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あくまき(灰汁巻・灰汁粽)梅木商店 南九州市 和菓子なスクチャイ014 2025.06.05

和菓子なスクチャイ014 鹿児島 > 鹿児島

※注意:前置きが長い文章なので食べるところから読みたい人は「2.あくまきを食べる」から読んでください。


あくまき (灰汁巻・灰汁粽) 梅木商店 南九州市

1.あくまきに出会う話

1-1.鹿児島と宮崎にも山形の「笹巻き」に似るお菓子があると知る

前回の記事で山形庄内の「笹巻き」を書いたが、その灰汁を使う独特のお菓子について調べていたら鹿児島と宮崎にも同様の食べ物があると知った。これまで知らなかったし、山形と鹿児島宮崎は遠すぎるし、どういう経緯で共通点があるのだろうか、と疑問に思った。さらにそのお菓子はどこまで山形の笹巻きに似ているのだろうか、とたいへん興味を持った。

ぜひ食べてみたいと思ったものの場所が鹿児島と宮崎だ。
いつになるやら、とそれで終わった。

1-2.日比谷「しまね館」で「山川」を買う話

先日、日本三大銘菓をコンプリートしようと松江の「山川」を調べていたら日比谷の島根県アンテナショップ「しまね館」に売っていることがあると知った。タイミングよくその方面に行くところだったので電話して「山川」があることを確認して一箱取り置いてもらって手に入れたのだ。

先日の「長生殿」の記事に書いたように1,058円だった「山川」をしまね館のレジで支払った。するとレジのおねえさんは今日1,000円以上買ったお客様は1回ガチャガチャが出来るのですよ〜と言った。

おねえさんはガチャガチャ用のコインを握りしめながら入口近くのガチャガチャの機械まで吾輩を連れて行ってくれてそこでコインを渡され「ここの隙間に入れるんですよ〜」と言われるままに隙間に入れると吾輩の手に自分の手を添えてくれんばかりにしてガチャガチャのハンドルを回したのだ。

島根のおねえさんはとてつもなく親切だった。しかし出身地を確認していないので本当は単なる関東人かもしれない。

いかにも吾輩が「数十年ぶりにガチャガチャを回す人」に見えていたのかもしれないが、実は割と最近札幌で「雪印グッズ」のガチャガチャを一人でやっているので数十年ぶりなどではなくほんの2、3ヶ月ぶりだった。

ま、島根のおねえさんはとてつもなく優しいと記憶に刷り込んだだけでも良いではないか。

ちなみに出たカプセルには次の写真のようなバッジが入っていた。吾輩は18歳になるや否や安来自動車学校の合宿で車の免許を取ったので懐かしい図柄だった。そういうことで島根は第2の故郷でもある。
と言ってもまさか自動車学校で安来節を習ったわけではないが。

安来節(どじょうすくい)バッジ

1-3.ついでに鹿児島館?

ガチャガチャを終えるとそのおねえさんは「さらに!」と嬉しそうな笑顔で「おとなりの鹿児島館でも1,000円以上買い物をするとそこで抽選が出来るのですよ!ぜひ覗きに行ってみてくださいね!」と言った。

島根に来たつもりがなぜ鹿児島!?

島根の隣なら鳥取やないの?
両方合わせて「ねっとり県」でいいではないか!

・・・と最近春風亭一之輔が言っていた。

それで、なんで鹿児島やねん?とは一瞬思ったものの、大好きなカルカンでも久しぶりに買って帰ろうかと思って行くことにして鹿児島館の場所を教えてもらったが。親切なはずのおねえさんは「ゴジラの向こう側」と言っただけというけったいな説明であった。

そのゴジラがわからずビルの入り口に立っていたセキュリティのおっちゃんに教えてもらった。

「おーほんまにゴジラやんけ!」

でもなんでここにゴジラおんねん?

