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笹巻き(三角巻き・庄内) こぶし巻き(温海川) 山形鶴岡 和菓子なスクチャイ013 2025.06.04

和菓子なスクチャイ013 山形 > 鶴岡・温海川

三角巻の笹巻き(庄内)こぶし巻きの笹巻き(温海川)

三角巻の笹巻き(庄内)灰汁茹黄色
三角巻の笹巻き(庄内)灰汁茹黄色
こぶし巻の笹巻き(温海川)灰汁茹黄色
こぶし巻の笹巻き(温海川)灰汁茹黄色
左:こぶし巻の笹巻き(温海川)、右:三角巻の笹巻き(庄内) 灰汁茹
左:こぶし巻の笹巻き(温海川)、右:三角巻の笹巻き(庄内) 灰汁茹

吾輩は大阪生まれ育ちだが実は山形と大阪のハーフで、母方の山形には親戚が多く幼少時からよく遊びに行って春夏休みなどは現地に長期間居候していたものなのだ。

そして、住まいの大阪には幼少時から山形のおいしいものがよく届いていた。

その中での最もお気に入り一つが今回紹介する「笹巻き」だった。

あれはおそらく端午の節句の季節だ。まだ肌寒い頃から桜が終わる季節頃になると、山形からの荷物に笹巻きが入っていて吾輩は驚喜していた。

こればっかりは大阪ではどこに行っても手に入らない。

独特の黄色と強めのわらび餅の感じで笹の葉の香りがする、きなこをかけて食べると最高においしい食べ物なのだ。

後年新潟に住んで、そこで形こそ山形の笹巻きにそっくりな食べ物を発見したときは嬉しかった。しかし買って食べても首をかしげるばかりで感動はなかった。
形や大きさは山形のものと同じだが、中身は普通の餅米ご飯で単なる「おはぎ」なのだ。しかもおはぎよりずっと固い。葉っぱはベタベタするだけでむしろ扱いづらい。これでは普通のおはぎの方がよっぽどマシだ、となった。

そういうことで新潟在住時はおはぎは食べるが笹巻きは食べなくなった。

吾輩はなぜだ?どこが違うのだ?と悩んだ。
吾輩はあのとき、何を食べていたのだろう。
もう何十年もお目にかかってない。
尤も吾輩が長期海外赴任を含む引っ越しの連続で住所不定になり山形から荷物が届かなくなったせいでもある。吾輩が悪いのだ。

あるとき、吾輩は庄内を旅した。

ヤマザワなどの地元スーパーで笹巻きを売っているという広告を見たことがあった。

今回「庄内観光物産館」で買って帰って笹を解いてみると中から遠い昔幼少時に好んで食べていた中身が黄色いわらび餅状になったかたまりが出てきた。

これや! これでんがな!!!

笹の香りと共に、灰汁のちょっとクセがあるおいしいそうな香りが漂った。
嗅覚が過去の記憶を呼び戻してくれた。

中のもち米はもはや粒が消えていて全体が黄色いわらび餅状になって宝石のような透明感があった。

後日その笹巻きを買った店の店員さんに電話して訊いてみると、木を燃やした灰汁の上澄みにもち米を浸け、笹で巻いてから1~2時間ほど煮てからさらに煮汁に浸しておくとこのようにほとんどもち米の粒が消え黄色くなってプルンプルンと弾力のあるしっかりしたわらび餅のような食べ物に変化するのだ、という詳しい作り方まで教えてくれた。

※後で電話で確認したところ庄内の笹巻に使う灰の木は楢(なら)とのこと。2025/06/07

作り方まで聞いたのはそのときが初めてだった。幼少時は作り方など我関せず、ひたすら食べるのが専門であった。

そこで今更ながらの吾輩の想像を書くと、灰汁はアルカリ性なので細胞壁を溶かす。原料は餅米だが餅つきのように動的に細胞壁を壊しアミロペクチンと水分を絡めて弾力と粘り気を出すのではなく、笹巻きは静的に餅米の細胞壁を破壊しアミロペクチンが水分と絡まる。そのとき餅よりも多く水分を取り込む。そのため餅よりも柔らかい状態が持続しさらに灰汁によるアルカリ性と笹の葉による抗菌作用でより長時間雑菌の繁殖を抑えることができる。

先人たちの経験的な灰汁の作用が結果的に食糧の保存という利点を通り越して風味と食感を生み出したのではないだろうか。このような調理法を編み出した先人たちの知恵は恐ろしいほど理知的であり科学的だと吾輩は敬服するのだ。

店員さんが言うにはさっき言った作り方(煮る時間や笹に包む順番など)や形は地域によって多少異なるとのことだ。
たとえば笹の巻方には3種類あって、写真の三角巻とこぶし巻の他に3つめとしてタケノコ巻もあるそうな。

縛っているひもは畳にするイグサとのことだ。なんとも全体的に純日本的なお菓子ではないか!

基本的に庄内地方で端午の節句を祝うためにあるお菓子で、時期的には3月頃から5月中旬ぐらいまでだそうだ。
端午の節句だから子供の成長を祈っている、ということで子供が主役なのだ。
どおりで吾輩は子供の時にいっぱい食べたのだ。

その後本人はうまく成長したかどうかは知らんけど・・・(≧∇≦)

それでも、今や大人になった人からも、吾輩のように継続して食べたいという要望がどこかしこからあがってくるとのことだ。
つまり端午の節句だけと言わずに年中喰わせろ、と。

こういう無茶を言うのはだいたい大人だ。(≧∇≦)

笹巻き(上の写真)を手に入れたのは通常なら販売終了時期の5月20日過ぎの「庄内観光物産館」であった。
そこには写真のこぶし巻の笹巻きと三角巻の笹巻きの2種が販売されていた。
それぞれ温海川地域と庄内地域の笹巻きなのだ。

店員さんは、年中食べたいという少なくない客からの要望に応えるべく、温海川地域のこぶし巻の方をなんとか年中製造してくれるように現在交渉中だとのこと。(三角巻の方は笹の葉やもち米の入手などの理由でどうしても他の時期の製造は無理とのこと)

しかしながらこぶし巻の製造元は温海川で3つほどあるがどこも家族経営で高齢化も進んでいるので続けるのは実際に非常に厳しいとのことだ。

「庄内観光物産館」の入り口に掲げてあった大きな看板(下の写真)では、庄内の笹巻き製造技術が国の無形民俗文化財に登録されたとあり、これ自身はたいへんめでたい。

しかし、笹巻きを作るのに付帯する笹を採りに山に行ったり田んぼでもち米を育てたりするという一連の作業を続ける体力と気力が年齢的に続くかどうかや、跡継ぎがいないなどという現実問題が懸念なのだ。

これまで食べてばかりいてここまで育った吾輩が、恥ずかしながら今になってようやく製造元を心配するに至った。

まんずまんず、どうにかすねばなんねど!!!

庄内観光物産館の看板

なお、ヤマザワなどの地域スーパーでは端午の節句の時期だけ販売するだけだ。しかし、それよりも長い期間、できれば年中販売しようと試みている「庄内観光物産館」や「道の駅あつみ」もあるのだ。(吾輩調べ)

今年は「庄内観光物産館」の交渉がうまく行けばこぶし巻の笹巻きが年中手に入るかもしれない。吾輩も時期をみて「庄内観光物産館」と「道の駅あつみ」にまた行ってみるつもりだ。

(おわり)

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