#10|摩擦ゼロ状態からの脱却! 動摩擦力のモデリング作法
本記事は、こちら👇 の連載シリーズの一部です。
耳だけで楽しみたい方は、こちら👇の音声解説を再生してください😊
この連載が目指すゴールは、コックリさんの不自然な10円玉の動きを、高校までの数学と物理を使って理論的にアニメーション化すること。
前回 は、指先の震えを『正規分布による乱数』でモデル化することで、コックリさんのような10円玉の動きを再現できました。
が!
まだ摩擦力(摩擦係数)がゼロのままだったので、10円玉はまるでエアホッケーのディスクのように小さな力で軽々と動きました。
そこで今回は、動摩擦力を組み込んだらどのようになるのか、一緒に見ていきましょう!
この記事の工程で作成したExcelモデルを公開しています。
👇のダウンロードエリアから入手できます。
✔︎ 動摩擦力を組み込む方法
ここまで作成してきたExcelモデルは、すでに『指先から押される力(下方向)』と『摩擦係数』を入力すれば、摩擦力が計算に反映されるようになっています。

まずは『指先から押される力(下方向)』(I列)から入力していきます。
前回の記事👇で入力した『指先から押される力(横方向)』(H列)と同じ方法でOKです。
前回の記事☝️の『指先から押される力(横方向)』(H列)と同じように、『指先から押される力(下方向)』(I列)にも『正規分布による乱数』を入力します。

これで『指先から押される力(下方向)』の入力は完了です。
残りは摩擦係数のみ。
ここで、Excelモデルに組み込んだ運動方程式を振り返ります。
$$
\footnotesize
\begin{align*}
\\[0.1pt]
(横方向の加速度)=& \tfrac{(指先から横に押される力)-(摩擦力)}{10円玉の質量} \\[10pt]
(摩擦力)=&(摩擦係数)×(紙から受ける垂直抗力) \\[10pt]
(紙から受ける垂直抗力)=&(重力)+(指先から下向きに押される力)
\end{align*}
$$
この運動方程式は、下図のように10円玉が右に動いているとき、摩擦力は左に働くことを前提として立式しました。

しかし、10円玉が反対の左に動いているときは、どうでしょう?
摩擦係数を 0.1 などの定数にすると摩擦力は左に働くしかないので、摩擦力で10円玉が加速するという怪奇現象が起きてしまいます。
だから10円玉が左に動いているときは、摩擦力が反対の右に働くようにしなくてはいけません。
そこで下のグラフのように、10円玉の速度に合わせて摩擦係数の+/-を切りかえます。($${\mu_k: 動摩擦係数}$$)

これで、10円玉が右に動いているときは摩擦係数が『+(プラス)』なので摩擦力が左に働き、10円玉が左に動いているときは摩擦係数が『-(マイナス)』になり摩擦力の向きが反転して右に働きます。
しかし、これでもまだ問題があります。
速度 0(ゼロ)で急に摩擦力の向きを反転させると、摩擦力の変化が激しくなりすぎ、10円玉が止まらず微振動してしまいます 。
これを防ぐため、速度 0(ゼロ)付近では滑らかに変化するよう、下図のような 遷移速度$${v_s}$$ を追加して解決します。($${\mu_k: 動摩擦係数}$$)

つまり摩擦係数は、上のグラフのような10円玉の速度を引数とする関数としてExcelに入力すればOKです。
✔︎ 動画にしてみた
動摩擦力を組み込んで計算した結果を、動画にしてみました。
主な計算条件はこちらです。

動摩擦係数は、$${\mu_k=0.001}$$ と小さな値にしました。
それでも摩擦ゼロとした 前回の記事 と同じ『指先から受ける力(横方向)』ではほぼ動かなかったので、その力を10倍にして計算しています。
※前回の具体的な計算条件は、前回の記事 を参照してください。
このように動摩擦力を組み込んだところ、10円玉の動きは次のように変化しました。
動かすには、より大きな力がいる:前回 のような、わずかな力では止まってしまうようになりました。当たり前ですね。
※指先の力を計測して入力する場合は、この摩擦係数を調整して10円玉の動きを合わせ込むことになります。動き方には、大きな変化はない: コックリさんらしい不規則な動きは、見た目で分かるほど変わりませんでした。
皆さんも摩擦係数を変えるなど、ぜひ色々な条件でシミュレーションを楽しんでみてくださいね😊
この記事の工程で作成したExcelモデルを公開しています。
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ぜひ、お手元でも10円玉を運動方程式で踊らせてみてください!
✔︎ おわりに
今回は、動摩擦力を組み込んでみました。
これで、10円玉が動いているときの抵抗を再現できました。
『動いているとき』のモデリングは、これで完成です。
次回は動き出す瞬間にはたらく静止摩擦力を組み込んでみます。
どのような差が生まれるのか、一緒に見ていきましょう。
どうぞお楽しみに!
🔗 次の記事につづく
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