「生なる傷痕」プロローグ
あらすじ
――きっと私たちは、この世界で異端、理解されないもの同士。
高校二年生の依は親から虐待を受け、痛みを感じることでしか生きている実感を得られない。周囲の人間は身体中、傷だらけの依を気味悪がった。
ある日、依は公園の公衆トイレで同級生の繋に出会う。爽やかな好青年の見た目から、学校の人気者だった彼には秘密があった。
「俺は死体しか愛せない」
繋の歪んだ考えに戸惑うも、人に理解されない価値観を持つもの同士、そばにいると不思議と安らぎを覚え、次第に惹かれていく。
生に執着する依と死に魅了された繋。
この世界で異端であるふたりが辿り着く未来とは――?
プロローグ
夜明けの光が厳かに差し込む教会は、冬の冷えきった空気に包まれていた。
神父様、私たちはなぜ生まれてきたのでしょうか。
目の前にいる白髪交じりの神父を見上げて問いかける。
神父はすべてを受け止めんばかりの柔和な顔で、迷える子羊を導くかのように静かな瞳で答えた。
「神は子供たちを祝福して言われました。生めよ、増えよ、地に満ちて、これを従わせよと」
その他大勢から見れば異端で、世界の悪いものから生まれてきたような私たちの誕生も、皆と同じように祝福されていたのでしょうか。
『今日未明、XX市、XX町にある葬儀場から遺体が盗まれる事件が発生しました。未だ犯人は捕まっておらず、警察は防犯カメラなどから捜査を続けています』
