おすすめ仏像本を厳選!わかりやすい入門書からお寺巡りに役立つ本まで幅広くご紹介!
はじめに
これまで当noteでは仏教のおすすめ入門書や参考書をご紹介してきました。
上の入門書の記事でもお話ししましたが、お寺や仏像をきっかけに仏教に興味を持たれる方も多いのではないかと思います。私自身、中学生の頃に京都や奈良のお寺や仏像に惹かれそこから仏教にさらに興味を持ったひとりです。
今回の記事では仏像や仏画、寺院建築など私達にも身近な仏教美術についてのおすすめ解説本をご紹介していきますが、最初に紹介する6冊はその中でも特におすすめな入門書になります。
そしておすすめ入門書の次は日本仏教美術をより楽しむためのおすすめ本を紹介します。これらも仏像好きの私が厳選したおすすめ作品です。読みやすさ、面白さは折り紙付きですのでぜひ参考にして頂けましたら幸いです。
また、さらにその後はインド、スリランカ、中国の仏教美術の本を紹介しますが、ここからはかなりマニアックな内容ですので興味のある方はぜひご参照ください。
そして最後に私がインド・スリランカで出会った仏教・ヒンドゥー教美術についての記事を紹介しています。実際に現地で体感したことをお話ししていきますので、日本とは異なる仏像の世界を感じて頂けると思います。入門書の紹介の後、すぐにこちらの旅行記事を読んで頂くというのも大いに結構です。きっと仏像や仏教文化にもっと興味が湧くと思います。
では、早速始めていきましょう。
仏教美術のおすすめ入門書
1 吉田さらさ監修、漫画夏江まみ『漫画で教養 やさしい仏像』

入門書の記事と重複しますが、まずはこの本をおすすめします。
上でも述べましたがそもそも仏教に興味を持つきっかけとして仏教思想そのものよりも仏像を挙げる方も多いのではないのでしょうか。
京都や奈良のお寺で出会った仏像に心惹かれ、この仏さまはどんな方なのだろうと興味が湧く。私もその気持ちはよくわかります。
仏教に興味を持つ入り口として仏像は今もなお大きなものがあるのではないでしょうか。
本書『漫画で教養 やさしい仏像』はそんな仏像世界の入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。
上の表紙画像を見て驚かれた方もおられるかもしれませんが、なんとこの本では仏教の仏様や菩薩様の世界を会社組織に例えて紹介がなされていきます。
「そんな不謹慎な」と思われるかもしれませんが、この本の内容はかなり本格的で、仏様に対するリスペクトが感じられます。

仏像の本は数多くありますが、入門としてこの本はとても読みやすく、初学者も気楽に手に取ることができます。まずは気楽に仏教を知ってみたいという方にもおすすめです。
仏教入門の入り口としてぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
2 日本神仏リサーチ『日本の古寺100選 国宝巡りガイド』

ひとつ上では仏像の入門書をご紹介しましたが、本書はお寺そのもののおすすめガイドブックとなっています。
上でもお話ししましたが、やはり仏教への入り口は仏像やお寺そのものであることが多いのではないでしょうか。お寺の境内や仏像のある空間に身を置くと心がふっと軽くなり、浄化されるような感覚を味わった方も多いと思います。私もその一人です。特に京都の東寺や三十三間堂は私も大好きで、いつもその素晴らしさに感動しています。
本書ではそんな日本の古寺が新書にコンパクトにまとめられています。しかも宗派ごとにお寺がまとめられていますので、どの寺がどの宗派かがとてもわかりやすいです。どの寺がどの宗派かというのは意外と難しいですが、この本を読めば一目瞭然です。
宝島社のこちらの商品紹介ページでは試し読みもできますのでそちらも参考にして頂ければと思います。
お寺巡りのガイドブックとしてもこの本は役に立つことでしょう。これは良書です。ぜひおすすめしたい一冊です。
3 金子啓明『もっと知りたい興福寺の仏たち』

本書は東京美術の「もっと知りたい」シリーズの興福寺版になります。
この「もっと知りたい」シリーズ(正式には「アート・ビギナーズ・コレクション」)は私も大好きなガイドブックで、私がフェルメールを好きになったのもこのシリーズがきっかけでした。
東京美術さんのこのシリーズは内容が濃いながらコンパクトに絵画を学んでいけるのでとてもおすすめです。
本書『もっと知りたい 興福寺の仏たち』でも興福寺の歴史やその仏像の由来や特徴、魅力がわかりやすく解説されます。写真も実に素晴らしいです。
そしてありがたいことに、この「もっと知りたい」シリーズでは興福寺だけでなく、法隆寺や薬師寺、東大寺、東寺、運慶快慶などその他のお寺や仏像についても出版されていますので、ぜひ合わせて読まれることをおすすめします。京都、奈良旅行の力強い相棒になってくれること間違いなしのおすすめガイドブックです。
4 長谷川公茂『円空 微笑みの謎』

円空は1632年生まれの僧侶・彫刻家です。1632年といえばあのフェルメールと同い年になります。
フェルメールは私も大好きな画家でしたので円空が1632年生まれということを知り、嬉しい驚きがありました。
さて、この円空ですが、彼が有名になったきっかけは何と言ってもその仏像にあります。
上の本の表紙にありますように、何とも味わい深い微笑みが円空仏の特徴です。


この本を読んで私もその魅力にすっかり引き込まれてしまいました。その表情だけでなくおよそ仏像に向かないような木の切れ端が見事な仏像に変身する神秘にも驚かされました。「こんな仏像が日本にあったのか!」この一言に尽きます。
本書ではそんな円空の生涯と作風の特徴がわかりやすく解説されています。写真も豊富で円空の素晴らしい仏像をたくさん見ることができます。また、著者の思いもこの本には多く書かれていますので、読み物としても非常に興味深く読むことができました。
仏像とは何かということを考える上でも本書はとても刺激的な作品です。
また、現在東京の三井記念美術館で円空展が開かれています。

詳しくは三井記念美術館のホームページをご参照ください。
私もこの円空展に行く予定です。ぜひその予習としても本書はとてもおすすめです。
※2025年3月1日追記
楽しみにしていた円空展に行って参りました!
そのレポをこちらの「円空展@東京 三井記念美術館」はすごかった!まだ行っていない方はぜひお急ぎを!」の記事でまとめていますのでぜひ参考にして頂けましたら幸いです。
5 亀井勝一郎『大和古寺風物詩』

鋭い文明批評で知られた著者の大和巡礼記。85刷80万部、今も読み継がれる名著。
1300年の昔、新しく渡来した信仰をめぐる飛鳥・白鳳の昏迷と苦悩と法悦に満ちた祈りから、やがて天平の光まどかなる開花にいたるまで、三時代にわたる仏教文化の跡をたずねる著者の、大和への旅、斑鳩(いかるが)の里の遍歴の折々に書かれた随想集。傷ついた自我再生の願いをこめた祈りの書として、日本古代の歴史、宗教、美術の道標として、また趣味の旅行記として広く愛読される名著である。

これは名著中の名著です!
まず、文章が美しい・・・!
この本の中でも特に私が感銘を受けた箇所をぜひご紹介したいです。
次の箇所は法隆寺の百済観音像に対する思いを述べた箇所になります。では、早速読んでいきましょう。
百済観音の前に立った刹那、深淵を彷徨うような不思議な旋律がよみがえってくる。灰暗い御堂の中に、白焔がゆらめき立ち昇って、それがそのまま永遠に凝結したような姿に接するとき、我々は沈黙する以外にないのだ。その白焔のゆらめきは、おそらく飛鳥びとの苦悩の旋律でもあったろう。美術研究のために大和を訪れるなどは末のことで、仏像は拝みに行くものだと、そのときはじめてこの単純な理を悟った。私は信仰あつい仏教徒ではない。しかし茫然と立って、心の中ではつい拝んでしまうのである。

白焔のゆらめき・・・
何ということでしょう!百済観音像を表すのにこれ以上の表現があるでしょうか。私も以前法隆寺でこの仏像を見ています。亀井勝一郎の言葉を読んだ時、くしくも私の脳内で本当に「ゆらめく白焔」たる百済観音像が姿を現したのです!これは衝撃でした。
私も文章を書く人間です。そういう人間にとって、「この他にはありえない完璧な表現」は憧れです。一度でいいからそんな言葉を掘り当ててみたいという思いが私の中にはあります。亀井勝一郎の「白焔のゆらめき」はまさにそうした完璧な言葉でした。私はこの言葉に完全に撃ち抜かれてしまいました。
くしくも私はこの本を読んだ直後、実際に法隆寺で百済観音と再会しています。この見事な仏像を目の前にして、「白焔のゆらめき」と表現した亀井に改めて脱帽するしかありませんでした。
それにしても、この百済観音の素晴らしさたるや・・・!
私もこの仏像を前に恍惚とするしかありませんでした。本書で亀井は仏像を美術鑑賞の対象として見るのではなく、信仰の対象として、つまり手を合わせて観るものであるということを強く述べています。私もそれに倣い、手には数珠を持ちこの日出会った仏像に対し合掌してお参りしました。
それにしても『大和古寺風物詩』の言葉の美しさ、亀井の熱い思いには撃ち抜かれました。もはや私の奈良巡礼のバイブルです。
「奈良へ行きたい、奈良に興味のある方」にぜひおすすめしたい名著です。
6 村松哲文『体感する仏像』

書店で一目惚れした村松哲文著『体感する仏像』という写真集。こちらも入門書としてぜひおすすめしたいです。
この本では「私達が実際に鑑賞するような」雰囲気で仏像写真を楽しむことができます。まさに仏様の前で心穏やかな時を過ごすあの空気感です。
また、本書巻末にはそれぞれの仏像に関する簡潔な解説が収録されています。この解説も最小限にまとめられており、ここにも著者のこだわりが感じられます。
この本はとにかく写真で勝負。読者がまるで実際に仏像と対面しているかのように読み進めていくことが本丸です。余計な言葉や解説は不要!ただただ仏像と対面するというコンセプトが感じられます。
これはいい写真集です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
もっと仏教美術を楽しむためのおすすめ本
ここからはもっと仏教美術を楽しむためのおすすめ解説書を紹介していきます。入門書と比べると少し専門的になりますが、一般書としても十分読める作品ですので肩肘張らず楽しんで頂けると思います。
1 金子啓明『運慶のまなざし 宗教彫刻のかたちと霊性』

最高です。この本には参りました。まさに脳内スパーク。仏教美術の本の中で最も感銘を受けた作品と言っても過言ではありません。
この本は東大寺南大門の金剛力士像で有名な運慶について語られるのですが、まさか運慶がこれほどまでの人だったとは驚きました。運慶はただの仏師ではありません。彼はひとりの僧侶として真摯な信仰と強い信念を持っていたのです。
彼が生きた平安末期から鎌倉初期は戦乱や飢饉、災害でまさに地獄のような時代でした。そんな死屍累々の悲惨な世界で彼は僧侶としてどのように生き、いかにしてその念を仏像に込めたのか。そのことが本書では語られます。
そして本書を読んで最も衝撃だったのが次の箇所です。こちらも少し長くなりますがじっくりと読んでいきます。

六波羅蜜寺の地蔵菩薩像(図2-1、2-2)を詳しく見ることにする。(中略)
この像で注目されるのは衣の襞の表現である。うねるような峰の高い波が、複雑に、そして、自在に蠢いている。両肘の前から垂れる衣の縁も、大きく揺れながら下方に伸びている。それらは落ち着きのある整然とした上半身の姿とは対照的である。ここには尋常ではないエネルギーが作動している。(中略)
その衣文の蠢きは、今、まさに地蔵菩薩に霊的な奇瑞が発生していることを示している。『大智度論」巻八では、仏が三昧に入った時に三千大世界が震動し、大地も六種に震動して、地獄悪道に堕ちた衆生を解脱させるとある。震動やふるえは奇跡発生の知らせであり、地蔵菩薩像から地獄で苦しむ亡魂に向けた救済のメッセージでもある。
このように運慶の地蔵菩薩像には死霊救済の祈りと願いが込められている。運慶は地獄の闇の中に、地蔵菩薩の救いの奇瑞をもたらそうとしたと考えられる。
衣文の蠢きが奇跡の発生を表す!
これはまさに17世紀に活躍したローマの天才彫刻家ベルニーニの最も得意とするものではありませんか!これには驚きました。まさか運慶とベルニーニが繋がるとは!

ベルニーニのざっくりした解説は上の記事でお話ししていますが、ベルニーニといえば、何といってもローマバロック芸術の大成者として有名で、以下の彫刻がその最高傑作とされています。

こちらは『聖テレジアの法悦」という作品ですが、この独特な衣の波打ちはまさに神の奇跡を表しています。
また、サンピエトロ大聖堂の聖ロンギヌスでもこうした神秘的な衣のうねりが採用されています。
ここではこれ以上はお話しできませんが、私の大好きなベルニーニと共通する彫刻技術を運慶が持っていた・・・しかもベルニーニよりも400年も前にです!これは私にとって大きな驚きでした。
他にも本書では意外な発見がどんどん出てきました。これは凄まじい名著です。仏教美術書の枠を超えて仏教書全体の中でもトップクラスに入る圧倒的名著です。ぜひぜひおすすめしたい作品となっています。
2 宮下規久朗『そのとき、西洋では 時代で比べる日本美術と西洋美術』

本書の著者宮下規久朗先生は西洋美術の研究者で、当ブログでもフェルメールやカラヴァッジョなどの参考書としてそのご著書を紹介させて頂きました。
それらの記事の中でもお話ししていますが、宮下先生の解説は実に刺激的で面白いです。私達もよく知る有名な芸術作品の意外な事実やその楽しみ方をわかりやすく語ってくれます。
そんな宮下先生が西洋美術と比較しながら日本美術について解説して下さるのが本書になります。
そして本書を読んでいて一番の発見は快慶の阿弥陀三尊像でした。

この像についての宮下先生の解説を聞いていきましょう。
高さ5メートルに及ぶこの大きな阿弥陀像は、重源上人が建立した大仏様による浄土寺浄土堂に安置されている。
宋画をもとにしており、観音・勢至とともに雲に乗った姿で表わされている。夏の日没時には背後から西日が差し込み、堂内は黄金色の光に照らされて、空間全体を極楽浄土と変貌させる。建築と彫刻が一体化した稀有な空間芸術である。
私はこれまで運慶、快慶についてのガイドブックや参考書を何冊も読んできました。運慶にはすぐに虜になってしまった私でしたが、快慶にはあまりヒットすることがなかったのが正直なところでした。ただ、この解説を読んで私はハッとしたのです。
「夏の日没時には背後から西日が差し込み、堂内は黄金色の光に照らされて、空間全体を極楽浄土と変貌させる。建築と彫刻が一体化した稀有な空間芸術である。」
夕暮れの西日を利用して堂内を照らし、空間全体を極楽浄土に変貌させる・・・!
これです!これはあのベルニーニが得意とした劇場空間創出型の彫刻芸術ではありませんか!またもベルニーニです!上の運慶に引き続き快慶もベルニーニ的な要素を持っていたのです!
外部の光を利用して彫刻作品を照らす!この発想をベルニーニの400年も前から快慶は駆使していた!これには驚きました。
ちょうどこの阿弥陀三尊像がおられる浄土寺の映像がありましたのでここに紹介します。まさにこの映像は堂内に差し込む夕日に照らされた空間を見ることができます。
先ほども申しましたが、私はこれまで運慶快慶の本を何冊も読んできました。ですが、この阿弥陀三尊像を私は素通りしていたのです。
しかし宮下先生のこの本を読んだことでこの素晴らしい国宝の存在に撃ち抜かれることになりました。これは宮下先生が西洋美術の専門家であり、西洋美術を念頭において運慶快慶が語られていたからこそだと思います。つまり、宮下先生の本ということで私の中のベルニーニやカラヴァッジョなど光の芸術家の記憶が刺激され、それが快慶と結びついたのでしょう。これぞ他分野横断の学びの醍醐味です!
もしこの本を読んでいなければ私はそのまま快慶の存在を素通りしていたことでしょう。危ないところでした。
本書を読んだ最大の収穫はこの快慶との出会いに間違いありません。これは大感謝です。
私にとっては快慶との出会いがこの本で特にぐっと来た部分でありますが、本書を読めば人それぞれきっとぐっとくる箇所があることでしょう。自分の中の何かと結びつく感覚。それを味わうことができます。「あ!あれはそういうことだったのか!」という驚きは読書の最高の楽しみのひとつですよね。本書はそうした刺激的な体験ができるおすすめの作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
3 佐々木香輔『快慶作品集』

上の宮下先生の本によって快慶の仏像を見てみたいという思いが爆発した結果、次に私が手に取ったのが本書『快慶写真集』になります。
この本では快慶の仏像を様々な角度から楽しむことができます。正面からの全体写真はもちろん、写真家佐々木香輔氏のこだわりのアングルで快慶仏像を見ていくことができます。
後半のページでは比較もしやすいように快慶の作品が見開きで並べられていて快慶仏像の資料集としてもとても便利です。
また、それぞれの章に掲載されているコラムも非常に充実しています。快慶仏像の美しさの秘密が解説され、写真家ならではの視点からも解説を聞くことができます。これも実に刺激的でした。
快慶の仏像をもっと知りたい方に本書は非常におすすめです。どんどん快慶に興味が湧くこと間違いなしです。私も行きたい場所がどんどん増えてきて大変なことになっています。
4 碧海寿広『仏像と日本人 宗教と美の近現代』

「日本人にとって仏像とは一体何なのか」
本書はこのストレートな疑問に答えてくれるおすすめの参考書です。
私がこの本を手に取ったのは上で紹介した亀井勝一郎著『大和古寺風物詩』がきっかけでした。
亀井勝一郎はその本の中で「仏像は芸術鑑賞か信仰の対象か」という問題を提起しました。亀井は「教養的な芸術鑑賞」のために仏像を見るべきではないとこの本で述べます。仏像は信仰の対象であり、そうした信仰から切り離して芸術作品としてのみ取り扱おうとするあり方は間違っているのではないかと述べるのです。
この指摘は私の中に強烈なインパクトを残しました。
亀井がその本を書いたのは1943年のことです。この頃にはすでに仏像が教養の対象として博物館に展示されるという現象がすでに一般化されていたようです。そしてその風潮に大きな影響を与えたのが岡倉天心とフェノロサ、そして『古寺巡礼』で有名な和辻哲郎だったのでした。
仏像におけるこうした時代の流れについてもっと知る方法はないだろうか。何かよい本はないだろうか。そう思っていた矢先に出会ったのが本書『仏像と日本人』だったのでありました。
そしてまえがきや目次を見た段階ですでに私はガッツポーズです。本書はまさに私の求めるものが完璧に網羅されていたのです。
この本ではまず明治の廃仏毀釈に入る前の前近代、特に江戸時代の寺院事情が語られます。この江戸時代の段階ですでに仏像と民衆の関係性が変化していました。今も行われている秘仏の特別公開や聖地巡礼の先駆けはすでにこの時代に始まっていたのです。さらに厳しい政治情勢の中で寺院それぞれが生き抜くために様々な方策を練っていたのが江戸時代だったという驚きの事実が語られます。檀家制度で守られていたどころか江戸時代の寺院は幕府からの支援も削減され、経済的に厳しい状況にあったというのが実情だったようです。
そして廃仏毀釈の嵐の中で岡倉天心とフェノロサの登場で仏像を巡る空気が変わってきます。廃仏毀釈によって悲惨な目に遭っていた仏像や寺院が文化遺産として認識されるようになっていきます。
そこからさらに和辻哲郎や亀井勝一郎など、文学者の影響も詳しく見ていくことになります。私としてはこの辺りが一番興味関心あるポイントでしたので、この本の解説は非常にありがたいものがありました。時代背景をしっかり追いながら大きな視点で日本人の仏像受容の歴史を見ていくことができます。
そして本書では現代にまで至るその後の仏像受容についても語られるので通史としても非常にわかりやすいものとなっています。「なるほど、そうして今こうなっているのか」という爽やかな読後感を得ることができます。
「日本人にとって仏像はどのような存在なのか」というのは、なかなか思いつかない疑問ですよね。仏像の存在が当たり前すぎて素通りしがちなこの問いですが、いざ自分にとってどうなのかと問われるとなかなか奥深い問いだと思います。本書はその問いを考える上で貴重な手掛かりを与えてくれる実に素晴らしい参考書です。
新書ということで手に取りやすいというのも嬉しいポイントです。
仏像に興味のある方にぜひおすすめしたい一冊です。
5 牧野隆夫『仏像再興 仏像修復をめぐる日々』

本書『仏像再興 仏像修復をめぐる日々』ですが、とんでもない本と出会ってしまいました。ものすごい名著です・・・!
この本についてどうまとめればよいのか迷うほどてんこ盛りの内容です。
本書ではその書名通りまずは仏像修復の現場を著者の語りで見ていくことになるのですが、この現場でのやりとりが非常に興味深いです。興福寺や薬師寺など誰もが知る大寺院の修復となると様々なメディア媒体などで私達もなんとなくイメージがつくかもしれませんが、一般寺院レベルでの修復となるともはやイメージすることすらほとんどできませんよね。私もそうでした。
しかも一般寺院といっても、日本全国には歴史あるお寺が無数にあり、その仏像も重要文化財や自治体に指定されていることが多々あります。こうなると、中小規模の一般寺院ではどうにも対処できないという問題が起こってきます。観光客が多数来る有名観光寺院でない限り、その修復の費用や作業負担などは各寺院にとって非常に重たいものがあります。これは私も一寺院の僧侶としてとても頷けるものがあります。お寺を維持運営していくだけでも大変な中、文化財をどう守ればよいのかというのは非常に難しい問題です。
こうした背景がある中で著者は現場の寺院関係者と連携しながら実際に仏像を修復していきます。
この修復の過程や著者の仏像修復への思いがこの本では語られていくのですが、これがまた私の心に刺さるのです・・・私はものすごい本を読んでいる・・・!鳥肌が立つほどでした。
そしてこうした仏像修復の中で著者は様々な疑問や問題点を見つけていきます。その最たるものが「なぜ仏像が無残な状態で放置されているのか、またなぜ破損した仏像がこんなにも多いのか」という問題でした。
これがあの廃仏毀釈と繋がってくるのです。
本書後半では明治政府の神仏分離令やその後の仏教、神道政策の流れがわかりやすく解説されます。この解説も見事で、私もこれまで何冊か廃仏毀釈に関する本を読んだのでありますがその中でも圧倒的にわかりやすく、深い考察がなされています。
ただ単に廃仏毀釈で寺院や仏像がひどい目に遭ったという事例紹介で終わるのではなく、なぜそれが起こったのか、それが進んだ背景とは何だったのか、人々はそれに対しどのような思いを持っていたのかということを現場の目線からも見ていきます。破損した仏像を修復してきた著者だからこそ見えてくるものがあります。
本書で明らかにされた廃仏毀釈の実態を知り、私は衝撃を受けずにはいられませんでした。単に「寺院や仏像が破壊された」で済まない大きな歴史のうねりがそこにあったのです。「廃仏毀釈は江戸時代に堕落した仏教への反感から起こった」という説が説かれていたこともありますが、これがいかに作為的なものだったか本書を読めばはっきりします。そんな単純な話ではないのです。
本書は私にとって忘れられぬ作品となりました。何度も言いますが、この本はとてつもない作品です。
仏像に興味のある方だけでなく、仏教、日本史好きの方にもぜひぜひおすすめしたい名著です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
6 関橋眞理『天平の阿修羅再び』

本書は何と言ってもこの表紙にありますように、興福寺の阿修羅像の復元模造が強烈です。

私達が想像する阿修羅像といえば、こちらの灰色がかったお姿ですよね。そして愁いを帯びた少年のようなお顔が特徴でもあります。
しかし、この像が造られた当時は上の表紙のように全身が鮮やかな朱色で、画像では見にくいのですが、なんと顔にひげがあるではありませんか!私達が普段イメージする美少年的な阿修羅とはかなり違ったお顔をされているのです。天平時代に限らず、かつての仏像は皆色鮮やかだったというのは知識の上では知ってはいても、やはりいざ実際に色がついているお姿を見るとなかなか強烈ですよね。
本書では仏像修復のプロのお話を聞きながらこうした仏像本来の姿について考えていくことになります。
「修理の現場を垣間見ることで、仏像を造った古の職人の仕事ぶりや、修理技術者の想い、仏像修理ということへの理解が深まることを期待したい。」
まさに普段知ることのない修理の現場を通して私達が想像もしなかったような仏像の姿を知れる本書は実に刺激的です。
そして本書を読んでやはり思わずにいられなかったのが、「私達がありがたいと思う仏像の姿はどのようなものなのか」ということでした。
上の画像でもそうでしたが、私達の多くが素朴に「ありがたい」と感じるのは歴史を感じる黒ずんだ仏像なのではないでしょうか。極彩色の煌びやかな仏像に対し現代人たる私達がどのような感情を抱くのかというのはやはり大きな問題です。ここに私達の日本人の宗教観や人間観を考える大きなカギがあるのではないでしょうか。
と言いますのも、私は2023年にスリランカを訪れました。この国は上座部仏教の聖地として今も東南アジアの仏教において大変重要な位置を占めています。
そのスリランカの仏像や聖地を見て私は色々と思うことがあったわけです。詳しくは上の記事に記しましたが、上座部仏教の国々ではとにかく仏像は煌びやかに彩色されます。古くなれば新しいものと取り換えたり、色を上から塗り直します。これが東南アジアの仏教のスタンダードなのだそうです。日本のように黒ずんだり、一部欠損したままの仏像はあまりありがたがられないのです。この違いが私にとっては実に興味深く感じられました。
そんなスリランカでの出来事も思い出した一冊となりました。なかなか見ることのない鮮やかな阿修羅像を見れる刺激的な一冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
7 杉本一樹『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』

本書『正倉院宝物 181点鑑賞ガイド』は奈良時代の至宝たる正倉院宝物を学ぶのにうってつけのガイドブックです。
この本では正倉院の所蔵の様々な物品をフルカラーで見ていくことができます。毎年10月下旬から11月上旬頃にかけて開かれる正倉院展のガイドブックとしても非常に役立つ一冊となっています。
私自身、本書を読んで正倉院展にものすごく行きたくなりました。実は私はこれまで正倉院という存在に対してあまり関心がなかったのですがこの本を読んでそれががらりと変わりました。よくよく考えてみれば正倉院宝物にどんなものがあるのか、なぜこの宝物がすごいのかということをこれまで私は考えたこともありませんでしたし、見聞きする機会もなかったのです。ただ、日本史の覚えるべき単語として正倉院やいくつかの宝物名を暗記していただけだったのです。
ですがどうでしょう、この本を読んですっかりその芸術の素晴らしさに驚かされることになりました。そしてさらにその由来や見どころなどもわかりやすく解説されるとなるとありがたいことこの上なしです。
8 香取忠彦、穂積和夫『新装版・奈良の大仏』


本書はあの東大寺の大仏がいかにして作られたかをイラストで学べるおすすめの参考書です。
本書ではゼロからの大仏造りを見開きいっぱいのイラストと共に見ていくことができます。あの巨大な仏像はこうして造られていたのかと驚くこと間違いなしです。
そして改めて気づかされたのが大仏造営に関わる人々の多種多様さです。土木の運搬や大工、彫刻師などこれまでも様々な本を読んで多くの職人が作業していたのはたしかにわかってはいたのですが、やはりイラストで実際に大仏の前で作業をしているたくさんの人々を見ると文章だけの時と比べて受ける印象が圧倒的に違います。1300年前に、私達のご先祖様がそれこそ精魂かけて作ったのがあの大仏なのだということがよくわかります。
この本を読めば東大寺の大仏への見方がきっと変わることでしょう。私も次に東大寺大仏殿に行ける日が楽しみでなりません。
9 五味文彦『大仏再建』

1180年、平家の焼き討ちによって東大寺と興福寺は焼失し、大仏も焼け落ちてしまいました。
その大仏の再建事業を任されたのが重源(1121-1206)という真言宗僧侶です。
重源という名前は大仏再建の責任者ということでよく耳にはしていましたが、実際このお方がどのような思想を持ち、どのような活動をしていたのかというのは恥ずかしながら私もよく存じ上げておりませんでした。
ですがこの本を読んで驚きました。これほどの行動力、組織力、そして真摯な仏道への姿勢にはただただ頭が下がる思いです。
東大寺への見方が変わること間違いなしの刺激的な一冊です。
10 太田信隆『まほろばの僧 高田好胤』


薬師寺の伽藍が写経のお布施によって建てられたというのは有名な話ですよね。私もその話を聞いた時、なんと立派なことかと感動したものでした。
そして私自身、かつて薬師寺の僧侶の法話を聞き感動したひとりです。私も中学生の頃にこの薬師寺を訪れその説法に感銘を受けて帰ったのでありました。「薬師寺には素晴らしい僧侶の方々がいる」、そのことだけでも私にとって大きな救いとなったのでした。私自身、お寺の長男として生まれ、後継ぎとなる上で色々な葛藤もありました。ですが、この薬師寺の僧侶の姿というのは中学生ながら憧れといいますか、僧侶という生き方に尊敬の念を抱くきっかけとなったのを覚えています。
ですので私にとっても薬師寺というのは思い入れのあるお寺でありました。
その薬師寺の基盤を作ったのが本書の主人公高田好胤師になります。
本書では困難な状況の中でも強い意志で前に進み続けた師の人生が語られます。これほど偉大な先達が昭和、平成の日本仏教界におられたというのは実にありがたいことでした。偉大な先達の存在はそれだけで私達の勇気になります。私達もその偉大な足跡をただ崇めるだけでなく、私達も仏教、いやこの世のために進み続けなければなりません。本書を読み、改めて「僧侶としていかにあるべきか」を考えさせられました。そして前に進む力をもらった気がします。
そして本書では荒廃した薬師寺やそこからの見事な復活についても詳しく見ていきます。言うならば本書は「薬師寺の伝記」とも言えることでしょう。高田好胤師と薬師寺、昭和から平成にかけての激動の歴史を体感できるおすすめ作品です。
仏教の入り口としても本書はおすすめです。この本を読めばきっと高田好胤師を通して仏教にも興味がわくことでしょう。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
11 西岡常一、小川三夫、塩野米松『木のいのち木のこころ〈天・地・人〉』

本書の著者のひとり、西岡常一は法隆寺の宮大工で日本の数々の古寺を修復した伝説的な棟梁です。NHKアーカイブスでは3分ほどの短い動画で西岡棟梁について知ることができますのでぜひご覧ください。(リンクはこちら)
さて、私が本書を手に取ったのは上で紹介した太田信隆著『まほろばの僧 高田好胤』がきっかけでした。この本では薬師寺再建に奔走する高田好胤師の伝記が語られますが、その薬師寺再建のキーパーソンとしてこの西岡棟梁がクローズアップされていたのです。
この西岡棟梁の仕事はまさに伝説的なものでした。法隆寺の宮大工を代々継いできた家に生まれた西岡棟梁は幼い頃から宮大工として育てられます。本書ではそんな職人としての生涯や、仕事論、教育についての珠玉の教えを聞くことができます。
私としては特に「法隆寺や薬師寺に参拝に来ても、すぐに帰らんとよく見てくださいな。学校で習った、ここが千三百年たった日本で一番古い建物やとか、これが唯一残されている白鳳の建造物やといわれて、それだけで通りすぎるんやなしに、そこにどれだけの人が参加してこれを造ったのか、すべて人の手で造られたんやということを、ちょっとでも考えて見てくれるといいですな。」という言葉が印象に残っています。
たしかに、法隆寺や薬師寺、東大寺は修学旅行などでも多くの人が訪れると思います。ですがその多くがただ通り過ぎるだけになってしまっているのも残念ながら事実なのではないでしょうか。しかし、西岡棟梁の言われるように、そこにどれだけ多くの人が関わり、どれほど高度な技術で作られたかに思いを馳せるならばその見え方は確実に変わってきますよね。私自身もこの本を読んで古寺に対する見方が変わりました。この本を読めば奈良、京都巡りにおいてもより深く個々の寺を味わえること間違いなしです。
そして本書の特徴としてはこの西岡棟梁の弟子である小川三夫氏と、さらにその弟子達の言葉も聞くことができます。西岡棟梁の技術や職人魂がどのように受け継がれているか、そして現代における徒弟制度のありようも見ていくことができます。昭和から平成にわたって伝統技術がどう継承されていったのか、そしてこれからどうなっていくのかということも本書では考えさせられます。これは普段なかなか考える機会すらないテーマですので、とても刺激的でした。
12 山本清一『めざすは飛鳥の千年瓦』

本書の著者山本清一氏は上の引用にもありますように東大寺大仏殿や唐招提寺、薬師寺、法隆寺などの修復にあたった瓦職人です。平成6年には、文部大臣より選定保存技術保持者【屋根瓦葺(本瓦葺)】という、いわゆる職人における人間国宝に認定されるというとてつもない方です。
山本清一氏の詳しいプロフィールは山本瓦株式会社さんのページで紹介されていますので興味のある方はぜひそちらもご参照ください。
本書はそんな山本氏の波乱万丈の職人人生や古寺の命を繋いできた伝統技術の秘密について知ることのできるおすすめ作品です。
私は仏像が好きで京都や奈良のお寺にもよくお参りしていましたが、屋根や瓦のことまでは関心がなかったというのが正直なところです。皆さんもいかがでしょうか。お寺に行って屋根や瓦に興味があるという方はかなり珍しいのではないかと思います。
しかしこの屋根や瓦の技術こそお寺内部を守る肝であり、これ次第で仏像や内陣の命運が決まるという極めて重要なポイントであることは見過ごされがちです。かく言う私もこれまで屋根や瓦に興味を持っていなかったのはお話しした通りです。
ですが本書を読めばそうした見方ががらっと変わること間違いなしです。普段なかなか目が行かない屋根や瓦にも職人達の高度な技術が施されていたのでありました。本書ではそんな屋根の構造や瓦の仕組みをわかりやすく解説されます。そして何より、著者の山本清一氏の瓦職人人生があまりに波乱万丈で魅力的です。当時の瓦職人の過酷な仕事環境や徒弟制度の仕組みは私にとって驚きでした。現代の働き方改革の流れでは考えられない環境ではありますが、仕事とはそもそも何なのかということも考えさせられます。これは素晴らしい作品です。
13 西岡常一、小原二郎『法隆寺を支えた木[改版]』

法隆寺は世界最古の木造建築として有名ですが、私は以前、この木造建築が近年に至るまで修理や改築を何度も繰り返したものと思い込んでいました。しかし最近このお寺の歴史を改めて学んで驚きました。なんと、法隆寺の木は1300年前から変わらず美しい姿を保ったままだというのです!もちろん全ての木が最初のままというわけではありませんが主要な柱部分など1300年も前の木がそのまま残っているというのは改めて考えるととてつもない事実ですよね。
本書はそんな驚異の木材たるヒノキについて深く学べるおすすめ解説書となっています。

この画像はタイワンヒノキという台湾の山奥にある巨大なヒノキなのですが、かつて日本にもこうした樹齢1000年超の巨大なヒノキが生えていたそうです。法隆寺はもちろん、東大寺や薬師寺などもこうした樹齢1000年超の巨大なヒノキを用いて建設されています。
ただ、平安末期にはすでにこうした巨木はほとんど日本では切り倒されてしまい、1180年の東大寺焼き討ち後の再建事業は大変な苦労があったそうです。大仏勧進職の重源は遠く周防国(山口県)の山奥まで木を探しに行ったとされています。
そして現代に至り薬師寺の再建ではもはやこのような巨木は日本に残されていなかったため、上のような台湾の巨木を輸入するという運びになったのでした。しかし間もなく台湾でもこうした貴重な巨木の伐採は禁止され、現在ではもはや樹齢1000年超の巨大ヒノキを材木利用することは不可能となっています。
本書ではこのヒノキがなぜ古代建築において重宝されたのか、なぜ1000年経っても無事に残り続けているのかということを学ぶことができます。
私達は法隆寺や薬師寺などの美しい伽藍に心奪われますが、材木そのものについて考えることはなかなかありません。ですが、この材木にこそ古代人の心が宿っているとしたらどうでしょう。伽藍を成立させている木の秘密を知れば、お寺に対する見え方がまた変わること間違いなしです。
本書は私達に新しい視点をくれる実に刺激的な一冊です。
14 入江泰吉『昭和の奈良大和路 昭和20~30年代』

本書は昭和を代表する写真家入江泰吉(1905-1992)による、奈良の写真集です。


これらのサンプルのように本書では昔懐かしい奈良の写真を見ることができます。1990年生まれの私には全く想像もできない風景ではありますが、それでもなおどこか懐かしさを感じる不思議な魅力がある写真集です。
今も残る古寺の周辺はかつてこんなだったのかという驚きがたくさんある本でした。亀井勝一郎も愛した大和古寺の雰囲気を知るのにも本書は最高の友となります。
入江泰吉その人や作風の特徴、時代背景については上でも紹介した『仏像と日本人』という本にも詳しく解説されていますので興味のある方はぜひそちらも合わせて読まれることをおすすめします。
古き良き奈良の雰囲気を知れる素晴らしい写真集です。
15 土門拳『土門拳の古寺巡礼』

本書の著者土門拳は上で紹介した写真家入江泰吉と双璧を成す昭和の仏像写真家です。
私が本書『土門拳の古寺巡礼』を手に取ったのも入江泰吉の時と同じく、碧海寿広著『仏像と日本人』がきっかけでした。この本の中で土門拳が紹介されていたのです。
土門拳(一九〇九~九〇)と入江泰吉(一九〇五~九二)。いずれも、没後から四半世紀以上が過ぎた現在に至るまでファンの多い、著名な写真家である。日本の古寺や仏像を好む人間であれば、この二人の写真家には、どこかで必ず出逢うことになる。後述のとおり、彼らの写真家としての生き方や、その作風は、ほぼ対照的といってよいほどに異なっていた。にもかかわらず、仏像写真家としての彼らの内面には、共通した心模様を読み取ることもできる。そこには、仏像写真の実践と作品が人間にもたらす、独特の経験の世界が広がっていた。
『仏像と日本人』ではこの後土門拳と入江泰吉について詳しく解説されていくのですが、上の引用にもありますように「彼らの写真家としての生き方や、その作風は、ほぼ対照的といってよいほどに異なっていた」というのは非常に重要なポイントです。
たしかに土門拳と入江泰吉の写真は全く異なります。これは両者の写真を比べてみればすぐにわかります。
株式会社クレヴィスのホームページでは本書の試し読みができますのでぜひそちらを見て頂きたいのですが、土門拳の仏像写真には独特な構図で切り取られたアップの写真が多いです。
この記事でそれをそのまま紹介できないのは残念ですが、上のリンク先や本書を読めば一発でそれはわかります。
そして土門拳の写真集で驚くのは、わかりやすく全体像が写った資料集的な写真がほとんどないという点です。まさに「ここ!」という、土門自身のピントが捉えたその1点を私達にぶつけてきます。
こうした土門の視点が強烈に反映された写真に多くのファンがついたのもよく頷けます。ただ、逆に言えばそれは「好みが別れる」ということにもなるでしょう。ハマる人はとことんハマる魅力が詰まった写真とも言えるかもしれません。
これに対して入江泰吉は上の写真集にもありましたように、見えたもののそのままを写し取ろうとします。つまり、土門とは異なり、自らの我を消すようなスタイルの写真が多いです。これも言葉だけではなかなか伝わりにくいですが、写真を見て比べてみれば感じられると思います。
こうした土門拳と入江泰吉の撮影スタイルの違いを感じながら写真集を見ていくのも興味深かったです。
そして私自身、この写真集の中の三十三間堂の仏像群や百済観音像の手のアップには痺れました。まさに「ここ!」です。「そう!それなんだよ!」と私も思わず呻かずにはいられませんでした。私も現地でそこにずっと目が行っていたポイントでした。やはり仏像好きの魂に響く強烈な写真がここにあります。
また、土門拳の写真集として『土門拳の室生寺』という写真集もぜひおすすめしたいです。

土門拳は室生寺を愛し、その写真を撮り続けました。

『土門拳の室生寺』では奈良の山奥に佇む美しき古寺の姿をたっぷりと堪能することができます。この写真集を見れば行きたくなること間違いなしです。私も絶対にここに行こうとすでに計画を練り始めています。それほど魅力的です。土門拳がこれほどまでにこのお寺を愛したというのもわかる気がします。写真だけでもそれが伝わってくるのですから現地に行けばきっとそれをもっと感じることでしょう。今から楽しみです。
入江泰吉とセットでぜひおすすめしたい写真集です。
インド・スリランカ・中国の仏教美術の参考書~日本仏教美術との比較にも
ここからは日本仏教美術との比較のためにおすすめなインド・スリランカ・中国の仏教美術の参考書をご紹介します。
仏教の故郷たるインドや、日本仏教に直接的な影響を与えた中国の仏教美術の姿を知れば自ずと「日本らしさ」が見えてくることでしょう。
では早速始めていきます。
1 V・デヘージア『岩波 世界の美術 インド美術』

この本はインダス文明から現代インドまでの美術史を一冊で概観できる驚くべき作品です。この本の特徴は写真が豊富ですべてオールカラーで掲載されている点にあります。また、時代ごとに並んでいるのでインドの美術がどのような流れで変遷していったのかを知れるのもありがたいです。
私は特に仏教美術に関心があったのですが、初期の仏像や仏教彫刻を綺麗な写真で見れたのはとてもありがたかったです。解説もわかりやすく、これはぜひおすすめしたい作品だとすぐに感じました。
この本はインド美術の全体像を学ぶ上でとてもおすすめな作品です。インドに興味のあるかたにぜひおすすめしたい一冊です。
2 中村元選集第23巻『仏教美術に生きる理想』

この本は仏教学者中村元先生による仏教美術の解説書になります。
中村元先生といえば仏教思想においても当時の時代背景と絡めたわかりやすい解説で有名ですが、今作のテーマである仏教美術においてもその名解説は健在です。
ガンダーラ仏像やマトゥラー仏像など最初期の仏像や、5世紀頃のサールナートの仏像などの比較も行われ、それぞれの特徴も非常にわかりやすいです。
他にも、インドの誇る仏教遺跡アジャンタ、エローラの解説がこの本ではかなり詳しくなされます。現地に行かれた中村元先生ならではのコメントもあり非常に興味深いです。
インド仏教の歴史を仏教美術という側面から見ていけるこの本はとにかく刺激的で面白いです。これは名著中の名著です。ぜひぜひおすすめしたい逸品です。
3 立川武蔵著、大村次郷写真『アジャンタとエローラ―インドデカン高原の岩窟寺院と壁画』

この本はインドの世界遺産アジャンタとエローラのおすすめのガイドブックになります。



両遺跡は西インドの大都市ムンバイからも近く、インド旅行のハイライトのひとつとして多くの観光客がここを訪れています。
アジャンタは紀元前1世紀頃から紀元7世紀頃にかけて作られた仏教遺跡で、エローラは6世紀から10世紀にかけてヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教の石窟が作られた遺跡です。
アジャンタ、エローラといえば名前は聞いたことがあってもそれがどんな場所なのかというとなかなかわからないですよね。私もその一人でした。漠然と「インドの仏教遺跡」というイメージはあったのですが、いつ頃作られてどんな歴史を持っていたのかは全く知りませんでした。そもそもエローラにヒンドゥー教とジャイナ教の石窟があることすら知りませんでした。
この本ではそんなアジャンタとエローラをわかりやすく学ぶことができます。
4 辛島昇・奈良康明『生活の世界歴史5 インドの顔』

この本では幅広くインドの文化について学ぶことができるのですが、私が美術の解説書として本書をここで紹介したのには理由があります。それが以下の記事でお話しした天女像になります。
本書はインド彫刻の最高峰たるカジュラーホーの天女像の解説がとにかく豊富です。インドの彫刻について考える上でもこの本は非常に興味深い示唆を与えてくれます。
美術の専門書ではありませんが、この本を読めば文化と美術について多くのことを学ぶことができます。ぜひおすすめしたい名著です。上のカジュラーホーの記事ではその内容も詳しく解説していますのでぜひ一緒にご参照ください。
5 伊東照司『スリランカ仏教美術入門』

この本はスリランカの仏教遺跡の入門書としておすすめの作品です。

本書ではアヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディなど主要な仏跡や、その他特徴的な仏教遺跡を見ていくことになります。
本書はとにかく写真が多数掲載されており、現地の状況をイメージしやすいです。さらに解説も初学者にもわかりやすく書かれており、入門書として非常にありがたい作品です。
6 楠元香代子『スリランカ巨大仏の不思議』


仏教国スリランカには多くの巨大仏像が残っています。
これまでも上で森祖道『スリランカの大乗仏教 仏教・碑文・美術による解明』や伊東照司『スリランカ仏教美術入門』をご紹介してきました。
そして本作『スリランカ巨大仏の不思議―誰が・いつ・何のために』はそれらの本ととは一味違った視点からスリランカ美術を見ていくことになります。
本書の著者は仏教の専門家ではなく彫刻家です。
彫刻を彫る側の人がスリランカの仏教美術を見たらどのようなことを思うのかというのは私にとってもものすごく刺激的でした。
私たちは仏像そのものの美しさやその歴史には目を向けることができますが、それがひとつの岩からどのように彫り出されたのかというところまではなかなか思いが至りません。仏像も最初からそこにあったわけではなく、最初はただの岩や木であったわけです。そこから彫刻家の手によって私たちが目にする完成品が出来上がってきます。完成品ばかりを目にする私たちには見えない世界をきっと彫刻家の方々は見ているのでしょう。実際に彫る人の目から見た仏像とはどのような存在なのかということを知れる本書はとても新鮮でした。
スリランカの有名な仏像やマニアックな仏像まで数多くの素晴らしい美術を本書では紹介しています。写真や地図なども豊富に掲載されていますのでスリランカを訪れる際のガイドブックとしても優秀です。
7 森祖道『スリランカの大乗仏教 仏教・碑文・美術による解明』

スリランカといえば大乗仏教とは全く異なる上座部仏教のイメージがあるかもしれませんが、実はそのスリランカにもかつて大乗仏教が根付いていたのでありました。

本書ではそんなスリランカの大乗仏教を仏像や碑文、文献から考察していきます。
この本は研究書ということで入門書としてはかなり厳しいです。ですが観音菩薩の変遷が説かれる最終盤までぐっとこらえて読み進めるとそれはそれは刺激的な瞬間を味わうことができます。このスリランカの大乗の流れを入門者にもわかりやすく新書などでまとめた本が出るとすればこれはものすごく面白いものになるのではないかと私は思いました。
スリランカの大乗については以前当ブログでも紹介しました馬場紀寿著『仏教の正統と異端 パーリ・コスモポリスの成立』でも詳しく説かれていますのでまずはこちらを読んでから本書『スリランカの大乗仏教』へと突入するのがおすすめの流れです。
いや~スリランカは面白い!この本も非常に刺激的な一冊でした。
8 鎌田茂雄『中国仏教の寺と歴史』

本書の著者鎌田茂雄氏は以前当ブログでも紹介した名著『中国仏教史』の著者であります。
『中国仏教史』は中国仏教を学ぶ上で最高の参考書のひとつです。私もお世話になっています。その著者が実際に中国に足を運び、現地の様子を伝えて下さる本書は非常に刺激的です。
上の引用にありましたように、中国では文化大革命によって仏教寺院が壊滅的な被害を受けています。さらに言えば、中国の歴史においてはそもそも仏教が道教や儒教に押され、衰退していたことも否めません。そのためかつて栄華を誇っていた名刹も今やわずかな史跡を残すのみという場合が多々あります。本書ではそんな中国の仏教事情も知ることができます。
そして「歩く仏教学」という著者の言葉もよいですよね。私もぐっと来ました。この本を読んでいると中国に行きたくなってきます。いつか中国の仏教寺院や竜門石窟に行きたいなと思うのですが、昨今の世界情勢ではしばらくは厳しいでしょう・・・。ただ、中国仏教を学んでいてやはり思うのは、日本仏教における故郷はインドではなく中国なのだということを感じざるをえません。もちろん、究極的には仏教の故郷はインドではあるのですが、日本仏教に直接影響を与えたという意味では中国仏教にどうしても親しみを感じてしまうというのが正直なところです。
本書は浄土真宗において重要な聖地である玄忠寺や天台宗の聖地天台山など、私達日本仏教徒にも関係の深い名刹を学べるおすすめの参考書です。教義だけでは見えてこない中国仏教の姿を知れる刺激的な作品です。
インド・スリランカの仏教美術に関するおすすめ記事
ここから先は私が実際にインド・スリランカを訪ねて書いた仏教美術の記事をご紹介します。ぜひ日本の仏像などとも比較して頂けましたら幸いです。
1 サーンチーの大ストゥーパは想像以上!現存するインド最大・最古級のストゥーパと華麗な彫刻に圧倒される
サーンチーは現存する最大・最古級のストゥーパで有名な世界遺産で、仏教の歴史を考える上で非常に重要な遺跡として知られています。
ストゥーパというと私達日本人にはあまり馴染みのない単語ですが、これはものすごくざっくり言うと「ブッダや高弟の遺骨を納めたお墓」のことです。日本でいう卒塔婆の語源となった言葉でもあります。
2 エレファンタ島の巨大シヴァ神に感動!ヒンドゥー教彫刻の白眉をご紹介!

エレファンタ石窟はムンバイ湾内にあるエレファンタ島にあるヒンドゥー教遺跡です。
ここのシヴァ神の三面像はインドを代表する傑作として有名です。アジャンタ、エローラに向かう前にぜひ私もこの像にお会いしたい。というわけで私もムンバイから船でエレファンタ島へ向かったのでした。
3 エローラ石窟寺院の仏像は全身に電気が走るほどの衝撃だった!インドのベストスポットとしてぜひおすすめ!
エローラ第10窟の仏教石窟。
堂内に入った瞬間、ビリビリビリっと来ました!本当に来たのです!体に電流が走るとよく言うものですがまさにその通りでした。
この衝撃は生涯忘れることはないでしょう。私はこれまで様々な遺跡や芸術作品と出会ってきましたが間違いなくこれはその最高峰に位置しています。
4 エローラのカイラーサナータ寺院に驚愕!100年かけて岩山を彫り進めた驚異の彫刻建築とは!
仏教とヒンドゥー教の世界観、人間観の違いがこれでもかと感じられるのがここエローラです。
カイラーサナータ寺院はまさにエネルギーの爆発です。ここに来ればヒンドゥー教のエネルギー、莫大な質量を全身で感じることができます。
ここエローラ石窟群はインドのベストのひとつであることは間違いありません。
5 アジャンタ石窟でインド仏教絵画の最高傑作を堪能!千年間忘れ去られていた驚異の仏教遺跡を訪ねて
彫刻はエローラ。絵画はアジャンタ。これで決まりです。
インド仏教芸術の極致を味わうならぜひこの二つをセットで見ることをおすすめします。
アジャンタも実に素晴らしい場所でした。あの蓮華手菩薩の指先は忘れることができません。指先と指先が触れるあの究極の一点・・・!あれは奇跡です。まごうことなき奇跡でした。
6 サッセールワ大仏とアウカナ大仏~知る人ぞ知るスリランカの傑作大仏を訪ねて山中へ
この記事で紹介するのはサッセールワ大仏とアウカナ大仏という、知る人ぞ知るスリランカの傑作仏像です。
これらの大仏はミヒンタレーやアヌラーダプラなどの主要聖地から離れたジャングルの中にあり、普通の観光客はまず立ち寄りません。ですが、私はスリランカの仏教芸術をぜひ自分の目で見てみたかったのでした。
7 スリランカの世界遺産ダンブッラの衝撃!~私はこの仏跡を決して忘れることはないだろう
この日の目的地はダンブッラ。ここも世界遺産となった仏教聖地なのですが、私はここを生涯忘れることはないでしょう。きっとこれからの人生でもここを超える世界遺産と出会うことはないのではないかとすら思っています。
8 失われた古都ポロンナルワの仏像に感動!スリランカ彫刻のハイライトがここに!
ポロンナルワは私のスリランカ仏跡訪問におけるハイライトと言えるでしょう。スリランカに来たらここは外せません。
鳥肌が立つほどの素晴らしい彫刻、異世界のような空間・・・。
この記事ではそんなポロンナルワの独特な歴史についてもお話ししていきます。
9 スリランカの奥地に大乗仏教の大仏が眠っていた!スリランカに根付いていた大乗仏教の痕跡を訪ねて
スリランカといえば上座部仏教の聖地というイメージがあるかもしれませんが、実はこの地には大乗仏教も根付いていたのでありました。特に8世紀には全盛期を迎え密教の中心地として世界に大きな影響を与えていました。
私はその痕跡を訪ねるべく、スリランカの奥地に向かうことにしたのでありました。
スリランカ中南部
— 上田隆弘@函館錦識寺 (@kinsyokuzi) May 29, 2024
ブドゥルヴァーガラの磨岩仏
大乗仏教の仏像がここにあります pic.twitter.com/SMQTPoFyQj
森の奥深くにあるブドゥルワーガラはまさに忘れられた遺跡そのもの・・・。今は木々も間引きされ仏像の前が広場になっていますが発見当初はこの空間もジャングルそのものだったのではないでしょうか。第一発見者は密林の中突然現れたこれらの仏像に度肝を抜かれたに違いありません。
ジャングル奥深くの謎の巨大仏像・・・。
鳥のさえずりが響く神秘的な空間でした。
10 南インドの古都タンジャーブルへ~あまりに巨大!これはスリランカもひとたまりもない!
南インドの古都タンジャーブル。
ここは11世紀にインドでも有数の勢力を誇った大国の首都で、当時のスリランカの王朝を滅ぼしたことでも知られています。
そんな超大国の文化水準を体験するために私はこの地を訪れました。

タンジャーブルの象徴ブリハディーシュワラ寺院本殿前の門がこちらです。この門の彫刻も非常に有名です。
下段の巨大な像はこの寺院の守護神です。日本で言うなら東大寺の金剛力士像的なものです。彼らの優美かつ力強い動きに注目です。さすが踊りを愛するインド。踊りの神と言えばシヴァ神ですが、こうした彫刻は彼らの得意分野なのでしょう。
11 ネパール仏教の象徴スワヤンブナート~こちらを見つめる目!目がそこにある!
ネパール仏教の象徴たるスワヤンブナート。この寺院はネパール仏教最古の仏教寺院として知られる世界遺産です。
スワヤンブナートは独特な空気が漂う場所でした。インドともスリランカともやはり違います。そしてやはりあの目です。「ネパールといえばこれ」というほど私の中に強烈な印象を残した場所でした。
12 サールナート博物館の至宝アショーカ獅子柱頭とインド仏像の最高傑作「初転法輪像」を堪能!
サールナート博物館にはインドの至宝アショーカ獅子柱頭やサールナート仏の名で知られる初転法輪像が所蔵されています。
ここで出会った素晴らしい彫刻作品のショックは美術館を出て宿に帰ってからもずっと続き、この完璧な彫刻に私は心奪われたままでした。
そしてそんな私の身に謎の現象も起こることにもなりました。
13 ガンダーラの最高傑作「断食仏像」に会いにパキスタンのラホール博物館へ!あのブッダの目が忘れられない!
ガンダーラ仏像の最高傑作のひとつとして知られる有名な断食仏像を見に私はパキスタンへと向かいました。
あのガリガリに痩せ細った強烈な仏像を教科書などで見たことがある人も多いのではないでしょうか。そして実際にその像を見て私は衝撃を受けることになりました。
パキスタン、ラホール美術館の断食仏 pic.twitter.com/uhRICnFOo5
— 上田隆弘@函館錦識寺 (@kinsyokuzi) March 13, 2024
14 ガンダーラと並ぶ仏像発祥の地マトゥラーへ~インドで唯一の阿弥陀仏像を求めて
私のインド最後の目的地マトゥラー。私はここの阿弥陀仏の足の像を見にやってきました。
「阿弥陀仏の足」のためにわざわざそんな所までと思うかもしれませんが、実はこの像、とてつもない代物なのです。
なんと、この足はインドで現存する最古かつ唯一の阿弥陀仏なのです。
この記事ではそんな貴重な仏像についてお話ししていきます。
おわりに
以上、仏教美術のおすすめ本とおすすめ記事をご紹介しました。かなり長くなってしまいましたが、お寺巡りに役立つこと間違いなしの素晴らしい本ばかりです。
私自身、中学生の頃から仏像や古寺の佇まいに惹かれ今に至っています。そんな私が改めて仏像を学び直し、厳選したのが今回の記事になります。
ぜひ皆様のお寺巡りに活用して頂けましたら幸いです。そして仏像やお寺参りが皆様と仏教とのご縁となりますことを祈っております。
以上、「仏像のおすすめ本一覧!~入門書からお寺巡りに役立つ本まで幅広くご紹介!」でした。
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『インド・スリランカ旅行記』記事一覧はこちらのまとめ記事にて
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