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結婚式のあと逃げたかった私が3,653日書き続けてわかった100のこと

結婚式の帰り道、──ほんとうは、逃げたかった。


式を挙げたのは前の晩のこと。
家から電車で2時間もかかる式場を選んだのは、チャペルの目の前に海が広がっていたからだ。海が好きな夫が気に入った。

ハッピーエンドにたどり着いたはずのわたしたちは、朝ちょっと遅めに起きて特別においしいルームサービスを食べ、すこし肌寒い秋の海を散歩した。

ついさっきまで笑っていた。
それなのに、無言で赤い電車に揺られていた。


けんかをしたわけじゃない。
お互いがいやなわけじゃない。


夫は手元に視線を落として、スマホゲームをしていた。
無骨で長い薬指には、先月届いたばかりの20号の指輪が光っている。

夜の車窓には、ちょっといいワンピースを着た自分の姿が映っていた。結婚式の魔法メイクは解けて、いつもの地味な顔だった。
もっと奥、真っ黒な海へと視線をはずす。

涙が落ちそうでこわかったからだ。

わたしの手元には、3号の指輪にすずらんを模して並べたごく小粒のダイヤが、星の瞬きのようにきらめいていた。


家が近づくにつれて、わたしたちは黙り込んでいった。

わたしたちは、家に帰りたくなかったのだ。




はじめに


帰ってきたくなる家をつくろう──。

それは、結婚したときに”自分”で決めた約束。


同い年の夫と23歳で結婚したのには理由がある。
職場でこころが折れたわたしの手を、引いてくれたのだ。

「結婚したらいいじゃん」

まだ学生だった彼が、なんでもないことのように言った。
家事をして、あとたまにバイトとかしながら、もう一度夢を追ったらどうか、と。


「作家になるのが、夢なんでしょ」

活字を一切読まない彼は、胃を押さえてうずくまるわたしの肩に手を添えてそう言った。17歳のときに出会った彼とは、遠からず家庭を持つのだろうという気持ちはあった。

冗談かと思っていたら、翌日会社から戻ると「オカンに結婚するって話しといた。青森への挨拶は、いつ行けそう?」と言われた。
ああ、本気で言ってくれたのだ、と驚いた。


思っていたよりもずっと早くて。
だから、うれしかった。

世界にひとすじの光が差し込んだような希望があった。


翌日もいつもと同じ日々だった。
あいさつを無視されて胃が痛み、お菓子はずしをされてトイレで泣く。名前を出さずに嘲笑されてカップを握る手にぐっと力が入る。

自分の仕事はとっくに終わっているけれど、まだ、帰れない。

未来の筋書きが変わっても、つらさは変わらなかった。
けれども、前のように無気力なきもちはなくなっていた。

あと数ヵ月で訪れるはずの”ハッピーエンド”が、わたしのこころを保温し続けていた。



終電で帰り、いつのまにか溢れていた涙を、闇に隠れてぬぐう。

駅前のコンビニで主婦雑誌を買って帰った。
胃はまだ痛かったけれど、もうすこし頑張れると思った。

お風呂に入って夜食をたべたらもう眠ってしまい、ページをぱらぱらめくるくらいしかできなかった。でも当時のわたしは、結婚したら、雑誌に登場するスーパー主婦たちのように家事ができるのだと思っていた。




現実はちがった。

とくに冒頭の時期はひどかった。

夫の卒業を待って、割とすぐに結婚した。

彼は慣れない社会人生活に、毎日の終電で疲弊していた。
わたしも限界だった。引越しも入籍も結婚式の準備も、わたしがバイトをしながらひとりで99%進めたので、家のことまでとても手が回らなかった。

後から思うと、転職・引っ越し・結婚とライフイベントが立て続けに起こったことと、職場でのあれこれでこころに蓄積されたものが爆発したのだと思う。

やらなければいけない手続きや準備をこなす以外には、驚くほど無気力だった。身体が動かなかった。
そうしているうちに家事の負債が、どんどん、どんどん膨れ上がっていった。


結婚式直前の1週間は忙しくてほとんど眠れなかった。

部屋の広さから考えるとありえない量の物に囲まれていた。キャットケージに1畳、キャットタワーに1畳。
たくさん買った収納家具に入り切らないものが床に置かれ、あちこちに布や造花、写真が散らばっていた。

完全なるごみ屋敷。
引っ越しの荷ほどきすら終わっていなかった。


結婚式の2日後。
燃え尽きたようになにもできずにいたとき、ついに、恐れていた瞬間がきた。

「来ないで」と頼んだのに、両親が来た。
ふたりはその惨状を見て絶句した。

だから、家に帰るのがいやだったんだ。来ないでって言ったのは見られたくなかったから。




その後もドアを開けるたびにため息がこぼれた。

”だれもができる当たり前のこと” をできない自分が情けなくて、いつでもどこかに逃げ出したいきもちがあった。




あれから、干支がひと回りと、少し。

わたしは作家になった。
小説ではない。6冊の生活実用書が、国内外の書店に並んだのだった。

2015年にはじめた「365日のとっておき家事」というブログがきっかけで、声をかけてもらえたのだ。

あの部屋の住人が、まさか家事の本を書くようになるなんて、だれが思っただろう。海外版のタイトルには『家事女王』というワードが入っている。ものすごく家事の超人みたいな雰囲気だ。


ここでは、わたしが10年間、家事のブログを毎日更新し続けて見つけた”ヒント”を100個紹介する。

どうして「家事のヒント」と書いてないのかというと、前半の30個は、家事以外にも役立つと思うから
勉強や仕事、創作。そういうシーンでも使える。


すべて無料で読んでもらえるのだけれど、もし、この記事がすこしでも気に入ってもらえたら、RPなどで応援してもらえたらうれしい。

7冊目の本を書きたいと、ずっと願っている。

日々の濃度に差はあるものの、わたしには3,653個のストックがある。もっともっと増やしたり、深く掘り下げたりすることができる。

だから、3万字使っての100個の書き下ろしだとしても、無料で公開できると思った。


ひとつは、新婚時代のわたしみたいな”本当に必要な人”に届くように。

そしてもうひとつは、本をつくるための試供品のつもりで、真剣に書いた。


▼時間があれば最初に読んでもらうといいかも。
新婚当時、散らかった部屋で途方に暮れていたわたしが、自力で部屋を片づけ、整理収納アドバイザーの資格をとり、ブログを毎日書き続けた10年の物語。



💭とっておき家事とはなにか


本題に入る前に、まずは、わたしがどんなブログを書いていたのかに触れておこうと思う。

ブログの名前は「365日のとっておき家事」。
1年間で365個の”ちょっとだけ特別な家事”に取り組んでみようというものだ。

特別といっても身構える必要はない。
「毎日くり返す家事」じゃなければいいだけ。家事の定義も自分で決める。「家でするコト」「家族のコト」だったらセーフ。

大切なのはしなやかに決めること。

だから、たとえばこんなものでもカウントできる。

・はじめての料理家さんのレシピをつくってみる
・読んでおもしろかった本をまとめる
・100均で便利グッズを探す
・玄関に未開封の段ボールが溜まりがちな理由を考える
・「ロールケーキの日」だからコンビニのロールケーキを買って食べる

ポイントは「1年で365個を目指す」こと。

つまり、当日に必ずしもやる必要はない。先取りしても後追いでも。
目指すだけだから、やってみた結果365個にならなくたって大丈夫。

大切なのは、ひとつでもいいから動くこと。


▼皆さんのとっておき家事はここから見られる。


では、ここからはわたしが見つけたヒントをあなたに贈ります💐


🤍マインド編

毎日、同じ熱量で家事に向き合うことは、できない。

家事を続ける中でそう気づいた。
家じゅうをピカピカみ磨き上げ、ケーキを焼ける日があるかと思えば、特に具合が悪いわけでもないのに立ち上がれないときもある。
わたしの気分は、さざ波のよう。

じつは、家事って「マインドが5割」なんじゃないか。そう思うようになった。気力、ストレス、考え方。
こころの状態で”その日の最大値”が移り変わっていく。

だからこそ、自分なりの“処方箋”を持っておくといいと思う。

調子が良い日も、そうじゃない日も、いまの自分に合わせた家事を調合できるように。


1.誰に何を言われても、自分だけは「できたこと」を探そう

「家事なんてできて当たり前」。

そんな考え方が、いまだに根強く残っている。
家庭の“家事担当”にとっては、ときにその言葉が重くのしかかる。

できていないことは、すぐに目につくものだ。
棚の上のほこり、シンクに溜まった洗いもの、畳んでいない服——。

でも、なくなったティッシュを補充したり、買い出しをしたり、窓を開けて風を通したり。目に見えにくいことだって、りっぱな家事だ。

もし誰かにできていないことを責められたとしても、自分だけは”できたこと探し”を続けていこうと思っている。

心地よい家は、小さな「できたこと」の積み重ねでできているのだから。


▼コミックエッセイ版の続きを読む



2.家事には点数じゃなくて「はなまる」をつけるといい

はなまる家事」という考え方をおすすめしている。

つい家事に点数をつけたくなる。でも、それをやめてみる。
「今日の自分なりに、がんばれたか?」——この視点で考えるのだ。

できたことが一つでもあれば、はなまる。
たくさんあったら、超はなまる!

この考え方のいいところは、いつからでも始められるところだ。たとえば、80点を目指す家事なら、昼過ぎまで寝てしまった時点で挽回は難しい。

でも「はなまる家事」なら、夜の23時50分に「がんばろう」と思っても、まだ間に合う。大事なのは密度だ。短時間でもたくさんできたら”今日の合格ライン"に持っていける。

さらに、「家事をがんばるのが好き!」という人にも、この考え方はしっくりくると思う。

最近は「家事なんかやらなくていい」という風潮もある。でも、家事が好きな人にとっては、なんだか寂しい言葉だ。

「はなまる家事」は、自分のさじ加減で評価できる。そのしなやかさが、きっと心の支えになると思う。

▼コミックエッセイ版の続きを読む

https://editor.note.com/notes/n04760b2e0ef1


3.きらいなのは「家事」じゃなかった

結婚してしばらくしたあと、呆然とした。——わたし、家事がきらいだったんだ、と。

子どものころ、愛読書は雑誌『ESSE』だった。
そこに登場する主婦たちは、暮らしを整え、楽しんでいた。それがとてもクリエイティブに見えて、憧れの対象だった。

だからこそ、わたしは落ち込んだ。自分もそうあれると思っていたからだ。


でも、この10年で気づいたことがある。

きらいなのは「家事」じゃなかった。

洗いものがいやなのは、手が濡れるから。床に雑巾がけするのがきらいなのは、手が汚れるから。
じつは、そういう“家事以外”の理由が隠れていただけだった。

理由は人それぞれ違う。だから、「自分の場合はどうなんだろう?」と考えてみると、思いもよらない解決策が見つかるかもしれない。


▼コミックエッセイ版の続きを読む



4.家事は「準備」が4割

家事がめんどうなのは、「準備」が整っていないからかもしれない。

料理番組をイメージするとわかりやすい。
かんたんそうに見えるのに、いざ自分で作ってみると意外と大変だった——そんな経験はないだろうか。

あれは、すでに洗って皮をむき、カットしておいた材料や、計量済みの調味料が、使う順番通りに並べられているからこそスムーズに見えるのだ。

逆に言えば、準備が整っていないと、まずそこから始めなければならない。

「必要なものが家にある? 」
なければ買いに行く必要がある。

「どんな手順で進める? 」
調べなくちゃいけない。

「とっておき家事」を通して、いろいろな作業が”いつでもゼロスタートできる仕組み”を作っておいたら、すぐに取りかかれる家事が増えていった。


5.家事の「アニマルタイプ」を知っておく

いろいろな人の“家事の悩み”を聞くうちに、こんなことを思った。——もしかしたら、家事の取り組み方は大きく3つに分けられるのでは?

