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【小説】「桜華―あなたの声が聴きたくて―」#0 プロローグ

あらすじ
桜華には忘れられない人がいる。兄の涼を亡くした哀しみを背負いながら医学部での新たな生活を始める。そこで、涼と声の似た三浦駿と出会う。人一倍、生きることにこだわる駿と、命に対する考え方の違いから二人は衝突しながらも、グループ討議や実習などを通して少しずつ距離を縮め、惹かれ合っていく。いずれそれぞれの道で医師になるために別れる日が来ると知りながら逢瀬を重ねる。やがて医師となった駿は脳の研究をするため渡米する。
――それから十年の月日が流れる。
日本に戻った駿からの連絡で二人は再会を果たし、穏やかに愛を育むかに見えた。だが、二人には予期しない未来が待っていた。 

喪失と共に生きる大人の恋愛物語。


私は桜の花がきらいだ。
薄桃色の花びらは、春が来たことを無邪気に告げているようで
今の私には眩しすぎる。
薄桃色の花びらは、私の心を癒すことなく揺らしていく。

なぜ、りょうは命を落としてしまったのだろう。


私の名前は「桜華おうか
涼が亡くなってから、私は自分の名前が好きではなくなった。
記憶に焼き付いて消えない哀しみと、
涼の優しい笑顔が浮かぶ。
思い出そうとしなくても、常につきまとうその感情は、私を一層、頑なにする。


温かい春の風に頬を撫でられると
無邪気だったあの頃に帰りたいとさえ思ってしまう。
志望した医学部に受かったというのに
入学式に参加する気力さえ失ってしまいそうだった。





音楽
南かのんさん
【癒しピアノ】雨の日のお茶会より
Across the Distance ,To You (距離を超えて、あなたへ)
その中の二曲を持ち込みの画像で使わせていただきました。
ありがとうございます💐