雨の日の喫茶店
― 朝を集めるヤマネ シリーズ② ―
朝から雨が降っていました。
窓を打つ雨音を聞きながら、 ヤマネは今日は家で過ごそうと思いました。
こんな日は、 家でゆっくり過ごすのも悪くありません。
けれど、 雨の音を聞いているうちに、 少しだけ外へ出たくなりました。

小さなリュックを背負い、 ヤマネは傘をさして歩きます。
石畳は雨に濡れて、 いつもより静かでした。
通りを行く人も少なく、 聞こえるのは雨音だけ。
それでも不思議と、 寂しい気持ちにはなりませんでした。
雨が町をやさしく包んでいるようでした。

石畳を歩いていると、 小さな喫茶店を見つけました。
窓から暖かな灯りが漏れています。
ドアを開けると、 小さなベルが鳴りました。
カラン、コロン。
それだけで、 なんだかほっとします。

窓の外には雨。
店の中にはコーヒーの香り。
誰も急いでいません。
静かな時間だけが、 ゆっくり流れていました。
ヤマネは温かい飲み物を飲みながら、 雨の音に耳を傾けます。
外では降り続く雨。
中ではやさしい灯り。
どちらも心地よく感じました。

ヤマネは手帳を開きました。
そして、 今日見つけたことを書きます。
「雨の日は、
静かな時間を見つけられる。」
書き終えると、 少しだけ笑顔になりました。

窓ガラスを伝う雨粒を、 ぼんやり眺めます。
急がなくてもいい。
何かを頑張らなくてもいい。
そんな時間も、 ときには必要なのかもしれません。

帰るころには、 雨はまだ降っていました。
けれど、 喫茶店へ入る前とは少し違います。
足取りは軽く、 心は温かくなっていました。

家へ帰ったヤマネは、
手帳をそっと閉じました。
雨の日は、
静かな時間を見つけられる。
雨音も、
灯りの温かさも、
その時間の中にありました。
そう思いながら、
ヤマネはもう一度、
雨音に耳を傾けました。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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【朝を集めるヤマネシリーズ】
①【朝を集めるヤマネ】
③【山の向こうの小さな駅】
④夜明け前の展望台
【「朝を集めるヤマネ」を作るきっかけになった話】
【「朝を集めるヤマネ」を曲にしてみました】
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