見出し画像

おしえて!アレテー先生 ~小江戸川越・新米女性弁護士のまごころ事件簿~【創作大賞2026応募作品】


#創作大賞2026 #お仕事小説部門

【あらすじ】
埼玉県川越市。小江戸の風情を残すこの街の駅前に、「アレテー(徳)」を追求するちょっと変わり者の弁護士・阿礼輝(通称:アレテー先生)の事務所があった。 そこへ配属された司法修習生の志法望(しほうのぞむ)は、フレッシュな理想を胸に抱きながらも、個性豊かな依頼人たちや、一筋縄ではいかない法律のシビアな現実に直面していく。 弁護士費用や法テラスの仕組み、有責配偶者からの離婚請求など、リアルな事件処理を通じて弁護士の職責を学んでいく志法さん。やがて修習を終え、無事に弁護士バッジを手にした彼女は、アレテー先生の教えを胸に、人と社会のリアルに立ち向かう一歩を踏み出す。

 

埼玉県川越市…
小江戸と呼ばれる風情ある町並みを持つこの街の駅前に一人の変わり者の弁護士がいた。
その弁護士を人はこう呼ぶ…

アレテー先生( ・ω・)

と…

第1話「弁護士というお仕事」

志法望(しほうのぞむ)「今日から弁護修習で貴事務所に配属されました!司法修習生の志法望です!」

時霧優乃(じむゆうの)「お待ちしてました。修習生の志法さん。事務局の時霧です。どうぞ応接室に。」

志法望「(阿礼輝(あれいてる)先生って、どんな人なんだろう?修習開所式には出席されてなかったけど。厳しい人だったら、イヤだなぁ…)」

アレテー先生「やあ。初めまして。私が弁護士の阿礼輝。
言いにくいからアレテー先生と呼んでくれ( ・ω・)」

志法望「あ、アテレー先生!?」

アレテー先生「アテレーではない。アレテーだ( ・ω・)」

志法望「アレテー…どういう意味なんですか?」

アレテー先生「ふむ。アレテーとは、古代ギリシア哲学で『徳』を示す言葉だ。
私のソクラテス、プラトン、アリストテレス談話を聞きたいかね( ・ω・)?」

志法望「い、いえ…また別の機会に。(なんかめちゃくちゃ話長そうだから断っとこう…)」

アレテー先生「そうか…まあ、よかろう。
ところで志法さんは、志望は決まっているのかね( ・ω・)?」

志法望「裁判官、検事、弁護士の中で一番、自分に向いている仕事をやりたいです。
弁護士って、具体的にはどういう仕事なんでしょうか?」

アレテー先生「ふむ。根本的なところ、基本的なところ、表面的なところ、どのレベルから聞きたいかね( ・ω・)?」

志法望「(根本的なところ…って、すごく話長そうだな…)
き、基本的なところからお願いします!」

アレテー先生「法律家はまずは条文から。
志法さん。弁護士法1条はなんと書いてあるかな( ・ω・)?」

志法望「弁護士法1条ですか?
え~と、すいません。
司法試験の受験科目に弁護士法は無かったので、暗記してません…」

アレテー先生「条文の丸暗記なんてしなくていいよ。
六法見てみよう( ・ω・)」

志法望「は、はい。
弁護士法1条には次のように書いてあります。」

弁護士法第1条
1 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

アレテー先生「弁護士の使命は、基本的人権の擁護と社会正義の実現。
そして、その使命に基いて、誠実に職務を行い、社会秩序の維持や法律制度の改善に努力しなければならないとされているね( ・ω・)」

志法望「基本的人権の擁護と社会正義の実現が弁護士の使命なんですね。」

アレテー先生「そう。そして基本的人権の擁護というのは、抽象的に『人権は大事なんだ!』と叫んでいても実現しない。
我々、弁護士は、日々の事件処理を誠実に行っていくことによって、ちょっとでもよりよい社会の実現を目指してるのだよ( ・ω・)
志法さん、次に弁護士法2条を読んでみてくれ。」

志法望「はい。弁護士法2条。『弁護士の職責の根本基準』という表題ですね。次のような条文です。」

弁護士法第2条
弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに務め、法令及び法律事務に精通しなければならない。

アレテー先生「弁護士法2条では、『弁護士の職責の根本基準』として、深い教養の保持、高い品性の陶冶に努めること。さらに法令と法律事務に精通しなければならないと定めている。
つまり、弁護士には、深い教養と高い品性が求められ、さらに専門家として当然のことながら、法令と法律事務に精通していなけばならないのだよ( ・ω・)」

志法望「はぁ…なんか、めちゃくちゃハードル高い感じですねぇ…」

アレテー先生「まあ、法令はいろいろ改正もあるから、最新の法令や裁判所の判断で積み重ねられる判例を常に意識しておく必要はあるね。
深い教養は、追求すれば果てはないけど、とりあえず、司法試験に合格できるだけの勉強をしてきた人なら、そこまで気にすることはないさ( ・ω・)」

志法望「高い品性…たとえばどんなことがダメなんですか?」

アレテー先生「法に触れる犯罪行為をするのは論外だな。
あと犯罪でなくても、たとえば、出会い系サイトで嘘をついて女性と性行為したというので、懲戒処分を受けた弁護士もいるね。
まあ、常識的に考えて、品性下劣と思われるようなことをしなければ大丈夫さ( ・ω・)」

志法望「法律事務って、具体的にはどういうものなんですか?」

アレテー先生「具体的なものは、実際に修習を通して見てもらわないと教えにくいけど、弁護士法3条を読んでみてくれ( ・ω・)」

志法望「弁護士法3条は、『弁護士の職務』。条文は次のように書いてあります。」

弁護士法第3条
1 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。

アレテー先生「一般的な形で書くとなかなかわかりにくいね。
簡単に言えば、当事者から依頼を受けるなどして、裁判所での裁判手続や行政庁での決定に対する申立行為などをするということだね。
『その他一般の法律事務』はとても広い概念で、法律に関わる事務は全部と考えていい( ・ω・)」

志法望「2項からすると、弁理士や税理士の仕事もできるんですか?」

アレテー先生「法律上はね。ただ特許などに関わる弁理士の業務は弁理士に、税務処理に関する税理士の業務は税理士に依頼する方が無難だろうね。それ以外にも、不動産登記や商業登記のような登記業務は司法書士に頼むのがいいし、行政庁での許認可手続きなんかは行政書士の方がいいんじゃないかな。
餅は餅屋。弁護士は、弁護士にしかできない裁判や難しい交渉事件に専念した方がいいと個人的には思うね( ・ω・)」

