【ファンタジー小説部門】『√365』│ 終章 √365
▼このお話は『√365』の一部です。「序章」を読んでいただければ、あとはどこからでも1話完結で読めます。
浮上するような感覚にまどろみから抜けると、後頭部がひどく痛んだ。急に眩しい外に引きずり出されたみたいに、目の奥がちかちかする。
感覚はないはずの世界だというのに。
364日分の記憶がざっと押し寄せてくる。情報処理速度に脳が追いつかないといった感じだった。わたしは目の前を覆った。
「──おはよう」
“彼女”がけだるげに言った。すみれのような声だと思った。夕暮れどきに花びらを閉じるあの花のような切なさが含まれていて、ぎゅっと胸を掴まれる。
この場所は、1年前と同じだ。除夜の鐘が鳴り続けている。それなのに、あたりはまっ白で、上下左右がわからない。
少しずつ覚醒してきてたのだろう。手も足も、自由に動くようになった。自分の頭で考えられる。──今のこの身体は、すべて自分のものなのだとよくわかった。
「364人分の人生はどうだった?」
彼女は気のない感じで訊いた。
改めて思い返してみる。これは、死後の世界というものなのだろうか? 確かに飛び降りたはずだったのに、この不思議な場所に来て、よくわからないまま誰かの人生を生きてきた1年間が終わろうとしていた。
1日ごとに記憶がリセットされる。朝になると別なだれかの身体の中にいる。その人に同化してしまうから、私自身がなにかを考えて行動したわけじゃなく、乗り物に乗るように、映画を観るように、ただ流されるままだった。
その記憶が今、すべて流れ込んできているところだった。
まるで一気に年を取ったように、世界の見え方が変わった。変わってしまった。
「よくわからないことがあるのだけれど……」
私はまだ痛み続ける頭を押さえながら、切り出した。
「私が知っている人が多すぎた。年齢も合わないけど、でも。──それに同じ人も何度も観た。あれは、どういうこと?」
白い女の子はくすりと笑う。
見た目は私と同じくらいの年齢なのに、どこか艶のあるその笑みは、大人の女性というよりも、もっともっと長く生きた妖を思わせるようで──ぞくりと背中に震えが走った。
「……ねえ。本当はもうわかっているんじゃない?」
その言葉にぐっと胸を突かれた。
「あの364人はすべて、私、……三井鞠花だった、ということ?」
364人の人生は、まったく違うものだったかと思えば、根本ではどこか似ている。
私が知っている人たちが何人も、別な立ち位置で出てきたのだった。それこそ何百通りもの未来を垣間見ているかのように。
15歳の私を苦しめる美里とは、子どもの幼稚園で保護者として出会ったり、親友だったりした。同じく天敵である雨池ともやはり悪友になっていたり、何度か結婚していたりもした。
彼らについては、どうやったらそんなふうになれるのか想像もできない。
──そして、となりのクラスにいて、生まれてはじめての彼氏だった星くん。彼とは15年後の時点で恋人や夫婦であることが多かった。うまくいっていなかったり、別れを選んだり、幸せだったり、いろいろな暮らしがあった。
そんな彼がたまたま公園で出会った人と結婚していたのではと思える未来もあって、胸がぎゅっと掴まれた。
職業や考え方の根底にある価値観が偏っていたのも、そう考えるとうなずける。
とはいえ、364人の私は、それぞれがまったく別の人間のように、少しずつ価値観や性格、好きなものが異なっていた。
呼ばれ方すら幾通りもあった。結婚して名字が変わるだけじゃない。出会う人が変われば、呼び名だって変わるのだ。ミィちゃん。星奈センセイ。ハルちゃんママ。マリー。リッカ。
「ピンポーン!」
女の子はおどけた調子で言うと、一瞬目を伏せた。
それからまた無表情になり、「今日はいよいよ最後の一人の人生を見に行くわ」と言い、私の手をふわりと取った。その手が震えていることに気がついた。
気がつくと私たちは、混雑する駅のホームに立っていた。
「これは、15年後の大晦日よ。──ここがどこだかわかる?」
「……新幹線のホーム」
家族旅行で何度か来たことのあるそこが、東京駅なのだとすぐにわかった。道行く人たちが持っているのは、携帯電話なのだろうか──? 形がずいぶんちがう。
