青い雨_01🌏【バッケン】【シロクマ文芸部】
青い雨の日に、ひとりぼっちになった。
その日、幼稚園児だったシオンは家族と一緒にドライブに出かけていた。シオンは母親と一緒に後部座席に座っていた。ほんとうは助手席に座りたかったのだが、その日は兄が座る番だった。
窓の外を見ると雨が降り出していた。青空が広がっているのに雨が降るなんて不思議だな、と思っていたところまでは覚えている。それから先の記憶はない。
目が覚めると、見覚えのない白い天井が目に入った。薬品の臭いがした。看護師が近づいてきて、ここは病院なんだと思った。交通事故で生き残ったのはシオンだけだった。
以来、シオンは児童養護施設で育ってきた。周りに同じような境遇の子どもたちがいることで、お互いが気を使いながらもひとりで苦しむことなく成長することができた。
「とにかく自分の力で生きていくしかない」、と中学生になった頃からそう思い始めたシオンは必死に勉強をした。そして、サイエンス大学の特待生選抜試験に合格して、返済不要の奨学金を受け取ることができた。
高校を卒業すると児童養護施設を出て行かなくてはならないので、大学進学にあわせて寮に入ることになった。寮費も一部免除されるため、バイトして生活が成り立つ見込みだ。
13年間お世話になった児童養護施設とも今日でサヨナラだ。色々なことがあったが、施設のみんなは家族同然だと思っているし、職員の方々には感謝しかない。大学を卒業して、大手企業に就職して、今度は自分が社会に貢献する番だ、とシオンは心に誓っていた。
児童養護施設から外に出ると暖かい春の風が肌を撫でた。見上げると桜が舞い散る向こう側に雲一つない青空が広がっていた。
シオンは眩い光に包まれていた。
それっぽいフィクション(SF)のショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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