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【私的】2025年ベスト映画:今年1年を振り返る

2025年も残りあとわず1時間を切りました。
今年一年を振り返り、年間で鑑賞した148本の映画の中から、個人的な年間映画ベスト10を選びたいと思います。

例年以上に今年は、「映画とは何か」「映画館とは、いま何をする場所なのか」を強く考えさせられる一年でした。

コロナ禍を経て、かつて映画興行の王道とされてきたいわゆる「洋画ジャンル」は、明らかに訴求力を弱めつつあります。その一方で、『鬼滅の刃』や『チェンソーマン』に代表されるような、TVアニメと連動した作品の劇場展開は、かつてないほどの存在感を放つようになりました。新作公開のタイミングで映画館のショップを覗くと、「もはやアニメイトでは?」と思わされる光景に出くわすことも珍しくありません。

もはや「浅く広く、全国民が知っている作品」がヒットする時代ではなくなりました。本来であれば「深く狭く、マニアックなファンに刺さるはずだった作品」が、熱狂的な支持を土台にロングランヒットしていく。そうした消費のされ方が、今年ははっきりと可視化された一年だったと感じます。

これは、映画が単なる「鑑賞物」から、「イベントに参加する体験」へと、その性格を変えてしまったことの表れでもあるでしょう。

その象徴とも言えるのが、映画館の“イベントスペース化”の加速です。応援上映、特典配布、舞台挨拶の中継、体験型展示との連動など、「映画を観る」という行為そのものが、最初からイベントとして設計されるケースが増えてきました。興行的には必然の流れですが、その一方で、新たな歪みも生まれています。

ネット上で話題にならなかった映画や、公開前にネガティブな空気をまとってしまった作品が、「爆死」「どうしてこうなった」と過剰に消費され、バッシングそのものが“祭り化”してしまう現象です。

『果てしなきスカーレット』が公開後、YouTubeやXを中心に酷評合戦の的となったことも、記憶に新しいところでしょう。作品の中身以上に、初動の空気感やプロモーションの成否が評価を左右する環境に入り、映画の「届け方」そのものが、これまで以上に厳しく問われる時代になったと感じます。

一方で、中国映画・アニメーションの存在感が飛躍的に高まった一年でもありました。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』『シャドウズ・エッジ』は、その象徴的な作品です。

エキゾチックな世界観、カンフーを基盤とした肉体性の高いアクション、そして一周回って新鮮に映る王道の物語構造。それらを、CG多用の効率主義とは逆方向の、アナログで人海戦術的な作り込みによって成立させている点は、強烈な印象を残しました。これらの作品はもはや“アジアの一ジャンル”にとどまらず、世界的な映画文化の中で独自の表現を確立しつつあることを、はっきりと示していたように思います。

対照的に、マーベル映画は明確なトーンダウンを迎えた一年でもありました。かつては「とりあえず押さえておく映画」の代表格だった存在が、2025年にはその位置から外れつつある。そんな印象を抱かせる年だったと言えるでしょう。

フェーズ4以降、一本一本の完成度が決して低いわけではありません。しかし、シリーズ全体としての迷いが透けて見える。ヒーロー映画というジャンル自体が失効したわけではなく、ウクライナやガザの紛争をめぐる現実の政治状況の中で、「善」と「悪」をどう再定義するのかという問いが、これまで以上に厳しく突きつけられているのだと思います。そうした状況の中で、DC映画『スーパーマン』が示した誠実な姿勢は、ひとつの重要な回答だったと感じました。

さらに、アフターコロナを正面から振り返る映画が現れ始めたことも、今年を特徴づける動きでした。『エディントンへようこそ』『フロントライン』といった作品は、コロナ禍という、まだ整理しきれていない記憶を、物語として引き受けようとしています。社会がようやく次の段階へ進み始めた兆しを、映画の側も捉え始めた一年だったのでしょう。

