「研究に必要なことは?」と聞かれて、あなたはどう答える?〜リケトレ!#4
こんにちは。理系院生に特化したキャリア教育に取り組んでいる三木尭紘と井本裕顕です。
このnoteでは、「研究を頑張りたいけれど将来のキャリアや就活が不安」という理系院生のためのキャリアトレーニング「リケトレ!」を、連載形式でお届けしています。
前回は、就活のゴールを内定獲得だけに置くと、研究も就活もしんどくなる、という話をしました。
今回のテーマは、「研究で成果を出すために必要な事とは?」です。
大学の講義だと、真面目に研究を頑張ってきた学生こそハッとなる話。「リケトレ!」を教員向けに実施する時も、最初に盛り上がるパートです。
研究に必要なことを洗い出すと、何が見えてくるのか。このnoteを読んでいる皆さんにも、一緒に考えてもらいたいと思っています。

<真面目な院生ほどモヤモヤする>
大学で講義をしていると、こんな学生の声を聞きます。
「勉強や実験は、コツコツ真面目にやってきた。なのに、就活では全然違うことを求められているような気がする。」
「面接では、あなたの強みは?主体的に取り組んだ経験は?周囲を巻き込んだことは?と聞かれるらしい。」
「夜遅くまで研究を頑張ってたけど、そのまま喋れるわけじゃない。面接なんて結局、コミュ力ある人が勝つでしょ?」
就活について考えれば考えるほど、得体の知れないゲームに巻き込まれている感覚になっていないでしょうか?人によっては裏切られたような気持ちになるかもしれません。
そんなこと、テストで問われなかったし、授業で教えてくれなかったじゃないか、と。
でも、本当にそうでしょうか?
皆さんの就活と研究活動は、何のつながりもないのでしょうか?
井本からの一言:
日々の勉強や研究をコツコツと頑張って結果を残してきた学生は、知識や考えを形にすることに長けています。一方で、自分自身を表現するとなると、とたんに戸惑ってしまう様子がよく見られます。これは、「何を伝えればよいか」のフォーマットが分からないからでしょう。
<研究に必要なことは何か?>
ここで、皆さんに質問(ワーク)があります。
スクロールする手を止めて考えてみてください。
「研究で成果を出すために必要なことは?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?1個に厳選せず、思いつくまま10個ほど回答してください。
もし、このnoteを読んでいる皆さんの手元に紙やペンがあれば、1~2分ほど時間を取って書き出してみてください(後ほどのワークでも使います!)
さて、どういったキーワードが出てきたでしょうか?
皆さんの専攻している分野の専門知識、論文、実験スキルや実験量、研究設備など。専門的な要素がいくつか含まれていると思います。
でも、本当にそれだけでしょうか。
他にもいろいろな要素が出てきたのではないでしょうか?
実験結果を深く考察する、先生にこまめに相談する、毎日研究室に通うといった行動や、メンタル管理、運動、友達とのご飯でリフレッシュ、机の中のチョコ、なんて書いた人もいるかもしれません。
実際に10個書き出してみると、「研究で成果を出すために必要な事って、意外と多岐にわたるな」と感じる人も多いと思います。
※ちなみに、大学教員の皆さんに同じ質問をすると、「金!」というストレートな声が返ってくる事が多いのですが、このnoteでは理系院生目線で考えてくださいね笑
<理系院生の回答例>
では、実際に講義に出席した3人の理系院生の回答を見てみましょう。

3人の回答を並べて見ると、かなり幅広いですよね。
「専門知識」や「実験量」など、理系院生らしい回答もあります。一方で、「やりきる気合」「伝える力・聞く力」「ラボの人間関係」「ストレス発散」といった答えもあります。
どうですか?とても興味深いと思いませんか?
研究で成果を出すために必要なことは、単に「勉強ができる」「専門知識がある」だけではないと、学生自身がすでに感じているのです。
<似たものをまとめるとどうなる?>
では、皆さんに、追加の質問(ワーク)があります。
スクロールする手を止めて考えてみてください。
「研究で成果を出すために必要なこと」について、似ている項目をグループ分けするとどうなりますか?
最初のワークを紙に書き出した人は、ぜひ手を動かして考えてみてくださいね。
実際に、先ほどの3人の回答をグループ分けした結果が以下の図です(見やすくするため筆者がパワポでまとめています)。

グループ分けすると、見えてくることがあります。
どうやら、研究で成果を出すために必要なことは、知識や実験といった専門性だけではなさそう。
むしろ、専門性以外の要素も多い。
心身を整えるメンタルや生活習慣、研究に取り組む姿勢、周囲の環境、研究で求められる性格や汎用的な能力、などなど。
それらの軽重は人によって違いますが、専門性以外の要素も研究成果にしっかり関わっていそうな事がわかりました。
<「授業で習ったもの」はなにか?>
皆さんに、追加の追加の質問(ワーク)があります。
もう一度、スクロールする手を止めて考えてみてください。
「研究で成果を出すために必要なこと」のうち、授業で習ったものはどれでしょうか?授業とは小学校〜大学院までのクラス授業を指します。
最初のワークを紙に書き出した人は、当てはまる項目に〇をつけてください。
いかがですか?10個のうち、いくつぐらいに〇がつきましたか?
先ほどの3名の回答にも〇をつけてもらいました。かなり少なそうだったので、「大目に見ればまあ授業で習ったと言えなくもないもの(体育→体力、家庭科→食事、道徳→助け合いなど)」も含める事にしました。

この結果を見て、皆さんどう感じますか?
「授業で直接教わるわけではないが、テストや部活といった学校システム全体の中で学ぶことも多いよね」とコメントしたくなる人もいると思います。
とはいえ、「学校の授業で体系的に教わることは、大目に見ても、あまり多くないな…」と感じた方が多いのではないでしょうか?
もちろん、だから学校教育の中で教えるべき、という話でもありません。学校の授業は、大学の専門性に繋がる基礎学力を学ぶ場として非常に重要です。
ただ、研究で成果を出すために必要なことの中には、授業では扱われにくいものがある。
そして、よくよく見てみるとその項目は、研究だけでなく、入社後の活躍にもつながっていそうな、つまり就活でも求められるような力ではないでしょうか?
ここが、今回いちばん伝えたいポイントです。
井本からの一言:
このワークを私の同僚の教員20名ほどにやってもらったことがあります。色々な意見が出た後に、「では、”研究で成果を出すために必要なもの”のうち、皆さんが授業で教えているものはどれですか?」と問いかけると、やられた!教えていない!という笑いが起こりました。教員にとっても、ちゃんと認識・整理できていないことなのです。
<まとめ>
就活で急に出てきたような、主体性・実行力・コミュニケーション力といった言葉たち。どれも研究とは別世界の話に聞こえるかもしれません。
ですが、今日書き出した項目を見返すと、どうでしょうか。
授業では習わなくても、研究に必要なものがたくさん出てきたのではないでしょうか。
そして、それらは就活や入社後にも必要そうですね。「研究で成果を出すために必要な力は、専門性だけではない」という実感がわいてきたと思います。
研究を頑張った時間は、決して無駄ではありません。
むしろ、研究活動の中には、就活にも入社後にも活きる力を育てる機会がたくさんあります。大事なのは、まずそこに気づくことです。
ただし、それがわかったとしても、「研究や就活にどう活かせばいいの?」という疑問が出てくるでしょう。研究成果につながる要素はたくさんあり、全ての要素を伸ばせばよいという話でもありません。
※机の中のチョコを2倍にしても、研究成果が増える事はありません笑
もっと体系立った知見がほしいところです。整理するための地図のようなもの。
次回は体系的なモデルを使って、成果を出すために必要な構造を見ていきます。
<今回のリケトレワーク>
note記事の中の質問(ワーク)をまとめました。ぜひ時間がある時にやってみてくださいね。

次回のテーマは、「成果を出すために必要な構造」です。お楽しみに!
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