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何から始める?理系院生の就活には順番がある〜リケトレ!#6

こんにちは。理系院生に特化したキャリア教育に取り組んでいる三木尭紘と井本裕顕です。

このnoteでは、「研究を頑張りたいけれど将来のキャリアや就活が不安」という理系院生のためのキャリアトレーニング「リケトレ!」を、連載形式でお届けしています。

前回は、成果を出すまでに関係する要素を、6層に分けて捉える「成果創出モデル」を紹介しました。

研究や仕事で思うような成果が出ないとき、つい目に見える行動だけを変えようとしがちです。

しかし、その背景には、実践的能力(Can)、志向・価値観(Will)、性格(Must)といった要素が深く関係しているのでした。

では、この成果創出モデルを、理系院生の就活やキャリア準備に当てはめると、どのように考えられるでしょうか。

というわけで、今回のテーマは「就活で迷わないための考える順番」の話です!

著者2人のプロフィール

<就活を意識し始めた学生に、一つだけ伝えるなら?>

あなたの身近な理系院生が、就活を意識し始めたとします。

彼/彼女は、周囲の様子を伺って焦りを感じています。研究も忙しい。そして、こんな相談をしてきました。

「就活を始めたのですが、やることが多すぎて、何から手をつければよいのか分かりません!」

自己分析、企業研究、研究概要、自己PR、ES、SPI、面接、グループディスカッション……。

どれも必要そうです。では、そんな迷える就活生に一つだけアドバイスするとしたら、何を伝えるでしょうか?

「まずは自己分析をしよう」
「気になる企業の説明会に行こう」
「早めにSPI対策を始めよう」
「とにかくインターンに応募しよう」

さまざまな答えがあると思います。

しかし、リケトレ!では、次のように伝えています。

<たった一つのアドバイスは、「順番を守ること」>

就活準備で迷ったときは、まず取り組む順番を整理しましょう。
リケトレ!では、次の順番で考えます。

5話目で詳しく解説しましたが、改めておさらいすると・・

Can:実践的能力。分野や置かれた環境が変わっても使える、その人の強み。
Will:志向・価値観。自分が何を大切にし、どちらへ向かいたいのかという方向性。
Must:性格・らしさ。その人固有の感情や意志の傾向のこと。

対策は、ES、SPI、面接、グループディスカッションなど、選考に向けた準備とざっくり考えてください。

就活を意識し始めると、不安から、目に見えやすい対策へ進みたくなります。

もちろん、対策も必要です。ただ、それをスポーツに例えると、基礎が何もないのに小手先のテクニックの収集や練習に勤しんでいる状態に近いといえるでしょう。

まずは、どんなスポーツに取り組むにしても、日々のトレーニングで、瞬発力や体力、体幹といった基礎を鍛えることが必要です。

基礎は、試合の直前に慌てて鍛えても、すぐには身につきません。

逆に言えば、それさえあれば新しい技術を早く習得でき、取れる選択肢も多くなり、より自分に合った競技や所属先を選べます。

就活も同じです。基礎のCanを育て、Willで方向を絞り、Mustで合わない環境を弾き、最後に対策する。

順番を守る方が、研究成果にも就活後の活躍にも効くコスパの良い就活ができます。

<理系院生が最も時間をかけるべきなのはCan>

理系院生が、最優先で取り組むべきなのはCanを伸ばすことです。

Canとは、研究テーマや所属先が変わっても持ち運べる実践的能力のこと

たとえば、
・課題発見力
・計画力
・試行錯誤を続ける力
・伝える力
・働きかける力
などです。

第4話で整理してわかったように、研究成果を出すためには、専攻する分野の専門知識に加え、Can(実践的能力)の発揮が必要です。

就活を始めてから「自分の強みは計画力です」とESや面接用に自己PRを作るのではなく、日々の研究で使い、伸ばしていくのです。

<Canを伸ばすと、一石三鳥になる>

Canを意識して研究すると、何がいいのか。

第3話でお伝えしたように、就活のゴールは、内定を獲得することだけではありません。入社後に、自分の力を発揮して活躍するところまで見据えることが大切です。

その視点で考えると、Canを伸ばすことには3つの効果があります。

1つ目、研究で成果が出やすくなること。
課題発見力や計画力、周囲に働きかける力などのCanは、研究を前へ進めるために必要な力です。

2つ目、就活で使えること。
Canを意識して磨けば、日々の研究そのものが就活で使えるエピソードになります。

研究の中で実際にどんな課題に直面し、何を考え、どう行動し、何につながったか。これらは、企業が採用の場で知りたいことでもあります。

3つ目は、入社後の活躍につながること。
学生時代の研究で磨いた課題発見力や計画力、周囲に働きかける力は、企業に入って新しい仕事や課題に向き合うときにも活かせます。

