ロット計算を電卓でやる手間をなくす|損切り線をドラッグすると数量が出るTradingViewツール

損切りは決まりました。
あとは数量です。電卓を出します。残高に何%を掛けて、損切りまでの値幅で割って、それから――1ロットは何単位でしたか。
ゴールドです。100オンスでしょうか。0.01ロットで1オンス。損益はドル建てなので、円に直すにはドル円を掛けます。ドル円はいくらでしたか。
TradingViewのチャートに戻ると、価格は少し動いています。
この記事では、この計算に何が要るのかを書きます。計算を引き受けるTradingView用のツールも用意しました。
「1ロットは何単位か」
先に、この質問に答えておきます。ここだけ読んで帰っていただいても構いません。
1ロット=10万通貨、は通貨ペアの話
FXを始めると最初に覚える数字です。この数字が使えるのは通貨ペアだけです。
多くの海外FX業者では、おおむねこうなっています。
通貨ペア … 1ロット=10万通貨
金(XAUUSD) … 1ロット=100オンス
銀(XAGUSD) … 1ロット=5,000オンス
原油 … 1ロット=1,000バレル
株価指数 … 1ロット=1枚(業者による差が大きい)
業者によって違います。 上の数字は目安で、実際の値はご自身が使っている業者の取引条件に書かれています。同じ「XAUUSD」でも業者が変われば数字が変わります。
ここを間違えると、数量が桁ごとずれます。
実際に間違えた話
このツールを作っているとき、金の契約サイズを1として計算してしまったことがあります。画面にはこう出ました。
必要数量 1.94 オンス
1ロット 1 その他
数量 1.93 ロット必要な量は1.94オンス。これは正しい。1.93ロットは200倍近く違います。
たちが悪いのは、数字そのものは正しい計算から出ていることです。1.94を1で割れば1.93になります。式は合っていて、割る数だけが違う。だから「なんとなく多いな」以上の違和感が出ません。
損切り幅が同じでも、損失額は銘柄ごとに違う
「損切りまで20」と言ったとき、その20が何を意味するかは銘柄によって変わります。
ドル円で20 … 20銭。1ロット(10万通貨)で20,000円
金で20 … 20ドル。1ロット(100オンス)で2,000ドル
ユーロドルで0.0020 … 20pips。1ロット(10万通貨)で200ドル
同じ「20」という数字が、桁の違う損失になります。 銘柄を切り替えながら取引していると、この換算を毎回やることになります。
損益の通貨と、口座の通貨は別
もうひとつ挟まります。
XAUUSDの損益はドルで出ます。口座が円なら、円に直さないと「いくら損するか」が分かりません。ドル円のレートが要ります。
ユーロポンドの損益はポンドです。ポンド円が要ります。
銘柄ごとに、必要な為替レートが変わります。
まとめると、こういう式です
必要な数量 = 許容できる損失額
÷ (損切りまでの値幅
× 1単位あたりの損益
× 口座通貨への換算レート)
ロット数 = 必要な数量 ÷ 1ロットの数量式そのものは難しくありません。 面倒なのは、右辺に出てくる値が銘柄ごとに変わることです。そして変わるものほど、間違えます。
この計算を、チャート上でやります
Lot Size Calculator Pro
エントリーと損切りの価格から、必要な数量を計算して表示する補助ツールです。
初期状態ではこう出ます。
LOT Calc XAUUSD 買い
口座残高 1,000,000 JPY
許容リスク 1.00 % (10,000)
エントリー 4376.20 現在値
損切り 4360.00 自動
損切り幅 16.20
換算レート 159.262 USDJPY
必要数量 3.88 オンス
1ロット 100.000 オンス 金
数量 0.03 ロット
= 3.00 オンス
この数量での損失 7,740 JPY
建玉の評価額 2,090,684 JPY
必要証拠金 4,181 JPY (0.4%)チャートを開いた時点で数量が出ています。 何も入力しなくても動きます。
損切り線を、ドラッグして動かせます
設定画面を開いて数値を打ち込む、という作業をなくしたいところでした。
エントリーと損切りの価格は、チャート上の線をドラッグして動かせます。 動かすと数量がその場で計算し直されます。
「ここまで下がったら切る」という位置は、チャートを見ながら決めるものです。見ている場所と、入力する場所を分けたくありませんでした。
線を掴んで動かす。数量が変わる。それだけです。
売買の方向は、入力しません
買いか売りかを選ぶ欄はありません。
損切りがエントリーより下にあれば買い、上にあれば売りと判定します。パネルの右上に「買い」「売り」と出るのは、その判定結果です。