寄せられた声から違いを分析して、心理テストのようにつくってみたのが「アニマル家事タイプ診断」だ。
これが意外と当たると好評だった。

ざっくりいうと、
・考えてから動くとうまくいく静の人
・とにかく動き出すほうがうまくいく動の人
・日によって静と動を行き来する気まぐれな人
にわかれる。

ちなみに、わたしは3つめ。「気まぐれ猫タイプ」。

▼ここから診断できる。

自分のタイプに合わせたアプローチをすることで「やりたくないな」と思ったときに、抜け出しやすくなるかもしれない。


6.3ステップで動けば、1時間で感情をリセットできる

家事は、毎日“調合”するものだと考えている。

まるで錬金釜で、繊細な配合のポーションをつくるみたいに——。

必要な要素は3つ。「体力」「気力」「持ち時間」。この3つは日によって変わるけれど、特に厄介なのが「気力」だ。

いやなことがあって、そのことばかり考えてしまう経験はないだろうか。これが家事効率を著しく落としてしまう。

・いつもなら1分で終わることに5分かかる。
・動かなくちゃいけないのに、立ち上がれない。

こうした状況を避けるためにも、感情をリセットすることはとても大切な“調合”のひとつだと思っている。
そしてこのリセットは、たった3ステップでできる。

1時間あれば気持ちが軽くなって、また動き出せるから不思議だ。

▼詳しいやり方はここにまとめてある。


7.「7つの価値観」を言葉にすると生きやすくなる

「あなたは、名前をつけないと動けないんですか?」

こんなDMをもらったことがある。 名前というのは、これからの章でたくさん出てくる「スリークエスト」や「超片づけ」といった取り組みのネーミングのこと。

たしかに、名前をつけなくても行動はできる。でも——名前には魔力がある。

名前をつけることで、意識の端っこに引っかかりやすくなる。まるで付箋を貼ったみたいに、思い出しやすくなるのだ。

近年、私たちは毎日膨大な情報を浴びている。そのせいで「覚えておくこと」が難しくなっている人も多いだろう。

だからこそ、行動や考え方、メソッドには、わかりやすい名前をつけておくのがおすすめ。

たとえば「7つの価値観」。

これは、家事をするうえで大事にしたいことを7つに絞って言葉にしておくものだ。

人それぞれ、ライフスタイルや衛生観念、家族構成、性格、趣味嗜好は異なる。同じ価値観を持つ人は、世界中を探してもきっといないはず。

だからこそ、自分だけの「オリジナルの価値観」を決めておくと便利。できれば広告のキャッチコピーみたいに、言葉を磨き上げるとさらにいい。
わたしは考えるのが好きだから、自分で決めているけれど、いまの時代はAIを使えば覚えやすいものを作ってもらえると思う。

たとえ忘れてしまったとしても、決めた言葉が無意識のうちにあなたの舵取りをしてくれるはず。

▼これは勉強術について書いた記事なのだけれど、印刷して書き込めるシートを無料で載せているので役に立つと思う。
また、実際の価値観の例も詳しく紹介している。


8.家事の四則演算「たし算」

「とっておき家事」を通して暮らしを見直すとき、家事を「四則演算」で考えると便利だ。

まずは「たし算」。

これは、便利なアイテムやワクワク感を“足す”という発想だ。 意識して物を増やすことも含まれる。

たとえば、
・手にぴったりフィットするサイズのゴム手袋を買う。
・音楽やポッドキャストを流しながら掃除をする。
・掃除を後回しにしがちな場所に、ミニちりとり&ほうきセットを常備する。

家事の時間がちょっとラクに、豊かになる。

9.家事の四則演算「ひき算」

家事の「ひき算」は、むだな工程や動線をなくすこと。むだな物を処分すること。

たとえば、
・使わないキッチンツールを手放して、引き出しをすっきりさせる。
・洗濯ものを畳む手間を省き、ハンガー収納に切り替える。

余分な物や作業を減らすことで、時間と気持ちにゆとりが生まれる。

10.家事の四則演算「かけ算」

家事の「かけ算」は、困りごとをかけ合わせて、新しい価値をつくること。

例1:要らないもの×プチストレス
・いただきもののタオル → 雨の日専用タオルとして玄関に設置。
例2:時間×行動
・朝起きてから1時間 → スマホを見ないデジタルデトックス。
・8:15 → メイクの開始時間を決めておく。

今あるものや時間にひと工夫を加えるだけで、家事がもっと機能的でたのしくなる。


11.家事の四則演算「わり算」

家事の「わり算」は、困りごとや作業手順を分解して、根本的な原因を探っていくこと。

たとえば、「ごはん作りが面倒」という悩みを分解してみる。
・在庫管理が大変?
・献立を決めるのが苦手?
・買い出しが面倒?
・料理そのものが億劫?
・後片づけが苦痛?

細かく切り分けることで、どのシーンで困っているのかがはっきりわかる。経験上、こうして言葉にしてみないと意外と”何がわからないのかわからない”というケースが多かった。


12.「ラク」するのは悪いことじゃない

「家事はやって当たり前」——。

自分でもパートナーでも、そんなふうに考えている人ほど、「ラクをする=悪」という固定観念を持っているように思う。

一方で、最近よく耳にする「家事を楽にする方法」は、たいてい投資が必要なものだ。便利な家電や家事代行サービス。

わたし自身も、固定観念を完全には打ち砕けていない。100均の便利グッズなら惜しみなく買うようになった。
でも、これが1万円単位になると、急にためらってしまう。

そんなときは、「家事以外の付加価値」に目を向けるといいかも。

たとえば、家事代行サービスの作り置きは、「プロの動きから何かを盗みたい」という思いを付加したら、罪悪感なく頼めた。
※盗んだ話は「ごはんしたく」の章で紹介する。

問題は、さらに高額なものの場合。ここはまだ、私自身も解決策を見つけられていない。

でもひとつ言えるのは——。

「ラクをする」ことは決して悪じゃない。むしろ、余裕が生まれた分だけ、もっと楽しいことに時間を使えるはずだ。わたしはなにも諦めたくない。よくばりに生きたいから、家事がすこしでもラクになる方法を模索している。


13.Goodトリガーのボキャブラリーを増やす

「トリガー」は引き金という意味。
ここでいうGoodトリガーとは、家事のやる気を引き出すきっかけになる行動のことを指す。

私の場合、たとえば——
・髪の毛を結ぶ。
・温度調節をする。
・のどを潤す。

こうした動作をするだけで、気持ちが切り替わり、やる気が自然と引き出される。

Goodトリガーのボキャブラリーを増やすと、その日の体調や気分に合わせたスイッチの切り替えがしやすくなるはずだ。Goodトリガーはいくらあってもいい。

14.Badトリガーを発掘する

Badトリガーとは、その逆で、家事のやる気をそいでしまう引き金のことを指す。
これが厄介なのは、無意識で行ってしまっていることが多い点だ。

私がここ10年で見つけたBadトリガーをいくつか挙げてみる。

・ソファに座る
・SNSを開く
・シンクに洗いものを溜めた状態で出かける
・部屋が寒い

こうした行動が、知らず知らずのうちにやる気を削いでいたのだ。

まずは自分のBadトリガーを発掘すること。
そして、それを避ける仕組みをつくることで、家事への取りかかりがグッとラクになる。


15.他人と比べて自己嫌悪したときは「環境」を比較する

家事がしんどいのは、ずっと「私のせい」だと思っていた。

そんな私の気持ちを少し変えてくれたのは、母の言葉だった。

「凛花は一人きりで知り合いがいないところで子育てしてるでしょ。お母さんはね、みんなが小さいときに、おじいちゃんとおばあちゃんがいて助けてくれてた」

そういえば、幼稚園のお迎えはいつも祖父が来てくれていた。

一方で、私の環境はどうだろう?
ほとんどワンオペで、縁もゆかりもない土地。実家も遠くて、気軽に頼れる人もいない——。

そう考えたら、「がんばってるほうじゃない?」と、初めて自分を肯定できた。

他人と比べて自己嫌悪したときは、自分の「環境」を見つめてみる。

そうすると、少し気持ちがラクになることもあるのだ。


⌛️時間の使い方編

家事は準備が4割と書いた。そこに当てはまるのが時間の使い方。

時間を物理的に増やすことはできない。でも、むだにしている時間を減らすことはできる。
これが準備にあたる。

わたしはこれを”時間を貯める”と呼んでいる。


16.時間泥棒「佐木山 登志花」を探せ

佐木山 登志花さきやま としかは時間泥棒だ。

#なんのはなしですか  

ここには、時間を奪う7つのむだな行動の頭文字を混ぜ込んだ。

なにかうまくいかない行動があるとき、ぜひ思い出してみてほしい。

さ…探す
き…決める
や…やり直す
ま…迷う
と…取りに行く
し…調べ直す
か…買いに行く

※一応この名前の人がいないか検索したのだけれど、
もしもいたらごめんなさい…!