志法望「弁護士の仕事…わかったようなわからないような…」

アレテー先生「まあ、実際の仕事を見るのが一番早いさ。
ジムさん、今日は、法律相談の予約はあるかな( ・ω・)?」

時霧優乃「このあと、離婚の法律相談の方が来所予定です。」

アレテー先生「よし。では、志法さん、法律相談に同席してください( ・ω・)」

志法望「はい!」


こうして始まったアレテー先生の下での弁護修習。次回は、法律相談を通じて、弁護士費用のお話をするらしい。


第2話「着手金・報酬金、法テラスの法律扶助利用って?」

法律相談を受けるアレテー先生。
法律相談の結果、弁護士が代理人についた方がよい事案だと判断する。


アレテー先生「……このケースなら、弁護士が代理人についた方が良さそうですね( ・ω・)」

相談者・駒手益代(こまてますよ)「できればお願いしたいですけど、弁護士費用って、どれくらいかかるんでしょうか?
恥ずかしながら、私、あまりお金無くて…」

アレテー先生「弁護士に依頼するときにどんなお金がかかるのか。
大事なところですよね。説明しましょう( ・ω・)」

司法修習生・志法望(しほうのぞむ)「(大事な話だな。
しっかり聞いておかないと…)」

アレテー先生「弁護士に依頼する場合にかかるお金としては、まず最初に『着手金』があります。
着手金というのは、事件処理の結果。まあ、裁判の勝ち負けというとわかりやすいですかね。結果に関わらず、弁護士に依頼するときにかかるお金です( ・ω・)」

駒手益代「その着手金をお支払いして、それで最後までお願いできるんですか?」

アレテー先生「着手金は最初にかかるお金で弁護士から見れば、収入になるお金です。
事件を進めていくためには、裁判所におさめる収入印紙代や郵券(切手代)などの『実費』も必要になってきます。まあ、『実費』については最初にお預かりして精算するのが基本でしょうけど、私の場合は、細かい実費の精算が面倒なので、最初に着手金に加えて数万円いただいて、あとの交通費や通信費なんかの実費は精算せずにやりますけど、弁護士によりやり方が違うでしょうねぇ( ・ω・)」

駒手益代「着手金をお支払いしたら、裁判期日に裁判所に行っていただく交通費とかはお支払いしなくていいんですか?」

アレテー先生「そこは弁護士によってやり方が違うので、依頼するときに『弁護士との契約内容をよく確認』して下さい。
私の場合は、よほど遠方の裁判所に行くのでなければ、交通費を別にいただくということはしませんが、弁護士によっては、裁判所の期日に行く交通費を細かく請求してきたり、『日当』を請求してくる弁護士もいるようです( ・ω・)」

志法望「裁判期日への日当を請求する弁護士と請求しない弁護士とどっちが多いんですか?」

アレテー先生「どうなんだろうねぇ?
東京なんかだと書面を出す時に一文字いくらで請求してくる弁護士もいるなんて話も聞いたことあるけど。
事務所のある県内の裁判所に行くのに、いちいち日当請求する弁護士は、あまりいなんじゃないかなぁ?
他の弁護士のお金の取り方はわからんけど( ・ω・)」

志法望「先生はどうして日当の請求や実費の精算をしないんですか?」

アレテー先生「あくまで私のやり方として聞いてくれ。
他の弁護士から営業妨害とか言われたくないからね。
日当なんかもらわなくても、着手金と実費分いただいてるんだから、それで弁護士は動くもんじゃないかな。
実費の細かい精算をしないのは、単純にめんどくさいから( ・ω・)」

志法望「でも、交通費とかの実費や通信費なんかをもらわないと損じゃないですか?」

アレテー先生「そんなのは、経費として確定申告で処理するからいいんだよ。
あくまで私の考えだけどね( ・ω・)」

駒手益代「アレテー先生にお願いする場合は、着手金をお支払いすれば、支払いは終わりですか?」

アレテー先生「事件終了時に、成果に応じて報酬金をいただきます。
入口で『着手金』。出口で『報酬金』。
まあ、『弁護士費用というのは、入口と出口でかかる』ものだと思ってもらえばいいですよ( ・ω・)」

駒手益代「最初に『着手金』。
終った時に『報酬金』をお支払いするということなんですね。
あのぉ…着手金や報酬金って、おいくらくらいなんでしょうか?」

アレテー先生「昔は、弁護士の着手金・報酬金については、日弁連で弁護士報酬基準という規定がありました。
以前は、弁護士報酬基準より低い費用で受任してはならないというルールでしたが、それは独占禁止法違反に当たるということで、今では報酬基準規定は廃止されています。
でも、費用の目安はやはり必要なので、多くの弁護士は、旧日弁連報酬基準を参考に着手金や報酬金の基準を決めていますね( ・ω・)」

駒手益代「どんな基準なんですか?」

アレテー先生「たとえば、『離婚調停』事件であれば、着手金・報酬は、それぞれ20万円から50万円の額。財産分与や慰謝料請求などの具体的なお金の請求もする事件であれば、着手金や報酬の金額は、『経済的利益』の何パーセントという風に金額を決めます。
知り会いの川越法律事務所がアップしてくれている日弁連の旧報酬基準を参考に添付しておきましょう( ・ω・)」

【(旧)日弁連報酬基準】
https://www.kawagoe-law.com/pdf/fee201707.pdf

駒手益代「20万から50万円…
それって一括でお支払いしないといけないんですか…?」

アレテー先生「分割払いにできるかどうかは弁護士の判断によるので、依頼する弁護士と相談してみてください( ・ω・)」

駒手益代「私の収入だと、分割でも、月1万円とか2万円ずつじゃないと厳しいです…
それだとやっぱりダメですよね…?」

アレテー先生「それならば、法テラスの法律扶助を利用することをお勧めします( ・ω・)」

駒手益代「『法テラス』って、聞いたことはあるんですけど、どういうものなんですか?」

アレテー先生「『法テラス』は、正式名称は、『日本司法支援センター』。法テラスは、国が設立した機関で、トラブルを抱えたときに相談できる機関を案内してくれる『情報提供業務』、国選弁護人の選任について裁判所・弁護士とやりとりする『国選弁護業務』、犯罪被害者の方への情報提供や精通弁護士の紹介などの『犯罪被害者支援業務』、そして、経済的にお困りの方への弁護士費用などの立て替えを行う『民事法律扶助業務』などを行っています。
その中の『民事法律扶助』というのは、簡単にいえば、『弁護士費用の立て替え』ですね。
法テラスのホームページにも説明があるので貼っておきましょう( ・ω・)」

【法テラス・民事扶助業務】

駒手益代「どういう人が法テラスの民事法律扶助を利用できるんですか?」

アレテー先生「条件は、
①資力要件を満たすこと
②勝訴の見込みがないとはいえないこと
③民事法律扶助の趣旨に適すること
の3つです( ・ω・)」

駒手益代「資力要件って、具体的には?」

アレテー先生「月収が基準額以下であることが一つ。
具体的には、東京や大坂のような一部大都市(生活保護の1級地)を除けば、単身者で月18万2000円以下、2人家族で25万1000円以下、3人家族で27万2000円以下、4人家族で29万9000円以下。5人家族以上は一人につき3万3000円ずつ増えていきます。この金額を超えていても、家賃や住宅ローンなどの住居費や、医療費、教育費なども、基準の額まで考慮できます。( ・ω・)」

駒手益代「夫の収入も入るんでしょうか?」

アレテー先生「基本的には配偶者(夫)の収入も考慮しますが、離婚事件の場合は、夫は相手方になるので、夫の収入は関係ありません( ・ω・)」

駒手益代「子ども2人を連れて夫は別居する予定です。それだと3人家族で月収が27万2000円以下なら利用できるということですね。」

アレテー先生「あと、収入が無くても預貯金のたくさんある人は利用できません。
具体的には、単身者は180万円以下、2人家族は250万円以下、3人家族は270万円以下、4人家族は300万円以下が、資産の基準額になっています( ・ω・)」

