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伊豆マリオットホテル修善寺の白いオムレツ/旅先で見えた、身近な違和感

伊豆マリオットホテル修善寺の白いオムレツ

ホテルの朝食ブッフェは、ホテルの顔だ。


どんな客層を想定しているのか。
どんな価値観を大切にしているのか。
そして、このホテルは「誰にとって居心地のいい場所」なのか。

朝食会場に立つと、それが不思議なほどはっきり見えてくる。

年末の12月31日から1月1日に2泊3日ででかけた伊豆の山あいにある 伊豆マリオットホテル修善寺 の朝食ブッフェも、まさにそうだった。

朝のブッフェで、最初に気づいたこと

席に着くと、スタッフがやってきて卵料理の希望を聞いてくれる。
目玉焼き、スクランブル、全卵オムレツ、ローカルオムレツ──
その並びの中に、さらっと混じっていたのが、
「白身オムレツ(ホワイトオムレツ)」。

卵白だけで作る、真っ白なオムレツ。
日本のホテルでは、まだあまり見かけない選択肢だ。

海外のホテルでは珍しくない白いオムレツが、
特別感なく、
健康志向のメニューとして誇示されるでもなく、
当たり前の選択肢のひとつとして置かれていた。

白いオムレツという「前提」

白身オムレツは、見た目どおりとてもシンプルだ。
卵黄を使わず、卵白だけ。
だからカロリーは低く、コレステロールもほぼ含まれない。


全卵2個のオムレツが約160kcal前後。

一方、卵白だけなら約50kcal程度。
たんぱく質量はほとんど変わらない。

数字でみると、合理的な朝食メニューだとわかる。

「選べること」が前提になっている違和感

卵料理は1人1品のオーダー制メニューのひとつで具材も選べる。
チーズ、ほうれん草、マッシュルーム、野菜。
焼き加減も好みに合わせてくれる。

卵料理自体が、
「朝は軽めにしたい人」
「たんぱく質を重視したい人」
「脂質を控えたい人」
そういう人たちが一定数いることを前提に設計されている。

日本の多くのホテル朝食では、
「バランスよく食べましょう」
「いつもより特別感があるものがありますよ」
が売りになって人気を集めることが多い気がする。

でもここでは、
“どう食べたいかは人それぞれ”
という前提が大事にされいてい、最初から組み込まれている。

それが、私には少し新鮮で、
少しだけ、日本では珍しい感覚に思えた。

海外の人が泊まりやすい、ということ

マリオット系列のホテルは、海外では
「安心して泊まれる」「期待を裏切らない」
という評価が定着していると思う。

それは豪華なホテルだからではなくて、
泊まる人が自分の生活リズムを、そのまま持ち込めるという面も大きい気がした。

朝は軽く、たんぱく質中心。
乳製品の選択肢が明確。
食事制限があっても、気まずくならない。

伊豆マリオット修善寺の朝食ブッフェは、
日本にありながら、その感覚をちゃんと引き継いでいる。

だから、海外からの宿泊者にとっても、
「説明しなくていい」「遠慮しなくていい」朝になる。

白いオムレツは、その象徴のようにインバウンド観光客の安心感をひきだす存在のようにも見えた。

日本人の私が感じた、身近な違和感

一方で、日本で暮らす私には、
この「当たり前」が少しだけ浮いて見えた。

白いオムレツを注文するほど健康に配慮することは、
まだどこか「意識高い」行為に見られやすい。

朝食を軽くしたい、脂質を控えたい、
そう言うと、説明が必要になる場面も多い。

でもここでは、何も説明しなくていい。
ただ「白身オムレツで」と言えばいい。

その気楽さに、
日本の食卓が、まだ抱えている窮屈さを
逆に意識させられた。

ためしにスタッフの人に「この白いオムレツは、どのぐらいの割合の方が注文されるのですか?」と聞いてみた。

スタッフの方は「あくまでわたしの感覚だけですけど、今日は3割ぐらい注文された印象を持ちました」とのこと。

この日の宿泊客は、年末年始ということもあってほとんどが日本人だったけれど、それでも1割ではなく3割のイメージ。

日本人も、わたしの感覚よりも多様性があるのだということを感じた。

白いオムレツが教えてくれたこと

白いオムレツは、
ある人にとってはダイエットのためのいつものメニューで、
健康アピールのための記号でもなかった。

「人によって、朝の正解は違う」
という前提が、静かに置かれていただけだ。

旅先だからこそ、
その前提が、はっきり見えた。

遠くに来たつもりで、
実はとても身近な違和感を拾っていた。

旅の記憶は、味よりも考えごとで残る

伊豆マリオットホテル修善寺の白いオムレツは、
ふんわりとして、確かにおいしかった。

でも、それ以上に印象に残ったのは、
「選べることが、当たり前になっている朝」だった。

ホテルの朝食ブッフェは、ホテルの顔だ。
そして同時に、その社会が誰に優しいかを映す鏡でもある。

白いオムレツを前にして、
私は少しだけ、日本の日常を考えていた。

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