そのゴジラの隣に、雨の中傘をさした2人の若い女性が吾輩を見てニコニコして立っていた。
白い前掛けに「鹿児島」と書いていた。
まるで示し合わせて吾輩を待ってくれていたかのように・・・。

鹿児島のおねえさんもとてつもなく親切だぞ!と確信した。
まあもしかすると彼女たちは単なる関東人の従業員かもしれなかったが。

ともかくおねえさんも親切で、吾輩をすぐ近く、というか目の前の誰でも一目でわかりそうな「かごしま遊楽館さつまいもの館」の入り口に誘導してくれた。

なんだかいかがわしい客引きに捕まった気分だ。
ぼったくりアンテナショップでなければいいが・・・

1-4.「かるかん」の思い出

かるかんは吾輩の思い出の鹿児島のお菓子だ。

中学卒業直後の春休みに大阪から九州ワイド周遊券で夜行急行列車などで寝泊まりしつつ九州をひとり旅した。

周遊券だけで乗れる急行「雲仙・西海」、鈍行夜行「ながさき」などを駆使して列車で寝たので宿代がかからなかった。
しかし最後だけ西鹿児島から大阪までの特急「彗星」の寝台車の別料金を奮発して無事大阪に帰って来たのだ。

ところが貧乏旅行で食事も節制していたので帰りの寝台の中でお腹が空いてたまらなくなった。そこで家のお土産として唯一買っていた箱入り「かるかん」を開けたのだった。
気付くと半分ぐらい食べてしまっていた。
なんてふわふわで白い饅頭のような素朴でおいしい食べ物なんだろう!

それ以来「かるかん」のファンになってしまって、見かける毎に買うのであった。

1-5.日比谷「かごしま遊楽館さつまいもの館」

店内には鹿児島の物品が溢れていて相当楽しそうだが、今日は急遽島根+鹿児島になり、鹿児島は予定外だったのであいにくこの後の予定のため時間があまりなく、詳しく商品をいろいろ眺めるのは別の機会にして、ともかく買いたかった「かるかん」の場所をその辺にいた店員さんに聞いて教えてもらった。

で、その隣になんと「あくまき」が売っていたのだ!
見るのも初めてだったが「あくまき」と書いていたからすぐにわかった。

まず山形の笹巻きと形態が随分違う。

しかしこの出会い!

あくまきはあくまであきらめていて、このときすっかり脳裏にはなかった。
鹿児島や宮崎の郷土菓子がそんなにすぐに手に入るとは思ってもいなかったからだ。

まさかここで出会うとは!
特にこれは生もので日持ちのしない食べ物なので。

後で知ったことだがあく巻きはいつも店頭に置いてるわけでなく、金曜日限定で入荷するが入らないこともあるらしく、つまりここでも出会えるかどうかわからない結構希少な食べ物なのだ。吾輩は幸運を噛み締めた。

かるかん税込799円とあくまき税込776円で吾輩は合計1,575円支払って、例の「抽選」ができる1,000円以上になった。
これも、かるかんだけだと1,000円に達しなかったので抽選はできなかったのだ。ちょうどうまいこと「あくまき」が出現してくれてタイミングも良かった。

1-6.「鹿児島館」での抽選

抽選は同じビルの3階にエレベーターで行く。

そこも「鹿児島館」の仲間だが運営会社は違って鹿児島のブランド品などを扱う、ちょっと高級な商品を扱う店だった。

店を入るや、吾輩を抽選場所に案内してくれたのはガタイがでかくて眉毛が濃い西郷隆盛のような男性であった。
聞いてみると鹿児島出身とのこと。
なんだかいきなり鹿児島に来たみたいで楽しい。

抽選とはガラガラで、白い玉が出てハズレだった。ま、予想通りで、吾輩の人生はいつもこんなものだ。

で、ハズレの景品は?
これが西郷隆盛氏のお腹みたいになかなか太っ腹だった。

吾輩は竹の素材で作られた持ち運び用ケース付きカトラリーセット(箸とフォークとさじが入っている)を選んだ。ま、ケースも中身も生分解素材であるバイオマスを使っているという環境に優しい製品ということだ。
しかしよく見るとmade in Chinaと書いてあったが、まあいい。
中身は家で使い、入れ物はペン入れにすることにした。

ちなみに抽選場所の背後には金ピカで立派な仏壇がおいてあった。
抽選の特賞はもしや仏壇?と訊いてみたが、鹿児島出身のおねえさんは笑いながらそうではなく一等はANAの航空券で鹿児島に行けるのよ~と言った。

でも吾輩には背後のきらびやかな仏壇が気になって仕方がなかった。仏壇って鹿児島の特産品だっけ?

