三題噺ショートショート_ゲームセット
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ゲームセット」まいりましょうか。

洋はフルーツそのものは好きなのに、なぜだか加工したものになると苦手だった。
例えば、バナナのドライフルーツ。あるいはジャム。
就職が決まり、冬休みの合宿で免許も取り、初めてのドライブはレンタカーで冬の海に出かけた。
隣には、マネージャーの薫を乗せて、緊張しながら運転して、やっとこさ目的地に着いた。
湘南の海は晴れ渡り、小春日和で。
二人は浜辺に出て、海を見ながら最後の夏の予選の時の話をした。
洋は万年ベンチだったが、大差のついた最後の攻撃で代打として登場し。見事見送り三振で締め括った。
あれが精一杯の青春だったと、諦念にも似た感情で笑い合った。
昼、薫が持ってきたバスケットを開けると、サンドイッチが入っていた。
全部美味しかった。
だが、最後の一切れを口に運び、洋は一瞬噛むのをやめた。
いちごジャムだった。
洋は、再び食べ始め。やっとの思いで飲み込んだ。
薫が言った。
「ずっと、良いお友達でいてね」
洋はまた、見送り三振でゲームを締めた。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
「コジくん、マッサー(注1)やってたら、いつか、良いことあるよ。きっと!」
……。
マッサージすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、40作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
まさに、お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだな。