「そう。私たちのふるさとに向かう新幹線のホーム」
大きな荷物を抱えた人たちが、順番に列をなしている。
目がとまったのは、その中の家族だった。スーツケースを持つ、がっしりとした男の人は、私の初恋の星くんだ。
子どもたち二人と手をつなぎ、胸元にまだ小さな赤ちゃんを抱えた女性は、私をいじめていた美里だった。それは理想的な家族の肖像画のような光景だった。胸の奥がちりちりと焦げ付くように痛むのを感じた。
そのときだった。美里の名前を叫びながら、飛び出してきた女の人がいた。
年齢はわからない。
真っ白な頭で、老女と言えるような見た目をしている。痩せ細り、折れそうな体。髪の毛もぼさぼさで、身なりにはあまり構っていないという感じだった。
彼女は勢いを落とすことなく、その家族に向かって突進していく。ホームは困惑した声でざわめいた。
その骨のような手が美里の肩をつかみそうになったそのときだ。星くんが間に入ったのは。あの華奢な身体にどれほどの力があるというのだろう。
彼の体は勢いよくホームへ落ちていった。
「──星くん!」
私の声は、たくさんの叫び声にかき消された。
気がついたときには、また、あの白い空間に引き戻されていた。
「あの女の人は、──私?」
全身に冷たい汗が流れていた。震える手を押さえながら尋ねると、白い女の子は首を振った。
「違うわ。ここは“私”のいない世界。あれは、美里を恨んでいた、私たちのお母さんが、幸せそうなあの人を見つけて、衝動的にやったことよ」
私は思わず顔を上げた。その白髪や風貌から気がつかなかったけれど、既視感の正体にやっと思い当たったのだった。
目の前の少女が私と同じ顔をしていることに。
「……飛び降りたあと、気がついたらここにいたわ。そして見たくもないのに自分のいない世界の映像がずっと流れ込んできていた」
少女はぽつりぽつりと語りはじめた。
「なにも知らせなかった星くんが、少しずつ荒れていくこと。あの美里が今度は逆にいじめられること。ずっとあとになって再会した2人が結ばれるのも」
私の頭には、先ほどのホームで見たふたりの笑顔が焼きついていた。好きなひとと嫌いなひとが幸せになった、世界。
「……見たくもないのに、目を閉じてもまぶたの裏側に映し出されていくのよ。まるで逃さないとでもいうようにね。そして、そのまま私は見せ続けられた。……信じられる? この光景を観るのは、今日で365回目よ」
私はじっと彼女を見つめた。
よく見ると、ちょっと横につぶれたような丸い形の爪も、手首がきゅっと細くなっているところも、少しぼんやりした目元の感じも、低くて丸い鼻も、薄めのくちびるも、鏡で見慣れたそれと同じだったのだ。
「この空間にも、時間の概念があるらしいわ。除夜の鐘が鳴るたびに、あの日、あのときの自分がここへやってくる」
彼女は私を指さした。
「そして私は、最初から決められていたことのように、彼女らに未来を見せるの。ルールだって私がつくったわけじゃないわ。頭の中にあるの。どうすればいいかわかって、身体が自然に動くの。そうして何年も何年も、ここで過ごしてきた。自分ではもう、決して選ぶことのできない未来を眺めながらね。……きっとここが地獄なんでしょうね、私にとって」
彼女は心底疲れたといったようにため息をついた。
「──さあ、365人目の私は、何を選ぶのかしら」
その声は投げやりに聞こえた。
決まりきった文句を、淡々と言っているだけのようだった。まるで、ロボットのような。
でも、次の瞬間、彼女はこれまでになかった生気を宿して私を見据えた。鏡で見慣れたその目から、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ出す。
「──鞠花、お願い。彼を、助けて」
絞り出すような声で彼女は言った。
わたしは、ひとつめの選択肢を選んだ。
そして気がつくと、窓辺に座っていた。
「鞠花ー?」
子ども部屋の扉がひらいた。
部屋の中で、風が、雪が舞っている。母の目が見開かれていく。窓の向こうに足を投げ出して座るわたしを引きずり落とし、抱きしめた。パニックになっているようだった。なにやってるの、と何度も叫ぶように言った。母の腕の中で、とくとくと流れる鼓動を聞いていた。
