Templeのジャージを着たFlea
― ある写真が象徴していたもの
以前、ある写真を見た時に思わず笑ってしまったことがある。Red Hot Chili PeppersのFlea が、ステージで Temple Universityのバスケットボールチームのジャージ を着てベースを弾いている写真だ。
FleaがRadioheadのThom Yorkeと立ち上げたバンド、Atoms for Peaceが2013年9月にTempleのアリーナでライブを行った際の写真らしい。
そして私は思った、「なんだこれは?」と。なぜなら、Red Hot Chili PeppersとTemple Universityという、私の人生の中で最も大きな影響を与えた2つのものが、その1枚の写真の中に同時に存在していたからだ。


◼️13歳の頃
私がRed Hot Chili Peppersを聴き始めたのは13歳の頃だった。当時の私は、まだ世界をよく知らない普通の中学生。しかし、彼らの音楽には強く惹きつけられた。特にFleaやJohn Fruscianteの姿勢は印象的だった。彼らは、世間の成功モデルとは少し違うところに立っているように見えた。成金趣味というよりも、より純粋にミュージシャン気質な人達なのだ。
他人の評価より、自分の感覚を優先したり、流行より、自分達の表現を大事にしたり、マウンティングや序列にはあまり興味が無そうなところだ。後から振り返ると、彼らの価値観は私の人格にかなり影響を与えていたと思う。
◼️Temple University
私はペンシルベニア州フィラデルフィアのTemple Universityを卒業している。アメリカのpublic universityとしては珍しく、大都市の中にキャンパスがある。非常にリベラルで多様性に富む大学で、実学重視でスポーツも盛んな学校だ。
ここの卒業生は、理想を掲げつつも、大都市の現実も理解するプラクティカルな人間に育つ。ここで私は、自分の思考スタイルがある程度固まったと思う。
◼️そしてFleaのジャージ
だから、FleaがTempleのジャージを着ている写真を見たとき、私は少し不思議な気分になった。自分の人生の2つの要素が、まるで偶然交差したように見えたからだ。13歳の頃から聴いていたRed Hot Chili Peppersと、その後自分が通うことになったTemple University。普通なら近くはない2つの世界が、その写真の中で自然につながっていた。
◼️人生の交差点
人生には時として妙な交差点がある。後から振り返ると、「あの出来事とこの出来事は、実は同じ流れの中にあったのではないか」と思う瞬間だ。私の場合は、音楽、学校、思考スタイルが全て別々のもののようでいて、どこかで繋がっている気がする。
◼️結局、影響は残る
人は自分が思っている以上に、若い頃に触れた文化の影響を受け続ける。私にとってRed Hot Chili Peppersは、単なる好きなバンドではなかった。ある意味で、「どう生きるか」という感覚を教えてくれたバンドなのかもしれない。だから今でも、FleaがTempleのジャージを着てベースを弾いている写真を見ると、少し可笑しくなる。自分の人生の断片が、1枚の写真の中で綺麗に重なって見えるからだ。
◼️Fleaのマインドセットとの共通点
FleaとTempleの組合せは、単なる偶然ではなく、この組み合わせにはどこか象徴的なものを私は感じてしまう。
私が知る限り、Fleaが着た大学のジャージは、UCLAとTempleの2校のみだ。

どちらもアメリカでは非常に象徴的な公立大学(public university)である。そして、この2校には共通点がある。それは、「都市的 (urban)」、
「多様性(diversity)」、「公共性 (public) 」、「市民社会との結びつき (civic culture) 」といった文化だ。
Temple Universityも正にそういう大学である。フィラデルフィアという都市の中にあり、多くの移民や、家族で初めて大学に進学する学生が少なくはない学校でもある。同じフィラデルフィア市内のUniversity of Pennsylvania (Penn) の様なアイビーリーグの所謂リッチな超上流階級的な大学とは違う。私は、Pennでも授業を取っていたので、両校の違いはよく分かる。
Templeはむしろ、グリッティ(gritty)で市民的でリベラルな大学だ。私は、この雰囲気がFleaのキャラクターにどこか合っている気がする。彼は派手で破天荒なロックスターでありながら、常に公教育を支持し、音楽教育の活動を続け、コミュニティとの関係を大切にする、かなりcivicな人物でもある。
そう考えると、彼の地元ロサンゼルスの西海岸を代表するpublic universityであるUCLAと、東海岸の都市公立大学であるTemple。この2つ大学のジャージを着てきたのは、どこか彼らしい気もする。
◼️TempleとRed Hot Chili Peppersは文化的に似ている
FleaがTempleのジャージを着ている写真を見ていると、もう1つ思うことがある。それは、「Temple UniversityとRed Hot Chili Peppersは、文化的にどこか似ている」ということだ。一見すると、この2つは全く関係がない。1つはフィラデルフィアの大学。もう1つはロサンゼルスのロックバンド。しかし、よく考えると共通点がある。それは エリート主義から少し距離を置いた文化である。
前述した通り、Temple Universityは、アイビーリーグの大学とは違う。urban / public / diverseな大学だ。少し粗削りで、グリッティ(gritty)でエネルギーがある。一方、Red Hot Chili Peppersも似た空気を持っている。彼らはロサンゼルスのバンドだが、いわゆるハリウッド的な華やかなロックスター文化とは少し違う。パンク、ファンク、ストリート文化、といった要素を今も強く持っている。つまり、countercultureのバンドだ。
TempleもRed Hot Chili Peppersも、完全なエリート文化ではないし、しかし同時に強いエネルギーを持っている。また、大都市の多様性とも結びついている。これらの点で、両者はどこか似ている。だから、FleaがTempleのジャージを着ているのは単なる偶然というより、文化的にしっくり来るのかもしれない。
私自身も、後から振り返ると、この2つの文化の影響をかなり受けている。13歳の頃に聴き始めたRed Hot Chili Peppers。その後通うことになったTemple University。この2つは全く別の世界のようでいて、不思議とどこか同じ匂いがする。もしかすると私は、その両者に共通する文化に自然と惹かれていたのかもしれない。
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