70歳の父の後悔「やりたいことを早くやればよかった」
自動車に関わる仕事をしていた父は、ずっとポルシェが憧れの車だった。
「お金あるなら、早く買いなよ」とせっつくわたしをよそに、父がポルシェを買ったのは62歳の時。そこから、長年の夢を取り戻すかのように毎週末ポルシェで走りに行った。
春の気候のいいときにオープンカーを楽しみたいからと、花粉症だった父は舌下免疫療法をした。冬も走りにいきたいからと、わたしがプレゼントしたグローブと帽子をしっかりとつけ、寒空の中屋根をあけっぴろげにして走った。景色のいいところで運転席に座る父とポルシェを撮ってあげたら、殊の外よろこんでいたのが懐かしい。
そんな憧れのポルシェも数年で手放した。
父の運動能力や反射神経が落ちて、ポルシェの運転を楽しめなくなったのだろう。
65歳まで惰性で働いた父
「やりたいことを10年早くやりはじめればよかった。10年が無理だったなら、5年でも、いや2,3年でもいいから早くはじめればよかった」
65歳で仕事を退職した父は、仕事一色だった日々を取り戻すかのようにやりたいことを精力的にこなした。自転車、登山、釣り、スキー。そんな父も70歳を過ぎ、体力や健康の問題でやりたいことが少しずつできなくなってきている。
先日実家に帰って父と話していたときに、熱心に父が語っていたのは「仕事を数年早く辞めても、大したことはない」ということだ。父はどちらかというと仕事に熱中して、家庭を顧みない人だった。大きな仕事を任されて世界中を飛び回り、楽しかったのだろう、子どものころ平日に父と夕食を共にしたことはほぼなかった。
そんな父は継続雇用で65歳まで働いてやめた。
役職定年後の10年間を父はこう表現した。
「ぬるま湯なんてもんじゃない、温泉だよ」
責任もなく、プレッシャーもなく、年長者だからそれなりに尊重され、頼られ、そして少し知的な労働ができる。60歳でガクッと給料が下がるとはいえ、世間で言えば比較的よい給料ももらえる。
「気持ちいいとも思わない。なにも感じないよ」
早く辞めればよかったという気持ちが滲む、辛辣な話しぶりだった。惰性で、お金に困ってもいないのに65歳まで働き続けた父。たぶん後悔しているのだろう。
父は、55歳から60歳くらいの少し年下の友人にはお節介とわかりながらも、「早く仕事辞めたら」と言っているという。そこまで思い切れないなら、まずはここからだ、と言ったことはこれだ。
「辞めるのが怖いなら、まずは毎年有給休暇を20日間使い切りなさい」
仕事に熱中している人、会社に染まっている人は有休は法定の5日間しかとっていないかもしれない。
まずは付与された有休を全て使い切ってみて。
「誰もそんなに休んでない」
「そんな長く休んだら仕事に支障がでる」
「周りになんて思われるか不安」
いろいろ思っていることがあると思うけど、20日間有給をとってみたら大したことなかったってわかるから。仕事はどうにかなるし、周りの人はなんとも思わない。それになんか思われたってどうってことない。
そんな風に言われて、アドラーの心理学を思い出した。
・性格とはある状況に置かれたときにいつもとる行動パターンを決めるものの見方のこと
・性格をかえるためにはある環境になったときに、普段と異なる行動をとること。どのような結果になるかはわからないという不確定を引き受ける勇気さえ持てば、性格は簡単に変わる
・性格を変えるのは生きやすくするため。
働くのがしんどいなら、会社との付き合い方、働くことの概念を変えればよい。そのために普段と違う行動をとってみたらよい。
30代のわたしはこれからどう働くか
父がアドバイスを送りたい55歳の友人よりもはるかに若いわたしだけれども、父の後悔は胸に迫った。毎年実家に帰るたびに、両親の健康が衰えていることを感じるのだ。
わたしの健康も、もう緩やかな下り坂に入っているのだろう。仕事にどれだけの時間とエネルギーを注ぐのか、家族や友人とどう過ごすか、ずっとやりたいと思っているあれやこれはいつやるのか、計画しないと惰性で時間とエネルギーは吸い取られてしまう。
激務と有名な会社に転職するにあたり、しっかりと自分で線を引いておかないと、周りに流されて会社に人生を捧げることになってしまいそう。父の後悔がリアルな今、わたしの決意をここに置いておこう。
①有休は付与された分を使い切る
②あらかじめ決めた時間以外は働かない
③プライベートと決めた時間はメールチェックしない
④1年ごとに仕事を辞めるか、続けるかを自分に問う
転職を報告したら「体に気を付けて」とだけ言った父。
がんばりすぎず、がんばるね。
▼宣伝!
父の話がこんなにも胸に迫ったのは、FIRE研究所で早期退職している人の生活を目にしていたからだ。早く仕事を辞めたいと思ったなら、辞めるための資産作り。まずは投資の本を1冊読んでみるのもいいかもしれない。
こんな記事も書いています。
いいなと思ったら応援しよう!
こんなところまでお読みいただきありがとうございます!
なにか心が動きましたら、チップでお知らせいただけるととってもうれしいです。