闇 348(横浜インカジ地獄変後編)
闇 348(横浜インカジ地獄変後編)
2025年09月20日(土) 15時10分01秒
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2025/09/20 sta
前回の章

オーナーである谷口へ言いたい事は、ほとんど暴露できた。
インターコンチデートのあと、何故か百合からの返事は無いまま。
彼女の性格を考えるとお礼の一つもあるはずなのに、そんな対応なのが気になる。
しかし今は谷田部追放に全精力を注ぎ込みたい。
もう賽は投げてしまった。
あとは谷口の判断に委ねるだけ。
やるだけはやった。
あとは天のみぞ知るというやつか……。
百合の顔が見たかったが、彼女へ甘えてはいけない。
勝てば官軍。
俺は勝って自身の立ち位置を確立して、余裕持った状態で百合を迎えに行けばいいだけ。
今、焦ると過去の傾向から碌な目に遭わないだろう。
万馬券を買って祈るように待つ心境。
競馬と違うのは今回に限り、すべての情報があって勝ち馬馬券を買ったという点に尽きる。
今日これからの出勤が待ち遠しい。
世の中の出来事にしてみたら、誰も興味がないどうでもいい事だ。
しかし俺にしてみれば正に土壇場である。
小鳥の鳴き声が聞こえた。
そうだよな。
君たちは、俺の生活がどんなにレベルアップしたところで何一つ変わらない。
ごめんな、こんな男に飼われてしまって……。
でも最後まで俺はずっと面倒見るからな。
どんなに貧乏になったって餌代くらいは何とかする。
おまえたちに対する覚悟はそうなんだ。
お陰で大家族になったろ?
たかが鳥の餌代程度で俺も偉そうに……。
でもこれが今の俺の立ち位置だ。
そこだけは見誤るな。
百合の顔が…、だから今はそれをやめろって!
甘えるなよ。
勝って迎えに行けよ。
全部今あるものを突っ込んだのだろう?
あとは結果だけを待てよ。
女々しく生きるな。
谷口にすべてを話し、あとは判断に委ねるだけだ。
ん?
何かループしていないか?
馬鹿だと自覚しているんだろ?
なら、もうあとは考えるなよ。
物事はなるようにしかならない。
やるだけはやったのだ。
あとは、天に流れを任せればいいだけ。
百合禁断症状が出てくる。
ホテルまであと一歩だった。
何故あれだけ彼女の唇を奪いながら俺は、百合の胸を揉まなかったのだ?
だいたい平田の野郎が悪い。
何が驕りでスピルタスなんだよ?
絶対おかしいだろ。
グレンリベットだけなら、あの流れで絶対にホテルへ行けた。
俺が並べとからかった意趣返しにしては、随分酷い事をしてくれたものだ。
最初のフォローは完璧だった。
野球で言うならノーヒットノーランぐらいの価値はある。
それは確かに認める。
しかしあのスピルタスは何なんだよ?
あれで図に乗った俺は記憶を失った。
確かに俺が一番悪い。
でも二番目は並べの平田である。
何なの、この変な納得できない流れは?
どちらにしても今日は俺が権力を握る日。
横浜へ再生しに戻っただけではない。
多額の金を稼ぎ、また人生を謳歌する。
初期横浜時代はマシだったが、新宿へ戻りあれが本当に最悪だった。
新宿のヤクザは横浜のヤクザと違う。
一言で表現すれば屑ばかりだ。
まだ横浜のヤクザは扱いようがあった。
新宿のヤクザはクソの集団だ。
だいたい何なんだ、あのクソ秋田は?
散々ヤクザの皮を被って素人の俺を恫喝し、殴ったらビビッてただのドラえもんのスネ夫じゃねえか。
法律とか何も関係ない無秩序の世界なら、あんな乞食野郎瞬殺でこの世から消している。
あー、百合に会いたい。
彼女の声を聞きたい。
フェイスブックのメッセンジャーで百合とのやり取りを眺める。

インターコンチから三陽、そして平田のキミノヤ……。
途中までは完璧だった。
平田の野郎がスピルタスなんて飲ませるから、あれでおかしくなったんだよ!
阪東橋のバス停前……。
あれ?
俺、夢で見たようなところ……。
中華一番やワンさんのセカンドの先……。
え…、あれ、夢じゃなく現実に俺が「ほー、プッシュプッシュ」とかやったの……?
ヤバくね?
だから百合が連絡を何一つくれなくなったのか?
ふざけんな、平田とスピルタスの馬鹿!
何がレスラーは壊れちゃいけないだよ。
思い切り俺、壊れているじゃん……。
三十歳の時デートした品川春美。

彼女の時と似たような過ちを俺は十四年経って、また繰り返したのか?
よりによって一番大事なところで……。
もう日が明けて九日。
百合に電話しちゃおうか……。
しでかしてしまった事はもう取り返しはつかない。
でも、せめて潔く謝ろう。
「岩上です。夜分遅くに大変申し訳ございません」
「いえ……」
彼女の声質はやはり暗い。
「百合さん! 昨日は本当にごめんなさい! 俺が調子に乗ってスピルタス飲んで、記憶無くしてしまって…。本当に申し訳ない!」
「大丈夫ですよ。そんな謝らないで下さい」
「本当に俺…、最後が記憶あやふやで…、百合さんに対して大変申し訳ない思いをさせてしまったようで……」
「岩上さん、もういいですって。オーナーさんとはお話できたのですか?」
許してくれたかは分からないが、普通に彼女と会話できるところまでは持ってこれたようだ。
俺は昨日の谷口との内容を話した。
インカジという部分だけは伏せ、会員専用のバーという嘘をつきながら。
「岩上さんは何も間違っていないんですよ。正々堂々としていていいと思います」
「百合さん、ありがとう。親父さん、餃子喜んでくれましたか?」
「あ、ごめんなさい。本当に喜んでいましたよ。また岩上さんのメニューも絶賛し出すほどで」
「それならもっといいやつ作りますよ、俺。あんなデザインが俺のセンスだと思われるのも嫌なので」
「え、悪いからいいですよ」
「片手間でできる事です。例えば話しながらスピーカーにして、その状態ですぐできる事なんです」
「百合はパソコン詳しくないので、よく分かりませんが……」
俺はフォトショップを立ち上げ、ハンバーグ定食の画像を放り込む。
簡易的にすぐ作ってしまおう。

次にしょうが焼きもやっちゃうか。
「岩上さん、寝なくていいんですか?」
「あ、俺は仕事時間が必然的に夜からなんですよ。だから百合さんとデートした七日は、朝まで仕事してそれから寝て麦草行ってデートだったんです。つまりもう今日になりますが、九日の夜十時からの出勤になるんです」
「えー、そんな遅い時間から…、大変ですねー」
よし、しょうが焼き定食も完成。

「百合さん、一旦電話切ります。フェイスブックのメッセンジャーに今話しながら作った画像送りますね」
「え? どういう事ですか?」
「だから簡易的に作りましたが、この程度ならこうやって電話しながらだって俺は作れますよって事です。じゃあ切るので、メッセンジャー確認お願いしますね」
電話を切り『こんな感じでどうでしょうか?』というメッセージと共に二つの画像を送る。

メッセンジャーを見て、ようやく百合も理解してくれたようだ。
『百合さん、今日仕事大変だったんじゃないですか? 遅くまで引っ張ってしまって反省してます』
最後にこの文章を送ると、そこで会話は途絶えた。
「……」
やはり彼女との間にできた壁のようなものは、簡単に崩れないようだ。
「ほー、プッシュプッシュ」はやはり本当に目の前でやってしまったのかよ?
じゃないと彼女のちょっとした拒絶感が説明つかない。
あー、最後の最後で本当に馬鹿な真似をしてしまった。
まあ、まだいい。
春美の時みたいに返事が無い訳ではないのだから。
少しずつ彼女に寄り添って、また信用を積み重ねていけばいい。
蜘蛛の糸のような細い繋がり。
それでもまだ辛うじて繋がっている。
さて、矢田部最後の日に備え、今はゆっくり睡眠を取ろう。
連休明けの二千十六年一月九日、矢田部最後の審判の日。
平田の働くキミノヤの前を通り過ぎる。
客と楽しそうに話をしている平田。
まったくあの馬鹿が……。
おまえのせいで百合の仲が台無しだよ。
しっかり仕事せいよ、この野郎。
ラ・イマージュビルまで来て、自転車を停める。
一本タバコを吸ってから行くか。
セブンスターに火をつけ、ゆっくり煙を吐き出す。

忌々しい矢田部と三匹の虫けら共め。
エレベータのボタンを押し、四階へ向かう。
インターホンを押すと、矢田部が怒った顔でドアを開ける。
店内には客が誰もいない。
いるのは早番の三匹の寄生虫と、馬鹿矢田部だけ。
俺が出勤したというのも誰一人挨拶してこない。
「おはようございます」
あえて俺から挨拶をした。
「……」
中口は視線を反らし黙ったまま。
この裏切り者が……。
ふん、みんな無視かよ。
キャッシャーに座る島田が俺を睨んでいる。
「何すか?」
「あんたねー! 名義通り越して上に直訴なんてあり得ん!」
「はあ?」
何偉そうに抜かしてんだ、このクソオヤジ?
中口と矢田部弟はホールで黙って立ったまま。
「仕事するんだから、どけよ」
睨み付けながら島田に言うと、矢田部が近付いてくる。
「岩上さん! 上にね、出鱈目チクるような人間に、キャッシャーなんて怖くてやらせられないから」

「あ? 何だと?」
俺に謝るどころか偉そうな態度の矢田部。
どこからその余裕が来ているのだ?
「今日は自分がキャッシャーをやります。岩上さんはホール仕事でもしてて下さい」
「……」
谷口は矢田部と何を話したんだ?
何故この馬鹿は、ここまで強気で店にいられる?
他の三人の態度も完全に矢田部側。
普通とっととクビだろ、こんな馬鹿など……。
「中口さんたち上がっていいですよ」
「は、はい……」
早番の人間たちが店を出て行く。
ん、ちょっと待てよ?
中口からもう五万円返させよう。
まだハッキリ覚えている。
そんなすべて自己都合で終わりにできると思うなよ?
二階の店に唯一の私物のノートパソコンを置きっ放しだたので、深夜取りに行く。
持ち物をまとめているとインターホンが鳴る。
見ると莉麻だった。
「店長、ずっとお店やってないけど、どうしちゃったの?」
俺は簡単に事情を話す。
秋田を殴った事だけは伏せて。
「はあ? おかしくない? だって飛んだのは新庄さんでしょ? 店長が何で金を払わなきゃいけないのよ?」
「もういいですよ。ここを辞めて、新宿を去るだけです」
「ごめんね、店長。うちの人が捕まっていなかったら、協力できたのに」
「気持ちだけで充分ですよ」
またインターホンが鳴る。
モニターを覗くと中口だった。
莉麻と話をしている最中なので、今は彼の相手をできない。
入口を開け断ろうとすると「すみません、自分の店で出されちゃって、ちょっと回銭足りなくて…。五万だけ貸してもらえません?」と言ってくる。
断るも必死な中口はしつこかった。
中で莉麻を待たせているので、仕方なく財布から五万円を取り出し渡す。
これで残りの俺の持ち金は八万。
まだ引っ越し代四万掛かるから、実質四万……。
何をやってんだかな俺は。
部屋から出ちゃいけなかったのだ。
俺があの忌々しい新宿のゲーム屋を出て行く最後の時だった。
ギリギリのところでも俺はコイツに金を貸して助けた。
揉める可能性だってあったのに、それでも頼られたから横浜にも連れてきた。
あれからだから何ヶ月経った?
「おい、中口」
「え、な、何すか?」
「新宿のゲーム屋の時強引に借りに来た五万…。今すぐ返せ」
「え、いや……」
「いやとかそういうのいいから! 早く返せ」
「……」
「無いなら親分の矢田部に頭下げて金作って来い」
「分かりました……」
入口のドアを開けたまま仁王立ちで待つ。
廊下には島田と矢田部弟が立って待っていたが、俺が睨みを利かせると逃げるようにエレベーターへ乗った。
「すみません、岩上さん…。五万です」
毟り取るように奪う。
「おまえなんぞ…、新宿から連れてくるんじゃなかったわ。とっとと失せろよ」
「……」
中口が出てからドアを閉める。
矢田部はキャッシャー室の椅子に座ったまま一言も話してこない。
静まり返った店内。
本当どうなってんだ?
薄気味悪い空気。
俺は一卓の席に座り、パソコンをいじって時間を潰そうとした。
「あ、岩上さん! 店の備品に勝手に手を触れないで下さい」
「あ、何だと?」
「それは客がゲームをする為のパソコンです。従業員が遊ぶ為に置いてあるものじゃないですから」
「……」
よくもまあこの屑からそんな正論を吐けるものだ。
大きく息を吐き出す。
いや、もう駄目だ……。
コイツ、殺しちゃうか……。
ゆっくり椅子から立ち上がる。
右の拳を握り、指の靭帯を鳴らす。
何故か俺は指を鳴らす事が何度でも簡単にできた。
そこから手を開き、手首のスナップを利かせて軽く振る。
さて、打撃かお望みか?
それとも打突を食らいたいのか?

