【小説】「桜華―あなたの声が聴きたくて―」#8 エピローグ
駿の病院の窓の向こうに
桜の花が揺れている。
それを私は眺めることができない。
かつて薄桃色の花びらは
春が来たことを無邪気に告げていた。
今の私は閉ざされていて
その眩しさを受け取ることもできない。
始まったときから、終わりが見えている恋愛のはずだった。
でも今は、駿がそばにいてくれる。
それは予期しない出来事だった――
重ねた手の温かさで
髪の毛を撫でる感触で
あなたが来てくれたとわかる。
だのになぜ、駿の声が聴こえないのだろう……
私はすぐそばにいて
こんなにも思っているのに
誰にも伝えることができない。
病室には駿が選んだ曲が流れているだろう。
彼は音楽が好きだったから……
温かい春の風を、もう一度頬で感じたくて
私は駿を信じてその日が再び来ることを
待っている――
了
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桜華と駿に最後までおつきあいくださって心より感謝しています💐
感想をお寄せ頂きますと誠に励みになります。
どうぞよろしくお願いします✨
「海馬の祈り」のもうひとつの物語となっています。
音楽
南かのんさん
「雨の日のお茶会」より
In Place of Words ( 言葉の代わりに)
YouTubeで公開されていた「雨の日のお茶会」という作品から、この物語に重なって感じた曲をお借りして使わせていただきました。持ち込みの画像で2曲使わせて頂きました。
かのんさんの音楽が優しく物語を支えてくださいました。ありがとうございます💐
プロローグに各話をリンクしてございます。