2.あくまきを食べる

2-1.あくまき解体ショー

鹿児島のあくまき
鹿児島のあくまき
鹿児島のあくまき
鹿児島のあくまき
鹿児島のあくまき
鹿児島のあくまき
鹿児島のあくまき

2-2.あくまきの外観

山形の笹巻きとは形も巻いているものも違うが、中身は見た感じ同じものだ。

粒感がなくなっていて透明感のある黄色じみた茶色も同じだ。

中身はまったく同じ物質と考えてよさそうだった。
そうなると、山形と鹿児島(または宮崎)の符合は何なのだろうか。
遠距離にして食文化の共通点があるというところが興味深い。
それぞれで独自に生まれて、たまたま遠距離ながら同じような製法となったのだろうか?

研究の余地はかなりありそうで奥深そうだ、と思った。

物の本によると製法も山形と一致しているのだ。
ただ、巻いているものが山形は熊笹(隈笹)、鹿児島は孟宗竹の皮と違いがある。よって山形の笹巻きには笹の葉の香りがあるが、鹿児島の竹の皮にはまったく香りはない。
周辺にある包みやすい素材ということで、山形は笹の葉、鹿児島は竹の皮ということで違うところはやむを得ない。
しかし、中身の餅米の処理については実にそっくり同じなのであった。
ちなみに鹿児島のあくまきの灰汁の元は樫(かし)か楢(なら)の灰だ。山形の灰汁の元の木はまだ確認していないが確認次第ここに付記する。

→※電話で確認したところ山形庄内の笹巻に使う灰の木は楢(なら)とのこと。2025/06/07

2-3.あくまきを喰う

味と感触は想像通り山形のあくまきと瓜二つだった。

実においしい。

わらび餅を強めの塊にした感じできなこによく合う。
鹿児島の「あくまき」も実に吾輩好みだった。

そうだ!
山形の「笹巻き」が食べたくなったら鹿児島の「あくまき」で代用できるぞ!

と喜びかけたがどちらも遠いではないか!

3.あくまきの物性と歴史

3ー1.あくまきの物性

先の笹巻きの記事にも書いたが、吾輩の理解として、灰汁はアルカリ性なので細胞壁を溶かす。原料は餅米だが餅つきのように動的に細胞壁を壊しアミロペクチンと水分を絡めて弾力と粘り気を出すのではなく、笹巻きは静的に餅米の細胞壁を破壊しアミロペクチンが水分と絡まる。そのとき餅よりも多く水分を取り込む。そのため餅よりも柔らかい状態が持続しわらび餅あるいはゼリー状に箸でも簡単に切れるほど柔らかくなる。
さらに灰汁によるアルカリ性と笹の葉による抗菌作用でより長時間雑菌の繁殖を抑えることができる。

先人たちの経験的な灰汁の作用が結果的に食糧の保存という利点を通り越して風味と食感を生み出したのではないだろうか。
依然として鹿児島・宮崎のあくまきと山形の笹巻きの製法の共通点がどこから生まれてお互い関連があるのかどうかは謎だが、このような調理法を編み出した先人たちの知恵は恐ろしいほど理知的であり科学的だと吾輩は敬服するのだ。

3ー2.あくまきは戦の兵糧

かつて豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、島津軍が兵糧にしていたのがこの「あくまき」であった。
また1600年の関ヶ原の戦いで薩摩軍が食べていたのがこの「あくまき」であったとの記録があるそうだ。

(おわり)

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