三題噺ショートショート_貢献
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「貢献」まいりましょうか。

藍は松葉杖を砂場に叩きつけた。
パラパラと落ちてきた雨粒で、砂場は徐々に濃いグレーに変わっていく。
西の端っこの青空が、夕陽を飲み込んでいく。
かなり濡れた。
通り雨をやり過ごそうと、立ち上がり不器用に歩き出して暖簾を潜ると、扇風機のムッとした空気で我に返った。
席に座り、しばらくすると大将が奥から豚汁を持ってきた。
「食いな」
いつもなら、練習帰りにみんなでワイワイ食べに来る見慣れた景色も恨めしく。何だか滲んで見えた。
汁を啜るが、熱くて汗が吹き出てきた。
あたるところがなくて、心なく言った。
「この故障したエアコン何とかならねぇの、オヤジさん」
大将が言った。
「我慢だな」
藍は汁を飲み干し、御代をテーブルに置き、また不器用に店を出た。
藍は生まれて初めて背番号の無いユニフォームで応援に回り。
夏は終わった。
藍はいつの間にかスタメンにもベンチにも拘らなくなった。
あの日の雨と豚汁と壊れたエアコンが、“伝説の主務”を生み出したのである。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
「コジくん、朝の部のマッサーの効果は失せたから、夜の部のマッサー(注1)やってね!」
……。
マッサージすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、39作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
ヤスシさんとの、根競べだな。

