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2026年4月からの自転車による道路や交差点の通行方法マニュアル(とその課題)

巷でもすでに話題になっている通り、2026年4月より自転車の交通違反に対して「交通反則通告制度 (青切符)」が導入され、「ながらスマホ」や「信号無視」等の軽微な違反で反則金が科されるようになる。いくつか重要なルールが導入されるが、その中でも重要なのが、道路や交差点における通行方法だ。

自転車や電動キックボードは免許がなくても乗れるため、交通ルールを無視したいい加減で危険な運転が横行している。これが取り締まられるようになる。これは良いことであるが、青切符を切られないように、運転者が正しい交通ルールを意識して実行することも必要になる。

同時に、施行まで時間がないが、制度や道路整備も不完全なところがあり、いくつか大きな課題が存在する。

この記事では、重要な交通ルールと制度の主な課題について整理する。


すぐに確認すべき交通ルールの概要

まず、警察庁、警視庁が自転車や特定小型原付 (電動キックボード等)についての交通ルールを分かりやすくまとめたサイトがある。これを一度熟読されたい。

特に、そのルールが義務 (~しなければならない)なのか、許可 (~することができる、~が可能)なのかをしっかり見極めてほしい。それぞれの画像をクリックすると拡大表示できる。

図: 車道の通行方法 (クリックで拡大)
出典: 警視庁 自転車の交通ルール
図: 歩道および自転車道の通行方法 (クリックで拡大)
出典: 警視庁 自転車の交通ルール
図: 自転車が従うべき信号機と交差点の通行方法 (クリックで拡大)
出典: 警視庁 自転車の交通ルール

自転車安全利用五則 (2022年11月)
1 車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先
2 交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
3 夜間はライトを点灯
4 飲酒運転は禁止
5 ヘルメットを着用

自転車の道路や交差点の通行方法を簡単に要約すると以下の通り。

① 車道が原則、左側を通行
 ● 場所: 歩道と車道の区別がある所では、車道が基本!(義務)
 ● 車線: 車道の左端に寄って走る。専用通行帯、自転車道はそこを走る義務あり。(右側通行・逆走は厳禁!❌) (義務)
 ● 例外: 標識があるか、13歳未満70歳以上、および障碍者は歩道を通行可。(許可)

② 歩道は例外、歩行者を優先
 ● 場所: 歩道を通る時は車道寄りを徐行。(義務)
 ● マナー: 歩行者の邪魔になりそうな時は一時停止。(義務)
 ● 注意: ベルを鳴らしてどかすのはNG!❌(義務)

③ 交差点では信号と一時停止を遵守・安全確認
 ● 信号: 車道走行なら車両用信号、歩道は歩行者用信号。(義務)
 ● 一時停止: 「止まれ」の標識では停止線の直前(ない場合は横断歩道、もしくは交差点の直前)で必ずストップ。(義務)
 ● 二段階右折: あらゆる場合に適用。丁字路でも遵守。車道赤信号から青信号横断歩道への右折不可。(義務)

…以上の内容は前提としたうえで、2026年4月から自転車の青切符が導入されるにあたり、まだ課題が色々残っている。以下の章では、これらを取り上げる。

歩道は走れないの?

制度変更に関するSNS上でのネガティブな意見を見ていると、一番多い指摘は「自転車が歩道を走れなくなる」ことに関するものであるように見える。

従来はあまり意識することなく自転車で歩道を走っていた人も多かったことであろう。既に出ている通り、2026年4月以降も自転車が歩道を走れる場合がある。

普通自転車が歩道を通行することができる場合
● 歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識等があるとき。
● 13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転しているとき。
● 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行するのが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車の通行量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などの接触事故の危険性がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき

出典: 警視庁「自転車安全利用五則」その1

ちなみに、「普通自転車歩道通行可」の標識は歩道の有効幅員が3メートル以上で歩行者の通行に支障がないと認められる歩道で設置されるが、東京都等で2024年末以降、順次、撤去されている

「普通自転車歩道通行可」の標識がない歩道は「普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき」には通行できる、とのことだが、やむを得ないかを判断するのは自転車の運転手ではないことに注意しよう。判断の主語は警察官であり、自転車運転手の主観で決めるわけにはいかないのだ。

道路工事、連続した駐車車両、車線幅が狭く交通量が多すぎるという以外にも、夜間走行、水たまり・降雪・凸凹・落下物等で車道の路面状況が悪いなど、車道の通行が困難なケースは存在する。

また、車道を経由すると著しく遠回りになったり、駐輪場所がガードレールで仕切られた歩道の奥深くにある、など、歩道が通れないと困るケースも存在する。

青切符の運用については、2023年12月に行われた国家公安委員会委員長記者会見で触れられている。

問   自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。

答  (前略)…違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたします。これに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。

問   取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。

答  申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。

出典: 国家公安委員会委員長記者会見要旨 (関連部分のみ) 令和5年12月26日(火)

つまり、警察官が青切符を切る前には必ず指導警告を行う、ということだ。マスコミでは違反=即青切符という報道がなされているが、これは正しくない。

警察庁の発表資料の中でもこのことが明示されている。

取締りの基本的な考え方
● 自転車の運転者による反則行為のうち、交通事故に直結する危険な運転行為をした場合や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった、悪質・危険な行為が自転車の交通違反の取締り対象となります※。
● 一方で、単に歩道を通行しているといった違反については、これまでと同様に、通常「指導警告」が行われます。青切符の導入後も、基本的に取締りの対象となることはありません※ 。

※例えば、スピードを出して歩道を通行して歩行者を驚かせ立ち止まらせた場合や、警察官の警告に従わずに歩道通行を継続した場合には、取締りを受ける場合があります。

出典: 警察庁発表資料普通自転車の歩道走行について

悪質・危険な行為を取り締まることが目的であるため、2026年4月以降は自転車はうかうかと歩道を走れない、ということではないということだ。

車道が自転車走行に対応していない

自転車で車道を走行していると、色々な場面で「日本の道路は自転車に対応していない」と感じることがある。自動車であれば、日本の隅から隅まで標識や道路標示で細かい指示があるが、自転車の場合は指示がなかったり原則論で考えても答えが分からないケースがある。

以下、いくつか具体的なケースを見てみよう。

専用通行帯や自転車道が未整備、自動車導線との交錯

まず、自転車が専用通行帯や自転車道など、歩道でない場所を通行できる仕組みがまだ整っていない。

2007年 (平成19) 以降、自転車通行空間の整備が進んでいるものの、8割は矢羽根型路面表示等による車道混在の整備で、自転車専用通行帯や自転車道の整備は進んでいない。

自転車通行空間整備延長の推移
出典: 国土交通省

狭い車線幅で自転車と自動車が共存する必要がある等、自転車で安全に走るのに適した道路の割合は多くないのが現状だ。

交通量の多い左折車線を自転車で直進したい場合など、自動車と自転車の走行導線が交錯する場所も多く、自転車にやさしくない。

詳しくは以下の記事を参照されたい。

交差点の二段階右折は変形丁字路・多差路ではどうなる?

「自転車はどのような交差点であっても、二段階右折」がルールであるが、例示されているのは綺麗な丁字路と十字形交差点のみである。変形丁字路・多差路など他のケースではどうなるだろうか。実際の道路では、綺麗でない交差点で溢れている。

信号機のある交差点における右折の方法
出典: 自転車の交通ルール (警視庁)

変形交差点では、経路によっては自転車と自動車の導線が交錯することも多い。そのため通行に危険を要することもある。

例1: 【三差路】東京都港区 国道1号線 (三田四丁目交差点、信号機あり)

例2:【三差路】東京都町田市 旧町田街道 (滝の沢交差点、信号機あり)

例3:【三差路】東京都北区 本郷通り (西ヶ原交差点、信号機あり)

例4:【五差路】東京都新宿区 目白通り (飯田橋交差点、信号機あり)

詳しくは、以下の記事を参照されたい。

生活道路の一方通行逆走ができない場所がある

自転車は生活者に密着した乗り物であるため、生活道路の一方通行路は、よっぽど危険な場所を除いては自転車の逆走を許してほしいと思う人も多いだろう。しかし、実際には北海道、茨城(一部地域)、千葉(一部地域)、神奈川、長崎、鹿児島、沖縄では、生活道路でも自転車の逆走が許可されていない。

※神奈川県は「自転車を除く」に対応する方針に転換。

自転車の運転手の中には、気にせず一方通行路を逆走している人も多いかもしれないが、取り締まりを厳密にすると、許可されていない一方通行路の逆走は青切符の対象になってしまう。これは不便である。

図: 車両進入禁止の補助標識の地域特性

生活道路における自転車の逆走を含む、車両進入禁止規制の都道府県別の特性の詳細については、以下の記事を参照されたい。

信号機の問題

信号機についても現状は整備上の課題が残っている。今までは自動車と歩行者の目線から信号機の整備が進んでいた。歩行者と自転車が明確に分離されることになると、自動車と自転車のルールも大きく異なる部分があるため、自転車の目線からの信号機の整備が必要になる。

信号機のルールについては、2010年代から一方通行路の逆走方向 (自転車の逆走が許可されている場合) の自転車用信号機の整備が進んだり自転車横断帯の撤去が進んでいる。

しかし、逆走方向の自転車用信号機がない交差点や、歩行者・自転車専用の歩行者用灯器で賄われている交差点がまだあるなど、整備が進んでいない交差点もまだ残っている。

また、自転車には右矢印信号は適用されないが、一部の交差点では自転車のことが考えられておらず前に進めない現示になっているところもある。

逆走方向の標識

一歩通行路の逆走を自転車のみが許可されている場合に、逆走方向には止まれ、横断歩道、指定方向外進行禁止といった重要な標識が設置されていない場合がほとんどである。

たとえば、信号機のない一方通行路の交差点で、順方向である対向車側に止まれがある場合、逆走方向には止まれがない。また、横断歩道の標識もない。

そうすると、理論上は自転車は一時停止も横断歩道での歩行者優先も守る必要がないことになってしまう。(※横断歩道は横断歩道ありの指示標識がないと法的に有効にならない)しかし、これはいずれも実際上はおかしく、危険な状態である。

その他のケースや都道府県別の対応状況の詳細は以下の記事を参照されたい。

間違いやすいポイント

ここで改めて、自転車の通行ルールで誤解が多い項目についてまとめてみた。正しい認識で運転ができるように注意しよう。

  • 2026年4月以降、自転車は原則として車道走行となるが、普通自転車が歩道を通行することができる例外規定以外の場合でも、一発で青切符を切られるわけではない。警察官による警告がまず入る。警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった、悪質・危険な行為が自転車の交通違反の取締り対象となる。

  • 「普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき」の判断の主体者は自転車の運転手ではなく警察官である。

  • 同じ本標識を使っているが、「自転車歩行者専用道路」と「歩道」は全く違った意味であり、適用される交通ルールも異なる。

  • 自転車は車道を走っているか歩道を走っているかで、見るべき信号・標識・守るべきルールが異なってくるので、それぞれ正しく認識する。車道走行⇔歩道走行の切り替えができるが、切り替え時は交差点でいきなり切り替えるのは危険。

  • 交差点において、停止線の先で交差している横断歩道への右折は不可。(これで重大事故が過去に起きている)

  • 複数の通行帯がある道路では、自転車は第一通行帯を通る必要があるが、必ずしも左端に寄る必要はない。ただし、寄ることが推奨される。

  • 丁字路の突き当り路からの交差点進入でも二段階右折は必須。

  • 二段階右折禁止の標識は原付のルール。自転車には適用されず自転車はいついかなる場合も二段階右折する必要がある。

図: 二段階右折関係の標識は「原付」のみ関係する。自転車には関係ない。

参考資料:

自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~ (警察庁)
安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン (国土交通省/警察庁)
自転車を安全・安心に利用するためにー自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入ー【自転車ルールブック】(警察庁)
交差点の設計基準に関する問題 (Cycling Embassy Japan)

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