新連載 『それゆけ!重さん1』~出逢い

余命宣告を受けたのにもかかわらず、変わらず生き続けた昭和生まれのある男の物語


出逢い


重さんとの出逢いは強烈だった

重さん・・しげさん。
あだ名ではなく本名だ。

重さんは、昔、10年間くらいだけれど私の父だったことがある。

出逢ったのは今から30年以上前。

当時付き合っていた彼氏の実家は、
お母さんが切り盛りする喫茶店だった。

初めてその喫茶店に行った時の事。
カウンターに座っていた
彼のお父さんである重さんにあいさつしていると、

キッチンからスーパーのトレイに入った何かが運ばれてきて、
お酢でヒタヒタにした後、その何かを口に運んだ。

え??? 海老???

海老を食べていた。
・・それだけなら、海老好きなんだな。で終わる。

・・・のだけど、それは、生の海老で、
トレイには”フライ用”と書いてあった。

「え? これ、フライ用ですよね?」と私が聞くと、

「そうだよ。」

「大丈夫なんですか?」

「うんまい! でも、真似しちゃだめだよ」

これが重さんとの出逢い。

当時の重さんは、
400㏄ のバイクに乗って、
工事現場の警備員という過酷な仕事に行っていたが、

東大病院でしか、診ることができない心臓の難病を抱えていた。

すべてが、謎。

それが重さん。

                            2に続く

「それゆけ!重さん1~出逢い」 を朗読しました!
説明欄から音声でもお楽しみください。

https://youtu.be/8AF0Vzqg91U

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