気がつくと年が明けていた。
折りたたみ式の携帯電話には、星くんからのメールが届いている。わたしは彼に、現状を話してみることにした──。
これが私が選んだ、ふたつめのこと。
√1 → √4 → √25 → √99 ………… √365
「忘れ物はないか?」
夫が子どもたちに声をかけている。私たちは手分けして部屋じゅうの点検をした。
昨夜寝る前に洗って、水気をしっかり拭き取っておいた浴室、早起きしてピカピカに磨き上げたキッチンや洗面所、子どもたちが雑巾がけしてくれたリビング。
帰ってきたときに心地よいわが家であることを確かめるかのように、ひと部屋ずつ見て回り、お弁当用に作っておいたサンドイッチを最後に鞄に詰めて、家を出た。
──15年後の大晦日。
私は今、東京駅のホームに立っている。
子どもたちを連れてふるさとへ向かうために。このすがたは、最後に観たあの光景の美里とまったく同じではないか。──そう気がついたのは、新幹線がすっと滑り込んできてからだった。
『はやくみんなに会いたいなァ。ばあばより』
母からは、どこか間の抜けたLINEが届いた。ふと後ろを確認する。そこにはだれもいない。
わたしたちは今日も無事に生きている。あの子の願いも、かなったはずだ。うれしくなって、夫の顔を思わず何度も見てしまった。
15年も前のことだというのに、そして、あの空間のことはうすぼんやりとしか覚えていないのに、彼女との会話は、今でもしっかり残っている。
「わたしは生きる」
彼女にそう伝えると、目頭がふと熱くなって、涙がぽろぽろとこぼれ出した。視界がどんどん滲んでいく。ピントの合わない写真みたいに。
自分でもわけのわからない、いろんな感情がごちゃ混ぜになった涙だった。
彼女は私をそっと抱き寄せた。
重力とは無縁なこの空間では、落ちていく私を抱きとめるような格好になっていた。
「目が覚めたら、きっと忘れてるわ」
その目のきわに、涙が光っているのが見えた。口もとは笑っていた。
彼女は、風船を飛ばすように、私の体をふっと上へ押し上げようとしていた。
「ねえ、一緒に行かない?」
気がつくと、そう声をかけていた。
「あなただって、きっと選べるはずでしょう」と続けると、彼女はきょとんとして、それから年相応な感じで笑い、私の手をつよく握った。
そのまま、私の中に溶け込むように消えていった。
30年生きてきて、ようやく言葉にできたことがある。
ちょっとまじめな話になってしまう。でもそれは、生きていくために必要なのは「選択」と「努力」だということなのだ。
彼女によると、ふつうは記憶を失うルールだったはずらしい。
けれどもあれから15年経った今でも自分の中に溶け込んだはずの彼女の意識を感じることが稀にある。しかもわたしの中には今も364人分の人生の記憶がうっすらと残っているのだ。
大晦日だけの、特別な魔法だったのだろうか。
あの人たちは、あの空間でみんな同じ選択をした。「生きることを諦めない」ということ。
それなのに、それぞれあんなにも違った人生を送っていたのには、理由があったと私なりに解釈している。
どんなタイミングで何を選択したのか。望んだ環境に身を置くために努力をしたのか。
たとえば転校したり、あのまま学校で奮闘したり。進学先をどこの高校にするかでも未来は変わった。
高校が変わると、未来の行き先はそれぞれまた細やかに分かれていった。木が枝を伸ばすように、ぐんぐんと。──結局のところ、それが ”分岐点” なのだと私は結論づけた。
大切なのは自分で決めることだ。
昔の恋人に流されるまま結婚して、最後は心が壊れてしまい、大事な人まで失った”私”もいた。彼女の体に入っていたとき、私の頭のなかにはいつも「私のせいじゃない!」という叫びが流れ込んできていた。
自分で選ばないと、そういう逃げ道ができる。
でも、どんな選択をしても、壁にぶち当たることはある。
辛くて逃げ出したくなるときもある。逃げることと諦めることは違う。逃げるというのは、自分が生きやすい環境へ身の置き場所を変えることで、諦めるというのは、すべてを投げ出してしまうことだ。
