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祈ること_08⭐【バッケン】【シロクマ文芸部】

( 前 話 / 登場人物と目次 )


祈ることが、どれだけの意味を持つのかはわからない。それでも、あの日からカイトは惑星探索員の無事と任務の成功を祈ることが毎朝の習慣になっていた。

核融合発電の燃料となる水素を安定的に保管するためには、水素吸蔵合金が不可欠だった。しかし、惑星アースにある元素で製造された水素吸蔵合金では水素吸蔵量に限界があり、より多くの水素を貯蔵するためには新たな元素を見つけ出す必要があった。

近年開発された超重力装置のおかげで、宇宙空間をワープできるようになり、惑星探索が始まっていた。惑星探索の目的のひとつがその新たな元素を探し出すことであり、探索員には専門知識を持っている人材が求められていた。

カイトがバッケン(総合化学研究所)の食堂で味噌ラーメンを食べていると、マリウス所長が隣の席に座った。

「惑星探索員の人選は進んでいますか?」
「ええ、人選は済んでいます。あとは決裁を頂くだけです」

「そうでしたか。早く決まったということは信頼できる人材なんですね」
「はい。一番信頼できます」

数日後、無事に決裁がおりた。カイトはその結果を知らせるために惑星探索員のもとへ向かった。

「正式に決まったぞ。新たな元素を探すための惑星探索に行ってもらう」
「わかりました。アースのために頑張ります」

「不安か?」
「不安もありますが、楽しみの方が大きいです」

「まあ、放射能で汚染されたアースへ行くよりはリスクは断然低いからな」
「はい。それにコロニーのことしか知りませんので、他の惑星がどうなっているのかとても興味があります」

ついに、惑星探索へと出発する日が来た。

「いよいよだな、シオン」
「はい。父さんも、お元気で」

(つづく)



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それっぽいフィクション(SF)のショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。

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