そして、こうした社会的な変化と並んで、私個人にとって強く印象に残ったのが、10歳になった娘との映画体験でした。

これまでは親に連れられるまま子ども向け作品を観ていた彼女も、今年に入ってからは好みや価値観がはっきりし、作品の良し悪しや物語の理解度が、目に見えて深まってきたように感じます。映画を観終えたあと、自然と二人で感想を語り合い、「あの場面はどう思った?」と意見を交わす時間が生まれました。

今年の後半には、親子で同じ作品にハマり、同じテーマやキャラクターについて語り合える体験もありました。それは単に「一緒に映画を観た」という以上に、映画を通して同じ世界を共有できた時間だったと思います。

以下に挙げる2025年の個人的ベスト10は、こうした映画界全体の変化と、観客として、そして父として体験した時間の積み重ねの中から選び取ったランキングです。


第10位:ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦!光と闇のアーク

ウルトラマンシリーズは毎年、娘と一緒に映画館へ足を運んでいましたが、正直なところ『タイガ』以降は、娘の反応も次第に薄くなり、「ウルトラマンも、そろそろ卒業かな……」と感じていました。しかし『ウルトラマンアーク』は、久しぶりに親子そろってのヒット作でした。

主人公ユウマとシュウさんの心地よいバディ感、SKIPメンバーの爽やかなチーム像。そこに重ねられるのが、「想像力」を軸にした物語です。本作は「光」と「闇」を単純な二項対立として処理せず、どちらにも迷いや揺らぎがあるものとして描きます。そして、「正しさを選び続けることの難しさ」を、子どもにも伝わる形で、丁寧に積み重ねていく。その姿勢に、私は強く心を打たれました。『ウルトラマンアーク』は、親子で同じ感動を共有できる、そして2025年という時代にこそふさわしいヒーロー映画だったと、素直に思います。


第9位:エディントンへようこそ

コロナ禍の不安、被害意識、分断が、スマホとSNSによって増幅されていく過程を、不快なほど”ありのまま”に描いた作品です。情報が拡散速度で価値を持ち、私的な鬱屈が政治や暴力へと変換されていく——その構造を、寓話でも比喩でもなく、悪夢のようなリアリティで突きつけてきます。登場人物たちは愚かで、薄っぺらく見えるかもしれません。しかしそれは、私たち自身の姿でもある。SNS社会を「批評」するのではなく、「鏡」として差し出した点で、今年もっとも記録的価値の高い一本でした。


第8位:終わりの鳥

一見すると寓話的なダークファンタジーですが、その核にあるのは極めて正統な「喪失の物語」です。本作が踏み込んだのは、親が子を失うという、時間の順序が逆転した最も過酷な喪失でした。その重すぎるテーマを、しゃべり、歌う鳥という存在に託し、ユーモアを交えながら観客に手渡す構成が見事です。死を説明するのではなく、死と対話するための距離を与えてくれる。救いを安売りせず、それでも生き延びる選択を静かに肯定する、誠実で忘れがたい作品でした。


第7位:近畿地方のある場所について

今年はJホラー映画が豊作の年でした。「8番出口」「見える子ちゃん」「ドールハウス」などヒット映画が連発しました。その中にあって個人的に最も怖く、刺さった映画がこの作品。昭和・平成・令和という時代を横断し、「恐怖を伝えるメディアの変遷」そのものを構造に組み込んだ意欲作です。SNS動画、ニコニコ動画、昭和のテレビ番組など、異なる質感の映像を切り替えながらテンポよく恐怖を積み重ね、やがて一本の線でつなげていく構成が秀逸でした。古い映像が持つ“失われた視線の気配”と、現代のデジタル空間が怪異の棲み処になる感覚の対比も鮮烈。エンタメ性を保ちながら、日本ホラーの更新に挑んだ一本と感じました。


