連載『それゆけ!重さん8』~容姿

容姿

重さんには、
頭に大きな楕円の”はげ”があった。

長い方が7センチくらいだっただろうか。
芝生の中に地面が丸出しのような
ストーンサークルのような、見事なはげだった。

手術時のミスで毛根が焼け焦げたらしい。

重さんは剛毛だったから、
髪を伸ばせば隠せるだろうに、
ごくごく短い坊主頭で、

はげは、誰の目にも飛び込んでくる。

でも重さんは全く気にしていない。
だから、こちらも気にならない。

頭を触らせてもらうと、とてもよく動く
健康な頭皮の見本のような頭皮だった。
その頭皮に密度の濃い剛毛がびっしり生えていた。

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北関東の人間らしい、
とてもしっかりとした骨格の頭で、
大きくてほとんど首がない。

昔、画家の山下清さんがモデルの
「裸の大将放浪記」というドラマがあったが、
演じた芦屋雁之助さんを
もう少しぽっちゃりさせたようなイメージだ。

顔の形はまさしくおにぎり。

身体も骨太で、足は短く安定性も抜群。
お腹も丸くて、背も低く
まるでハンプティダンプティのような重さんだった。

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血管の病気になり、足が悪くなり、
太っているのが良くないとわかっていても、
重さんが痩せることはなかった。

美味しいものをやめることはない。

だけど、重さんなりに、健康には気を遣っていた。
お酢がいいと言われれば、私が出逢った日のように、
食べ物にお酢をかけまくる。

飲食店では、店中のお酢を集めてかけた。

見ている分には面白いけれど、
家族となると大変だ。

奥さんは横で
「まったく、変わってるよ」と笑ってる。

ある意味、
奥さんが変人だったのかもしれない。

重さんの余命は10年。
奥さんは好きにさせてあげたかったのかもな。

とにかく重さんは自分が禿げていようが
何も気にしない。

そんな奥さんの思いを知ってか知らずか、
今日も思うままに生きる
前のめりでずんぐりむっくりな重さんだった。

                9に続く

--- 過去の記事はこちらからご覧いただけます。
第一話 出逢い
第二話 生まれ
第三話 自由
第四話 野球
第五話 病気
第六話 犬 
第七話 動物と重さん

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