さくらんぼしごと④黒い森
約束のとおり、マスールが大きな瓶をひとつ開けた。
ルビー色のシロップのなかに、きのうのさくらんぼがぎっしり並んでいる。
銀の大匙でとり分けて、
きょうはリオレに添えられた。
ゆっくりとかきまぜる。
お米入りの甘いミルクが、桜色のマーブル模様になる

口のなかがうれしさでいっぱいになった。
瓶にまだ半分残っている。
「明日のデセールdessertは、『黒い森』にしましょうか」
マスールたちの声に、リラはふり返った。
あすは日曜日。
ミサのあと、司祭や村の人たちとの食事会がある
すこしとくべつな日。
午後は、お菓子作りのお手伝い。
とくべつな《L》のタブリエをつける。リラの大好きな時間だ。

⑤につづく(毎週月曜日更新)
リラ|ある修道院の果樹園で
第一話 さくらんぼしごと ①②③④⑤
