
つまり、ノーコンが止まらなくなります。
すなわち、右へ行ったから左を狙ったら左へ行きすぎて、上へ行ったから下を狙ったら下へ行きすぎた、という振幅の拡大を招きかねません。
そして私たちは、この調整をやらかしがちなのです。
入れたい「欲」があるからです。
オーバーフォールトしたから、「もうちょっと下を狙えば入ってくれるかな」などと……(関連記事「こうして『平常心』は培われる」)。
▶「何も心の声が聞こえない時」タイミングが合う
バックハンドにつきまして。
「入らない気がしても無理にスピンを打つとタイミングがまったくあわない」のは、まったくそのとおりだと思います。
仰せのとおり「何も心の声が聞こえない時」は、タイミングが合うと思います。
この場合も2段階のプロセスを経る原則は変わりません。
①距離のイメージが合っていて、②ボールに集中できると、その結果として打球タイミングがドンピシャ合うからバックハンドスピンを打ってもミスしないのです。
▶ストロークがまるで「Tバッティング」になる
「入らない気」がするのは、「現実に対する距離感のズレ」が残っているせいです。
特にサービスと違って、対戦相手から飛んでくるボールや自分の立ち位置がどんどん入れ替わるストロークでは、イメージもどんどん揺らぎますから、ロジャー・フェデラー でさえズレる場合もあるのは仕方のないという話もお伝え済みでした(関連記事「無人のコートだと入るが、相手がいるとぎこちなくなる」)。
https://youtu.be/vvjKnE4Fc1E?t=8
イメージが現実どおりにピタリ一致したとき、ストロークは、まるでスタンドの上に乗せたボールを引っぱたくだけの「Tバッティング」になります(関連記事「イップスが消えてフォアのストロークが帰ってきた! しかも、一発目から」)。
換言すれば、現実どおりにイメージがピタリ一致すれば、入らない気がしません。
▶集中力にも「波」がある
また集中力も、私たちは人間であり、無常ですから、当然「波」があります。
イメージの揺らぎをなるべくなくして、あとは何も心の声が聞こえない時間をなるべく長く過ごせるように、集中力の波を高いレベルでフラットにする2段階の取り組みが望まれます。
ですから①『ベースメソッド』でイメージのズレを現実どおりに修正し、②『究極』で思考(セルフトーク)を強引にでも黙らせ、③『新・ボールの見方」で視覚的集中力を高い状態にキープする順序が大事。
「何も心の声が聞こえない時はタイミングが合う」理由は、セルフトークが静まっているため生来の合わせる力が発揮されるからです(関連記事「豚肉団子『ムーデン』の自然上達」)。
もちろん、集中力を高める方法は世の中にいろいろありますから、試して自分に合う定め方(専門用語でいう定力)を見つけられるとよいと思います。
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