つまり、Canを伸ばすことは、研究・就活・入社後の活躍につながり、一石三鳥なのです。

就活のために研究とは別の作業を増やすのではなく、研究への取り組み方そのものをキャリア準備に変える。これが、リケトレ!での「トレーニング」の意味です。

次回以降は、このCanについて、企業が見ている実践的能力や、自分の強みの見つけ方・伸ばし方まで詳しく扱っていきます。

井本からの一言
教員の間で、研究をがんばっていれば就活もうまく行くという話をよく聞きます。研究で自分の強み (Can) を発揮し伸ばしている実感があるからでしょう。
一方で、「研究成果はあるのに就活がうまくいかない」という不満や困惑の声を聞くこともあります。教員の言うとおりに作業をこなしているだけでは、良いデータは出てもCanが鍛えられていません。見た目の成果は同じでも、日々の研究への向き合い方で大きな違いが生まれていると言えます。
  

<Willで絞り、Mustで弾く>

Canは土台で、日々意識するものだとすると、WillとMustは決断のタイミングで意識すべきものです。

一言で言えば、Willで選択肢を絞り、Mustでさらに弾くイメージ。

まず、Willですが、理系院生の場合、いきなり「人生をかけて本当にやりたい仕事」を決める必要はありません。

就職するのか博士課程へ進学するのか、理系就職するのか文系職も含めて考えるのか。現時点の情報で、大枠を仮決めすればOKです。

次はMustです。

たとえ能力を活かせそうな仕事でも、組織としての性格・らしさが合わなければ、入社後に力を発揮しにくくなることがあります。
Mustは、前回の記事で伝えた通り、最も変えにくい要素です。

だからこそ大事なのは、「自分の性格と相性ぴったりな会社を見つける」よりも、「自分に明らかに合わない環境を避ける」という発想が大切です。

WillやMustは、就活生が気にしやすく、ときには考えすぎて動けなくなるテーマでもあります。この2つについては、Canを扱った後の連載で詳しく説明します。

<対策は最後にする>

最後は、対策です。

ここまでの3つはとても大事ですが、ESやSPI・面接対策が不要なわけではありません。

ただし、対策は、自分にないものを急いでこしらえる作業ではありません。
育ててきたCan、現時点のWill、自分に合う環境を見極めるMustを、相手に伝わる形に整える作業です。

順番を守れば、無駄な試行錯誤の工数を減らすことができ、コスパよく就活に向かうことができます。

<完璧じゃなくていい。60%でサイクルを回そう>

ここまでで、理屈はわかった。でも、Canを十分に伸ばし、WillとMustを完全に整理してからでないと、対策へ進めないの?

と疑問に思った方がいるかと思います。結論、全然そんなことはありません。

Canは、一生かけて伸ばしていくものです。Willは、経験や情報によって変わります。Mustも、実際の企業やいろんな人と関わることで理解が深まります。

だから、どの段階も100%の完成を待たなくて大丈夫です。

60%くらい整理できたら、いったん次へ進む。で、OKです!

一度で正解を出す必要はありません。

Can → Will → Must → 対策の順番で一度進み、動いて得た情報をもとに、また最初から見直す。大切なのは、順番を守りながら、何度もサイクルを回すことです。

<最後に>

ここまでで、Canの重要性は伝わったかと思います。

しかし、Canが大事なのだとして、企業や社会から具体的にどのようなCanが求められているのでしょうか。

そして、Canを日々の研究の中で伸ばすとは、どういうことなのでしょう?

というわけで、次回は、Canの具体的な中身を詳しく掘り下げます。

井本からの一言
講義では、「職種を絞り切れません」「第一志望群はどのくらいの数が良いでしょうか」などの質問が出ます。大学院生の方には、真面目で完璧を追求する傾向があります。「とりあえず研究開発職が良いと思う」「まずはこの会社の説明会に行こう」くらいの気持ちでサイクルを何度も回していくとよいでしょう。

<今回のリケトレワーク>

今回の内容を自分の就活に落とし込むためのワークシートを作成しました。ぜひご活用ください!

最後までお読みいただきありがとうございます。        
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