深夜二時_03🌏【バッケン】【シロクマ文芸部】
深夜二時を回っていた。
大学の寮に入って、シオンがまずはじめにしたことは寮生全員に挨拶することだった。上級生の部屋から順番に挨拶をしていく。寮生は100人近くいるのでとても大変だ。なんとか全員の挨拶を終えて部屋に戻り、時計を見たら深夜二時を過ぎていた。寝間着に着替えずそのままベッドに倒れ込んだところでドアをノックされた。
「入ってもいい?」
「…はい、どうぞ」
「では、失礼っ。どうもっ。隣の部屋のユースケです」
「…ああ、さっき、挨拶した」
「実はさ、俺も今日、入寮したんだ」
「そうなんだ。同じ1年生なんだね」
「お互いお隣さん同士、よろしくっ!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
シオンとユースケが親友になるのに、さほど時間はかからなかった。学科が同じであり、選択科目もほぼ同じだったので大学内では共に行動する時間が多かったからだ。それに、お互いの波長もあっていたのだろう。
「シオンはどこかの部活とか、サークルに入る予定あんの?」
「決めてないけど、体育会系以外だったら、どこかには入りたいな」
「だったらさ、バッケンに入らない?」
「バッケン?」
『バッケン』とは化学研究部(バケガクケンキュウブ)の通称だった。大学公認の部活動であり、好きな実験を行うことができる。とくに将来、学校の先生を志望している学生には人気があった。教育実習での理科の実験のネタとして活用されている。
「俺さ、教員志望なんだ」
「そうなんだ。教員は目指してないけど、バッケンは面白そうだな」
「なっ、一緒に入ろうぜ」
「とりあえず、様子を見てからかな」
翌日、バッケンが活動している基礎化学実験室へ向かった。
それっぽいフィクション(SF)のショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
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