どれも数分程度で終わることなのだけれど、チリツモで大幅に時間がかかっている。

▼1年間のティッシュ交換にかかっていた時間を検証したら、なんと9時間だった話。工夫を重ねて「9時間→9分」と大幅に短縮した。


17.最初に決めるべきなのは「色」

なんとなくやる気が出ない日は、占い感覚で「今日のテーマカラー」を決めてみるのがおすすめ。

・赤なら、やることをどんどん終わらせる。
・緑なら、静かな作業に注力する。
・青なら、うまくいかない原因を探してから動く。

——こんなふうに色をテーマにすると、気分に合わせた行動がしやすくなる。

効率のいい方法ではない。でも、ちょっとした遊び心で前向きに動けるようになる。

▼ここからおみくじみたいに選んでみよう。


18.タスクに「スポットライト」を当てる

ToDoリストをつくったら「スポットライト」を当てよう。

箇条書きでずらりと書かれたタスクを、そのまま順番にこなしていくのは時間がかかるからだ。

重要度や優先度でわける考え方もいいと思う。

ほかにも、わたしの場合は「動」の作業と「静」の作業の両方をバランスよく組み合わせると気が散らずに長く続けられる。

動の作業……片づけ、ゴミ出し、料理、掃除機がけなど
静の作業……書類整理、家計簿、予定を立てる、調べものなど


19.キャッチフレーズ的に考える「スリーテーマ」

動きやすい計画の種類は人によってちがう。細かいタイムスケジュールで最大限動ける「きっちり派」とフットワーク軽く臨機応変なのが向いている「ざっくり派」だ。

スリーテーマはそのどちらにも応用できる方法だ。

最初に「今日1日でやりたいことを3つだけ」決める。ポイントはキャッチフレーズ的に考えること。10文字程度の短い言葉で。

たとえば「子どもと楽しむクッキー作り」「熟成された資料のしわけ」「鳥の目で掃除」といったように。
ここに絵文字をつけるとさらに記憶に残りやすい。

🍪子どもと楽しむクッキー作り
📃熟成された資料のしわけ
🕊️鳥の目で掃除

きっちり派の人は、ここから細かく分けていこう。次の章からだんだん細かくなっていく。
ざっくり派の人はこの3つのキーワードをしっかり暗記するだけでいい。また、「いまこの瞬間」に注目しながら後述する「スリークエスト」「リミット15」のいずれかを選んで動くのもおすすめ。

20.臨機応変に動けるようになる「スリーブロック」

スリーブロックは、1日を「朝・昼・夜」の3つの時間帯に分けて考える方法だ。

そしてそれぞれに3つずつテーマを決めておく。

たとえばこんなふうに。

朝:
🍳作り置きたくさん
👟靴を洗う
👔アイロンがけ

スリーテーマと同じなのだけれど、もう少し狭い範囲の具体的な目標を決めることで動きやすくなる。

21.決めるだけでどんどん終わる「スリークエスト」

スリークエストは「1時間ごとに3つ」の時間術だ。
このとき大切なのが「次の正時までに3つ」という部分。

※「正時」というのは「16:3」や「16:57」ではなく「16:00」のような「◯時ちょうど」の時間帯を指す。

☓16時台にやること3つ
◯17時までにやること3つ

ゴールをはっきりさせる。だから「目標時間までに終わりそうなこと」が自然と目に入ってくる。

・今が16時3分なら残り時間は57分
・今が16時53分なら残り7分

できることは内容も量もぜんぜんちがう。

例:いまが16:53のときのスリークエスト
🥤水分補給
👕入浴後の服を用意
🧴シャンプー詰め替え

▼詳細はこちら。


22.なにも決めたくないときの「リミット15」

「3つを決めることですらしんどい」

そういうときは「リミット15」がおすすめ。

1時間を「00分・15分・30分・45分」に切り分けて、そこから次のフェーズまでにやりたいことを「1つ」決めて動く方法。
終わらなくてもよくて「スタート」だと考えよう。

例:いまが16:03の場合
①00
②お風呂を洗う

ざっくりでいいから、頭がぼんやりするときに試すと楽になる。

▼詳しくはこちらへ。


23.AIを使って時間管理をする方法

昨年、悲しいことがあってどうしても動けない時期があった。

タスクは書き出したけど頭が働かなくって、なにからやったらいいか決められない……。リミット15ですら無理。
その時期に役立ったのが「AIスリクエ」。

先ほど紹介した「スリークエスト」を、AIに決めてもらう方法。タスクさえ書き出しておけばあとは丸投げできるから楽。

▼詳しくはこちら。記号はつけなくてもできるけど、自分に合ったカスタマイズの精度は落ちる。


24.待つのをやめるだけで、時間が2倍になる

家族と暮らしていると、たくさんの「待ち時間」がある。

たとえば、
・家族を起こしたのに起きない。遅刻しないために時間をおいて、ふたたび起こす。
・自分の身じたくは終わったのに家族は終わっていない……。

こういうとき「待たされている」と思うと、だんだんイライラしてしまう。

だから待つのをやめた。自分のために時間を使うようにした。

・廊下をフロアモップで綺麗にする
・床にばら撒かれた本を拾う
・タイマーをセットして短時間本を読む

その場から動かずにできる小さなことを探して動くようにしてみた。

待っている間が雑務の時間にかわり、イライラしにくくなった。
(※遅刻の焦りがない限りは)

▼ゲームやYouTube、漫画アプリなどの”待ち”時間を活用するコツ


25.「朝1時間」のデジタルデトックスで暮らしが変わった

スマホのアラームで目を覚ました。大きく伸びをして、あとは1時間、箱のなかに隠す──。

長期休暇以外は、朝起きてから1時間はスマホを見ないというルールを決めてみた。
これがすごく良かった。

急いでいるときに「天気調べなきゃ」「(朝食のレシピの)分量忘れちゃった」とスマホを見て、ふと通知に気づき手が止まる……ということがなくなった。

制限解除されるまで、目についたところの片づけをして過ごす。朝の光を浴びながら動いているとだんだん頭もすっきりしてくる。
1時間経ってもまだゆとりがあることで、思っていた以上に「朝ぼーっとスマホを見ている時間」が多いのだと気づかされた。

ちなみに「1時間」はわたし個人の目標だから、出勤までの時間などに合わせてもちろん自由に調節可能。15分でもきっと効果がある。

▼詳しくはこちらへ。


26.時間を逆算するコツは「やじるし」

旅行や運動会など、いつもと違う予定がある日は、前夜のうちに「逆算スケジュール」を紙に書いておく。できた日とできない日では、朝の余白がぜんぜんちがった。

逆算スケジュールをつくるコツは3つ。

1.到着時間を最初に決める
2.上向きのやじるしでつないでいく
3.最終チェック時間10分をとる

大切なのは「家を出る時間」じゃなくて「到着時間-5分以上前」を最初に決めておくこと。

例:
8:50 幼稚園の教室

8:40 駐車場に到着

8:10 家を出る

8:00 最終チェック


6:00 起床

ゆとりを持ちながら掘り下げていくと、最適な起床時間が導き出せる。

▼ここでは書き込み式のシートを配布している。持ちものなどもメモできるから、特別な日はこれだけで予定が立てやすくなる。


27.時計を見なくても遅刻知らずになれる

スマホのアラームを駆使すると、時計がなくても遅刻知らずの自分になれる。

▼設定方法はこちら。

注意点は「くり返し」設定をする場合。
イレギュラーな予定があるときの解除し忘れに注意すること。また、解除したあとにもとに戻すのも忘れてはいけない。


28. 3種混合家事でうまくいく

3種混合家事(あるいはトリプルアクション)と呼んでいる時間術がある。

これは、3種類のタスクを混ぜて計画を立てるもの。

1.「静」と「動」
2.「義務」と「癒やし」
3.3つの場所

3種類を混ぜることによって、集中力をキープできる。

▼詳しい解説はこちらへ。


29.家事を予約するだけで、だらだら対策になる

予定のない休日が苦手だ。

わが家は、夫が土日のどちらか、あるいは両方出勤することがある。子どもたちといっしょのワンオペデーを充実させるのはなかなかむずかしい。

こういうときに行なうのが「予約SKDスケジュール」。自分の頭のなかで「◯時になったら◯をしよう」と決めるだけ。
決めておくだけなのに、時間になるとカチッとスイッチを入れやすい。

だらだらしてしまうのは「やることを考えるのが面倒なとき」も多いなと思っている。


30.「ココロパターン」に合わせて時間を使うと、充実度が変わる

わたしのこころには4つの周期がある。
インプットしたい時期、アウトプットしたい時期、なにもしたくない時期、そしてそこで崩れた生活を立て直す時期だ。

この周期に合わせて時間の使い方を変えると、だらだらしてしまうことが短くなる。
そして、たくさん文章が書けたり学べたり本を読めたり、家がきれいになったりする。

▼長いので解説はこちらへ。

大切なのは「今は何期?」と俯瞰してみること。外側から自分を見てみると、いまがんばっておくべきことが自然と見えてくる。

🗃️片づけ編


31.「好き」がクリアになると、むだ買いを卒業できる

福袋みたいな部屋に住んでいた。

テイストの定まらないいろんなものがごちゃ混ぜになっている。
その状態が好きならいいのだけれど、わたしはいやだった。

当時といまの頭の中身(好きなもの)を比較した図解

好きなものがたくさんあっても、その中から「とくに好き」を絞ることができれば、買いものの失敗が減る。

▼「Myテイスト診断」と「Myモチーフ診断」がおすすめ。

▼好きな色が決まると、あらゆるものが決めやすくなる。

32.専用バッグをつくると、不便さも捨てる罪悪感も消える

「◯◯専用」アイテムをつくると、不要だったものが生き生きと輝き出す。
家事の「かけ算」と関連するはなしだ。

たとえば慌てて病院に行ったらおくすり手帳を忘れた……みたいなことはないだろうか。(わたしはたくさんあった)

そういうときに、バッグごと持ち出せたらものすごく便利。
重くなるのがいやだったら「今日使わないもの」を取り出していくだけでいい。

必要なものが家になければ、DAISOで低予算でつくることができる。


33.わたしが売らない・譲らない理由

罪悪感と戦いながらも、ものはなるべく「捨てる」ようにしている。

売る・譲るといった作業は、とても手間がかかるからだ。
昔、大量の漫画を置くスペースがなくなってしまい、泣く泣く売ると決めた。
手放せたのは2年後だった。

(家に来た漫画好きのママ友が、すべて持ち帰ってくれた)

誰かにもう一度使ってもらうことで、新しく命を吹き込むことができる。
でも、わたしのような「究極のなまけもの」タイプには向かない方法なのだった。

▼熟成させた子ども服は、この方法ならとてもかんたんですぐにハサミを入れられた。


34.たった400円でおもちゃを2倍速で片づける魔法の方法

子どもが2歳のころ、床いっぱいにばらまかれたブロックに悩んでいた。
すべて拾い集めたつもりでも、ソファの下や、棚の裏側から出てくる。

2つのアイテムで解決した。ボールプールとちりとり。

細かい作業をするときは、まずボールプールを出す。それがわが家のお片づけルールになっている。

▼スリコ商品を使っているけれど、見つけられないというママ友もいた(家にくるママ友に人気の片づけアイディアなのだ)。
でもまったく同じものじゃなくても大丈夫。


35.「捨てない片づけ」で罪悪感が減る

汚部屋出身のわたしは、20代前半のころに大量の物を捨てた。かなり心が痛んだ。もう捨てない。そう決めたけれど、ただ生きているだけで物はどんどん増えていく。

レシート、チラシ、ダイレクトメール、ガチャガチャ、バスボール、レストランのお子さまランチについてくるおもちゃ……。

中でも頭を悩まされたのは「いただきもの」だ。仮に好みに合わなくても、パキッと捨てられるほど割り切ることができなかった。

こういうときに役立つのが「家事のかけ算」。
困りごととかけ合わせることで、捨てずに新しい命を吹き込むことができる。たくさん使ってから捨てる。これなら心は痛まない。

