夜明け前の展望台
― 朝を集めるヤマネ シリーズ④ ―
まだ空が暗い朝でした。
町の灯りも、 星の光も残っています。
ヤマネは小さなリュックを背負い、 展望台へ向かうことにしました。
今日は、 夜明けを見てみたかったのです。

静かな山道を歩きます。
聞こえるのは、 自分の足音と風の音だけ。
空はまだ夜の色でした。
それでも、 少しずつ朝は近づいています。

展望台まで、 あと少し。
ヤマネは一段ずつ登りました。
急がなくても大丈夫。
朝は逃げていきません。

ようやく展望台へ着きました。
けれど、 空はまだ暗いままです。
遠くの町の灯りだけが、 小さく光っていました。

ヤマネはベンチに座ります。
手帳を開くこともせず、
ただ静かに空を見上げました。
待つ時間は、 少しだけ長く感じます。
でも不思議と、 嫌な気持ちにはなりませんでした。

しばらくすると、
空の端が少しだけ明るくなりました。
青でもなく。
オレンジでもなく。
言葉にできない色でした。
ヤマネは思わず見入ります。

やがて、
山の向こうから朝日が顔を出しました。
暗かった景色が、
少しずつ光に包まれていきます。
町も。
木々も。
川も。
みんな同じ朝を迎えていました。

ヤマネは手帳を開きました。
そして今日見つけたことを書きます。
「待つ時間にも、
きっと意味がある。」
書き終えると、
少しだけ笑顔になりました。

帰るころには、
すっかり朝になっていました。
鳥たちの声が聞こえます。
新しい一日が始まります。
家へ帰ったヤマネは、
手帳をそっと閉じました。
待つ時間にも、
きっと意味がある。
夜明けは、
急がなくてもやってくる。
そう思いながら、
ヤマネは朝の光を見つめていました。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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【朝を集めるヤマネシリーズ】
①【朝を集めるヤマネ】
②【雨の日の喫茶店】
③【山の向こうの小さな駅】
【「朝を集めるヤマネ」を作るきっかけになった話】
【「朝を集めるヤマネ」を曲にしてみました】
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