ANAマイラーは「アメックスゴールド・プリファード」を持つべきか?損益分岐点を計算してみた
2024年に登場した「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード・カード」。 入会キャンペーンで大量のポイントがもらえるため、最初の1〜2年は実質年会費無料(あるいはそれ以上のお釣りが出る)感覚で持ててしまいます。そのため、とりあえず発行したという方も多いでしょう。
ただ、本当の判断が問われるのは3年目以降です。キャンペーンの魔法が切れ、毎年きっちり請求される年会費39,600円。さらに、ANAマイルに移行するためには参加登録費5,500円も必要になります。このタイミングで、コストは一気に“現実の数字”として家計にのしかかってきます。
この時、ANAマイラー(特にSFC会員)は立ち止まります。「やっぱり、ANAワイドゴールドカード1枚に戻した方が、結局は得なんじゃないか?」
そこで今回は、入会ボーナスや初年度特典は一切考慮せず、“カードそのものの実力”と“維持コスト”だけに絞って、3年目以降の損益分岐点を検証します。
年間決済200万円(うちAmazonなど50万円)という、ごく一般的な生活密着型の利用条件を想定し、極限までシンプルなロジックで「ANAカード一本化」か「2枚持ち」か、その是非をはっきりさせます。
1. シミュレーションの前提条件
今回の比較対象は以下の2パターンです。
プランA:一本化(ANAカードのみ)
決済もANA/SFC維持も、すべて「ANAワイドゴールドカード」1枚で行う。
プランB:2枚持ち(ANAカード+アメックス)
ANA/SFC維持のために「ANAカード」は保有するが、普段の決済は「アメックスゴールド・プリファード」に集中させる。
設定するユーザー像
年間決済額:200万円
特記事項:そのうち50万円は「Amazon、Yahoo!ショッピング、ヨドバシカメラ、Apple Store、Uber Eats、一休.com、HISなど」で使用すると仮定
※アメックスのポイント3倍ボーナス対象店のため(100円=3ポイント=3 ANAマイル)
ANAマイルの価値:1マイル=「1.5円(特典航空券の最低ライン)」と「2.0円(少し上手く使えた場合やアジア圏のエコノミークラス)」の2パターンで換算
ANAカードの還元率:1.0%(標準的なゴールドカードの還元率)
2. アメックス特典の「現実的」な価値査定
「高級レストラン1名無料」などの派手な特典は一旦忘れましょう。今回の計算では、「実際に使い切れる価値」だけを厳選して計算します。
フリー・ステイ・ギフト:25,000円
年間200万円決済で獲得できる無料宿泊特典。対象ホテルにはプリンスホテルやマリオット系も含まれ、条件次第では1泊4〜5万円以上になるケースも多くあります。ただし、本記事では「誰でも再現しやすい使い方」を前提とし、あえて評価を抑えて1泊25,000円と見積もります。
スターバックス オンライン入金:5,000円
20%キャッシュバック(半年で上限2,500円×2回)。スタバ利用者なら「現金5,000円」をもらうのと同義です。
アメックス・オファー(キャッシュバック):5,000円
ここが意外と大きいです。 アメックスは「セブン-イレブン・ミニストップで10%還元(キャッシュバック上限2,000円、家族カードも対象)」「ニトリで30%還元(上限2,000円)」「Amazon&Appleで10%キャッシュバック(上限2,500円)」「携帯料金支払いで3,000ボーナスポイント」などのキャンペーンを定期的に開催します。
エントリーするだけで自動適用されるため、年間ならした控えめな見積もりでも5,000円程度の現金価値があります。
ダイニング特典&プライオリティ・パス(年2回)など:3,000円
「ポケットコンシェルジュ(20%還元)」や「招待日和」、そして「空港カードラウンジ(同伴者1名無料)」、「プライオリティ・パス」。どこまで使うか分かりませんが、すべて併せて年間3,000円程度の価値とします。
【アメックス固定特典の合計価値 = 38,000円】
3. 第1回戦:獲得マイル対決「どっちが貯まる?」