第6位:大長編 タローマン 万博大爆発

一見、パロディに見えて、実は驚くほど真剣な映画でした。CG全盛の時代に、アナログ特撮への偏愛と手仕事の幸福感を、これほど堂々と提示したこと自体が痛快です。岡本太郎的な「爆発」と、成田亨的な「秩序」のあいだで揺れる存在としてのタローマンは、単なる懐古ではなく、現代的に再構築された昭和像として立ち上がります。安全に整えられた“今に届く昭和”でありながら、人間の野蛮さや混沌を問い直す。その思想的な芯の強さが印象に残ります。見ているだけで幸せになれる、観るドラッグでした。


第5位:トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

九龍城砦という伝説的空間の密度を、身体感覚として叩きつけてくる作品です。汗、埃、人の熱が画面越しに伝わり、久々に「映画館で観る必然性」を強く感じました。物語は極めて王道ですが、それをCG効率主義とは逆の、アナログで人海戦術的な作り込みと、畳みかけるアクションの合わせ技で成立させている点が懐かしく、新鮮です。世界観やアクションの迫力だけでなく、映画というメディアの原初的な快楽を思い出させてくれる中国映画の復権を強く感じさせる一本でした。


第4位:スーパーマン

ヒーロー映画が迷走する中で、「それでも善性を信じる」という最も困難な選択を真正面から描いた作品です。力を持つことよりも、それをどう使うか、どう抑制するかに重心が置かれており、その姿勢が誠実でした。現実世界の紛争や分断を背景に、「善と悪をどう再定義するのか」という問いに、安易な更新や皮肉で逃げなかった点を評価したい。見た目の派手さよりも倫理の重さ『命が奪われているんだ!』で勝負した、2025年を象徴するヒーロー映画です。


第3位:サブスタンス

身体、欲望、老い、自己嫌悪を、異常に"圧"の籠った映像表現で叩きつけてくる一本です。観ていて心地よい映画ではありません。しかし、残酷さの向こう側で、不思議な優しさと肯定が立ち上がる。そのバランスが稀有でした。道徳的な教訓や救済を拒みながらも、「それでも生き切ること」への肯定が残る。異常な映像体験と、静かな余韻が両立した、今年屈指の挑戦的な作品だったと思います。


第2位:We Live in Time この時を生きて

夢と家族、自己実現と責任を、綺麗事にせず描いた愛の物語です。余命を知りながら夢に挑む側だけでなく、支える側、残される側の視点が丁寧に描かれている点が印象的でした。特に父親としての役割を引き受けていく姿は、これまでの「父権主義的父親像」とは異なるリアリティを持っています。日常の中で静かに続いていく時間の尊さを描き、観る者自身の人生選択をそっと問い返してくる、心に沁みる作品でした。


第1位:羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来

今年もっとも心を動かされた一本です。女性や子どもへのまなざしが驚くほど清廉で、暴力を肯定しない理性が作品全体を貫いています。力を持つ者が、他者を支配しない選択をすること。その倫理の大切さが、説教臭くなく物語と演出によって自然に伝わってくる点が素晴らしい。親子で同じ作品を観て、同じテーマについて語り合えた体験も含めて、この映画は「映画が人と人をつなぐ」力を実感させてくれました。2025年の第1位にふさわしい傑作です。まだ上映中の本作、お正月にまた観に行きたい!


以下にベスト10に入れるかどうか迷いに迷った作品をあげておきます、明日もう一度考えたら、ランキングが入れ替わっているかもしれません。

次点
Flow:動物たちのポストアポカリプスアニメ、ユニーク!
ゴーストキラー:高石あかりさんの憑依アクションが秀逸
異端者の家:ヒュー・グラントのンスプレイニングぶりが最低で最高
ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス:アイドルアニメの傑作!
ハウス・オブ・ダイナマイト:今年最も手に汗握る映画
HOW TO BLOW UP:今観るべき若者世代の叫び
罪びとたち:ダンスシーンの高揚感は今年№1
ボディビルダー:脱「無敵の人映画」への転換
シャドウズ・エッジ:中国映画の台頭を象徴する1作

映画館も、映画の届き方も変わり続けています。それでも、一本の映画と対話する瞬間は、私の人生を豊かにしてくれます。

来年も、素敵な映画との出会いを!




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