初恋の星くんと15年もつき合っていたのに、最後には別れてしまった"私"もいた。今の自分の視点で見るならば、慣れすぎてしまって、それ以上二人の関係をよくする努力を忘れてしまったのが原因だったのだろうと思う。
この30年、無事に生きてきた。
好きな人と結ばれて、子どもにも恵まれた。夢だった絵本作家にもなれた。決して楽しいことばかりじゃなかったけれど、でも、ここまででも十分いい人生だったと思うし、これからもやりたいことも、大事にしたい人も諦めるつもりはない。
子どもたちが寝静まったあと、わたしと夫は実家のリビングで母の年越し蕎麦を食べていた。毎年この日だけ出てくる、鴨蕎麦だ。焼き目のついたねぎがのっている。噛むとじゅわりと甘い。
「あ」
ふとLINEに通知が届いているのに気がついた。
スマートフォンを見ながら声を漏らした私に、夫が「なに?」と尋ねる。その視線はとても優しく、穏やかだ。
「美里から。みんなで初詣に行こうって。雨池も安奈も来るらしいよ」
「……行きたいな」
母の眉がぴくりと動いた。でも、「起きてこないと思うけど、子どもたちは見ておくから」と言った。
「お義母さん、すみません。ありがとうございます」
夫が頭を下げる。
「おかーさん、ありがとう」
わたしもそう言い添えた。身内にお礼をいうのって、なぜだか照れくさい。でも言わないときっと後悔する気がした。
食器をキッチンに下げて洗い終えると、「 厚着しないとな」と夫は楽しそうに笑った。わたしたちはもこもこになって家を出た。
除夜の鐘がにぶく響いている。
ちらちらと落ちてくる雪に阻まれて、きっと、いつもより遠くまで音が届かないのだろうと思った。神社はすぐそこ。家から歩いて1分だ。
途中で真っ黒な服に身を包んだおばあさんとすれ違う。チェックのストールを身に着けている。
「……よいお年を」
彼女はそう言って、鋭い目のまま、口の端だけをそっと上げた。
だれなのか、わからない。知らない人だ。なんだか魔女みたい。でも、──どこか、見覚えがある気がした。
「よいお年を!」
わたしは、彼女に笑顔を向けた。
「まりかー! 星ー!」
鳥居のそばに、美里と雨池が並んでいる。美里はぴょんぴょん跳ねるようにしてこちらに手を振っており、雨池は呆れたように美里を見ていた。通りの向こう側からは、安奈とその旦那さんも歩いてきた。
わたしたちは、毎日、たくさんの選択をしている。
この「YES」でこれからの人生が何かが変わるのか、それとも変わらないのか、今はまだわからない。
でも、今日もひとつのルートを選ぶのだ。
きっとこれが最適解なのだと信じて。
√365 【完】
登場人物紹介
◆三井 鞠花(みつい まりか)
主人公。15歳→29・30歳。
中学時代はいじめに苦しんでいた。
愛称/ミィ、マリー、リッカなど
配偶者も恋人もいないルート/
雪がやんだら、あの子と。、雪に飛び込む、朝、母と私の女正月
◆栗田 美里(くりた みさと)
中学時代のいじめの主犯格の一人。
登場するお話/雪がやんだら、あの子と。/最終話
【結婚相手・恋人】
・名前がまったく登場していない人は()※付き。
・夫がいるけどほぼ登場していない場合は説明無し。
・年齢は鞠花が30歳時点のもの。
◆星 瑞貴(ほし みずき)(30)
√∞ 中学時代の彼氏。どのルートでもあり得る運命の相手。
登場するお話/ハンバーグ・コンプレックス/私を好きになって。/影のさざ波/右端に住む人
◆雨池 辰彦(あまいけ たつひこ)(30)
√∞ どのルートでもある程度交流を持つ。中学時代のいじめの主犯格の一人。
◆宮田 孝雄(みやた たかお)(36)
√1 地元の進学校→東京の大学→東京で就職
登場するお話/ハイヒールの野心
◆田中 湊(たなか みなと)※(31)
1つ年上の先輩。17歳のときにプロポーズされた。
√2 地元の進学校→高卒後すぐに結婚
登場するお話/酸いも甘いもさじかげん
◆成田 雄太(なりた ゆうた)※(29)
√3 地元の進学校→地元の国立大学→地元の企業
登場するお話/オルゴールにねむる少女
◆深沢 崇(ふかざわ たかし)(32)
会社の先輩だった。
√4 地元の進学校→神奈川の大学→東京で就職
登場するお話/椿と山茶花
◆秋山 涼介(あきやま りょうすけ)(23)
年若い青年。