駒手益代「お恥ずかしい話ですけど、収入も資産も楽勝でクリアしてます…」

アレテー先生「駒手さんは法テラスの法律扶助を利用できそうですね( ・ω・)」

志法望「アレテー先生。他の二つの要件のチェックは必要ないんですか?」

アレテー先生「②の見込みがないとはいえないことの要件は、弁護士の援助でなんらかの解決が見込めることなんだ。解決不可能な事件を援助しないための要件で、離婚調停で離婚を求める事案なら、当然に要件を満たしている。
③の民事法律扶助の趣旨に適することの要件は、たとえば、恨みを晴らすための嫌がらせ目的での裁判とかを排除する趣旨なんだ。
そもそも、②と③の要件を満たさないような事件の依頼は、弁護士は、受任してはいけないね( ・ω・)」

志法望「なるほど。
法テラスを利用するデメリットってあるんですか?」

アレテー先生「弁護士サイドから見れば、費用が安い。ぼったくりに安い。本来の報酬基準の半額みたいなのもざらにあるから、本音を言えば、法テラスの法律扶助ではあまりやりたくないね( ・ω・)」

志法望「はっきり言いますね…」

アレテー先生「あと、法テラスの『法律扶助』は審査があって、利用するには弁護士を通じて給与明細とかの収入資料や住民票、離婚事件なら戸籍謄本なんかを法テラスに提出して、審査で決定が出るのを待たないといけない。特に年度末なんかだと、予算の関係で、審査が遅かったりするから、なかなか決定が出ないで弁護士が動けないこともあるね( ・ω・)」

駒手益代「すぐにアレテー先生に動いてもらえないんですか…?」

アレテー先生「知り合いに、法テラスの決定前に動いたり、決定後に依頼者に署名押印してもらう契約書提出前から動いていた良心的な弁護士がいた。だが、その弁護士は、依頼者が必要な書類を出してくれなかったり、連絡が取れなくなったりして、着手したものの事件を動かせない状態になるようなことがたくさんあった。それで、心を病んでしまって、その弁護士は病気休業することになって事務所を閉めたよ( ・ω・)」

志法望「下手をすればタダ働きして、事件も解決できないで終わるなんてこともあり得るわけですね…」

アレテー先生「そんな例もあるから、私は、法テラスの決定が出て、依頼者から法テラスへの契約書を提出してもらわない限り、事件処理には着手しない。
まあ、この辺は弁護士によりけりだろうね( ・ω・)」

志法望「審査に時間がかかることがある以外には依頼者にデメリットはないんですか?」

アレテー先生「たとえば、依頼したはいいものの、弁護士と相性が合わないとわかったときに、法テラスの法律扶助を利用している場合は、簡単には、弁護士の交代をできないね( ・ω・)」

志法望「それはどうしてですか?」

アレテー先生「法テラスを利用しない弁護士との直接契約であれば、弁護士と相談して、処理の程度に応じて着手金の一部を返金して合意で解約ということもあり得るけど、法テラスの法律扶助は、弁護士だけじゃなくて、法テラスも契約の当事者になっている。だから、弁護士の辞任・解任には、法テラスの地方事務所長の許可が必要なんだよ。
たぶん、弁護士がやることやってるのに、相性が合わないって理由じゃ、法テラスは弁護士の解任を認めてくれないと思う( ・ω・)」

志法望「どういうときは法テラスを利用していて弁護士を解任できるんですか?」

アレテー先生「たとえば、弁護士から進行についてなんの連絡も無かったり、説明を求めても、まったく連絡がつかなかったりとかって場合かな?
あとは弁護士が病気や怪我で事件処理を続けられなかったりってときは、解任も認められるんだろうねぇ( ・ω・)」

志法望「普通に処理ができなくなってしまった事故のような状態の場合だけなんですね。」

アレテー先生「あと、法テラスの費用は分割払いでいいんだけど、事件終結から3年以内に全額を償還(支払い)するのが一応のルールになっている。着手金償還が終わる前の早期解決をして、現金が入って来る以外の理由で報酬が高額になった場合なんかだと、月1万の支払いのつもりでいたのが、月数万円ずつの支払いになってしまうことも、たまにある( ・ω・)」

駒手益代「えっ!?3年以内に全額払うルールなんですか!?困っている人を助けるための制度のはずなのに!」

アレテー先生「金を出してる『国』がうるさいみたいですね。
まあ、基本的には高額な報酬になる事件は、相手方から高額な慰謝料なり財産分与が入って来るはずなので、相手方から入って来たお金をまずは法テラスの立て替え金全額の償還に充てるということになりますね。
まあ、相手から払ってもらうお金から払える分には、そんなには負担感は感じないかも知れません( ・ω・)」

志法望「デメリットはそれくらいですかね?」

アレテー先生「調停で解決せずに、続けて裁判するような場合だと、法テラスの着手金もけっこうな金額になっちゃうことはありますね。
あと、金額の調整はありますが、婚姻費用分担請求の調停と離婚調停はそれぞれ1件としてカウントされるので、そこに相手方から面会交流調停が起こされたりすると合計3件の事件になって、場合によっては法テラスを利用しないで弁護士と直接契約するのと変わらないか、割高になることもあります( ・ω・)」

駒手益代「子どもに会わせろって、夫は言ってきそうです。」

アレテー先生「まあ、予定していなかった事件が増えた時に費用が増えるのは、法テラスを利用しない場合でも同じなので、面会交流の調停を起こされた場合は、また相談しましょう( ・ω・)」

駒手益代「ちなみに、アレテー先生に、法テラスを利用せずにご依頼した場合は、私のケースなら着手金は、おいくらですか?」

アレテー先生「離婚調停、婚姻費用分担調停、それに面会交流の対応含めて、着手金・実費35万円。
調停でまとまらずに訴訟をするなら、着手金を追加で25万円ですかね( ・ω・)」

駒手益代「着手金を貸してもらえないか。親に相談してみます。」

アレテー先生「離婚調停と婚姻費用分担調停だけですめば、法テラスなら着手金は、15万くらいですよ( ・ω・)」

駒手益代「子どものことが一番、争いになると思うんです。親に少しずつ35万円を返す方が気が楽です。やるなら、アレテー先生に気持ち良くお願いしたいです!」

アレテー先生「わかりました。ご連絡お待ちしています。もし、ご両親に着手金の援助を頂けない場合は、遠慮なく、法テラスを利用してください( ・ω・)」


その日の夕方、駒手益代から着手金の準備ができたので、改めて依頼したいと連絡が入る。
後日、アレテー先生と委任契約を取り交わすこととなる。


志法望「アレテー先生、なんか法テラス利用しないように誘導してませんでした?」

アレテー先生「ん?ああ、サラ金から借りなきゃならない人なら、無理して着手金作っちゃダメだけど、親の援助をもらえる人なら、法テラスを利用しないでやる方が本来のあり方だよ( ・ω・)」

志法望「そうなんですかぁ?」

アレテー先生「だって、法テラスって、本当に困った人を助けるための弁護士のボランティア精神に支えられた制度だからね。家族に助けてもらえる人は恵まれてるのさ( ・ω・)」


富者は富者なりに、貧者は貧者なりに。
世界は誰かの善意と献身により動いている…


第3話「私選弁護と国選弁護」

志法望(しほうのぞむ)「国選弁護と私選弁護の違いって、何かあるんでしょうか?」

アレテー先生「ん?国選は国費で弁護人が依頼される代わりに被疑者本人は誰に依頼するか選べない。
私選は費用を払う代わりに被疑者本人が弁護士を選べる。
違いは、それだけかな( ・ω・)」

志法望「私選の方が弁護の質が良いということではないんですか?」

アレテー先生「弁護士次第だね。
国選でも良い弁護をする弁護士もいるし、私選でもたいしたことのない弁護士もいる。
私に言わせれば、国選は手を抜いて、私選は頑張るような弁護士は、本物の刑事弁護人じゃないよ( ・ω・)」

志法望「でも、私選弁護はお金を払うんだから、やっぱり質の良い弁護を受けられると期待させるんじゃないでしょうか?」

アレテー先生「そもそも刑事弁護人というのは、報酬の額や誰から金をもらうかに関係なく、被疑者・被告人のために全力を尽くすべきものだ。
私は、私選弁護の費用は、弁護人の指名料としか思わないね( ・ω・)」

志法望「それって、オーソドックスな考え方なんでしょうか?」

アレテー先生「どうだろうね?
そもそも日本には、本物の刑事弁護人は数えるほどしかいない。
ほとんどの弁護士は、民事事件ばっかりやってる弁護士ばかりで、刑事弁護人と呼ぶに値する弁護士は限られてるのさ。
まあ、それを見極めるのは、一般人には、およそ無理な話だろうね( ・ω・)」

志法望「本物の刑事弁護人は少ないんですか…?」

アレテー先生「もちろん、通常の自白事件であれば、ほとんどの弁護士は対応できるよ。
被害者と示談交渉するとか、保釈請求するとか、真面目で誠実な弁護士であれば、それなりにきちんとやってくれると思うよ( ・ω・)」

志法望「本物の刑事弁護人がやるべき事件って、どういう事件なんですか?」

アレテー先生「本物の刑事弁護人がやるべき事件…
殺人の否認事件かな( ・ω・)」

志法望「ええっ!?とんでもない重大事件じゃないですか!?」

アレテー先生「そう。そういうとんでもない重大事件では、弁護人の証拠の読み方、事案の筋のとらえ方で、結論が変わり得る。
依頼者が無罪になるか、それとも、死刑になるか( ・ω・)」

志法望「アレテー先生、しれっとすごいこと言ってますね…」

アレテー先生「本物の刑事弁護人は国選でも私選でもやることは変わらない。むしろ、本当にやらなきゃならない事件は国選であることの方が多いかもね。
まあ、刑事事件ばっかりやってると、食っていけないのはそういう理由だ( ・ω・)」

志法望「なんだか、今回は、単なる雑談でしたね。」


第4話「婚姻費用と養育費」

離婚調停の進め方について依頼者と打ち合わせをするアレテー先生。


駒手益代(こまてますよ)「離婚が成立するまでの間って、夫からお金をもらえることはないんでしょうか?生活費も、正直、苦しいので…」

アレテー先生「離婚調停と同時に、婚姻費用分担の調停も申し立てましょう( ・ω・)」

駒手益代「婚姻費用…?って、なんですか?」

アレテー先生「婚姻費用の請求というのは、簡単に言えば、離婚が成立するまでの間の月々の生活費を請求することですよ。
夫婦にはお互いに生活保持義務があり、別居して離婚協議をしている夫婦でも、婚姻費用の請求ができるのです。
まあ、収入の多い方が義務者、収入の少ない方が権利者というのが一般的ですね( ・ω・)」

駒手益代「離婚まで月々の生活費がもらえるんですか?
婚姻費用って、養育費と何が違うんですか?」

アレテー先生「養育費というのは、離婚後に、子と一緒に暮らさない親が、未成年の子のために支払う費用です。
それに対して、婚姻費用は、離婚成立するまでの間の費用なので、配偶者(多くは妻)の生活費も含まれます( ・ω・)」

駒手益代「婚姻費用とか養育費って、どれくらいの金額がもらえるんでしょうか?」

アレテー先生「実際には、家庭裁判所で決めるときには、裁判所が発表している婚姻費用・養育費の算定表にあてはめて金額を出しますね( ・ω・)」

駒手益代「算定表?」

アレテー先生「算定表は、裁判所のホームページで公開されています。
ちょっとリンクしてみましょう( ・ω・)」

志法望(しほうのぞむ)「裁判所の公開している算定表だと、子どもの人数や年齢(15歳未満か15歳以上か)で、子どもが3人までの婚姻費用や養育費の基準額が出せるんですね。」

アレテー先生「もともと算定表は、2003年4月に判例タイムズという雑誌に載った『簡易迅速な養育費等の算定を目指して―養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案―』という裁判官達の研究発表からスタートしている。
それまでの実務上の経験をもとに、権利者と義務者の収入や子どもの数から婚姻費用・養育費の金額の幅を決めた表を使って、基準額の範囲内で金額を決めるというのが、実務上、定着していった。
そして、令和元年12月23日に発表されたのが、現在使われている算定表だね( ・ω・)」

志法望「でも、個別の事情を考えないで、算定表の基準額で婚姻費用や養育費の金額を決めるというのは、不都合がないんでしょうか?」

アレテー先生「基本的には、算定表を使った婚姻費用や養育費の算定でうまくいっているように思うよ。たとえば、住宅ローンを抱えているとか、子どもに障害があるとかといった個別事情も、算定表の範囲内で考慮しながら金額を決めていくのが公平だろうね( ・ω・)」

駒手益代「妻の収入が無い方が、婚姻費用や養育費は高くなるんでしょうか?それなら、仕事をしない方が得なのかしら?」

アレテー先生「婚姻費用や養育費を考える上での基礎になる収入は、収入が無い人の場合は、働けばこの程度は収入が得られるだろうという仮定の収入を想定することが多いですね。だいたい、100万円~150万円くらいに想定することが多いでしょうか。
実際問題、お子さんを連れて生活しないといけないんだから、婚姻費用や養育費を少しでも高くするために仕事をしないというのはお勧めできませんね( ・ω・)」

駒手益代「これまで払ってもらえなかった婚姻費用は払ってもらえるんでしょうか?」

アレテー先生「婚姻費用の金額は具体的には調停や審判などで金額が決まるまでは具体的な権利ではありません。
婚姻費用分担の調停を起こした月の分から、調停や審判で金額が決まるまでの間の分については、未払い婚姻費用としてまとめて払えということになりますね。
なので、調停や審判で金額が決まる前でも、未払い婚姻費用を増やさないように、夫側が主張する金額を仮払いしてくることもありますね。
まあ、その辺は、相手次第かな( ・ω・)」

駒手益代「離婚を求めながら、生活費としての婚姻費用を求めるというのは、筋としてはどうなんでしょうか?」

アレテー先生「別居して離婚を求めていても、離婚が成立するまでは夫婦です。その間の婚姻費用を求めることは何もおかしなことじゃありませんよ。それに、婚姻費用と離婚は先に婚姻費用が決まるのが普通なので、夫の側も婚姻費用を払いたくなくて離婚に応じるということもケースによってはありますねぇ。婚姻費用の方が、養育費よりも妻の生活費が入っている分、少しだけ高いですからねぇ( ・ω・)」

志法望「婚姻費用や養育費が払われない場合には、差押をするということになるんでしょうか?」

アレテー先生「まあ、最後の手段としては、給与なんかの差押をすることができるね。でも、差押を受けて職場に知られたくないって人が多いから、定職についている相手なら、婚姻費用や養育費は決められたとおりに払ってくるのが多いかな。
まあ、収入が無かったり、職を転々としているような相手だと、差押もなかなか大変になっちゃうけどね( ・ω・)」

志法望「婚姻費用とか離婚後の養育費とか考えても、経済的にしっかりした夫の方が良さそうですねぇ…」

アレテー先生「まあ、慰謝料でも財産分与でも、養育費でも経済力のある男からの方がとりやすいのは、悲しいかな現実ではあるだろうね( ・ω・)」

駒手益代「働かないのに、暴力振るったり、性的強要(避妊の協力しない)してくる男とかって、結婚相手としては最悪ってことなんですねぇ…」

アレテー先生「まあ、婚姻費用の請求をするかどうかは、弁護士によく相談して、やるなら迅速にやるのが鉄則だろうね。
ということで、ちゃっちゃと婚姻費用分担請求の調停と離婚調停を起こしちゃいましょう( ・ω・)」

駒手益代「はい。よろしくお願いします。」


今回は、ここまで。
次回は、離婚時に決めることのお話です。


第5話「離婚時に決めること」

離婚調停の進め方について依頼者と打ち合わせをするアレテー先生。


駒手益代(こまてますよ)「アレテー先生。離婚するときって、どんなことを決めればいいんですか?」

アレテー先生「離婚時に決めるべきこととしては、だいたい次のようなことでしょうか。
①離婚(するかどうか)
②子の親権
③子の養育費
④離婚時の慰謝料
⑤財産分与
⑥年金分割
あと、親権者とならない親との
⑦面会交流
も決めておくといいですね( ・ω・)」

駒手益代「①の離婚(するかどうか)って、離婚をすることが前提になるんじゃないんですか?」

アレテー先生「離婚というのは、夫婦の双方が同意していればできます。
でも、現実の離婚調停では、そもそも一方が離婚したくないということで、離婚そのものについて争いになることもあるんですよ。
そういう場合は、財産分与や慰謝料などの条件次第で離婚に応じられないかなどが、調停の中で協議されることもよくありますね。
でも、そもそも、どちらかが絶対に離婚したくないと言い張れば、調停での解決はできません。
その場合は、訴訟(裁判)の中で、判決でも離婚が認められるだけの、離婚原因が認められるかどうかを争うことになりますね( ・ω・)」

駒手益代「はあ…離婚することは当然の前提で話し合いが進むとは限らないのですね…」

アレテー先生「やはり一番大事なのは、②の子の親権でしょうね。
どちらの親が親権者となり子を監護養育するのかを、子の福祉を第一に考えながら、決めていくことになります( ・ω・)」

駒手益代「親権者を決める上で、有利・不利ってあるんでしょうか?」

アレテー先生「やはり従前の子の監護状況は重視されますね。
子どもにとっては環境が変わることはとても大きな影響がありますから、基本的には、子の環境を大きく変えないように、従前から監護の中心だった親を親権者・監護権者にするという傾向はありますね。
もちろん、子の年齢などにもよっても考慮すべき要素は変わってきます。母親が親権者になることが一般的には多いですが、必ず母親が親権者になるのが良いというわけでもありません。あくまでもその家庭について、個別具体的に考えていく必要がありますね( ・ω・)」

志法望(しほうのぞむ)「③の養育費は、算定表に双方の収入を当てはめて決めていくのでしたね。前回、やりました。」

アレテー先生「④の慰謝料は必ず発生するわけではないですが、離婚(婚姻関係の破綻)の理由によっては、離婚時に慰謝料の支払いが必要になることもありますね。
典型的なものは、不貞(浮気)が原因の離婚でしょうか。
また慰謝料は離婚したくない一方当事者に離婚を納得させるための説得材料として話し合われることもありますね( ・ω・)」

志法望「⑤の財産分与は、夫婦で築いた共有財産を、離婚時に清算するものですね。」

アレテー先生「まあ、一般的に言えば、名義に関係なく、夫婦でいる間にできた財産の評価額を出して、それを2分の1にした金額を出して、財産を多く持っている方から財産の少ない方に支払うということだね。
財産がある人の離婚だと、けっこう財産分与をどう解決するかというのが、大きな問題になったりもするね( ・ω・)」

駒手益代「⑥の年金分割って、なんなんでしょうか?」

アレテー先生「婚姻時にかけていた厚生年金等を分割する手続です。
老後の年金額に影響が出てきますね。按分割合は、5:5にするのが普通で、調停などで年金分割をするには、年金事務所で、年金分割の情報通知書をもらう必要がありますね( ・ω・)」

駒手益代「情報通知書というを取る必要があるんですね。」

アレテー先生「ちなみに、年金分割について合意ができても、離婚後に、年金事務所で、年金分割の手続をする必要があります。離婚後2年以内という期限があるので、離婚が成立したら、すぐに年金分割の手続のために年金事務所にも行く方がいいでしょうね( ・ω・)」

志法望「離婚するときって、いろいろ決めることがあるんですね。」

アレテー先生「ちなみに、⑦面会交流については、必ずしも離婚に決めなければならないわけじゃないけど、子が親と交流することは、子の成長のために重要なことだから、できれば、離婚時に、きちんと決めておいた方がいいだろうね( ・ω・)」

駒手益代「アレテー先生。もしも、夫が離婚したくないと言ってきたら、どういう場合になら、裁判でも離婚が認められるんでしょうか?」

アレテー先生「それについては、次回、離婚原因についてで、詳しくやりましょう( ・ω・)」


今回は、ここまで。
次回は、離婚原因のお話です。


第6話「離婚原因とは?」

司法修習生の志法望と一緒にお昼ご飯を食べるアレテー先生。

志法望(しほうのぞむ)「アレテー先生、質問してもいいですか?」

アレテー先生「なんだい?志法さん( ・ω・)?」

志法望「民法770条1項各号の定めている離婚原因の要件事実について、具体的にどう考えていくのかを知りたいんですが。」

アレテー先生「なるほど。じゃあ、ちょっと考えてみようか。
要件事実のお話は、次の記事を参考にしてくれ( ・ω・)」

志法望「要件事実というのは、民事裁判において、当事者が主張・立証しなければならない、法律要件に該当する具体的事実のことですよね。
離婚の裁判の場合は、離婚原因としては、どんな事実を主張・立証する必要があるのかが、ちょっとイメージできてないんです。」

アレテー先生「まず条文を見てみよう。
離婚原因についての条文は、次のようなものだね。

民法770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

まあ、こんな条文だ( ・ω・)」
(※【法改正情報】令和6年民法改正、令和8年施行により、現在では上記4号が廃止され、5号が4号に繰り上がっています。現在は、法改正で4号が廃止されて繰り上がっていますが、今回は解説のために改正前の条数で進めます!)

志法望「①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病、あと最後に⑤婚姻を継続し難い重大な事由、これらが民法の定める裁判上の離婚原因ですね。」

アレテー先生「離婚原因って、どの号を見ても、具体的な事実に対する評価が必要な条項ばかりだよね( ・ω・)」

志法望「一応、それぞれの説明をしていただいてもいいですか?」

アレテー先生「まず①不貞行為。これは、いわゆる浮気だね。
特に裁判上の離婚原因となる『不貞行為』とは配偶者以外との性交渉をいう。
不貞行為が離婚原因の場合は、300万円くらいの慰謝料を請求するのが一般的だね( ・ω・)」

志法望「性交渉をしたかどうかなんて証明できるんでしょうか?」

アレテー先生「その行為の真っ最中に踏み込めるなんて、よほどレアなケースだろうから、性行為をした証拠をストレートに出すのは、普通はできないよ。
ラブホテルの領収証だったり、具体的な行動を間接的に証明できる証拠を積み上げて、推論を重ねて、不貞行為があっただろうと裁判官が思えるくらいの立証をしていくことになるね( ・ω・)」

志法望「②の『悪意の遺棄』もよく聞きますね。」

アレテー先生「②『悪意の遺棄』というのは、正当な理由なく、夫婦の同居義務・協力義務・扶助義務を放棄する行為をいう。
これも、どんな行為が『悪意の遺棄』といえるかという評価の必要な規範だね。
よく見かけるのは、生活費をぜんぜん渡さないとか、家事・育児をまったくしないとか、そういうケースが多いかな。
その夫婦の生活状況に応じて、個別具体的に評価していく必要があるね( ・ω・)」

志法望「③の3年以上の生死不明も離婚原因なんですね。」

アレテー先生「あんまり使わないけどねぇ。
生きてるのか死んでるのかもわからなくなった配偶者と、失踪宣告を待たずに離婚できるように、してあるということだね( ・ω・)」

志法望「④の強度の精神病…これも離婚原因なんですね。」

アレテー先生「実は、④の離婚原因はあまり使われていない。
配偶者が精神病で一人では生活できない状態であれば、それを放り出すのは精神病になった配偶者の生存に影響を与えかねないから、2項で離婚を認めないというのが多いかも知れないね( ・ω・)」

志法望「最後の『⑤婚姻を継続し難い事由』。
これ、具体的には、どんなことなんでしょうか?」

アレテー先生「不貞と並んで裁判での離婚原因に多いのが、この『⑤婚姻を継続し難い事由』だ。
まさに夫婦を続けるのがもはや難しいと客観的に評価できるような状況で、いろいろなケースがある。
たとえば、DV(ドメスティックバイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)なんかも、この『⑤婚姻を継続し難い事由』という離婚原因になってくるね。
この離婚原因は、ほかにもいろいろなパターンがあって、例えば、異常な性癖があったり、長期間の別居が続いていたり、どうしようもない価値観の不一致だったり、まさにその夫婦の婚姻関係が破綻しているかどうか、回復の見込みがないか、などを、判断していくことになるね( ・ω・)」

志法望「裁判上の離婚原因って、どれも主張・立証が大変そうですね。」

アレテー先生「まあ、お互い離婚に合意してれば、離婚届を出すだけでも離婚はできるからねぇ。
自分たちだけで話し合えない場合は、離婚調停で話し合う。
それでも解決しない最後の手段が裁判離婚というところだから、裁判までやるのであれば、裁判で離婚が認められる可能性がどれくらいあるか、離婚原因と評価されるような事実を主張・立証できるかを、しっかりと検討する必要があるだろうね( ・ω・)」

志法望「ちょっと素人にはできそうもない話ですね。だから、裁判の専門家の弁護士が必要なんですね。」

アレテー先生「そういうこと。
離婚の話し合いは、弁護士が入らなくてもできるけど、裁判までやるなら、弁護士の援助なしだと事実上、難しい。
まあ、依頼するかどうかにかかわらず、困った時は、弁護士に相談してみるのが正解だね( ・ω・)」


今回は、ここまで。
次回は、有責配偶者からの離婚請求のお話です。


第7話「有責配偶者からの離婚請求」

法律相談を受けるアレテー先生。

アレテー先生「ふむ。なるほど( ・ω・)」

相談者・矢土松太(やつちまつた)「先生、私、離婚できますか!?」

アレテー先生「別居して10年か。そして、その別居の原因は、あなたの浮気だったということですな( ・ω・)」

矢土松太「はい…恥ずかしながら、私が浮気しちゃったのが原因です…」

司法修習生・志法望(しほうのぞむ)「アレテー先生。離婚を求める側が離婚原因を作ったというケースですか?」

アレテー先生「そうだ。いわゆる。有責配偶者からの離婚請求ですな( ・ω・)」

矢土松太「やっぱり、自分で離婚の原因を作った以上、離婚は認められないんでしょうか?もう別居して10年も経つんですが…」

アレテー先生「婚姻関係の破綻した原因を作った側を有責配偶者と言います。この有責配偶者から離婚を求めるケースというのは、簡単に離婚は認めてもらえません。
なぜなら、自分で離婚原因を作った者に安易に判決での離婚を認めることは、離婚を望まない被害者の立場のある配偶者にとって酷となり、正義に反すると考えられるからです( ・ω・)」

矢土松太「それじゃ、やっぱり無理なんですか…」

アレテー先生「いえ。有責配偶者からの離婚請求については、先例となる最高裁判決があります。最高裁昭和62年9月2日の大法廷判決です。
大事な判例なので、ちょっと、紹介してみましょう( ・ω・)」

