質問193:ゾーンに入りました
こちらは報告なんですが、おそらくゾーンに入ったと感じられる体験をしました。
レッスンの最後の5分くらい私のリターンでポイントゲームをしたのですが、
私はすごかったらしいです。
「らしい」と言うのは私自身はすごいとも気持ちいいとも感じていなかったからです。
ただ淡々と来たボールを感じたままに打ち返していただけ。
あとで思い返せば確かに無敵でした。コーチにも。
私の番でレッスンが終了だったので、いったい何分くらい継続したのかわかりませんが、
こんな感じを長く続けられたらいいなと思いました。
回答
▶入れば入るほど入りやすくなる「ゾーン」
おぉ、入りましたか。
このようなご報告をいただくと、人ごとながら、とても幸せな気持ちになれます。
真に必要なことは、「ゾーンとは何ぞや」を頭で理解する知識ではなく、すごかった「らしい」フィーリングを体験する身体による経験。
1回でもテニスでゾーンに入ると、どんどん入りやすくなります。
その時の、言葉にならない集中感覚や、心身の緊張&弛緩のハイバランス、ボールの見え方などを脳が記憶し、再現しやすくなるのでしょうね。
だけど、その1回目のハードルが、普通はなかなか超えられないのです。
なぜ?
もちろん、打ち方やフォームを意識する指導が、常識として蔓延しているからです(関連記事「無我へのエントリーを妨げるテニス指導」)。
▶いちばんのテニス上達メソッド
今回いただいたご報告のキーフレーズは、こちらでしょうね。
「ただ淡々と来たボールを感じたままに打ち返していただけ」
結局はこれが、いちばんのテニス上達メソッド。
上手くなりたいとか強くなりたいとか、「考えない」。
とはいえ多くの人は、「それでテニスが上手くなるなら、苦労はしないよ!」と言います。
まぁそのとおりで、上手くなるのに苦労なんて必要ありません。
とはいえ大抵の人が、苦労しても上手くなりません。
苦労するから上手くならないというほうが適切でしょうか。
▶ゾーンへ自然に入る方法
ただし、これからはひとつだけ気をつけていただければと思います。
「ゾーンに入ろう」とすると、ゾーンには入れません。
ノーヒットノーラン継続中のピッチャーが、意識し出すと崩れてしまうのと同じです(関連記事「好調が崩れた誘因」)。
ゾーンに入ろうとするのではなく、ただ「ボールに集中」を通じて、一心から無心を経ると、自然に「ゾーン」へ入ります(関連記事「無心に入る『その前』に」)。
そういう意味では、「ただ淡々と来たボールを感じたままに打ち返していただけ」
これに徹するプレーが、何より大切ですね。
自然に入るのだから、意図的に頑張っては、決して入れないのです。
貴重なご報告をいただきました。
今後のご活躍をお祈りいたします。
▶おまけ1・土井善晴先生直伝「ゆるさ」を楽しむ
昨日のサロン楽屋話では、「ゆるく」ということを、料理研究家・土井善晴先生直伝の「やわらかハンバーグ」にたとえて、強調しました。
きっちりテニスをしようとすればするほど、「きっちりしないとダメなくらい、自分にはテニスの才能がないのだ」という自己暗示をかけ続けてしまうのです。
これが、ゾーンに入ろうとすると、入れない理由に似ています。
上手くなろうなどと考えず、もっとゆるく楽しんでいれば、結果的に上手くなります。
▶おまけ2・愛されたいと思うほど愛されない
「愛されたい」と思うほど、愛されないのと同じです。
「愛されたい」と思うと、愛されているかどうかが気になるから、「ここが愛されていない」「あのとき愛の言葉が足りなかった」などとあれこれ見張る「愛されてないケーサツ」になってしまうのです。
自分の足りないところばかりに集中してしまうゆえ、「愛されたい」と思うほど、まだ足りない自分がちっぽけに思えてしまう結果、相手にもその怖れが伝わりますから、愛されません。
▶おまけ3・良くも悪くも、「イメージは現実化する」
テニスが上手になりたいと頑張る人は、「頑張らないとテニスが上手くならない」というイメージゆえ『努力逆転の法則』で、上手くなりません。
意志力とイメージが相反した場合は、イメージが勝つ、例外はない、だからこそ、「法則」なのでしたね。
ですから「上手くなりたい」「勝ちたい」などと考えずに、(イメージのズレがない前提さえ踏まえれば)ボールに集中するだけでテニスは上手くなるのです。
良くも悪くも、「イメージは現実化する」。
今、目の前に現れている世界は、良くも悪くも「現実化されたイメージ」とも言い換えられます。
▶おまけ4・「ボールに集中」は意識しない
こう言うと「ボールに集中しようとすると、ボールに集中できない自分がイメージされるから、努力逆転でダメなんじゃない?」と考える人も、なかにはいる かもしれません。
ここが少し、ややこしくて分かりにくいところ。
「ボールに集中すること」と、「ボールに集中することを意識すること」とは、似て非なるものという話はこちらでしました。
それはトレードオフの相関。
考えずに集中するのです。
「ああしよう」「こうしよう」、これら頑張りや努力のすべてが、上達を妨げる元凶になっています。
ご報告にあった、すごかった「らしい」という表現がぴったり。
振り返ったら、ゾーンに入っていた。
いつも同じ例ばかりで恐縮です(関連記事「プレーを『楽しむ』のが最高(フェデラーの例)」)。
▶おまけ5・コツは「完璧なゾーン」を目指さない
完璧なゾーンに入ろうとしないでください。
完璧主義にはご用心(関連記事「完璧主義の人の『自己肯定感が著しく低い理由』と、テニスも仕事も家事も創作活動も『パフォーマンスが上がるとっておきの方法』」)。
まずは、少し我を忘れる「浅いゾーン」で十分。
完璧なゾーンを目指すと、もちろんゾーンに入ろうと意識的になってしまうからです。
心理学者のミハイ・チクセントミハイは、日常的に経験する軽めの集中を「マイクロフロー」などと言って、本格的なフローへ至る入り口と位置づけました(関連記事「『ゾーン』『フロー』への道しるべ」)。
ですから、土井先生の言う「ゆるさ」が、いい。
ゆるくやっているうちに、ゾーンに入ります。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero