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【閑古鳥雑貨店のプク】いつもの夜に、首元の小さな丸が気になった理由。


閉店後の雑貨店は、
昼間よりも、音がよく聞こえます。

壁掛け時計の針の音。
遠くを走る車の気配。
そして、プクが体の向きを変えたときに、
首元で ちり と鳴る、かすかな音。

「あれ……?」

私は、顔を上げました。


一話完結のお話ですが、前回のお話が気になる方は…





プクはカウンターの端で、
前脚を折りたたんで座っています。

眠そうなのに、
目は完全には閉じていなくて、
ときどき、入口のほうを見る。

最近、
この仕草が増えた気がします。

「プク、どうしたの。」

声をかけると、
プクは一瞬だけこちらを見て、
“なんでもないよ” という顔。

でも、
またすぐ、入口を見る。




私は引き出しから、
小さな箱を取り出しました。

中に入っているのは、
新しい首輪と、
丸くて小さな、銀色の迷子札。

迷子札 肉球 シルエット入 ネコ 猫ちゃん用
極小タイプ ネーム プレート ステンレスサークルSS。


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名前は長いけれど、
手に取ると、驚くほど軽い。

「……これなら、気にならないかな。」

指先でつまむと、
つるりとした表面が、
灯りを少しだけ反射します。

裏側には、
プクの名前と、
連絡先。

文字は小さいのに、
不思議と、ちゃんと読める。

「私の目でも大丈夫だなぁ……。」

そんなことを言いながら、
ひとりで笑いました。





プクは、
私の膝に乗ってきて、
されるがまま。

首輪を外すと、
プクの首元は、少しだけ軽そうに見えました。

新しい首輪に、
この小さな丸をつけます。

肉球のシルエットが、
控えめで、
でもちゃんと可愛い。


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「ほら、プク。
 アクセサリーみたいでしょ。」

プクは、
鼻先を近づけて、くん。

それから、
まったく気にする様子もなく、
喉を鳴らしました。

重さを感じていないのが、
すぐにわかります。




プクは首をふるふるっと振って、
少しだけ確かめたあと、
とん、と床に降りました。

歩くたびに、
小さな丸が
光を受けて、きらり。

音は、ほとんどしません。

「……邪魔じゃないね。」

誰にともなく、
そうつぶやきました。





夜のニュースを流しながら、
私はレジ横で帳簿をつけていました。

画面の中では、
どこか遠い町の話。

慌ただしい人の動き。
大きな音。

「……大変だなぁ。」

そう言って、
私はチャンネルを変えます。

理由は、
はっきりしません。

ただ、
胸の奥が、
少しだけ、ざわついたまま。




プクは、
私の足元に来て、
体をすりっと寄せました。

安心している音。
甘えている音。

でも、
耳は立っていて、
世界の気配を聞き逃さない姿勢。

「プクは、ちゃんとしてるね。」

そう言うと、
プクは、にゃぁ、と短く鳴きました。

首元の小さな丸が、
灯りを受けて、
また、きらり。

まるで
“ここにいるよ”
と知らせるみたいに。





その夜、
私は特に何もせず、
いつもどおり店の灯りを落としました。

戸締まりをして、
カーテンを引いて、
プクを抱いて、部屋へ。

変わらない夜。
変わらない手順。

でも、
首元で光る、
あの小さな丸だけが、
なぜか、ずっと心に残っていました。

それが、
何の前触れなのかは、
まだ、思い出せなかったけれど。



「念のため」という言葉は、
不安をそのまま認めなくても使える、
やさしい言葉だと思います。

プクの首元の、
小さくて軽い丸は、
プクの負担にならず、
でも、私の気持ちは
少しだけ、落ち着かせてくれました。

あなたのパートナーには、どんな名札がついていますか?

スキやひとことコメントでそっと教えていただけると、
店主はきっと、おいしい珈琲をご馳走してくれますよ。






首元で、ほとんど気配を感じさせないほどの小さな迷子札です。
軽くて、文字はくっきり。老眼の私でも読めました。
肉球のマークが、店番中のプクの足あとみたいで、少し笑ってしまいます。



☆ プクと店主の、小さな絵本のような日々 ☆



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 ※商用利用可能なフリー素材の画像、イラストを使用しています。

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