 一1 民法七七〇は、裁判上の離婚原因を制限的に列挙していた旧民法(昭和二二年法律第二二二号による改正前の明治三一年法律第九号。以下同じ。)八一三条を全面的に改め、一項一号ないし四号において主な離婚原因を具体的に示すとともに、五号において「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」との抽象的な事由を掲げたことにより、同項の規定全体としては、離婚原因を相対化したものということができる。また、右七七〇条は、法定の離婚原因がある場合でも離婚の訴えを提起することができない事由を定めていた旧民法八一四条ないし八一七条の規定の趣旨の一部を取り入れて、二項において、一項一号ないし四号に基づく離婚請求については右各号所定の事由が認められる場合であつても二項の要件が充足されるときは右請求を棄却することができるとしているにもかかわらず、一項五号に基づく請求についてはかかる制限は及ばないものとしており、二項のほかには、離婚原因に該当する事由があつても離婚請求を排斥することができる場合を具体的に定める規定はない。以上のような民法七七〇条の立法経緯及び規定の文言からみる限り、同条一項五号は、夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成しえなくなり、その回復の見込みがなくなつた場合には、夫婦の一方は他方に対し訴えにより離婚を請求することができる旨を定めたものと解されるのであつて、同号所定の事由(以下「五号所定の事由」という。)につき責任のある一方の当事者からの離婚請求を許容すべきでないという趣旨までを読みとることはできない。
 他方、我が国においては、離婚につき夫婦の意思を尊重する立場から、協議離婚(民法七六三条)、調停離婚(家事審判法一七条)及び審判離婚(同法二四条一項)の制度を設けるとともに、相手方配偶者が離婚に同意しない場合について裁判上の離婚の制度を設け、前示のように離婚原因を法定し、これが存在すると認められる場合には、夫婦の一方は他方に対して裁判により離婚を求めうることとしている。このような裁判離婚制度の下において五号所定の事由があるときは当該離婚請求が常に許容されるべきものとすれば、自らその原因となるべき事実を作出した者がそれを自己に有利に利用することを裁判所に承認させ、相手方配偶者の離婚についての意思を全く封ずることとなり、ついには裁判離婚制度を否定するような結果をも招来しかねないのであつて、右のような結果をもたらす離婚請求が許容されるべきでないことはいうまでもない。
 2 思うに、婚姻の本質は、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもつて共同生活を営むことにあるから、夫婦の一方又は双方が既に右の意思を確定的に喪失するとともに、夫婦としての共同生活の実体を欠くようになり、その回復の見込みが全くない状態に至つた場合には、当該婚姻は、もはや社会生活上の実質的基礎を失つているものというべきであり、かかる状態においてなお戸籍上だけの婚姻を存続させることは、かえつて不自然であるということができよう。しかしながら、離婚は社会的・法的秩序としての婚姻を廃絶するものであるから、離婚請求は、正義・公平の観念、社会的倫理観に反するものであつてはならないことは当然であつて、この意味で離婚請求は、身分法をも包含する民法全体の指導理念たる信義誠実の原則に照らしても容認されうるものであることを要するものといわなければならない。
 3 そこで、五号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら責任のある一方の当事者(以下「有責配偶者」という。)からされた場合において、当該請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断するに当たつては、有責配偶者の責任の態様・程度を考慮すべきであるが、相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情、離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び夫婦間の子、殊に未成熟の子の監護・教育・福祉の状況、別居後に形成された生活関係、たとえば夫婦の一方又は双方が既に内縁関係を形成している場合にはその相手方や子らの状況等が斟酌されなければならず、更には、時の経過とともに、これらの諸事情がそれ自体あるいは相互に影響し合つて変容し、また、これらの諸事情のもつ社会的意味ないしは社会的評価も変化することを免れないから、時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮されなければならないのである。
 そうであつてみれば、有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすることはできないものと解するのが相当である。けだし、右のような場合には、もはや五号所定の事由に係る責任、相手方配偶者の離婚による精神的・社会的状態等は殊更に重視されるべきものでなく、また、相手方配偶者が離婚により被る経済的不利益は、本来、離婚と同時又は離婚後において請求することが認められている財産分与又は慰藉料により解決されるべきものであるからである。

アレテー先生「ようするに、有責配偶者からの離婚請求の場合は、
①夫婦の年齢・同居期間と対比した長期の別居期間
②未成熟の子が存在するかどうか
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等の特段事情が無いか
を考慮して離婚の可否が判断させることになります。
そして、有責ではない配偶者の不利益は『財産分与や慰謝料を高額にする』ことで解決するということになりますね( ・ω・)」

矢土松太「財産分与や慰謝料を高額にするって、どれくらいですか?」

アレテー先生「離婚したいなら払えるだけ相手に払って、無一文、裸で出て行けというイメージでしょうか。
まあ、実際には、これも事案ごとの判断でしょうね( ・ω・)」

矢土松太「キビシ~!やっちまったなぁ!」

志法望「ちなみに昭和62年の最高裁大法廷判決のケースは、別居35年、年齢は70歳の原告が全財産を妻に渡して離婚を求めた事案のようですね。そこまでしないと離婚できなかったのかぁ…」

アレテー先生「浮気の後始末って大変よね…
まあ、浮気したやつが悪いんですよ。
人を不幸にしたくなかったら、不倫なんてするもんじゃないね( ・ω・)」


第8話「ぶっちゃけ、弁護士が受けたくない事件ってあるの!?」

時の流れは速いもの。
前回のお話から1年が過ぎ、司法修習生だった志法望は、司法修習を終え、無事に弁護士となり、アレテー先生の法律事務所のイソ弁となりました。
(※イソ弁とは経営弁護士(ボス弁)から給料をもらって働く勤務弁護士のことです。)

志法望(しほうのぞむ)「弁護士になりました志法望です!
阿礼輝(あれいてる)法律事務所の一員として、これから相談者、依頼者の方たちのために誠心誠意努力していきたいと思います!」

時霧優乃(じむゆうの)「志法先生。よろしくお願いいたします。」

志法望「志法先生…ああ、私も『先生』と呼ばれるようになったんですねぇ!」

アレテー先生「志法先生。『先生』と呼ばれて舞い上がっているようではまだだまだだよ。司法試験に合格し、司法修習を終えて弁護士バッジをつけることはゴールではない。これで、君も、法曹としてスタートだ。
まあ、意気込み過ぎず、無理せず頑張ってくれたまえ( ・ω・)」

志法望「アレテー先生。まずは何をやりましょう!」

アレテー先生「そうだね。今日は、法律相談の予約も国選刑事事件の配転も無いから、まずは仕事を始めるためにもろもろ整えて、夜は歓迎会をやろう( ・ω・)」

新人弁護士・志法望の初日は、なんやかんやとバタバタと過ぎ、一日目の業務を終了。夜は、歓迎会で、楽しいひと時を過ごします。
歓迎会の一次会を終え。

アレテー先生「志法先生。もう一軒行こうか( ・ω・)」

志法望「あっ、はい。お付き合いします。」

時霧優乃「アレテー先生、たまにはお付き合いしましょうか?
志法さんの歓迎会ですし。」

アレテー先生「おお。いいねえ。飲み代と帰りのタクシー代の負担が増えるが、せっかくだから、時霧さんにも参加してもらおうか( ・ω・)」

3人は、アレテー先生のいきつけのパブスナック『愛羅武』に行きます。

志法望「えっ、二次会って、お姉さんのいるお店なんですか?」

アレテー先生「おや、いやかね?お姉さんがいるといっても健全なスナックだよ。女性の時霧さんも、たまに来てる( ・ω・)」

志法望「で、でも、いわゆる水商売のお店ですよね…?」

時霧優乃「あら、志法先生。水商売はダメなんて偏見持ってると、いい弁護士にはなれませんよ。」

アレテー先生「まあ、いやなら無理強いはせんが。
せっかく、弁護士のぶっちゃけトークを聞かせてあげようと思ったんだがな( ・ω・)」

志法望「わかりました。ご一緒させていただきます!」

パブスナック『愛羅武』店内…

ママ「あら~。アレテー先生、おひさしぶりじゃな~い!」

アレテー先生「やあ、ママ。物価高でお店がつぶれてないか心配してたけど、大丈夫そうだね( ・ω・)」

ママ「物価高、大変よぉ~。まったく政治家達は何やってんだろねぇ。
税金、取るばっかで、使い方がなってないのよねぇ。憲法改正の前に物価高対策やって欲しいわよねぇ~。」

