イップス克服に向けて054:小さなきっかけが、克服する勇気になる
遠くの山を眺めた瞬間や、幼い日のテレビ映像、ふと手にしたラケットや天体望遠鏡──偶然と思える出来事のすべては、自分やだれかや何かに、気づかぬうちに影響を及ぼしている。迷いや悩みやイップスも、そうした「縁」の中で変わり得る。起こることは全て必然。
▶小さな縁が、静かに影響を及ぼす
日本とブラジルも、昨日も今日も、あなたも私も、つながっています。
こういう話をすると、「遠くに眺める山と、自分とは、全然つながっていないじゃないか!」という人がいます。
でも、決してそうではありません。
私が、遠くの山を眺める。
その景色に感動する。
気分が上がって、記事を書く。
その記事を、だれかが読む。
そのだれかがその記事を読むためには、「私が遠くの山を眺めた縁」がなければ、実現しなかったに違いないのです。
▶見えない「つながり」が、いつも誰かを支えている
山から読者へも、目に見えないだけで、影響が及んだ。
これが、縁起。
もちろん山を見て感動を覚えるには、雨が降って、日が差し、芽が出て育ち、樹となって……、という自然の循環とも関わり合っていなければ、実現しませんでした。
あるいは冬となり、大気が冷え、雪が降り、初冠雪……という季節の移ろいとも関わり合っていなければ、実現しませんでした。
それくらい、全部つながっているのです。
▶きっかけは、あのころのあれだったなぁ
いえ、山だけではありません。
遥か彼方、月ともつながっています。
月の映像を、テレビで見る。
「空気がないんだ」。
「音もないんだ」。
「真っ暗なんだ」。
「宙に浮くんだ」。
「すごいなぁ。自分もいつか宇宙へ行ってみたいなぁ」と思って、天体望遠鏡を買い、夜空を眺めていた。
やがて、宇宙飛行士になった。
宇宙飛行士になるには、幼いころに「月の映像をテレビで見た縁」がなければ、実現しなかったに違いないのです。
▶あの日の「何となく」が、私の人生を変えた
天体望遠鏡を、買うか買わないかで、別の人生になっていた。
そのとき、テレビ中継でロジャー・フェデラーの試合を見ていたら、テニス選手になっていたかもしれないし、プロレスを見ていたら、レスラーになっていたかもしれません。
そのときラケットを買わなければ、別の人生になっていた。
フェデラーと自分とがつながって、テニスプレーヤーになるのが「縁起」。
人生は、縁に紡がれて展開しています。
だから、「ちょっとした縁」を気に留めてみるだけでも、全然違うのです。
▶偶然に思える結果も、つながりの上にある
あなたが今週末に出場するテニスの試合に、まさか私が影響を及ぼすとは、思っていないかもしれませんね。
だけどこの文章を読んだあなたの記憶には、いいか悪いかは別にして、今もリアルタイムで何かしら影響が及んでいて(この文章を読んでいなければ、別の何かが影響しているでしょうからね)、試合の準備や、ひいては当日の言動、緊張感なにがしに、反映され、試合結果にもつながっていく。
この文章を読んでいなかったら、また別のことをして、また別の試合結果になっているはずなのです。
▶「大きな何かに守られている」。そんな気がしてくる
普段はあまり意識しないけれど、そうした「大きな何か」に、つながっています。
それは大袈裟に言えば、大自然ともいえるし、DNAともいえるし、宇宙ともいえるし、運命とも、いえるかもしれません。
死を思えば怖くなくなるのも、そのひとつかもしれません(関連記事「『最悪、ただ負けるだけ』──ヤニック・シナーが教えてくれた恐怖の消し方」)。
大きな何かにつながると、「まぁ、何とかなるだろう」と、自然に思えるようになってきます。
▶小さな習慣が、未来を育てる
ある本を読んだ。
ものは試しと、「靴を揃える」ようになった。
靴を揃えたら、コートも脱ぎ捨てなくなった。
服が散らばらないから、掃除しやすい。
部屋がきれいになった。
ついでに「箸置きを使う」ようになった。
暮らしがていねいになった。
つまり、靴を揃えたら、人生が変わった。
さらに言えば、本を読んでいなければ、その日ふらっと本屋へ出向かなければ(あるいはネット検索しなければ)、いいか悪いかは別にして、また別の人生が展開していたに違いない。
ネット検索するか否かで、その後の人生に影響が及んでいます。
▶選ばなかった道にも、あなたを支える物語がある
こういうことも、逆をイメージできないと、分かりにくいかもしれません。
あのとき、月の映像を見ていなければ。
あのとき、フェデラーを見ていなければ。
あのとき、ネット検索していなければ、どうなっていただろう……。
それがいいか悪いかは別にして、「今の人生」の横に走っている「別の人生」が走っていたのです(関連記事「“have to”か“want to”か? 『今の人生』の横に走っている『別の人生』がある(諦める力)」)。
▶あの一言でつまづいたけど、その一言で立ち上がれた
物質的のみならず、精神的にも、すべて、つながっています。
「おまえ、イップスだろ」。
言った本人は、すっかり忘れてしまっているかもしれないけれど、言われた本人の人生は、すっかり変わってしまったかもしれないのです。
「それでいい」。
言った本人は、すっかり忘れてしまっているかもしれないけれど、言われた本人は、また違う人生を歩んでいたかもしれないのです。
▶「なかった縁」でさえ、前へ進む力になる
たまに「縁がなかった」という人がいますが、決してそうではありません。
ノーベル化学賞受賞の北側進先生は、「無用の用」と言いました(関連記事「感性に導かれた北川進先生の“ええかげん”な発見?」)。
無駄だと思うことが、何かにつながっています。
縁がなかったという「縁があった」。
この「なかった縁」が紡がれて、また人生は、別の局面へと動き出す。
日本とブラジルも、昨日も今日も、あなたも私もフェデラーも、つながっています。
ブラジルで舞った蝶の羽ばたきが、日本に影響を及ぼすのがバタフライ・エフェクト。
だから、起こることはすべて必然。
ぜんぶつながっています。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero