夢の野菜を見つけた日から、12月30日の夜はシチューになった。
「これがあれば、夢の料理がつくれる!」
ずっしりと重たいその野菜を手に取ったときの感動は、今でも覚えている。

年末の時期だけスーパーに顔を見せる「聖護院大根」。
これを見つけた時から、12月30日の夜は毎年シチューをつくっている。
わたしの両手を合わせても余るくらい大きな大根は3ヵ所切っておく。
底は浅く。しっかり安定して立てられるようにするため。
葉は根本を少し残してカットする。
上から6分の1くらいの部分も切る。ここは蓋になる。
ここまでできたら、スプーンで中身をくり抜く。
少し硬いし、慎重に。うつわは食べないので、なるべく深く、しっかりと。
うつわごと食べられるように蒸してみたときもあるけど、あまりおいしく食べられなかった。だから、皮を剥かずに、しっかりくり抜くようにしている。
ここまでできたら、もうかんたん。
くり抜いた大根を具材にして、いつも通りシチューをつくるだけ。
大根をシチューに使って、じっくり煮込むととろとろに甘くなる。隠し味に練乳を少し入れるとおいしい。

つくったシチューを、こぼさないように、慎重に、大きな大根のうつわに注いでいく。
そうして、淡い緑の茎が残った蓋を、そうっとかぶせる。
ここがとっても大事。
原作通りにつくるなら、茎は取っちゃうのがいいけれど、わたしは残しておくほうが好き。
これで、夢の料理が完成した。

映画『ドラえもん のび太の日本誕生』に、「畑のレストラン」というひみつ道具が出てくる。
「畑のレストラン」は、畑で種をまいて育てた”大根”を開けると、中にカツ丼やスパゲッティー、カレーなどが入っているものだ。
ものすごく夢がある。
子どものころ、弟といっしょに何度もくり返し見たビデオの中でも、この食事のシーンが何より好きだった。

わたしは、映画に本来登場しないシチューをつくっている。
しずかちゃんが保護した「ククル」という少年にスープをあげているシーンを見て、シチューだと思い込んでいたみたい。
でも、シチューだとくり抜いた大根も使えるので、おすすめ。
香川では「大かぶ」という名前で売られている。
中身をわざわざ作らなくても、レトルトカレーにお惣菜のエビフライやハンバーグをのせれば、原作通りの「畑のレストラン」がつくれる。

年末年始は和食を食べる機会が多くなっていく。
その前に、大根入りの甘めのシチューでほっとする夜が、わが家の毎年の伝統になり、子どもたちの心に残るといいな、と思っている。

今年はカレーにも挑戦したい
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