金額換算する前に、まずはマイラーにとって最も重要な「マイルを生み出す基礎体力」を比較します。 「ANAカードの方がANAマイルは貯まる」という定説は、Amazonユーザーにとっては過去のものでした。
ANAワイドゴールドで決済
基本マイル:20,000マイル
200万円 × 1.0%
合計獲得マイル:20,000マイル
アメックスゴールド・プリファードで決済
基本マイル:20,000マイル
200万円 × 1.0%
ボーナスポイント:+10,000マイル
Amazon、Yahoo!ショッピング、ヨドバシカメラ、App Store、Uber Eats、一休.com、HIS等での利用50万円分はポイント3倍(通常1倍+ボーナス2倍)。
500,000円 × 2% = 10,000ポイント(1万マイル相当)
合計獲得マイル:30,000マイル
マイル対決の結果
ANAカード:20,000マイル
アメックス:30,000マイル
差:アメックスが10,000マイル多く貯まる
なんと、AmazonやYahoo!ショッピングなどを年間50万円利用する場合、本家ANAカードよりもアメックスの方が1.5倍も多くマイルが貯まるという結果になりました。
4. 第2回戦:最終損益分岐点「2枚持ちは家計にプラスか?」
マイル数でアメックスが勝つことは分かりました。次は、「増えたコスト」をペイできるかどうかの最終決戦です。
ステップ1:アメックス追加にかかる「純粋なコスト」
アメックス年会費:39,600円
ANAマイル移行手数料:5,500円
追加投資額:45,100円
ステップ2:アメックス追加で得られる「固定リターン」
固定特典(宿泊・スタバ・オファー等):38,000円
コストとの差引:▲7,100円
※固定特典だけでは、あと7,100円足りません。この赤字を「増えたマイル」で埋められるかが勝負です。
ステップ3:増えたマイル(1万マイル)で最終判定
アメックスに切り替えることで、マイルは「+10,000マイル」増えています。この価値を加算します。
① ANAマイルの価値を「1マイル=1.5円」と見積もった場合
増えたマイルの価値:15,000円相当(1万マイル × 1.5円)
残っていたコスト赤字:▲7,100円
純利益:プラス 7,900円
② ANAマイルの価値を「1マイル=2.0円」と見積もった場合
増えたマイルの価値:20,000円相当(1万マイル × 2円)
残っていたコスト赤字:▲7,100円
純利益:プラス 12,900円
判定: どちらのレートでもプラスになりました。 つまり、ANAカードの年会費を払いつつ、追加でアメックスを持った方が、家計全体では約8,000円〜1.3万円お得になるという計算結果です。
5. 結論:Amazonユーザーなら「2枚持ち」が正解
計算結果は衝撃的でした。 「年会費と移行手数料で約4.5万円コストが増える」という重荷を背負ってでも、アメックスを追加して2枚持ちした方が、最終的な家計のプラスは大きくなります。
今回のシミュレーションは、「増えるマイル」と「最低限の固定特典」だけで十分に元が取れることを証明しました。
さらなる「計算外」のメリット
しかし、アメックスゴールド・プリファードの真価は、今回の計算には含めなかった「いざという時の圧倒的な安心感」と「さらなる特典の上振れ」にあります。
① 家族を守る「最強クラスの保険」 本カードの海外旅行傷害保険は利用付帯ですが、その補償内容はプラチナ級です。
② 旅を支える「デスクとサービス」手荷物無料宅配サービスやオーバーシーズ・アシスト、旅の始まりから終わりまでをサポートする特典も万全です。
③ ダイニング特典の「上振れ」 今回の計算では、ダイニング特典等の価値をわずか「5,000円」と超保守的に見積もりましたが、実際は桁違いの価値があります。
まとめ
「ANAカードは会員証として財布に入れておき、普段の支払いはメタルカード(アメックス)で行う」。
このスタイルは、単なる見栄ではなく、数字に基づいた最も合理的な投資戦略です。「計算上の確実な黒字」に加え、「プライスレスな保険とサポート」まで付いてくるのですから、迷う理由はありません。
年間200万円決済があり、その中でAmazonなどをよく使う方は、今すぐ「2枚持ち」の世界へ踏み出しましょう。