たとえばいただきがちなタオルは、プール専用、温泉専用、来客用など専用化していく。
小さなおもちゃは、ある程度集まったら作り変えようと思っている。

▼クリアファイルもノベルティなんかでよくもらうけど、いろいろ使えます。


36.散らかってるなと思ったら袋を持つ

自力で汚部屋から脱出したわたしは、9年前、大きなお腹をかかえながらほくほくしていた。

「今日もなにも物が出ていない状態で眠れる」

でも、子どもが生まれてから、家を「つねにきれいな状態」にするのがむずかしくなった。片づけてもどうせ元の木阿弥。

そう思うけど、雑然としているといらいらするし、集中力も落ちる。
「頭が疲れる」からだ。

目の前にたくさんのものがあると、判断時間がかかる。1秒にも満たない”瞬間”なのだけれど、チリツモで増えていくのだ。

こういうとき一番の解決策は、袋を持つこと。
「片づけよう」と思うと腰が重い。だからもっとハードルを下げていく。

袋は2つ持つ。
ひとつは落ちているものを集めるための袋。もうひとつはゴミを入れる袋。

ゴミは分別をせずに集める。
食事に関係のないゴミは、汚れていないケースが多い。だから、一旦気にせずかき集めて、ゴミ箱に入れるときに分別すればいい。

とりあえず目の前がすっきりすれば、判断時間が減る。頭が疲れなくなる。


37.家事の店じまいに「クロージング家事」

海外のInstagramを見るのが好きだ。日本にはない暮らしのヒントが眠っている。

”クロージング家事”と訳したその行動を見つけたのも、海外アカウントだった。

「closing shift」というタイトルで、海外の女性が夜に家を片づけていく様子が映されていた。検索しても意味がわからなかったのでAIに聞いてみたら「店じまいのための作業を模しているのではないか」ということだった。

この考えがとても気に入ったわたしは、1ヵ所ずつリセットしたら、最後にその場所の電気を消すことにした。
店じまいのイメージだ。

実際に電気のスイッチを押すことで、自分のなかの”家事”も終業できるような気がした。


38.何個あってもたりない収納グッズ「シンプルボトル」

おすすめの収納グッズがたくさんある。もし「いちばん」を選ぶとしたら、セリアの「PETシンプルボトル」を推すだろう。

その名の通り、シンプルなボトルだ。
けれども恐ろしく使い勝手がいい。

サイズ感が最高。透明だから中身がひと目でわかる。透明度の高いプラスチックなのでひと手間でちょっとおしゃれな収納にもなる。
家じゅうのこまごましたものを入れるなら本当に便利なのだ。

ほかのおすすめ収納グッズが知りたい人は、ブログ内で「🔎収納マテリアル」を検索。

39.使い終わった容器を”採集収納”に

最小限のお金で「シンプルボトル」のような収納アイテムを手に入れる方法がある。

そのひとつが「海苔の空き容器」だ。
使い勝手はほとんど同じだけれど、海苔を食べ終えたら自動的に1つ手に入る。

難点は一気に集められないこと。”採集収納”と名づけて、集める過程も楽しむのがいいかもしれない。

綿棒ケースや、ジャムの空き瓶も最高。


40.集荷場所をつくると片づけやすくなる

マンションと戸建て。
片づけのうえでもそれぞれ異なるメリット・デメリットがあった。

戸建てに住むようになって困ったのが「定位置に戻す作業」。
子どもたちが1階でぬいだくつ下は、わざわざ2階に運んで洗濯し、また1階の収納場所に戻さなければいけない。

(※くつ下は出かける直前に履くので2階収納という解決策は考えていない)

こうした「ほかの部屋に持っていかなければいけないもの」が1日の間にいくつもいくつも出てくることに頭を抱えていた。

そこで「カゴ」を用意し、決まった場所に置くようにした。
ほかの部屋に運ぶものはカゴに入れる。そしてそこに移動するときにまとめて運ぶ。

もっと小さな入れものを使えば、帰宅後の仕分けにも最適。


41.「場所ごと固定」すると、雑務がはかどる

はじめて整理収納アドバイザーの講座を受けたときのこと。

「はさみは家に1本でいいんです。ぜんぶ捨てましょう」

講師個人の経験談からのはなしだ。そのときはなるほどと思った。1本に絞った。すると、いろんな作業が不便になってしまった。
どうやら性格や間取りによっては、合わないようだ。

いま、はさみは家にいくつもある。
使うたびに取りに行かなくていいようにするためだ。

玄関のはさみは、封筒を開けたり、購入したものの値札を切ったりするのに使う。LDKは広めなので5つ置いてある。子どもたちが工作に使うはさみ、キッチンで包装を開けるはさみなどだ。

このとき大切なのが、物に「住所」をつけておくこと。

はさみをどこに戻すのか、白いペンで書き込んだり、タグなどを使ってわかるようにしておく。
家族が持ち出しても、見つけたらもとの場所に戻せる。


42.ダイニングに「ラーメン屋式」の収納を取り入れると楽になる

ダイニングテーブルの後ろには、造り付けの大きな棚がある。中には”回転台”と呼ばれる収納アイテム。
丸い形の台で、くるくる回すことができるものだ。

常温保管できる調味料をまとめてあって、食事のときに出しておけば、家族それぞれが勝手に「ちょい足し」できるようにしている。

もう「ママあれ取って」と言われない。
調味料は丸シールに名前を書いて貼っておくと、戻す位置がわかりやすいし、在庫切れもすぐに見つかる。


43.モノの定位置は「使う場所」につくる

物は「種類別」になかまわけするのがいいと信じていた。
ペンやはさみはペン立てに、本は本棚に。

いまは「使う場所に置く」のが大事だと思っている。
たとえば、ペンやはさみは家じゅうのいろいろな場所で使う。レシピ本は本棚に入れていたけれど、キッチンに置いたらすぐに開けるようになった。

”種類”の垣根を取り払ってみると、本当に置くべき場所が見えてきた。


44.収納スペースが少ない人は「図書館式」収納でうまくいく

13.5畳の部屋で子育てしていた。とにかく収納スペースが足りなかったけれど、絵本は減らしたくなかった。
そこで「図書館式」収納を意識したらよかった。

まずはベースの収納場所を決める。書庫のようなイメージ。デッドスペースになっていたベッド下に段ボールケースを入れ、たっぷりの絵本を詰めておいた。

一方、すぐに手が届くテレビボードにもミニ本棚をつくる。ここに置いていいのは10冊の本だけ。
毎週、ベースの収納場所から取り出してきた「10冊」と交換する。


45.佐木山 登志花をつかまえたら、片づけも楽になる

時間泥棒「佐木山 登志花」は、「片づけ」のシーンにもたくさん潜んでいる。
とくに多いのは「迷う」と「取りに行く」。

「あれはどこだっけ?」
「あれを取ってこないと」

この2つが片づけの迷宮をつくっている。

迷うものにはラベリングや記録。
何度も取ってくるものは場所の見直しが有効。


🍚ごはんしたく編

はじめて読んだ漫画は『美味しんぼ』。次が『クッキングパパ』。いずれも父の本棚にあった。

子どものころから食べるのが好きだった。
レストランに行けば、これはどんなふうに作られているんだろうと気になる。スーパーではじめての野菜を見るとときめく。

母はあまり台所に立たせてくれなかったけど、自分の手で料理をつくることに憧れていた。

ところが。

「自炊、苦手、かも……?」

そう思ったのはいつだっただろう。
10年以上が経ち、苦手なのは料理じゃなかったことに気がついた。


46.ごはんしたく、作る時間はじつは「1割」

「わたし、料理が好きじゃないんだ」

愕然とした記憶がある。たぶん新婚時代だと思う。

けれどもこの10年間で気がついた。苦手なのは料理じゃない。
”ごはんしたくの中のひとコマ”なのだ。

家事の「わり算」の部分で書いたけれど、ごはんしたくには、じつにたくさんの工程がある。

献立決め。決まらない場合は検索したり本を読んだりして調べる。在庫チェック。なるべく使い切れるように確認する。買い出し。必要なものを過不足無く買う……。

「料理をつくる」以外の時間がほとんどで、じつはつくる時間そのものは少ない。どこにつまずいているのかをコツコツ探すことで、少しずつ自炊が楽になってきた。


47.朝食は主食を曜日固定するといい

わが家では、みんながほぼ朝食を食べない。がっつり派のわたしとは大違いだ。

つくっても余るし気分じゃないと文句が出るので、セルフで好きなものを、という方式に変えつつある。

しっかり作っていたときは主食を「曜日固定」する方法がよかった。
たとえば月曜日はおにぎり、火曜日はサンドイッチ、水曜日はフレンチトースト……みたいな感じ。

基本はパンだけとかおにぎりだけを好む子どもたち。でも、冷蔵庫の材料と相談してたまーに曜日固定に戻してみると食いつきがいい。

子どもたちもわたしと同じで「飽きっぽい」のかも。

もう少し踏み込んで決めておくなら「たんぱく質」の固定もおすすめ。
わが家では、朝食の「たんぱく質」は「たまご」「ツナ」のどちらかだ。


48.じつは一番献立決めがむずかしいのは一人の昼ごはん

なにをつくろう。

一番むずかしいのは、じつは、ひとりの昼ごはんかもしれない。自分だけだからなんでもいいか、と思いがちだった。

献立決めには意外とエネルギーが必要なので、自分ひとりのために考えるのが面倒になってしまう。

一人の昼ごはんは、まず「残りものがあるか?」で決める。
あるならそこを軸に組み立てる。

つくりたくないときはレトルト。

0からつくるときは「たんぱく質」を先に選んでみたり。
思考の道すじをつくっておくと決めやすくなった。

▼ちょうど3年前にリリースして、今でも毎日たくさんの人が使ってくれている「ランチ診断」。この思考の道すじを生かしてつくった。質問に答えるだけで今日のひとりごはんが決まるもの。


49.夕飯は28パターンのメインおかずを決める

家族と暮らすようになって困ったのは「食べたいものがちがう」ということだった。

たとえば娘とわたしは「エビ」が大好きだけど、夫と息子はきらい。こういう「誰かが食べないもの」がたくさんあるから、メニュー作りに困る。

「これは(だいたいみんなが)食べるな」というメインおかずを調べてみることにした。そして曜日ごとに7パターン✕4週間分当てはめて、28日サイクルで同じ料理をつくっていくルールにした。

すると驚きの変化があった。
疲れた日でも自炊が苦にならない。買いものも早く終わる。

くり返し作るものの、同じメニューが来るのは4週間後だから飽きることもなかった。なお、当日作れなかった場合は、どこかを削ってずらして微調整する。

「いつ、何を、どうつくるのか?」この3つが決まっていると、脳のリソースが少なくてすむみたい。

▼詳しいつくりかたや、選ぶだけでつくれる方法などはこちら。


50.ひとりレトルトミシュランのススメ

レトルト食品や冷凍食品を使うのに、罪悪感があった。
でもどうしても作りたくない日はやっぱりある。

そこではじめたのが「ひとりレトルトミシュラン」という取り組み。娘が離乳食を食べていた時代のことだ。毎週金曜日、夫は会社の飲み会でごはんがいらない。
じゃあ、作らなくてもいいかな、と思った。