関節を捻って破壊して、半身不随にしてやるか……。
瞬間、百合の悲しそうな顔が浮かぶ。
キレるなよ……。
落ち着け……。
か細い糸のようなものかもしれないが、彼女とまだ繋がっている。
自棄を起こすなよ。
冷静になれ。
こんな馬鹿を殺して、あとの人生棒に振るのか?
百合はもういいのか?
違うだろ!
それでも矢田部の顔を見ていると、全身の細胞が拒絶反応を起こす。
何を無理して平然とした面してやがる?
「随分と俺を舐めてくれたな……」
「舐めてないですよ。仕事をして下さい」
「どの口が抜かしてんだ、おい?」
「谷口君からの命令ですよ」
「はあ? 何だって?」
「岩上さんには、もう金をいじらせるような仕事をさせるなと言われてますから」
「…んだと……。このクソガキが……」
本当に谷口がそんな事を言ったのか?
言うはずがない。
俺は携帯電話を取り出し、谷口へ電話を掛けた。
「……」
十回、二十回、三十回…、何度コールしても谷口が電話に出る事はなかった。
この屑野郎…、谷口に何をどう取り繕った?
いや、たまたま接客中で気付かなかっただけかもしれない。
俺はタバコに火をつけ、一本吸い終わってからまた電話を掛けた。
「……」
明らかに俺の連絡を避けている。
俺はひょっとして、すべてに対して裏切られたのか?
視界を中心に景色がグルグル回転するような眩暈。
グーで頭を叩く。
しっかりしろよ……。
それでも少し気を抜くとグニャリと景色が歪む。
ニヤリと笑う矢田部。
何故こうなった?
何故金を抜いた矢田部がそのままで、俺一人が悪者になっている?
気持ち悪い空間の中へ放り込まれたような気がする。
インターホンが鳴った。
太客の高橋俊。
ドアを開け中へ招く。
「あれ? 今日暇じゃないすかー! 今日はね、絶対に勝ちますからね!」
彼の元気の良さに救われた気分になる。
「はは…、頑張って下さい」
「じゃあ、今日はこれで」
七十万の金を手渡してくる俊。
「七卓様、マイクロ七千ドルお願いします」
返事一つしない矢田部。
「七卓様、マイクロ七千ドルお願いします」
もう一度大きな声でコールする。
いつもと違う様子に俊が俺の顔を見てきた。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「い、いえ…、何でもないですよ。向こうから返事が聞こえなかったので、繰り返しコールしただけです」
無理やり作り笑顔で対応。
「でも岩上さん、いつもと顔色も違くないですか?」
「はは…、いや、そんな事は……」
「岩上さん! 早くお金をキャッシャーに持って来て下さい!」
矢田部が背後から大きな声を出す。
「……」
このクソ野郎…、大切な太客の前で……。
もういいや…、俊に伝えこんな店辞めよう……。
俺と矢田部の様子をしばらく眺めている俊。
「すみません、見苦しいところをお見せしてしまって……」
「どうしたんですか、岩上さん?」
「あ、急なんですけど、自分この店近々辞めますので……」
「え?」
俺はそれだけ言うと、キャッシャー室へ向かう。
「ガキじゃねえからよ…。人が入るまでか、もしくは一ヶ月以内…。店を辞めさせてもらう」
「あー、それなら今すぐ辞めていいすよ」
軽薄そうにおどけて口を開く矢田部。
壁を思い切りぶん殴った。
そこで初めて怯えの表情が見える。
「おい…、金?」
「え……」
「今日の日払いよこせ」
「あ、はあ……」
一万円札を毟り取ると、乱暴に財布へ押し込んだ。
そのまま矢田部の椅子の肘掛けに足の裏を乗せ、思い切り押す。
椅子ごと派手に倒れる矢田部。
ホールに出ると、俊が驚いた顔で立って状況を見ていた。
「すみません、俊さん…。こんな店に呼んでしまって。俺はたった今、この店を辞める事になりました。色々お世話になりました。失礼します!」
店を飛び出る。
エレベーターの到着する時間を待つだけでもイライラした。
早くこのクソみたいな忌々しいラ・イマージュビルを出たかった。
何故こんな風になってしまったのか?
俺は正しい。
悪いのは向こう。
だけど結果谷口は矢田部を取った。
辞めよう…、騙される事はあっても、騙しはしないのが俺の哲学だ。
だから矢田部や谷口の思考回路なんて生涯いくら考えたところで理解などできないし、そんなもの理解する必要性など無い。
俺は俺のまま生きればいいのさ。
だってレスラーは避けちゃいけないし、壊れちゃいけないんだから。
そうっすよね、鶴田師匠……。
エレベーターが来るまでこんな事を考えていた。
音がして四階のインカジのドアが開く。
見ると高橋俊が出てきた。
俺は黙ったままエレベーターへ乗り込むと、俊まで入ってくる。
「……」
一階のボタンを押した。
高橋俊はどういうつもりだろう?
こんな負け犬など気にしたところで、どうにもならないのに……。
百合だってそうだ。
俺が最後にメッセンジャーで送ってから何も届かない。
きっと関わりたくないのだろう。
新宿に続いて横浜でもこうか。
俺の何が、一体間違っていたのだろう?
多分俺の行動が変だから、みんな矢田部についたのだ。
もう何も考えたくない。
はは、無職だ。
インターコンチデートで派手に金を遣ってフラれ、職まで失った間抜けなピエロ。
金も無ければ女もいなく職も無し。
四十四歳、死と死で死ねという年なのか。
一階へ到着する。
ビルの外へ出て、タバコに火をつけた。
「岩上さん!」
背後から俊が声を掛けてくる。
何を話す?
何て説明する?
俺は黙って背中を向けたままだった。
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