雑誌で推し活 ――推しの掲載雑誌を見る・探す方法
推し活はインターネットのおかげで容易に行えるようになった。最新情報を得るにも、これまでのことを調べるにもネットは欠かせない。
しかし、インターネットがなかった時代(まだ推し活なんて言葉もなかった時代)はどうやって情報を得ていたのか。大きなメディアは、テレビ、ラジオ、そして雑誌。もちろん今も、推し活を支えてくれる大事なメディアだ。
このうち、テレビやラジオは基本的に流れたらそのまま消え去ってしまう。あとから、あの時の放送が見たい(聞きたい)と思ってもそう簡単に見られるものではないのだ。例外として、ソフト化されたり再放送されたり、昨今主流の動画配信などによって、数年前の放送が見られる場合もあるが、自分の求めるものが見られるとは限らない。
雑誌は少し事情が違う。紙というのは偉いもので何千年も昔のものが今も伝わっている。そして、紙ものはアーカイブのノウハウがある。図書館などは、本と同じように雑誌も律儀に集めて保管している。検索のための手段もいくらかある。きちんと残せば、雑誌は残るメディアなのだ。
今現在活躍中の推しも雑誌に登場することはあるだろうし、その推しが昔載っていた雑誌も図書館を使えば見ることができる。さらに遡って、インターネットが登場する以前の70~80年代を調べようと思ったら、雑誌を漁るのは必須。むしろ雑誌を漁ることで、驚きの情報が得られる場合がある。例えば以前、『演劇ぶっく』という演劇専門雑誌を使った「推しの掲載記事探し」について書いた。今回はもう少し汎用的に、様々な雑誌に応用できる方法についてまとめてみたい。
※ちなみに、本稿でいう「推し」は主にアイドルや俳優やミュージシャンなど表舞台に立つ人を想定して話を進める。
雑誌を見る方法
バックナンバーを見たいなら図書館へ
ググったりSNSを見たりしてている中で、●年●月の「○○○」という雑誌に推しのインタビュー記事が載っていたことが判明。これを読みたいと思ったら、どうするだろうか。新品でバックナンバーが販売されているのを探す? 在庫がなければAmazonやメルカリで中古を探す? 古書店で運命的に出会うのを待つ? あるいは電子書籍か――。
確実に見ることができる方法は、図書館だ。図書館の中でも特に国立国会図書館には、基本的に国内で出版されたすべての出版物が納められ保管されることになっている。行けば見ることができるし、オンラインで複写を申し込んでコピーを取り寄せることもできる。
もちろん、各地の図書館でも所蔵しているところはあるはずだ。一般的な週刊誌や婦人雑誌で、ここ1~2年の雑誌であれば、とりあえず近くの図書館に行ってみても良い。
ただ、やや専門的な雑誌になると所蔵していない場合も多い。また、雑誌はその性質上、バックナンバーすべてを保管しているとは限らない。十数年前の雑誌となると保存期限が切れてすでに除籍されていることもある。そんな場合は、都市部の市立図書館や都道府県立図書館などの大きめの図書館に行くと、結構な種類の雑誌が、結構な年数分ある。目当てのものに出会えるかもしれない。
近くの図書館で目当ての雑誌を探す
各図書館のホームページには、大抵の場合、蔵書検索機能がある。その図書館が所蔵している本などの資料を検索できるのだ。その雑誌が所蔵されているか事前に調べておけば、無駄足にならずに済む。
ただ、雑誌名で検索して、ヒットがあってもまだ安心できない。何年分の所蔵があるかについても注意深くチェックする必要がある。「5年前のその雑誌が読みたいのに、最新の1~2年分しかない!」などとなっては意味がない。
雑誌の年号の確認はややこしい場合もあるので、不安な時は図書館の司書に直接問い合わせてみるのも手だ。レファレンスサービスといって、訊けば調べてくれるサービスがあるので遠慮なく聞けばいい。「この雑誌の●年●月号はあるか」と尋ねれば、きっと調べてくれる。
その図書館にあることが分かり、実際に来館したら、ここでも闇雲に探すのは時間の無駄。ホームページの蔵書検索や館内の検索端末で検索してみると、置いてある場所なども記載されている。それを頼りに館内を探すのが効果的だ。雑誌のバックナンバーはバックヤードの書庫にしまわれていることもあるので、その場合は「書庫」などと記載があるはずだ。あるいは、ここでも司書に直接聞いてしまったほうが早いかもしれない。バックヤードに保管されているなら結局取り出してもらう必要があるので、最初から司書に頼ってしまうのもアリだ。
目当ての雑誌を手に取ることができたら、館内で読むもよし、借りて帰るもよし、コピーをとるもよし、だ。
推しの掲載記事を探すツール4選
推しの記事が他にないか、昔のインタビュー記事はないかなど、記事そのものを広く探したいと思った場合にはどうするか。雑誌の記事を探すためのツールはいろいろある。今回はこの4つを使う。
1)Web OYA-bunko
2)Fujisan.co.jp
3)国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)
4)国立国会図書館デジタルコレクション
ただし、上記ツールで検索できるのはあくまで記事の情報。実際の紙面は確認できない。このツールを使ってこれぞと思う記事が見つかったら、何という雑誌の何年何月何号の何ページに掲載されているかを確認。その情報を頼りに、該当の雑誌を図書館で探す必要がある。