アレテー先生「今日は、新人弁護士と時霧さんが一緒だ。
いつものボトルと乾きものお願い( ・ω・)」

時霧優乃「ママさん、今日は、よろしくお願いします。」

ママ「あら~。優乃ちゃん、来てくれたんだ~。
相変わらず、美人さんねぇ。
アレテー先生の事務所が嫌になったら、いつでもうちで働いてもらっていいからねぇ。」

時霧優乃「まあ、ママさん、ほめるのお上手ね。」

アレテー先生「ママ。わしの右腕を引き抜こうとしないでもらえるかな。
時霧さんがいなくなったら、事務所が回らん( ・ω・)」

志法望「は、はじめまして!弁護士の志法望です!」

ママ「おっ、若い先生ね。今夜は楽しんでいって!」

宴もたけなわ。時霧さんは、カラオケで盛り上がっています。

アレテー先生「志法さん。志法さんはこれからどんな弁護士になりたいかな( ・ω・)?」

志法望「困っている人を助ける弁護士になりたいです。」

アレテー先生「そうか。いい心がけだ。
だが、『困っている人を助ける』という理想に燃えていると、受けるべきでない事件も受けることになりかねないかもね( ・ω・)」

志法望「受けるべきでない事件?そんなのがあるんですか?」

アレテー先生「私も、若い頃は、『困っている人を助ける』という一心で仕事をしていた。
他の弁護士が受けないような困難事件や分割払いでも費用を払うのが苦しい人もいたね。事務所の経営は火の車だったが、まあ、なんとかやってきているな( ・ω・)」

志法望「あまりお金にならない事件は受けるべきじゃないというお考えなんでしょうか?」

アレテー先生「いや。法テラスの法律扶助を使っても、助けてあげるべき人達はたくさんいる。むしろ、そういう人達をちゃんと助けていけるように、正当な費用を払える人からは正当な費用を払ってもらうべきだね。
まあ、かわいそうだから、安く受けてあげようは、やめておいた方がいいね( ・ω・)」

志法望「アレテー先生は、こういう事件、あるいは依頼者の事件は受けたくないって、ありますか?」

アレテー先生「もちろんあるさ。
まずは、弁護士の話を聞かない人。これはダメだね。
弁護士は、依頼者の話を聞き、それを法的に整理し、裁判などの法的手続の言葉に変換する仕事だ。
合う合わないの相性の問題もあるが、弁護士が説明しても、自分の考えに固執して、弁護士と意見交換しても最終的に弁護士の判断に従ってくれない人。これは、適切な解決をするのが困難な上に、負ければ弁護士のせいだと言ってくる。苦労ばかり多くて、結果的に負けるから報酬ももらえん。そういう依頼は受けないのが安全だね( ・ω・)」

志法望「なるほど。」

アレテー先生「明らかな嘘をつく人。これも避けたいね。
人間は、自分をよく見せたいと思う生き物だ。多少の嘘や自分を悪く見せたくないからという言動を取ってしまうのは仕方がない。
でも、客観的な証拠に照らして、どう考えても嘘でしょということを、指摘されても嘘をつきとおそうとする人は受任を避けるべきだね。
裁判は必ずしも真実が明らかにされる場とは限らないけど、客観的な証拠と矛盾する明らかな嘘はどんな裁判官が判断してもバレる。不利な事実は不利な事実として正直に話してもらったうえで、その状況の中での最善を検討していくべきだね( ・ω・)」

志法望「自分でいろいろ調べてくる人と自分でまったく調べない人はどっちがいいんでしょうか?」

アレテー先生「現代は、インターネットでいろいろ調べられる時代になったね。
事前にいろいろ調べてくる人と調べない人で、弁護士の立場からはどっちがやりやすいかと言われれば、調べない人の方がやりやすいかも知れない。
でも、トラブルを抱えて、必死に自分で調べることは悪いことじゃないと思う。
むしろ、弁護士から説明を受けても「ネットではこう書いてありました!」「AIではこういう回答でした!」と固執する人は、あまり受けたくないかな。適切な解決方法、対処方法なんて、事案ごとに違う。経験のある弁護士の立てる見通しとネットで得られる情報では『情報の質』がまるで違う。
調べてくるかどうかというより、結局は、自分の考えに固執する人かどうかというところになってくるんだろうね。
まあ、今の日本は、弁護士が全国で4万8139人(うち女性1万65人)【※2026年6月1日時点】もいるわけだから、合わないなら、他の弁護士にご相談くださいでいいのかなと思うね( ・ω・)」

志法望「こういう場合は、辞任するという基準はありますか?」

アレテー先生「やっぱり最低限の問題として費用を払ってくれない人は辞任せざるを得ないね。弁護士もボランティアではない。弁護士が依頼を受けるのも、依頼者と弁護士との間の有償委任契約なわけだから、費用を払ってくれない人の事件を続けるわけにはいかないね。
あと、事件の進捗報告や必要な打ち合わせのための連絡をしても、まったく連絡がつかず、折り返しの電話やメールの返信もくれない人。そういう人は、適切な事件処理を進めるのが不可能になるから、辞任せざるを得なくなるね( ・ω・)」

時霧優乃「弁護士の前では丁寧な対応をしていても、事務員には当たり散らす方もいらっしゃいますね。」

アレテー先生「そうだね。弁護士に対しては文句を言わなくても、事務員にはものすごく偉そうに文句を言ってくる人というのはいる。
弁護士も、ある種の社会的地位のある権威だと思われている一方で弁護士資格の無い事務員には『お客様は神様です』を求めてくるような人もいるね。
法律事務所の事務員は、たんなる電話番や雑用係ではなく、弁護士をサポートするパラリーガル。事務員を攻撃するのは弁護士を攻撃するのと同じだ。疑問や意見は弁護士に直接言ってもらうべきだし、地位のある人間には媚びて、地位が無いと思ったら威張る人というのは、私個人は嫌いだね( ・ω・)」

志法望「サポートしてくれる事務員の負担…気をつけたいです。」

アレテー先生「さて、明日も仕事だ。
そろそろ帰ろうか。まあ、たまにはこんな話も良いだろう( ・ω・)」
志法望「はい。ありがとうございました。」
アレテー先生「お酒を飲んでも、次の日には、いるべき場所にちゃんといる。
それも弁護士にとって大事なことだ。
寝坊しないようにね( ・ω・)」


「困っている人を助けたい」――その純粋な理想を胸に抱き、弁護士としての第一歩を踏み出した志法望。

時に厳しく、時にあまりにもマイペースなアレテー先生の教えを受けながら、彼女はこれからも、法律という武器を手に、人と社会のリアルに立ち向かっていく。

埼玉県川越市。小江戸の歴史を刻む美しい町並みの片隅で、今日も一人の変わり者と、一人の新米女性弁護士が、誰かの「徳(アレテー)」を求めてトコトコと歩み続ける。

『おしえて!アレテー先生』――彼女たちの物語は、まだ始まったばかりだ。

(川越の街並みと、二人の後ろ姿が小さくなっていく映像に重ねて……幕)


【CAST】
阿礼 輝(アレテー先生)
志法 望(志法先生)
時霧 優乃

駒手 益代(第2・4・5話)
矢土 松太(第7話)
『愛羅武』のママ(第8話)

 

【主題歌】 『アレテーを求めて~今日もトコトコ』

 

【制作・著作】 岡本 卓大

 

―― 終 ――

 


【気軽に読んでみてください( ・ω・)】アレテーを求めて~今日もトコトコ( ・ω・) 弁護士 岡本卓大のブログの読み方ガイド


【大長編! 神武征討記( ・ω・)】少年期・出雲大社学宮編【創作大賞2026応募作品】

【神武征討記外伝・総集編】愛の形は人それぞれ・・・【創作大賞2026応募作品】


いいなと思ったら応援しよう!