#4|10円玉の軌跡を言葉の式に! 運動方程式を攻略するモデリング術
本記事は、こちら👇 の連載シリーズの一部です。
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この連載が目指すゴールは、
高校までの数学と物理を使って
コックリさんの不自然な10円玉の動きを
理論的にアニメーション化すること。
前回 は、この目標に向けて
10円玉の受けるチカラを整理しました。
その結果が、次の5つのチカラです。


10円玉が不自然に動くのは、
これらのチカラが原因のはず。
そこで今回のミッションは、
これらのチカラ(の名前)を使って
10円玉の動きを式で表すことです!
✔︎ 10円玉の動きを式で表すには?
では早速…
10円玉の動きを式で表すには、
具体的に何をすればいいと思いますか?
それは、
ある時点で10円玉がどこにあるのか、
その時間と変位の関係を
導き出せる式を作ればいいのです。
変位とは、
次のような位置のことです。

この変位を求めるには、
どうすればよいでしょうか?
ここで大切なのが、
変位・速度・加速度の関係です。
✔︎ 変位・速度・加速度について
距離と速さの関係は、
小学校で習いましたね。
変位は、その距離に
向きをプラスしたものです。
同じように
速度も、その速さに
向きをプラスしたものです。
なので、
変位は速度を使って
次の式のようなイメージになります。
$$
\footnotesize
(変位)=(速度)\times(時間)
$$
つまり変位とは、
下のグラフの面積のことです。

小学校で習ったことと違うのは、
コックリさんの10円玉の場合、
速度は一定ではなく、変化するということ。
この変化する速度を求めるには、
速度の時間変化を表す 加速度 を使います。
速度は、この加速度を使って
次の式のようなイメージになります。
$$
\footnotesize
(速度)=(加速度)\times(時間)
$$
つまり加速度とは、
下のグラフの曲線のことです。

以上から、
この加速度を式で表すことができれば
次のステップで、10円玉の変位を求められます。

では、この起点になっている加速度は
どうやって式で表せばよいのでしょうか?
✔︎ 加速度を式で表すには
ここで登場するのが
ニュートンの第2法則から導かれた、
運動方程式です。
ニュートンは17世紀に、ガリレオやケプラーらの研究成果をもとに天体運動や落下運動のデータについて詳しく調べて、ニュートンの第2法則としてまとめました。
そこから、
物体の 加速度 と
物体が 受ける力の総和 と
物体の 質量 とには、
次の関係があることを導き出しました。
$$
\footnotesize
(質量)\times(加速度)=(受ける力の総和)
$$
これを、運動方程式といいます。
つまり、
10円玉が受ける様々なチカラを
この式に当てはめれば、
加速度は次の式で求められるのです。
$$
\footnotesize
(加速度)=(受ける力の総和)\div(質量)
$$
これを踏まえて、
10円玉の加速度を式で表してみましょう!
✔︎ 10円玉の加速度を式で表す
10円玉が受ける横方向のチカラを整理したのが下の図です。

(右向きを正の向きとして設定)
横方向の「10円玉が受ける力の総和」は、
上の図から次の式で表せます。
$$
\footnotesize
(10円玉が受ける力の総和)=(指先から横に押される力)-(摩擦力)
$$
なので、
10円玉の横方向の加速度は、
次の式で表せます。
$$
\begin{align*}
\\[0.1pt]
&(横方向の加速度)= \tfrac{(10円玉が受ける力の総和)}{(10円玉の質量)} \\[10pt]
&⇒\textbf{(横方向の加速度)}= \tfrac{\textbf{(指先から横に押される力)-(摩擦力)}}{\textbf{(10円玉の質量)}}
\end{align*}
$$
それでは、
上の式で使う摩擦力について
考えましょうか。
摩擦力は、高校物理で習う、
次の式で求めることにします。
$$
\footnotesize
\textbf{(摩擦力)=(摩擦係数)×(紙から受ける垂直抗力)}
$$
この式は、
紙から受ける垂直抗力が大きいほど、
(=10円玉を紙に強く押し付けるほど)
摩擦力も大きくなることを(近似的に)表しています。
この式で摩擦力を求めるには、
摩擦係数が必要です。
ここでの摩擦係数とは、
10円玉と紙との間の
滑りにくさを表す実験値です。
この摩擦係数の与え方は、
また後日に考えることにします。
もう1つ、
紙から受ける垂直抗力が必要です。
そこで、
10円玉が受けている上下方向のチカラを
もう一度、確認してみましょう。

(上向きを正の向きとして設定)
この連載では、
『10円玉は紙から浮き上がらない』
という条件を設定しています。
つまり、
上下方向の加速度は 0(ゼロ)です。
なので
10円玉の上下方向の運動方程式は、
次のようになります。
$$
\footnotesize
\begin{align*}
(質量)\times(加速度)=&({受ける力の総和}_{(上向きを正(プラス)の方向とする)})\\[5pt]
⇒ 0 =& (紙から受ける垂直抗力)-(重力)\\
& -(指先から下向きに押される力)\\[5pt]
⇔ \textbf{(紙から受ける垂直抗力)} =&\textbf{(重力)+(指先から下向きに押される力)}
\end{align*}
$$
この式を使って
紙から受ける垂直抗力 を計算することで、
10円玉が受ける 摩擦力 を求めることができます。
✔︎ おわりに
今回は10円玉の動きを数式で表すため、
次のような加速度を求めるための式(運動方程式)を作りました。
$$
\footnotesize
\begin{align*}
\\[0.1pt]
(横方向の加速度)=& \tfrac{(指先から横に押される力)-(摩擦力)}{10円玉の質量} \\[10pt]
(摩擦力)=&(摩擦係数)×(紙から受ける垂直抗力) \\[5pt]
&※摩擦係数:また後日に検討 \\[10pt]
(紙から受ける垂直抗力)=&(重力)+(指先から下向きに押される力)
\end{align*}
$$
あとは10円玉が指先から受ける力が分かれば、紙から受ける垂直抗力 を計算して 摩擦力 を求めてから運動方程式を解くことで、10円玉の横方向の 加速度 を導き出すことができます。
そして、
加速度の推移が分かれば 速度 が分かり、
その速度から 変位 を導き出せるのです!

次回(#5)は、
求めた加速度を使って
どのように変位を求めるのか、
具体的な方法について考えていきます。
Excelのセルを使って
足し算と掛け算で求める簡単な方法です。
難しい式展開やExcelマクロは使いません。
どうぞ、ご安心ください!
🔗 次の記事につづく
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