テニス上達メモ546.上手くいかない日も、あなたは育っている──ジュスティーヌ・エナン直伝「ときにはアンコンフォート」な生き方
山本由伸も、最初からスターだったわけではない。 ドラフト4位、無名に近いスタートでした。 ジュスティーヌ・エナンも言う。 「ときにコンフォートゾーンを外れること」。今日上手くいかなくても、焦らなくていい。 結果が出ない日は、成長の途上。挑戦と安心の間で、自分らしく育てばよい。
▶結果が出ないときこそ、学びの種を蒔いているとき
来日していたジュスティーヌ・エナンが、いろんなところで単独インタビューに応じたみたいですね。
なかでも私が参考になったのがこちらの記事。
抜粋しながら、学んでみます。
▶「ぬるま湯」も、たまには水風呂でリフレッシュ
私のコーチのカルロス・ロドリゲスは、『コンフォートゾーン(心地良い状況)に長く留まるのは良くない』という方針であり、上手く導いてくれました。
これは、「ときにはコンフォートゾーンから外れるすすめ」です(関連記事「ときには『コンフォートゾーン』から外れるテニス(人生)。するともっとコンフォート!」)。
いつも気持ちよくテニスができればいいけれど、たまにはそうじゃないプレーも混ぜてみると、いつもを越えてくる意外な気づきがあったりします。
これを日常レベルに置き換えたのが、「1日1回、いつもと違うことをやる実験」(関連記事「1日1回、『いつもと違うこと』をやる実験で人生は変わる」)。
たとえば、靴下をいつもは左足から履いているならば、右足から履いてみる。
これを心がけていると、何を試そうかと、クリエイティブになります。
大袈裟ではなく、チャレンジ精神も培われます。
▶ずっと水風呂は、さすがに風邪ひきます
とはいえエナンは、下記のようにも忠告します。
ただあくまでこれは私のケースであり、誰にでも当てはまることではないと思います。だからこそ、心身の成長課程や将来的なキャパシティも含め、自分の状況を正確に把握しておくことが大事なのです。
何でもかんでもアンコンフォート(不快)にすればいいというわけではありません。
そうすると安全安心が脅かされ、ストレスまみれになってしまいます。
ですから「ときには」なのです。
▶「報われなかった努力」なんて、本当はない
2週間で9試合戦ったのに、得られたポイントは無いも同然でした。正直、『あんなに必死に戦ったのに、無駄だった』と感じました。でも、そうではないんです。経験値という大きな財産を、本当は得ていたのです。
これは、電球のフィラメントを探していたトーマス・エジソンの話と同じ。
電球が灯らなかったのは、失敗ではなく、ふさわしくない素材の「新たな発見」だったのです(関連記事「お膳立ての成功体験vs.試行錯誤の失敗体験」)。
その経験を、できるだけ早くたくさん積むこと。
すると、小脳運動機構の「あみだくじ理論」に則り、もう間違えない、条件反射的にプレーする脳内回路が形成されます(関連記事「『4+4+4+4+4+4+4+4』vs.『シワ32!』」)。
つまりこれが、テニス上級者への道です。
上級者は、「こうして」「ああして」「こうするぞ」などと、考えたり意識したりしながら、プレーしているわけではありません。
むしろ意識していると、いつまで経っても「そこ止まり」です。
改めて、エナンの省察を引きます。
『あんなに必死に戦ったのに、無駄だった』と感じました。でも、そうではないんです。経験値という大きな財産を、本当は得ていたのです。
努力していない人なんて、この世に誰一人としていないのです(関連記事「努力してない人なんていない」)。
▶緊張する自分を、責めないで
まずは、緊張するのは当然のことだと考えること。緊張に抗うのではなく、素晴らしいことだと受け入れるべきだと思います。かつて、ピート・サンプラス(グランドスラム14回優勝を誇るレジェンド)が、『緊張しないなんて言う奴は、嘘つきだ』と言っていましたが、その通りだと思います。
緊張を受け入れるという話は、こちらでお伝えしました。
「食べてはだめと思うほど食べたくなる」のと同じように、緊張してはいけないと抗うほど、緊張するのです。
「努力逆転の法則」です。
緊張するから、ハリのある動ける身体が準備されるのでしたね(関連記事「緊張は、『準備OK』のサイン」)。
寝起きに動けないのは、まったりとまどろんでいるからです(笑)。
▶空間認知はシャドーで整える
試合の30分前には、理想的な自分を思い描きながらシャドウテニスをするんです。フォアハンドで攻め、クロスに打ち、ダウンザラインに展開し、最後はネットに出てボレーでフィニッシュ!
ボールを打たないシャドーテニスを一般プレーヤーが活用するには、以前ご指摘いただいたように、空間認知のズレをなくす取り組みがまずもって効果的です(関連記事「(銀色バットは)空間認知を高める手段として、素振りでやるべきでは? 」)。
私たちは、両腕を水平に上げる簡単な動作ひとつとっても、高くなりすぎたり低くなりすぎたりして、正確にできないのでしたね(関連記事「『空間認知』のイメージが揺らぐ」)。
いわんや、テニスのプレーにおいてをや!
垂直の面でハイボレーやスマッシュを打っているイメージなのに、実際には上向きの面だったり、下向きの面だったりに、なっている可能性があります。
この空間認知が現実と乖離していると、どんなにタイミングよく打ったとしても、ボールはコートに収まりません。
むしろタイミングよく打てば打つほど、ボールはバックアウトしたり、ネットミスしたりするのです(タイミングを外せば、まぐれ当たりで入ったりするのです……)。
ですからまず、そこをシャドーで修正する。
▶「勝ってる時」も「苦しい時」も、変わらない自分
あと試合のシャドーについては、勝っているとき、負けているとき、拮抗しているときの3パターンを描いておくと役立つと思います(関連記事「劣勢時に受ける『衝撃』を緩和すれば『集中持続力』をキープできる」)。
つい、勝っているときばかりイメージしたくなりますが、現実の試合はそうではありません(苦笑)。
キーワードは「いつも通り」。
勝っていても負けていても競っていても、変わらない自分で淡々とプレーします。
▶山本由伸の「いつも通り」は、試行錯誤の結実
「いつも通り」は、先述した「いつもと違う実験」を通じて経験値を高めておくからこそ、より活きてきます。
これをやっていると、「実験だから失敗したとしても仕方ないな」といった風情にて、ミスに対する「耐性」もついてくる。
ミスしたらエナンよろしく「経験値という大きな財産を、本当は得ていた!」と、むしろ喜ぶ自分に驚きます。
山本由伸は、普段とは違うやり投げの練習を試し、たくさんの失敗もするからこそ、「いつも通り」のピッチングが叶うわけです(関連記事「山本由伸『いつも通り』。MLBワールドシリーズでも平常心は『作らない』」)。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero