普通自転車専用通行帯の整備状況と現状
日本の自転車通行空間の整備は車道混在型 (矢羽根型など) が中心で、自転車道の整備は限定的であるが、近年はネットワーク計画が策定され、自転車と自動車・歩行者の分離を目指した整備が進んでいる。しかし、諸外国と比較すると整備水準は低く、住民の理解や他の事業との調整が課題となる一方で、2026年4月からは自転車の危険走行に対する「青切符」導入も控えている。この記事では自転車専用通行帯を中心に現状を掘り下げる。
普通自転車専用通行帯の概要

標示: (109の6) 専用通行帯
自転車は、カーボンニュートラルな都市を目指す政策の動きを受けた二輪車に代わる地域密着型の乗り物として、特に2007年 (平成19) 以降、自転車通行空間の整備が活発に行われてきた。

出典: 国土交通省
車道走行を基本とした自転車通行空間は、2021年現在、全国で4,686kmと、5年間で約4倍に増えた。ただし、その8割は矢羽根型路面表示等による車道混在の整備である。自転車道(256km、5.5%)、自転車専用通行帯(594km、12.6%)の整備は微増であるのが現状である。
普通自転車専用通行帯 (自転車専用レーン) の設置は、車道上に普通自転車が専用で通行する自転車走行空間を 確保し、交通の安全と円滑を図ることが目的である。
自転車交通量が多い等、自転車と他の車両を分離し、車道上に自転車が専用で通行する自転車走行空間を確保する必要があり、かつ自動車交通量等の交通実態や道路幅員等の道路状況から、普通自転車専用通行帯の設置が他の交通への妨害とはならないと認められる道路に設置される。
2008年 (平成20) の標識令改正で導入された。
幅員は1.5m以上が望ましいが、難しい場合は1.0m~1.5mとすることもできる。通常の一般道路の車線が3.0m〜3.5mなので、車両用の車線の約1/2~1/3の幅であることが一般的である。中には、時間制限付きで車両の第一通行帯が普通自転車専用通行帯に指定される場合もある。
また、あまり知られていないが合わせて注意が必要な事項として、専用通行帯は「特定の車両が通行しなければならない」車両通行帯を指定するものであるため、自転車は専用通行帯以外の通行帯を走行すると違反になる。
普通自転車専用通行帯には、始点、終点、および区間内に道路標識、路面標示を設置する。カラー舗装の色は原則として青色系が使われる。

ピクトグラムや矢羽根は車道混在型の法定外表示
一方、自転車ピクトグラム (自転車ナビマーク) や矢羽根 (自転車ナビライン) は、専用通行帯でなく通常の車道にガイドとして描かれる法定外表示である。矢羽根は交差点内のガイドに使われることが多い。

自転車ピクトグラムの例
自転車ピクトグラムは交通規制基準で標準形が示されているが、都道府県単位で様々な図柄が採用されている。同一都道府県内では同じ図柄だが、2種類存在する場合もある。



交通規制基準に描かれているものと同じ




交通規制基準に描かれているものと同じ (割れ目あり)

交通規制基準に描かれているものと同じ (割れ目あり) だが横向き


交通規制基準に描かれているものと同じ

矢羽根があずき色

矢羽根があずき色

交通規制基準に描かれているものと同じ
矢羽根の例
青色で描かれることが多い。


普通自転車専用通行帯の実装例と課題

自転車通行空間の延長は、諸外国の都市と比較すると低水準であり、普通自転車通行帯や自転車道の整備はあまり進んでいない。
国土交通省の調査によると、自転車通行空間整備に係る関係者は、自転車の車道通行原則は理解しつつ、現状で特に大きな問題も生じていないとして、自転車の歩道通行に対する抵抗感が弱いとのことだ。
一般市民には「自転車は歩道通行の方が安全」という認識が根強い。車道通行については安全性に疑問があるとの声が多く、既存の歩道幅員や自転車の交通量による整備形態への反映があるべきとの意見も多い。歩道通行より車道通行が安全であるということの市民への説明及び「車道混在」整備が自転車にとって危険でないということの説明が必要となっている。
そもそも、車道混在の際に、自転車と自動車が安全に混在するためには、双方が相手の動きをある程度予測可能であることが求められ、そのためには自転車の運転手が普通運転免許の内容を理解することが求められる。
また、普通自転車通行帯は、整備できたとしても通行帯に車両が駐停車しているため歩道を通るといった声も聞かれる。普通自転車通行帯の区間はバスレーンと違って駐停車禁止規制は通常かけられず、駐停車の位置も「道路(車道) の左側端に沿い、かつ他の交通の妨害とならないように」というガイドに従うためで、普通自転車通行帯を空けなければいけないというルールはない。
警察庁発行の「交通規制基準」でも、留意事項として
駐停車車両により普通自転車専用通行帯における自転車の通行に支障をきたすおそれがある場合は、駐停車対策を併せて検討すること。
と指摘があるが、実際には特別な検討はほぼされていない。

停車の仕方としては違法ではなく、駐停車禁止規制もない。

駐車禁止の場所にも時々見られる。また、バス停が普通自転車専用通行帯と被っている。

第一通行帯がほぼふさがれているので貨物車の右を自転車で進むのは安全ではない。

全国でも多くのバス停でこのような実装となっている。バスが停車している間は自転車の通行を妨げる。
自転車道、自転車(専用)通行帯の整備上の課題は何といっても道路上での幅員の確保である。空間再配分により自転車通行空間に充てられる空間を創出する検討が必要になったり、歩道の整備など協業できる他の事業と一緒に整備を進めることが課題となっている。
モデルケース
十分に道幅が広い場合は、普通自転車専用通行帯と路上駐車のスペースを分離するのが良い。

(東京都文京区、都道434号)

(東京都文京区、都道434号、車が駐車した状態。満車でも自転車は通れる)

(東京都文京区、白山通り)



全国でもここにしか存在しない (岡山県岡山市北区、あくら通り)
さらに、本来は車道の中に自転車専用通行帯を設けるのではなく、自転車道として分離することで自転車が安全に走行できるのだが、道路幅員の確保など根本的な再設計が必要になる。
加えて自転車道には一方通行のものと相互通行可能なものがある。特に幹線道路に接する場合は相互通行可能な方が自転車にとって利便性が高い。

(東京都江東区、京葉道路)

(東京都西東京市、放射7号)
参考資料
通行空間の現状について (国土交通省、2023年)
自転車等利用環境の向上の取組 (国土交通省、2023年)
自転車を安全・安心に利用するためにー自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入ー【自転車ルールブック】(警察庁、2025年)
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