【閑古鳥雑貨店のプク】仕入れに出た昼と、お留守番の猫
その日は、お昼だけ店を閉めて、少し遠くまで仕入れに出た。
猫を残して外に出るのは、いまも少しだけ、気を遣う。
でも、そういう日もある。
一話完結のお話ですが、前回のお話が気になる方は…

その日は、お昼だけ店を閉めることにした。
臨時休業の紙を出すほどでもないが、仕入れ先が少し遠かったからだ。
鍵をかけてから、一度だけ振り返る。
中ではプクが、カウンターの上にいた。
何か言おうとして、結局やめた。
どうせ、こちらの都合だ。

仕入れ先の駐車場で車を停め、少し時間ができたのでコーヒーを飲む。
スマホを見ると、自動えさやり機の通知がちょうど出ていた。
そういえば、と思ってアプリを開く。
画面の中には、いつもの雑貨店と、えさやり機の前にいるプクが映っている。
外出先から、えさを出す。
ウィーンという音がして、フードが落ちる。
プクはすぐには食べず、一拍置いてから、いつもの調子で口をつけた。
それを見て、なぜか少し安心した。

そのまま、ぼんやり画面を眺めていた。
すると、画面の端で何かが動いた気がした。
棚の下あたりで、プクより少し細い影。
……たぶん、気のせいだと思う。
見直しても、もう何も映っていない。
プクは変わらずフードを食べていて、こちらを気にする様子もなかった。
こういうとき、猫は何も教えてくれない。

仕入れを終えて、店に戻る。
扉を開けると、プクは入口の近くにいた。
特別な顔はしていない。
えさ皿は空で、床もいつも通りだ。
ただ、えさがなくなるのが少し早かったような気もする。
でも、そういう日はだいたい勘違いだ。

その夜、プクは棚のそばで寝た。
理由は、たぶん、ない。
私はえさやり機を見て、何も触らず、そのまま灯りを消した。
店も、この一日も、たぶんいつも通りだった。
☆ プクと店主の、小さな絵本のような日々 ☆
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