1)Web OYA-bunko
雑誌記事をデータベース化した「雑誌記事索引データベース Web OYA-bunko」(運営:大宅壮一文庫)は、推し活にもってこいのツールだ。
大宅壮一文庫は雑誌専門の図書館。大衆雑誌(学術雑誌などのお堅い雑誌に対して、我々が本屋やコンビニで目にするごく一般的な雑誌)を多く所蔵している。それをもとにしたデータベースなので、週刊誌から芸能雑誌・アイドル雑誌なども対象になっている。
> 主要索引採録雑誌一覧
これを使えば、様々な雑誌に掲載された記事を見つけることができる。どんな感じで検索できるかについて、ホームページの索引紹介を見てみると、アイドルグループ「嵐」、伊藤万理華、鈴鹿央士、堺雅人、マヂカルラブリー、大谷翔平など様々な検索結果を紹介している。
このデータベースは有料で、個人会員となって利用登録するか、大宅壮一文庫に来館する必要がある。が、近くの図書館で無料で使える場合もある。図書館ではこういった有料のデータベースを契約しており、それを来館者は利用することができるのだ。利用条件や料金は各図書館で異なるが、公立図書館においては住民に対して無料で提供されていることが多い。
> Web OYA-bunkoが使える機関一覧
2)Fujisan.co.jp
家でタダで使えるものがいいという場合には、「Fujisan.co.jp」というサイトもおすすめ。雑誌販売のECサイトだが、目次データが充実している。
右上に検索窓に推しの名前を入れて検索してもいいが、雑誌の目星がついているなら、ブラウザのページ内検索を使うほうが便利かもしれない。まず、その雑誌のバックナンバーの一覧ページを開く。表示件数を最大にして、1ページにできる限り表示させる。そのうえで、ページ内検索(Ctr+F)を使って検索すると、さらに様々な記事が見つかる。
Web OYA-bunkoとFujisan.co.jpについては、こちらの記事も参照されたし。
3)国立国会図書館サーチ(NDLサーチ)
NDLサーチとは、国立国会図書館の所蔵資料を検索できるサイトだ。検索画面の【資料種別】について、〈雑誌記事〉と〈雑誌〉を使うと、雑誌を検索することができる(図1参照)

〈雑誌記事〉にチェックを入れると、記事タイトルひとつひとつが検索対象になる。論文などを探す場合には有効だが、推し活で探すような記事は、この検索対象として採録されていないことも多い。一方で〈雑誌〉は、雑誌1冊単位で検索対象になる。その雑誌に目次情報があれば、そこから目当ての記事が見つかるかもしれない。
検索対象となる雑誌に大衆雑誌があまり含まれていないので、ヒット件数は多くないかもしれないが、「えっ、こんな雑誌にインタビュー載ってたの?」という発見がある。試しに〈雑誌記事〉にチェックを入れて〈久保史緒里〉で検索してみたら、ヒット件数は2件。少ないけれども、『歴史街道』という雑誌がヒットした。こういう雑誌はヒットする。
NDLサーチを使うメリットとしては、利用者登録をしていれば、そのまま複写依頼ができることだ。そのあたりも含め、NDLサーチで雑誌記事を探すの詳しい方法は、こちらの記事を参照されたい。
4)国立国会図書館デジタルコレクション
デジタルコレクション(以下、デジコレ)とは、国立国会図書館が所蔵する資料をデジタル化して公開しているサイト。どんどん進化する中で全文検索ができるようになった。
中身が見られるもの、利用者登録すれば見られるもの、国立国会図書館内限定のものの3通りあるが、全文検索自体はすべてを対象に検索できるので、記事検索ツールとして活用。NDLサーチとはまた違った検索結果が期待できる。
ただし、収録点数が増えているとは言え、近年出版のものは少ないのが現状だ。対象の雑誌も限られている。90年代以前のサブカルチャー調べには大いに役立ちそうだ。
おわりに
推し活には何と言ってもWeb OYA-bunkoが強い。使ったことがない人はぜひ一度使ってみてほしい。面白くてたまらないから。次点はFujisan.co.jpだろうか。国立国会図書館系のNDLサーチとデジコレは、少し昔のことだったり、以前紹介した演劇の戯曲を調べる場合のような文学・研究寄りのテーマでは重宝する。若手アイドルは難しいかもしれないが、活動期間の長い人物なら何かしらヒットがある可能性が高い。使えるものはいろいろ試してみると、思いがけない発見があって面白いだろう。
そうして見つけた気になる記事は、図書館へ行ったり、国立国会図書館の遠隔複写を使ったりして見ることができる。紙の雑誌がきちんと保管、蓄積されているおかげだ。
本稿で述べた内容は、推しの最新情報を得るためというよりは、これまでの活動(自分が推し始める前の活動)を調べるときに向いている。インターネット上では見られない推し情報が雑誌にはたくさん詰まっていて、それを合法的に調べ、見るための、図書館という社会システムがある。せっかくあるものは使わないともったいない。推し活をさらに充実させてくれること間違いなしだ。
参考文献
小林昌樹「推し活!――アイドルを調べるには」皓星社Web連載|大検索時代のレファレンス・チップス(2025.7.11閲覧)
小林昌樹『もっと調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス2』2024.6, 皓星社, pp.93-108. ※上記Web連載をもとに書籍化