スーパーのレトルトカレーのコーナーをのぞくと、いろんな種類のカレーがあった。

それを一つずつ買って、金曜日に食べてみる。これは好き。これは辛いかも。そんなふうにして好きなカレーを発掘していく。意味をもたせることで、罪悪感なく楽ができた。


51.「2割献立」なら臨機応変に対応できる

小学生のとき、給食表を読むのが好きだった。今日たべたおいしかったあれはなんだろうと調べるのが楽しかった。好きなメニューが載っているとわくわくした。

それを思い出して一汁三菜すべてを事前に決めてみたことがあった。給食みたいに。

残念ながらまったく続かなかった。イレギュラーな予定が入ったり、体調を崩したりしたからだ。「アニマル家事タイプ」でいう”クマ”タイプなら合っているかも。

朝食の「主食しばり」、夕食の「主菜しばり」といったように、献立のごく一部を固定しておく方法のほうがわたしには合っているみたい。

0から組み立てると大変。でも、すべて決めてしまうと、できないときの食材管理がむずかしくなる。
だから2割だけ決めておく。
買いものはしやすくなるし、余った食材を組み合わせた臨機応変な献立がつくりやすくなった。


52.料理のレベル表を自分でつくるとこつこつ上達する

自炊に求めるものは、たぶん人によって大きくちがう。

わたしは子どものころから”おしゃれな料理”が好きだった。
ていねいな盛りつけで、テーブルコーディネートも凝っていて。そういうのを自分でつくることに憧れていた。

けれども実際には、20代前半のわたしは、朝食すら用意することができなかった。

自分のレベルが低いのに頭の中にある”お手本”のレベルが高いからだ。
実家で食卓に並んだ”旅館の朝ごはんみたいな料理”。その「品数の多さ」を理想としてしまったから、どうしていいかわからなくなったのだ。

夫は朝食をたべたくない人なので、ひとりぶん。
まずは自分のスムージーをつくることからはじめた。材料も洗いものも少なくてうまくいった。お茶漬けにツナや豆腐を足すだけでも良かった。

いまの自分の立ち位置を知って、少しずつレベルを上げていく。
ゲームと同じで、経験値を積むことが遠回りに見えていちばん近道なのかも。

▼これはわたしは10年前につくったレベル表と、10年後の結果について書いた記事。

※レベル表自体は、もっと細かく、ハードル低くつくっていたほうが達せ感があってよかったと思う。


53.「昆布水」を常備するだけで捗る

うちの冷蔵庫に、一年のうち300日くらいは入っているものがある。それは「昆布水」。

冷水筒に水と昆布を入れただけ。目分量でよくって、1Lくらいの冷水筒にだし昆布を1~3枚入れている。

ポイントは”佐木山登志花”の確保。
迷わずつくれるように、冷水筒の外側に油性ペンで目盛りを書いてある。

ここまで入れたら400ml、ここなら800mlとわかるように。昆布は何枚入れるのか、鰹節も使いたい場合はどうするのか。
そういったメモも外側に書いてある。

昆布水のいいところは、和洋折衷どれでも使えることだ。以前は「煮干し水」と「鰹水」を用意していたのだけれど、予定が変わってつくるものが変わると困った。

なんなら、インスタントラーメンをつくるときも昆布水で茹でたりしている。


54.レシピ本を使う前にやっておきたいこと

子どものころから、レシピ本を読むのが好き。たくさん持っている。
でも、どんなに好きな料理家さんの本だとしても、すべての料理を作れるわけではない。

家族や自分それぞれの食材の”好き嫌い”があるからだ。

だから、レシピ本を買ったら、ちょっと申し訳なさもありつつ、目次にひと工夫。本をめくりながら「これは絶対に作れないだろうな…」と思うメニュー名をマスキングしておく。

すると目次が「好きな料理だけのリスト」に変わる。

レシピページそのものをなくすわけではないのがポイント。
いつか好みが変わったら、ぱらぱらめくってたどり着くこともできる。


55.自炊のコツは「時短」と「わくわく感」のバランス

家事の中でも、いちばん労力がかかるのは、じつは「自炊」かもしれない。目に見えない工程がとても多くて「作る」以外にも時間がかかっている。

物価が上がっているこのご時世だからこそ、なるべく自炊したいけれど、こんなにも工程の多い作業を毎日続けていくのが、大変なポイントだと思っている。

10年やってみて思ったのが「とにかく料理が好き!生きがい!」という人でなければ、やっぱり飽きがくるということ。
「時短」と「わくわく感」のバランスを意識するといいかも。

時短レシピはとっても便利なのだけど、ずっとそれだけを作っていくと、徐々に無機質な作業感が出てくる。つまり、飽きる。

逆に、凝った料理ばかりがんばろうとすると、大変すぎて続かなかった。

人によって比率はちがうと思うのだけれど、わたしの場合は1週間の自炊を、

時短7:わくわく2:作らない1

にすると楽になるようだ。

56.LINEを使えばもうレシピを探さなくていい

LINEの「ひとりグループ」を情報管理に活用している。

グループ機能を使ったことのある人は多いと思う。ひとりグループは、メンバーを「自分だけ」にしたグループだ。

「家のこと」「仕事」「読書」など複数のグループをつくっていて、気づいたことや見つけたことを、そこのトーク画面にぽんぽん投げていく。
また見返しそうだなという内容はノートやアルバムに。

個人情報を記載しないように注意したほうがいいと思うけれど、ひらめきや思いつき、ログという観点ではとても優秀だ。

わたしは長年「前につくったレシピ、おいしかったのにどこだろう」と悩んでいた。また、佐木山登志花だ。迷う。調べる。
レシピノートにまとめたりもしたけれど、子どもが生まれてから、手書きする時間が取れなくなっていたのも大きい。

つくって「また作りたい!」と思ったら、レシピURLをすぐにコピー。「料理」と名づけたグループのトーク画面に放り込むことにした。ちなみにURLだけじゃなく「料理名」などのキーワードも打ち込んでおくと、検索することができる。

ノートにまとめるのは、いつか時間があるときに。とりあえずトーク画面を遡ったり検索すれば大丈夫!という環境にしておく。

佐木山登志花の登場は大幅に減った。

▼詳しい使い方はこちら。


57.「50gの無塩バター」を冷凍しておくとお菓子づくりが気軽にできる

中学生のころ、友だちの家に遊びに行ったときのこと。

彼女のおかあさんはワーママで家にいなかった。しんとしたダイニングテーブルのうえに、ラップをかけたかぼちゃプリンが2つ置かれていた。

「ママの手作りなんだ」

そう言って笑う友だちに憧れた。かぼちゃプリンはもったりと甘くておいしかった。

すごい。素敵なママ。
わたしも大人になったらそういうふうにお菓子つくってみたい。その思いはこの日に生まれた。

母歴8年目。ようやく手作りお菓子を用意できる日が出てきた。

ポイントは「50gの無塩バター」を冷凍しておくこと。

購入したときは塊になっているのを、50gずつに切り分けて、ひとつずつラップに包んで冷凍庫に入れておく。

50gの無塩バターが必要なレシピは多い。そしてたいていが「バターを切り分け、室温に戻すところ」からスタートする。
だから、取り出すだけで良い状態にしてみたら、ずいぶんいろいろ作れるようになった。


58.”特別な日のごちそう”を定番化するメリット

はじまりはすき焼きだった。

実家で過ごす大晦日の夜は、いつもすき焼きだった。その日だけの特別なご馳走が、わたしのこころに強く残った。

いま、母になった自分も同じことをしている。大晦日の夜はすき焼き。子どもたちは22時には寝てほしいから年越しそばはお昼に。遡って12/30にはちょっと特別なシチュー。クリスマスはパエリアとビーフシチュー……。

つくるのが大変なものを、特別な日の”毎年の定番”にする。
記憶に残りやすいだけじゃなくって、つくるのも楽だ。メインが決まっていることで考える時間が減るので、副菜に新しいものを作ってみようかなという心の余裕が生まれるのもうれしい。

毎年の定番8割、新しいものや工夫を2割入れていくこのスタイルが合っているみたい。


59.家事代行サービスから学んだ料理事始め

2人目の子どもを妊娠しているとき、不安があった。里帰りがむずかしい。部屋も狭いのでヘルプに来てもらうこともできなかった。

産後すぐの間だけ、家事代行サービスを頼んでみようと思い立った相性を見るために数人、依頼した。その中で、シェフとしてお店に立っていた経験のある人の動きが、すごかった。

当時住んでいた東京のキッチンは、家族で暮らしているにしては、とにかく狭かった。

「使っていい食材・容器をすべて出していただけますか?」

キッチンの調理台、コンロカバーの上、後ろのテーブルまですべて使って、すべて取り出すところからはじめた。

冷凍ストック、缶詰などすべて。こんなに大量に出して大丈夫なのか不安になったけれど、彼女はにっこり笑って「大丈夫ですよ、余りませんので」と言った。

そして実際に余らなかった。3時間で30品近くの作り置きをしてくれたのだった。

最初にすべて出す。
そして俯瞰することが第一歩なのだと知った。

▼続きはこちら。他のコツも。


60.レシピを見ないで副菜をつくるコツ

数年前まで、副菜をつくるときはこんなふうにしていた。

🔎きゅうり もやし レシピ

次に、出てきた候補の中から、今家にある食材だけで作れるものを探す。
さらになるべく少ない手間で作れる、おいしそうなど、独自の基準で絞る。ここまでで結構な時間がかかっていた。

今は違う。相性の良さそうな野菜を見たら、次はたんぱく質を探す。ハム、ツナ、ちくわ、かまぼこ、サラダチキンなどのうち、家にあるもの。

それから数パターンの”たれ”の中で、家にある常備菜とかぶらない味つけを探す。「めんつゆ+マヨ」や「胡麻油+ポン酢」など数パターン。

最後にトッピングを選ぶ。胡麻、鰹節、塩昆布、海苔のいずれかが多い。ちなみに胡麻だけでも4パターンある。すりごまかいりごまか、白か黒か。

組み合わせを変えるだけで、同じ食材でもかんたんにバリエーション豊かな副菜ができるようになった。


🧹掃除編

学校の掃除の時間が大きらいだった。のちに意外な理由に気がつく。

それは雑巾だった。小さな手ではしっかりと搾りきれない真っ黒な雑巾は、棘のように毛羽立っていた。そして、水にぬらすと、生乾きの不快なにおいが立ち昇ってくる。

家庭のなかの掃除にも、そういう意外な理由はいくつもごろごろところがっていた。


61.「こまめ」とそれ以外に分けて考えるのが基本

そうじを続けるコツは「こまめ掃除」と「それ以外」に分けることだと思う。たとえばトイレそうじ。できるだけ毎日しているのは3つ。

1.トイレットペーパーでペーパーホルダーや棚のほこりを軽く取ること
2.床をペーパーモップでから拭きすること
3.洗剤をつけたトイレットペーパーで便器を拭くこと

これがこまめ掃除。

そして、毎週水曜日は「集中そうじ」をする。洗剤を入れて中をきれいに洗う。床も洗剤をつけて水拭き。トイレットペーパーの在庫を点検。こまめ掃除ができない日があっても、この日に遅れを取り戻せば大丈夫。

こんなふうに分けてやっていく。
「こまめ掃除」は5分程度で終わるものにしないとやらなくなるので注意している。

62.掃除道具はいくらあってもいい

東京の13.5畳の部屋に住んでいたのに、小さなほうきとちりとりが部屋に3個もあった。掃除道具はいくらあってもいい。
気づいたときにぱっと手に取れる。それだけで掃除のしやすさが上がる。

DAISOのマルチほうきも便利だ。これは6個買った。玄関、外回り、階段、洗面所、寝室、そしてダイニングテーブルの隅っこに設置している。

ダイニングを歩くと、いつも子どもたちが落としたパンくずを踏んで不快だった。掃除機を取りにいくのも面倒。
ダイニングテーブルの隅っこ、見えない場所に、ミニ掃除機とマルチほうきを設置した。

気になったらすぐにマルチほうきでかき集め、ミニ掃除機で吸い込む。今までよりずっと楽になった。


63.大切なのは「手入れ」のしやすさ

この10年で数回、家電の買い替えも経験した。そのときわかったことがある。面倒くさがりな性格のわたしでも掃除を習慣化するために大切なのは、シンプルな構造だ。

毎回説明書を見ないとやり方がわからないようなものは、手入れを放置しがちだった。

そういう意味でいうと、DAISOのマルチほうきは便利だ。普通のほうきと違って穂先がシリコン製になっているので、汚れたら水洗いすればいいだけ。

この時代にエコではないけれど「使い捨て」できるものを活用するのも、掃除の習慣化のためには一案だと思う。


64.手が汚れないようにするだけで、掃除のハードルが下がる

とくにきらいな家事には共通点があった。
道具を増やして、すぐ取れるようにしても放置してしまうもの。それは「手が汚れる」家事だった。

たとえば洗いもの。洗面所のそうじ。トイレの集中そうじ。そして、お風呂そうじ。

手が濡れたり汚れないようにするだけで、少しハードルが下がった。


65.掃除が進まないのは準備不足が原因だった

「掃除をしよう」という気持ちはあるのに、動き出しても途中でやめてしまう。そういうときは、準備不足が原因になっていた。

たとえば、掃除の仕方がわからなくて、説明書を探したり、検索したりする。必要な洗剤がわからない。重曹やクエン酸などはどちらを使えばいいか迷う、などなど。
またもや佐木山登志花のしわざなのだった。

わからないものは面倒でも記録したほうが結果的には早い。そして、道具が足りないというケースは、そうじバスケットをつくると良かった。とりあえずそれを持ち出すところからはじめると、掃除のハードルがぐんと下がった。


66.掃除のコツは天気を調べること

天気に左右される掃除がある。

たとえば洗車の翌日に雨が降ったら台無しだ。外窓や網戸のそうじも同じ。でも、雨の翌日なら、湿気ですこし汚れがゆるんでいたりする。

集中そうじは、曜日や日にちのちからを借りて覚えやすくしつつ、天気をしらべてどれをどのくらいやるか決めるのが良かった。


67.「ながら掃除」に向くアイディア

ひとつのことに集中するのが好きじゃない。
手を動かすときも、ほかのことをしていたい。

だから、『ながら掃除』ができる場所と、できない場所を見極めるようにしている。

たとえば、家具や床の拭き掃除は音楽を聴きながらできる。でも、掃除系のタスクは動画を観ながらは無理。片づけやアイロンがけならしやすいのだけれど。
お風呂掃除は濡れるし音も聞こえにくいから、目の前のことに集中するしかない。

掃除と好きなことを組み合わせると、面倒くささはぐっと減る。だから場所ごとに『好きなこと』をセットにするといい。

ちなみに、お風呂掃除みたいに『集中するしかない掃除』は待ち時間を使う。たとえば、お菓子が焼き上がるまでとか、印刷や写真のアップロード中とか。

時間を上手にかけ合わせれば、そうじが少し、楽になる。
パズルみたいでちょっとたのしい。


68.朝一番にひどい汚れに着手すると、一日中がんばれる

朝の行動が、一日の質を決める。
排水溝やトイレなど、さわりたくない部分を最初に片づけてしまうと、ぐんとハードルが下がる。

「あれよりはましだなあ」と思えるからだ。

この考え方は掃除以外にも応用できる。
仕事や勉強も、やっかいなタスクを朝いちばんに終わらせれば、そのあとの時間がずっと軽やかになる。


69.「汚れ」はこころのバロメーター

家じゅうが曇っている。
グレーの棚はぼんやりと濁った色で、ブラインドにはほこりが薄くつもっていた。紐を引いて上げると、隙間から差し込んでくる日差しで、きらきらと砂金のように光る。

こういうときは、しかたないと思うようにしている。

家族からしたら納得できないかもしれない。
でも、時間があるにもかかわらずこうなるときはたいてい理由がある。こころが故障しているからだ。

昨年、10年暮らした猫を亡くしたあとも、掃除や片づけをなんとか続けていた。けれど、ぼんやりすることが多くなり、今まではできていた『日々の家事以外』に手が回らなくなった。
負債は積み重なり、こころの回復とともに、年末になってようやく精算できたのだった。

ごちゃついた部屋も、曇った家具もいやだった。ここまで長期間手が回らなかったのは本当に久しぶりだった。
家族にはちくちく言われる。けれども、必要以上に自分を責めないように気をつけた。

汚れはこころのバロメーターなのだ。
曇った空から雲を吹き飛ばせないのと同じ。少しだけ待ってみてもいいと思う。

片づけを始められたら、もう大丈夫。こころも少しずつ晴れていく。


70.ごちゃつきハウスの応急処置に「1ヵ所聖域化」

部屋を見渡してため息が出る。
散らかりすぎて、どこから手をつけたらいいかわからない。

そんなときは”1ヵ所聖域化”がおすすめ。

たとえば、ダイニングテーブルに注目してみよう。
まずは物をすべてどけて定位置へ。パンくずをはたき落とし、水拭き。輪染みや油汚れが消える。仕上げに乾いた布で磨き上げる。
つやつやに光ったテーブルを見ると、浄化されたような気持ちになる。

この”聖域”をきっかけに、ほかの場所も片付けたくなるから不思議だ。

逆に、1ヵ所が”魔界”になったときは要注意。
使い終わったコップやゴミ、読みかけの本などが積み重なると、周りもあっという間に汚染される。
気づけば負の連鎖が始まり、家じゅうが荒れてしまう。

散らかりすぎて掃除までたどり着けずに困ったら、まずは聖域をひとつ作ることから始めよう。


👗洗濯編

はじめてひとりで暮らしたのは、築30年を超える古いマンションだった。
洗濯機はベランダにあった。

暑い日も寒い日も、外に出て洗濯をした。それなのに不思議と「面倒だなあ」と思った記憶が少ない。

からからと回るその日2度目の洗濯機の音と、ベランダに落ちる日差しが印象に残っている。空の表情を探りながら、タオルがふわふわになるように振りさばく、爽やかな音が響いた。
青が透き通る日もあれば、雲が重たく垂れ込める日もあった。

洗濯はたのしくない。でも、あの4年間、空を見上げてながら干すのだけは、好きだった気がする。

71.洗濯は「しわけ」が9割

洗濯の命運は「しわけ」にかかっている。

タイミングは3回。
洗濯機に入れる前、干す前、畳む前。

しわけをしなくても洗濯はできる。

でも、早く終わらせたいなら、急がば回れ。最初にひと手間かけておくほうがいい。たとえば、色柄ものと白いものをわけておく。ハンガーに干すものとピンチで干すものは同時に洗わない。干すときに戻す場所別にわける。畳む前に、同じ種類の服どうしになるようにする。

小さな工夫が、時間をぐんと節約してくれる。


72.場所別のカゴがあると楽

洗濯ものは「配達」する。

戻す場所別のカゴを用意しておくと便利だ。洗面所、子ども部屋、クローゼット……。配送ルートごとに専用車を決めておく。

カゴじゃなくてもいい。大きめのメッシュバッグなんかも軽くて引っ掛けられて便利。

コツはラベリング。
行き先を明示しておかないと、配達ミスが起こることもあるので注意。

73.糸を通しておけば、すぐ繕いものができる

「ママ、やぶれちゃった」

娘が持ってきたのは、マントが破けた人形のドレス。いつかやろうと思いながら1年も放置してしまった。
その間に娘は、人形遊びを卒業してしまった。

繕いもののハードルを上げているのは、糸を通すひと手間。目的の色を探し出し、何度も失敗しながら針に通していく緻密な作業の億劫さだ。

10色の糸を針をセットにし、それぞれ糸を通した状態で保管するようにした。

少しの工夫で「やらなきゃ」が「すぐできる」に変わった。


「はやくなおしてっ!」

照れたように怒りながら5歳の息子が、猫よりずっと大きなマリオのぬいぐるみを持ってきた。……はげて、いる。


帽子と頭をつなぐ部分が取れたみたい。セロテープで苦心したあとが見える。

わたしはすぐに、赤い糸を取り出した。


74.くつしたと下着は「同じセット」を持つといい

くつしたや下着は、ペアを探すのに意外と時間がかかる。

通勤や通学用のものだけでも「同じセット」を複数持つといい。
たとえば色も形もそろえたものを用意すれば、もう片割れ探しをしなくていい。

その日の気分で選べなくなってしまうけど、管理はとってもらくになる。


75.家族ごとの「テーマ」があれば迷わない

元日に、タオルを下ろした。

家族それぞれ「MyカラーあるいはMyモチーフ」を決めてある。
夫はダークグレー、わたしはくすみパープル。娘はシマエナガ模様、息子は星柄。

だれのものかひと目でわかる。

この方法は、片割れ探しが大変なくつしたや、下着類にも応用できる。

家族全員のカラーが同じだと混ざってしまうのだ。全員黒いくつしたにしたところ、誰のものか判断するのに時間がかかり困った。

定位置には「Myアニマル」を決めてシールを貼ってある。


76.服の並べ方いろいろ

東京の小さな部屋でふたり暮らしをしていたころのことだ。

よく晴れた7階のベランダに”虹”がかかっているように見えた。服を干すときに、色がグラデーションになるように並べていたのだ。

わたしはものを探すとき“色”で判断しているようだ。この並べ方にしてからは、どれがどの服なのか一目でわかるようになった。

でも、家族が増え、服も増えると”虹並べ”は難しくなった。

いまは「戻す場所別」に分けて室内干しをしている。たとえば、このコーナーには子どものパジャマ、ここは大人の外出着といった具合に決めておく。こうしておくと、乾いたあとの片づけもスムーズだ。

クローゼットに収納するときも、いくつかの工夫がある。

種類別に並べる … スカートやトップスを分けると、選びやすくなる。
グラデーションにする … コーデの組み合わせが判断しやすくなる。
高さで組み合わせる … 同じ色なら、右側が短くなるように並べるとバランスが取れる。

並べ方を変えるだけで使いやすくなる。見た目が綺麗になる。

77.「ストックボックス」をつくる

「くつが痛い」

娘がそう言ったのは、ランドセルを背負ったあと。午前7時半だった。

なんとかしてあげたいと思っても、とつぜん言われてもどうしようもなかった。

この経験から「ストックボックス」をつくることにした。

次も使うとわかっているものは、あらかじめまとめておく。

・夫の通勤用くつ下は、同じものを10足セットで用意。
・子どもたちの靴は、1サイズ上を買って名前を書き、すぐ使える状態でストック。
・下着も同じものを複数まとめて買っておく。

この方法にしてから、朝の慌てるシーンはぐっと減った。 楽天の買い回り期間、あと少しなのに買うものが思いつかない……というときに、ストック集めをしておくのもおすすめ。


78.気温別コーデ表があると朝迷わない

今日は暖かそうだな。

そう思って薄着で出たら、風が強くて凍えるような寒さだった。公園で伸びやかに遊ぶ子どもたちとは対象的に、日なたのベンチで背中を丸め、ホットのほうじ茶をカイロ代わりに握りしめていた。

こういう失敗を防ぐために、わたしは「気温別コーデ表」を作っている。

朝、天気予報をチェックして表を見るだけで、着るものに悩まなくなった。

忙しい朝にひとつでも考えることを減らせると、その日一日がうまく回る気がする。


79.パジャマの定位置は洗面所が正解な理由

実家にいたころ、お風呂がきらいだった。
入らなくちゃと思いながらも、どうしても腰が重い。母が急かす。弟がまだかと聞く。
当時は自分がだらしないせいだと思っていた。

でも違った。

実家は2世帯住宅なので大きめの家だった。お風呂に入るには、3階の自室まで上がってパジャマを取りに行かなければならなかったのだ。

これが、わたしの“めんどう”を生み出していた。

答えに気づいたときから 「パジャマは洗面所に置く」 と決めている。お風呂上がりにすぐパジャマが手に取れるだけで、お風呂は癒やしに変わった。

使う物を使う場所に置く。

たったそれだけで、行動のハードルはぐんと下がる。 “なんとなく面倒”は、場所のせいかもしれない。


80.室内干しでも乾きやすくするポイント

四国に来てから、外干しがこわくなった。

ある日、ベランダに干したシーツを取り込んだ。お日さまのいいにおいがして、ふかふか。
次の瞬間、手が、なにか硬いものに触れた。

カメムシだった。

わたしは叫んだ。パニックになった。
当時は東京から越してきたばかりで、虫を近くで見る機会などほとんどなかったのだ。黒光りする虫の死骸を片づけるのに2時間悩むくらいには虫が無理だった。

それからというもの、ベランダで大物を干すのはやめた。
必ず、なにかがいるからだ。

室内干しにしたことで、生乾きのにおいとの戦いがはじまった。そうして調べたりわかったりしたことが3つ。

  1. 外干しできなくても、網戸にして風を通すこと。

  2. 扇風機の風を当てること。

  3. ワイシャツなどものによってはアイロンを先にかけてから干すのも一案。

この方法は、梅雨どきの悩みにも使える。


✏️時間が貯まる記録編

学生時代、何度か短期留学をした。

海外に行くとき、自分のなかのやりたいことがいくつかあった。
ひとつはホームステイ先で料理を習ってくること。英語で書かれた美しい絵本を買うこと。そしてもう一つは、現地で見つけたノートを買うことだ。

使いやすさを考えると、決まったサイズのノートを統一して揃えていくほうが便利だ。わたしはA5サイズ&A7サイズの綴じノートや、A5サイズのリフィルに落ち着いた。

でも、あのとき集めたノートたちは、特別な出番を待ちながら、そっと棚の奥に眠っている。


81.受け継ぐ手料理ノートのススメ

祖母が亡くなったあと、母がぽつりと言った。

「ばっちゃの料理、面白いのがいっぱいあったんだけど……。もう作れないや」

実家に帰って、母の手料理をたべる。すると、ああ、これあった。これ好きだった。
ほくほくした気持ちになる。

でもそれを、自宅で作るとなるとむずかしい。そもそも思い出せるかも怪しいのだ。
実家からずいぶん遠くに来てしまった。あと何度帰れるのだろうと思うと切ない。

子どもたちも同じように思うのかな。わたしは料理がそんなに上手じゃないけれど……。でも、これが好きみたいなものは確かにある。

わたしが記録することで、子どもた食べたいときに作れる。
そんなノートを目指してつくったのが「受け継ぐ手料理ノート」。

ポイントはメモ帳に書いて、貼ってはがせるテープのりを使ってリフィルに貼ること。これで何度でも書き直せる。

1枚単位のリフィル(あるいはルーズリーフ)に貼ることで、子どもが巣立つときに、子どもの好きな料理のページだけをコピーして綴じて渡してあげられる。

82.「どこでもメモ術」でメモ帳を持ち歩かなくても記録を貯める

いつでも頭のなかが忙しい。

ひらめき、やってみたいこと、わくわくすること。
ネガティブな日もある。言われていやだったこと、やらかした失敗に悶絶したことなど。

頭の中身を軽くするには、メモするのがいちばん手っ取り早い。でも、スマホを開いたら、ついSNSを見て、そのまま石化してしまったりする……。

そこで考えたのが「どこでもメモ術」。

家じゅうのあちこちに、メモ帳とペンを置いておく。メモしたら切り取って、リビングなどの決めた定位置へ持っていく。メモはその場でするけれど、集める場所を一ヵ所にすることでなくさずに済む。


83.日々の買いものメモ、時短のコツは「4分割」

東京にしては少し広めのスーパーによく通っていた。ベビーカーにむずかる娘を乗せていたので、買いものは10分で終わらせると決めていた。

いつも児童館に行く前に、紙を取り出してきて4つ折りにした。左から「野菜・果物」「肉・魚」「加工食品」「その他」と記入する。4つの枠組みに合わせて買いたいものをメモしていく。

こうして4分割にしておくことで、自然と同じ売り場にある物どうしが固まったメモになる。だから売り場をあちこち行ったり来たりしなくても、一度で確実に、しかも迷わずに買えるのだ。


84.がっつりまとめ買いメモ、時短のコツは「8分割」

1~3日分の買い出しなら、4分割メモがちょうどいい。でも、しっかりまとめ買いしたいときだと、1行あたりの多さに混乱して、買いものに時間がかかるようになってしまう。

そういうときは、A4サイズのコピー用紙の出番だ。これを八つ折りにする。左上から「野菜」「果物」「肉」「魚」「加工食品」「調味料」「乳製品」「その他」と記載していく。

あとは4分割のときと同じ。1行あたりの内容が少なくなることで、認識しやすくなるのだ。


85.QRコードのあるノート作り

デジタルとアナログの使いわけは、むずかしくて楽しい。わたしは、アナログの手書きノートの中に、デジタルにつながる秘密の道をつけている。QRコードだ。

URLをコピーしてQRコードをつくったら、プリンタやインスピックなどのミニプリンタを使って印刷。ノートにぺたり。これで秘密の入り口が完成する。

QRコードはiPhoneだけでも作れるので、やり方を調べてみるといいと思う。


86.100円手帳でつくれる「使いきり」ノート

野菜室の中で、ぶよぶよになったきゅうりや、しなびた人参を手に取ると悲しいきもちになる。せっかく時間をかけてつくった作り置きを食べきれなくて捨てたときも。

こういう時代だからこそ「使い切れない罪悪感」はますます大きくなっている。

そこでおすすめしたいのが「使いきりノート」。100円ショップで売っているマンスリー手帳でもつくれる。

・常備菜→作った日の欄に記入。
・冷凍ストック→作った月のマンスリーページ余白に記入。
・加工食品→ふせんに「ヨーグルト」「豆腐」などと書き込んで、貼ってはがせる仕組みをつくる

工夫次第で幅が広がる。この手帳を使っていたときは、冷蔵庫がいつもすっきりしていた。昨年、ちょうどいい時期に手帳を買えず、つくるのをストップしたら、ずいぶん「捨てる罪悪感」を味わうことになってしまったのだった。


87.暮らしの作戦会議をしよう。「種まきノート」のススメ

種はまかなければ発芽しない。

どんな人の頭のなかにも、きっとさまざまな色の、ひらめきの種がある。でも、それをまかずに失くしてしまう人はきっと多いのではないだろうか。わたしもそうだ。

思いついたことは「種まきノート」と名づけたノートに記録していく。すぐに芽を出さなくてもいい。種を残すだけでも、いつか植えたいと思うときがくるかもしれない。

種まきノートをつくるコツは、1ページに1つの種を書くこと。余白があっていい。ずっとあとになって埋めたくなるときもやってくる。

種の採取は慣れが必要だ。1つまいて、それがうまく実を結ぶと、急にたくさんの種を取れるようになってくる。まずは書いてみる。それがひらめきのコツ。


88.タスクは”Do”で考えるとうまくいく

ToDoリストがたくさんあるときは”Do”で考えるとうまくいく。

具体的にいうと「考える」「作る」「動く」「調べる」の4つだ。4分割の買いものメモをつくったときと同じ手順で、このDoを縦軸に置いていく。あとは、タスクを割り振っていくだけ。

同じ種類の行動をまとめてできるようになるので、一気にたくさんのタスクが片づいていく。


89.今こそ”紙のアドレス帳”をつくる理由

実家の固定電話の横に、緑の電話帳があった。
そこには、いろいろな人の名前と電話番号、それから住所が書かれていた。それを開けば両親の知り合いはきっとわかっただろう。当時なら。

子どもを送った帰り道で、たまに、命の危険を感じることがある。青いスポーツカーが、まるでマリオカートのような速さで横を抜けていくのだ。

その道は、車と自転車がぎりぎりすれ違えるくらいの幅。けれどもスピードをゆるめることなく、突っ込むように走ってくる。
ひやりとする。

もしわたしが、なんの前触れもなく命を落としたとしたら。家族が困ることはもちろんだけど、それ以外の人たちにも迷惑がかかる。

仕事はすべてSlackやメールでやりとりしている。ママ友の連絡先もぜんぶLINEだ。SNSをやっていない夫はきっと、わたしのXやInstagramのアカウントも放置するだろう。
きっと、だれにも伝わらない。

すべてがデジタルで、相手の人間関係がわからない時代だからこそ、「最低限この人には伝えてほしい」という相手の情報を、紙に残しておくのは有効だと思っている。

(そして夫は怪しいので、弟にも共有しておこうか悩んでいる)


90.くり返し書いて消せる”エコなノート”のつくりかた

クリアファイルとホワイトボードは魔法の道具。
この2つの組み合わせがあれば、ただの紙がホワイトボードに変わったり、いつものノートに何度も書き込めたりする。

「情報がかわいそうだ!表現がきらい」という引用RTを受けたことがあるのだけれど、どうしてもそれ以外に思いつかないから引き続き使っちゃう。「使い捨ての情報」ってあると思っていて。
いま一瞬だけのメモのこと。

たとえば「明日ハガキを投函する」みたいな。

こういうのはわざわざ紙を使って残したくないなと思っている。最終的には捨てるのがわかっているから。

こういう「使い捨ての情報」は、クリアファイルとホワイトボードを使って何度も消して書けるようにすると便利。クリアファイルはいろんな用途に使える。ラベルをつくったり、栞をつくったり。そうして余った部分を四角く切り抜いてノートに貼ると、もうホワイトボードになる。

いろんな書き込める表をつくっている。それをクリアファイルに挟んで、ホワイトボード用のペンとセットにしておく。すると、表自体がホワイトボードに変身。


🌸季節を愛おしむ編

季節を愛おしむ家事は、大変だけどやりがいがある。そして、一時的に爆発的なやる気を生み出してくれるのだ。

とっておき家事の原点は、じつは季節を愛おしむことだったりする。



91.”ていねいな暮らし”を時短する

「ていねいな暮らし」という言葉は、たびたび、議論に上がっているような気がする。それができていないと「ていねいじゃないのか?」という、責められているような気持ちになってしまうからだろうか。
ちょっとわかる気もする。

それでいて、同時に「家事なんか無駄だからしなくていい」という意見を見るときもちょっと悲しい。

この相反する感情から思った。わたしはたぶん「ていねいな暮らし」に憧れがあるけれど、「できていない状態の自分」がちょっと恥ずかしいのかも。

そのときから、わたしの方針は決まった。「ていねいな暮らしを時短する」。

無理やりやらされてるのではなく、やりたい。でもうまくできない。じゃあ、できるようにしていこうというシンプルな思考だった。

時短のポイントは、たびたび出てくるあのひと。佐木山登志花だ。

探す→年1で使う道具を探す
決める→献立を決める
やり直す→適当にやって失敗してやり直す
迷う→どちらがいいのか迷う
取りに行く→収納があちこちに分かれていて何度も取りに行く
調べる→やり方や由来などを毎年調べ直す
考える→今年は何をしようかと0から考える

こうしたむだな時間をカットしていく。そのために便利なのが歳時記ノート。

92.歳時記ノートのつくりかた

歳時記ノートは「ジャーナル」「マニュアル」「ログ」の3つで構成されている。

すべて作れなくても「ログ」があるだけでもずっと楽になる。リクエストをもらっていたことと、わたし自身もより手軽に書けるものがほしくて、歳時記シートをつくった。

シートを使わずにつくるなら、12冊ノートを用意するのはどうだろう。

1月から12月までの、12冊。
そこに思いついた順番に記録を取っていく。月ごとになっているから後から探しやすい。難点は並び替えたりできないこと。

93.お雑煮は3回たべる

今年はお雑煮を3回たべることにした。

1月1日→夫実家のお雑煮
1月2日→今住んでいる香川の餡餅雑煮
1月11日→鏡開きの日に実家のお雑煮

3回たべるじゃなくてもいいけれど、自分なりのタイミングとルールがあると楽しい。

季節行司は、こういう「プチ非日常」をたのしむ日だと思っている。そのわくわく感が「いつもの家事」にも波及するからおもしろい。

94.春は「スプリングタイム」でゆるく整える

夏になると時計を1時間早めて動くサマータイムがあるように、春は「スプリングタイム」を導入している。
いつもよりなにかを1時間早めることだ。たとえば起きる時間、ふとんに入る時間、家を出る時間。どんなことでもいい。

いきなり1時間早めるのはむずかしいけれど、15分なら背伸びすれば届くような気軽さがある。

そして、15分早めるための試行錯誤を続けるうちに、すっかり慣れ親しんだ生活リズムのなかにある「ここ、削れそう」が浮き彫りになってくるからふしぎだ。

歩くのにも気持ちのいい季節。15分早く家を出て、散歩をしてもたのしいかもしれない。


95.梅しごとを手軽にするコツは「見える化」

6月、学校から帰ってくると、とっておきのごほうびがあった。

「梅ジュース飲む?」

と母が聞き、わたしはぶんぶんと頷く。とろりと甘酸っぱい爽やかなあの味は、一年に一度だけのとっておき。

ところが、実家を離れてみると、自分でつくろうとはなかなか思えなかった。つくっても駄目にしてしまった。

ここ数年は、毎年欠かさず漬けられるようになった。歳時記ノートに記録を取るようになったからだ。なにをどれくらい漬けるのか。詳しい手順。失敗ポイントなど。

積み重ねてきた記録の蓄積が、去年よりは今年、ずっと楽にしてくれる。

96.夏の大掃除「サマー・ソウ」

わたしが子どもだったころの家事本を読んだ。大掃除は夏のほうがじつはいいと書かれていた。汚れがゆるみやすいのだと。夏の大掃除は、寒くないから水に触れていても平気なのもうれしい。

そこからヒントを得てつくったのがサマー・ソウ。
”Summer Sow”と書く、造語。

Summerはもちろん夏。
Sowは、掃除の「ソウ」、爽やかな気分になるの「ソウ」、そしてもともとの英語「Sow(種まきをする)」の3つをかけ合わせて選んだもの。

夏の大掃除をすることで、爽やかな家と気分を目指したくて決めた取り組み。

ポイントは計画。「いつ」「どこを」「どのように」掃除するかを決めてから動くことで実行しやすくなる。


97.窓を開けるだけなのに動ける。「秋の虫干しチャレンジ」

朝晩の気温が下がってきたら、虫干しをはじめる。家じゅうの窓や、収納家具のとびらをすべて開け放つものだ。家の中を風が通り抜けていく感覚がとても心地いい。

よく晴れた日の午前中に、1、2時間ほどやると効果的。

せっかくの気持ちいい時間をむだにしたくなくて「秋の虫干しチャレンジ」をはじめた。虫干しが終わるまで座らないというもの。目についたところを、とにかく片づけたり、掃除したりして綺麗にしていく。

何度かやると、窓を開けるだけで動けるようになるからふしぎだ。


98.年越し準備は10月にはじめる

師走の時期があんなにも忙しいのには理由がある。それは、ふだんの暮らしのうえに、たくさんのイレギュラーな作業が積まれていくからだ。

逆にいうと、それを事前に小分けで消化していくことができれば、そこまで大変じゃなくなる。10月にはじめるのは、帰省準備と片づけ。粗大ごみを出したり、家の中の気になる部分に着手する。チケットは早めに取らないと大変。

年賀状じまいする人も増えているけれど、もしも出すのなら、この時期にはじめておくと早割でお得にできたりする。


99.12月にやっておきたい3つのこと

毎年12月には、3つのことをやるようにしている。

1.新札を10万円分用意しておくこと
2.お年玉用の新札を用意すること
3.ご祝儀袋をはじめ冠婚葬祭グッズの点検をすること

必要になったときに慌てたことがあるからだ。早めにやっておけば慌てずに済む。


100.年末にやりたい「超片づけ」

12月には魔力がある。

「年明けまでにやろう」と思うと、今まで面倒で先延ばしにしていたことがみるみる終わっていくのだ。片づけも同じ。

10月から少しずつはじめた片づけも、このころにはきっと息切れしている。だからこそ「超片づけ」と銘打ってはじめるのがポイント。大掃除の前には「超片づけ」。

12月の魔力で、すっきりした新年を迎えたい。

▼詳しい手順はこちらへ。



あとがき


午前3時半になった。
きょうは22時ごろに40番目の文章から書きはじめたはずだった。半分ほど書くのに5時間ほどかかっていることに驚く。

ここまで書き切るのはとても大変だった。

でもたのしかった。
というのも、これまでこつこつ積み上げてきた経験値が目に見えるかたちになり、すこし、誇らしく思えたからだ。

10年以上前のエピソードのひとつに、電車で出会ったセーラー服の男性の言葉がある。あのとき、わたしは本当に自分に自信がなかった。

家事という”できて当たり前だ”と言われるようなことだから、それをこなせない自分をかなり責めていた。できない気持ちが自信を奪う。自信が減ると、自分のことがきらいになっていく。

いまのわたしは、彼の提案のように足を出したりはしないけれど(笑)、あのころの自分より、自分のことが好きだ。


10年間とっておき家事をやってみていちばんよかったのは、自分のなかにたくさんの処方箋ができたこと。

こういうときはこうしよう、という道すじ、あるいは地図に似ている。

そのためには「名前をつける」ことが特別役立ったと思っている。

「スリークエスト」
「超片づけ」
「歳時記ノート」

など、固有名詞があると思い出しやすくなるのだ。



わたしはスーパー主婦になれたわけではない。

夫にはいまだに「1日ひとつでいいから、違うところを掃除しなよ」と言われる。彼のなかでは、ごみ屋敷も、まったくできなかった自炊もなかったことになっているらしい。
わたしが仮にスーパー主婦になったとしても、できていないことを言われるかもしれない。

さて、途中で書いたように、猫を亡くしたショックでしばらく動けない日々が続いた。
この10年でもっとも、家事の負債が溜まっていた。

でも、そこから立ち上がるちからを得られた。
10年続けていちばんよかったのはそこだと思っている。


これを読んでくれているあなたは、家事が好きだろうか、嫌いだろうか。得意な人もいるだろうし、苦手意識が強い人もいるかもしれない。

家事にまつわるいろいろな議論を見ていて思うのだけれど、100%正しい家事は存在しないと思っている。


大切なのはきっと、自分がどんな環境にいて、どんなふうに家事と向き合いたいのか。
それだけでいいと思う。

わたしは家事に苦手意識がある一方で、それでも梅しごとや、手作りのお菓子に憧れていた。
理想の自分とかけ離れていることが辛かったのだと思う。
だから、家事を好きになろうと努力したし、得意になろうとがんばった。


でももしわたしが、手作りなんかむだだなあと思っていたとしたら、べつにがんばらなくてもよかったのだと思う。

好きじゃなくても淡々とこなしているものってたくさんあるはずだ。
たとえば歯みがき。毎日するんだけど、でもぜんぜん好きな作業じゃない。そういう家事の捉え方があってもいいと思っている。


家事は生きていくために必要不可欠なこと。
それをラクにするのか、楽しむのか、あるいは両方がいいのか。それはほかの誰でもない自分が決めていいことなのだと思っている。


この100個のヒントは、新婚時代、足の踏み場もない部屋でうずくまっていた自分に伝えるつもりで書いた。同じように悩んでいる人に届けばいいと思っている。

だから、書くのはものすごく大変だったけど、無料で読んでもらえたらと思っている。





この後書きは、子どもの習い事の待ち時間にスマホでぽちぽちと書いている。

23歳だったわたしたちは36歳になった。

夫の20号の指輪は、5年ほど前、仕事中に割れた。
同じブランドで買った2代目をつけているのだけれど、まったくペア感がなくなってしまった。

そしてわたしの、3号の指輪は抜けなくなってしまった。


家の様子を思い浮かべてみる。
玄関がすこし散らかっているのはわかっている。床にもおもちゃが落ちているだろう。

それでも、早く家に帰りたい。



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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