50代共働きの「#あなたを作った小説家を教えて」少女のころの私を作った本ー 子ども・仕事・夫婦、それぞれの距離が少しずつ変わるとき
SNSでバズった #あなたを作った小説家を教えて
というタグを読んでいて、
少女のころ、私を作った本
もし今、誰かに「あなたを作った本って何?」
と聞かれたら、
なんて答えるだろう? って思った。
出していって
少女時代に読んだ本は、
私が自分で選んだようでいて、
実は母が作っていた世界だったのかもしれない。
青い鳥文庫を最初に買ってくれたのも母。
中学生になるとき、詩の本を渡してくれたのも母。
そのときはただ
「本をもらった」
ぐらいの感覚だった。
でも今思うと、
私は母が差し出してくれた本の世界を
そのまま吸い込んでいた。
そしてその本たちは、
知らないうちに
「どう生きたいか」
を静かに決めていた気がする。
就職する前の少女のころ、
私を作った本を思い出したので書いてみようと思った。
小学生のころ
モンゴメリィ
村岡花子訳の全巻を
母がお友達に譲ってもらって
段ボールに入れて
「あなたが好きそうなのくださった方がいるわ」
とニコニコ持ってきてくれた。
少女版のものはだいぶ前に読んでいたから、
そんなにいうほどのものだっけ?
と思いながら手に取った。
少女版とはまったく違って
寝る間も惜しい。
読んで最初に思ったのは、
「心は誰にも支配されない」ということだった。
大人に叱られても
学校で失敗しても
悲しいことがあっても
アンは想像力とユーモアで
世界を塗り替えてしまう。
「ユーモアは人生の饗宴においての最も風味に富んだ調味料である。
自分の失敗を笑い、そしてそこより学べ。
自分の苦労を笑い草にしつつ、それから勇気をかきあつめよ。
困難を笑い飛ばしながら、それに打ち勝て」
子どもながらに思った。
大人になっても傷ついてもいい。
でもユーモアがあれば生きていける。
これは今でも
私の中に残っている。
槻野けい
『生きていくこと』
青い鳥文庫で
母が最初に買ってくれた本。
脳性まひの弟を持つ姉の物語だった。
弟を「かわいそうな存在」としてではなく
家族として受け入れ、
一緒に生きていく姉。
子どもながらに
胸に残ったのは
家族は守るものというより
一緒に生きるもの
という感覚だった。
私はそのとき思った。
もし弟や妹が困ったら
私はこの姉のように
生きていきたい。
ジュール・ヴェルヌ
『二年間の休暇』
少年たちだけで
無人島を生き抜く物語。
この本から知ったのは
人間は知恵を組み合わせれば
生き抜くことができる
ということだった。
大人がいなくても
世界は終わらない。
仲間がいて
知恵があれば
なんとかなる。
子どものころの私は
それをとても勇気のあることだと思った。
中学生のころ
ジェーン・オースティン
『高慢と偏見』
中学生でこの本を読んだのは
少し早かったかもしれない。
でもこの物語は
私に一つの価値観をくれた。
結婚は誰かの期待で決めるものではない。
お金のためでも
世間体のためでもない。
どんな世界の人でもいい。
でも
「この人と結婚しよう」と
自分で思った人と結婚したい。
そんなふうに思った。
高田敏子
中学生になるとき
母が買ってくれた本。
それまで詩といえば
谷川俊太郎ぐらいしか読んだことがなかった。
でもこの本は
読んでいて涙が出た。
そのとき初めて思った。
言葉には魂が宿る。
文章を書くということは
ただの記録ではなく
自分の心に自分で触れることなのだと
感じた。
大学時代
大学に入ると
世界は一気に広がった。
茨木のり子
まっすぐで、
ごまかしのない言葉。
社会に対しても
自分に対しても
嘘をつかない言葉。
こんなふうに言葉を持つ大人になりたい。
そう思った。
田口ランディ
「コンセント」
世界の見方が
ぐっと自由になった。
正しい答えより
「感じること」を大事にする文章。
世界には
いろいろな見方があるのだと
知った。
宮本輝
「錦繍」
人の弱さと
それでも生きていく力。
大人の世界の
複雑さと温かさを
初めて感じた。
ウィリアム・スタイロン
『ソフィーの選択』
大学の授業で
英語を少しずつ読みながら読んだ。
人生には
言葉では簡単に説明できない
重さがある。
この本を読んだとき
私は思った。
もっと世界を知りたい。
アメリカに行きたい。
妹尾河童
この本は衝撃だった。
世界を
こんなふうに観察できる人がいる。
ただ見るのではなく
細かく、丁寧に、
世界を描く。
私は思った。
こうやって世界を見る人になりたい。
批判的でない、社会問題意識からでない、
世界を全身で楽しむルポルタージュが好きだと思った。
司馬遼太郎
『アメリカ素描』
これも同じだった。
旅行記なのに
社会が見える。
文化が見える。
歴史が見える。
私は思った。
こうやって世界を見る人になりたい。
50代になって思うこと
振り返ると
本は
「何をするか」よりも
「どう生きるか」を
教えてくれていた気がする。
自由でいること。
ユーモアを持つこと。
自分で選ぶこと。
言葉を大切にすること。
世界を観察すること。
そういうものが
少しずつ重なって
今の私を作っている。
そして今、
娘たちが同じ年頃になった。
ふと考える。
娘たちを作る本は
何だろう。
私が差し出す本なのか。
彼女たちが自分で見つける本なのか。
それはまだわからない。
本は、
すぐに人生を変えるわけじゃない。
けれど
十年後、二十年後、
「私はこう生きたい」と思う
その静かな根っこを作っている。
もしかすると今、
娘たちが読んでいる一冊が
まだ見えない未来の
彼女たちを
少しだけ作っているのかもしれない。
もしよかったら、教えてください。
あなたを作った本は、何ですか。
小学生のころでも、
中学生のころでも、
大学生のころでも。
きっとその本は、
今のあなたのどこかを
作っている気がするのです。
最近、私は自分なりの
旅のルポみたいなものを
書いたりYoutubeを
作ってみたりしている。
そんなに見てもらえては
いないけれど、
作っているととても楽しい!
このテーマのnoteを書いてみようと
実際にやってみたら
こういうところに
根っこがあったかもしれないな
という気づきもあった。
忘れていたけれど、
母への感謝も。
50代共働きのお仕事日記
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