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私は「Obama Democrat」だ


私は自分を 「Obama Democrat」 と呼んでいる。それは単なる好みでも、後付けのラベルでもない。はっきりとした原体験がある。私がアメリカで大学生だった頃、バラク・オバマ がアメリカ大統領に当選した。あの瞬間の空気は、今でもはっきり覚えている。

■大学時代に見た「政治が希望を生む瞬間」

2008年、オバマはアメリカ大統領選挙に勝利した。それは単なる選挙結果ではなかった。黒人であること、若さ、反イラク戦争、知性と言葉の力など、それら全てが、アメリカという国の更新可能性を象徴していたのだ。

大学のキャンパスでは、「政治は人を分断するもの」ではなく、「社会を前に進める力になり得る」と、まだ本気で信じられていた。

その体験が、私の政治的OSを決定づけたのだ。

■私が共感する系譜は一貫している

後から振り返ると、私が賛同してきた政治家のタイプは驚くほど一貫している。ビル・クリントン、トニー・ブレア、ジョー・バイデン、キア・スターマーなどだ。彼らは、アメリカの民主党か、もしくはイギリスの労働党に所属しており、リベラル、又は中道左派(Center-left)と呼ばれる政治家達だ。彼らは左派だが、破壊的ではない。

■中道左派の本質は「統治を引き受ける左」

この系譜に共通するのは、理想主義ではなく、統治の現実を引き受ける姿勢だ。自由市場経済を全否定せず、安定した国家の役割を理解しており、財政制約からも逃げない。左派でありながら、「選挙に勝って、安定的に政府を運営する」ことを前提にしている。これはアメリカの民主党でも、イギリスの労働党でも、最も地味で、最も重い立場だ。

■トニー・ブレアと「Third Way (第3の道) 」

この中道左派の思想を、理論と実践の両面で明確に言語化した人物がいる。それが トニー・ブレア だ。ブレアが掲げたのが、いわゆる Third Way (第3の道) である。

第3の道は、新自由主義でもなく、旧来型の社会主義でもない。そのどちらにも与しない立場だった。Third Way が示した核心は明確だ。市場経済を受け入れつつ、国家は「是正」と「投資」に集中するのだ。市場を否定せず、しかし放置もしない。国家は万能ではないが、無力でもないと考える。これは左派への裏切りではなく、左派が再び統治能力を取り戻すための再設計だった。

ブレアはこの路線で、長く野党に沈んでいた労働党を政権に戻した。この成功は、後のアメリカ民主党中道左派、とりわけオバマ時代の民主党に、決定的な影響を与えている。

■オバマケアに象徴される「不完全でも前に進める政治」

オバマ政権を象徴する政策の1つが、いわゆるオバマケアだ。これは革命的な国民皆保険ではなかった。民間保険市場を前提に、補助金・規制・義務を組み合わせた、極めて現実的で妥協的な制度設計だった。

左派からは「不十分」と批判され、右派からは「社会主義」と攻撃された。それでもオバマは、この制度を成立させた。完璧な改革を待って何もしないより、不完全でも制度を一歩前に進める。これが正に、中道左派の統治哲学そのものだった。

■リーマンショックへの対応に見えた冷徹な現実主義

オバマが直面した最大の試練は、リーマンショックだった。感情的には、「金融機関を徹底的に罰する」選択肢もあった。しかしオバマ政権が選んだのは、不人気でもシステム崩壊を防ぐ道だった。金融機関を救済し、景気刺激策を打ち出し、雇用回復を最優先にした。これは「左派らしくない」と批判されたが、最も弱い人々を守るための判断でもあった。

中道左派は、怒りよりもシステムを優先する。それが統治を引き受けるということだからだ。

■クリントン時代の「経済絶好調」が残した教訓

この現実主義には前史がある。それがクリントン政権だ。1990年代のアメリカは、財政赤字の解消・強い経済成長・雇用の拡大を同時に達成した。これは、左派が市場経済を敵視しなかった結果でもある。

この時、民主党は「市場を否定しなくても、成長と分配は両立し得る」ことを学んだのだ。この成功体験があったからこそ、オバマ民主党は危機の中でも極端に振れなかった。

■バイデンの経済政策は「理想を現実に落とす作業」

バイデン大統領はカリスマ的ではなかった。しかし、やっていることは一貫していた。インフラ投資・製造業のアメリカ国内への回帰・同盟国と連携した経済安全保障などだ。これらは派手な革命ではなかった。オバマ的世界観を、現実の政策として更に持続させる試みだったのだ。

分断された社会で、民主主義を壊さずに経済を立て直す。それは極めて難しく、地味な仕事だった。だが、誰かが引き受けなければならなかった。その仕事をバイデンは受け入れた。

■協調的外交という共通言語

もう1つ、私が中道左派に強く共感する点がある。それは 彼らの外交姿勢だ。オバマ、クリントン、バイデン、ブレア、スターマーは、共通して「国際秩序は、単独行動では維持できない、同盟と協調は、弱さではなく戦略だ」というの前提に立っている。同盟国を軽視せず、国際機関も軽んじない。価値観外交と現実主義の両立を目指す。これは派手ではない。しかし、第2次世界大戦後の安定を実際に支えてきた外交観でもある。

■私は「実績を伴った左派」を信じている

私は偶然オバマを支持したのではない。大学時代に、政治が社会を前に動かす瞬間を目撃した。そしてその後も、オバマケア・リーマン後の危機対応・クリントン時代の経済成功・バイデンの現実的な経済運営などを振り返り、中道左派が現実世界で成果を出してきたことを見てきた

理想は捨てない。だが、現実からも逃げない。私は、その系譜に立っている。

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