√5 地元の進学校→神奈川の大学→東京で就職→崇と別れる
登場するお話/この恋が終わるとしても、私ができることは。
◆田中 満(たなか みつる)※(28)
√6 地元の進学校→東京の大学→東京で就職(第2志望の会社)→習い事をしない
登場するお話/メニューは決まっている
◆伊藤 健太(いとう けんた)※(39)
√7 地元の進学校→東京の大学→東京で就職(第2志望の会社を選択)→習い事で出会った相手と結婚
登場するお話/春雪の舞う空
◆中村 琢朗(なかむら たくろう)※(27)
√8 地元の進学校→神奈川の大学→神奈川で就職
登場するお話/空知る、心知る
◆長田 章(ながた あきら)※(40)
√9 隣県の進学校→和泉と別れる→東京の大学→東京で就職
登場するお話/影のさざ波
◆山本 康介(やまもと こうすけ)※(33)
√10 地元の進学校→地元の国立大学→東京で就職
登場するお話/古新聞のブーケ
◆望月 匠(もちづき たくみ)(35)
軽薄な新聞記者。
√11 地元の進学校→東京の女子大学→文学賞を受賞
登場するお話/野芥子の恋
◆志村 慶一郎(しむら けいいちろう)※(37)
√12 隣県の進学校→東京の大学→東京で就職(第2希望)
登場するお話/青梅アンダンテ
◆和泉 翔(いずみ かける)(30)
芸能人並みの容姿をした男で、高校時代からの恋人。
√13 隣県の進学校→東京の大学→東京で就職
登場するお話/魔法が解けて
◆三浦 大輔(みうら だいすけ)※(30)
√14 地元の進学校→東京の大学(第2志望)→幼馴染と再会・交際→一緒に里帰りする
登場するお話/しょうらいのゆめ
◆海棠 傑(かいどう すぐる)(28)
モテる後輩。じつは既婚者。
√15 地元の進学校→東京の大学→東京で就職(第2志望の会社)→習い事で出会った相手と結婚しない
登場するお話/愛し子
◆内藤 明仁(ないとう あきひと)(31)
√16 中学を転校→地元の進学校→東京で就職
登場するお話/悪友の涙
◆五十嵐 晴哉(いがらし はるや)(31)
大学の同級生。浪人しているので年上。
√17 中学を転校→地元の進学校→東京の女子大学→文学賞に応募しない
登場するお話/かすみ草とジン・バック
◆佐野 裕也(さの ゆうや)※(40)
√20 地元の進学校→東京の大学(第2志望)→幼馴染と再会・交際→一緒に里帰りしない→東京で就職→離婚
登場するお話/右端に住む人
◆谷村 雅也(たにむら まさや)(30)
モラハラDV男。
√22 地元の進学校に落ちる→滑り止めの私立へ
登場するお話/あなたに贈る、完ぺきな。
あとがき
この物語は、29~30歳になるころに、1年間で少しずつ書きためておいたものです。
人は、一緒にいる人によって変わります。
違う選択をして、違う人に出会い、一緒にいるようになる。すると自分を囲む世界は大きく変わります。
環境が変わると、自分も変わる。
ときどき思うんです。たとえば、わたしは受験当日にトラブルがあって集中できず、A判定だったはずの学校に落ちました。その後進んだ学校では、先生のすすめで留学をして、そこでいまの夫に出会ったんです。
(電子書籍版『なんのはなしですか(これでいいのだ編)』参照)
もしあのとき受験で落ちてなかったら?
留学のスケジュールが厳しすぎたから、諦めていたら──?
ふっと怖くなります。
もし、今よりいい未来が待っていたとしても、それでもわたしは「いま、ここ」を選びたいのです。
いくらけんかをしても、散らかされて怒っても、夫や子どもたちがいない未来はありえない。
ブログやnoteを再開してたくさんの人に出会えたいまを、捨てたくない。
出会う人が変われば、価値観が変わる。
だから登場する29~30歳の鞠花は、容姿も好みも性格もそれぞれ違っています。
でも、根っこの部分はたぶん同じです。
だから、職業選択や夢に関しては、似たようなものが出てくる。──そういった想定で書いてきました。
きょうも、小さなことから選びます。
きっとよりよい未来が待っていることを信じて、そこに自分の力でたどり着くために。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます♡