入力をひとつ減らせるうえ、「売りを選んでいるのに損切りが下」といった矛盾した状態が作れなくなります。
1ロットの数量は、一度だけ登録します
冒頭に書いたとおり、ここが最も間違えやすい値です。
銘柄の種類ごとに、設定欄を分けてあります。
通貨ペア
金(XAU)
銀(XAG)
原油
株価指数
その他
ご自身が使っている業者の契約サイズを一度入れておけば、銘柄を切り替えるたびに自動で選ばれます。 金のチャートを開けば金の値、ドル円を開けば通貨ペアの値、という具合です。
銘柄の種類は、TradingViewが持っている銘柄情報から判定しています。判定できない銘柄のために、その銘柄だけ上書きする欄も用意しました。
判定できないときは、ロット数を出しません
これが、このツールでいちばん気をつけた部分です。
契約サイズを判定できない銘柄で、適当な既定値を当てて計算すると、間違った数量が正しい数量と同じ顔をして表示されます。 先ほどの1.93ロットがそれです。
なので、判定できないときは数量の欄に数字を出しません。
必要数量 1.94 オンス
1ロット 不明 ③で設定
数量 計算できません必要数量(オンス・バレル・通貨量)は契約サイズと関係なく確定するので、こちらは常に出します。
色を変えるだけでは足りないと考えました。 欄に数字がある限り、それは使える数字として読まれます。
単位を併記します
数量の下に、同じ量を単位で出しています。
数量 0.03 ロット
= 3.00 オンス1ロットが何オンスなのかを、その場で検算できます。 設定が間違っていれば `1.93 ロット = 1.93 オンス` と並ぶので、見ただけで分かります。
口座通貨への換算は、自動で引きます
損益の通貨と口座の通貨が違う場合、必要な為替レートを自動で取得します。
XAUUSD + 円口座 → USDJPY を引きます
EURGBP + 円口座 → GBPJPY を引きます
EURUSD + ドル口座 → 換算なし
正しいペアが見つからない場合は逆ペアを引いて逆数を使います。どちらも取れない場合は、パネルにその旨を出します。黙って1倍で計算することはしません。
使っているレートはパネルに表示されます。
必要証拠金も出します(海外FX向け)
レバレッジを入れておくと、建玉の評価額と必要証拠金が出ます。
建玉の評価額 2,090,684 JPY
必要証拠金 4,181 JPY (0.4%)残高に対する割合を併記しています。証拠金が残高を超える場合は、赤字で「残高不足」と出ます。 その数量は建てられないためです。
レバレッジを0にすると、この行は出ません。
許容リスクの「%」について
残高に対する%で指定するか、金額で直接指定するかを選べます。
何%にすべきかは、この記事にもツールにも書いていません。
数量を計算することは、入力された条件をそのまま処理するだけの作業です。しかし「何%が適切か」は、そこから一歩踏み出した話になります。踏み出さないことにしました。
初期値として1%を置いていますが、これは「何か数字が入っていないと動かないから」置いてあるだけの値です。推奨ではありません。
損切り価格を入れていないときの動き
損切りの欄が0のままでも、数量が出るようにしてあります。
直近の高安から、ATRの倍数だけ離した位置を仮に置きます。本数と倍率は設定で変えられます。
これは「何も入力しない状態でもツールが動くようにするための初期値」であって、そこに損切りを置くことを勧めるものではありません。 位置が決まったら、線をドラッグして動かしてください。パネルには「自動」「手動」のどちらで置かれているかが出ます。
どんな方に向いているか
複数の銘柄を取引する方
通貨ペア・ゴールド・原油・株価指数を行き来していると、契約サイズと換算レートが毎回変わります。そこを引き受けます。
海外FXを使っている方
契約サイズが銘柄ごとに違う、口座通貨が円とは限らない、レバレッジが高い。国内業者より計算する項目が多い環境を想定して作りました。
電卓アプリとチャートを往復している方
往復がなくなります。
損切り位置を先に決める方
価格を先に置いて、そこから数量を出す順番の道具です。
向いていない方
数量を毎回同じにしている方
→ 計算する必要がありません損切りを置かない方
→ 値幅が決まらないため、数量が計算できません売買の判断そのものを示してほしい方
→ エントリー位置も方向も示しません。 入力された価格を処理するだけですMT4 / MT5で使いたい方
→ TradingView専用です
導入のしかた
この記事の有料エリアに、そのまま使えるコードを掲載しています。
TradingViewを開く
画面下部の「Pineエディタ」を開く
有料エリアのコードをすべて選択してコピーし、エディタに貼り付け
「チャートに追加」をクリック
設定を開いて、口座残高と1ロットの数量を入れる
5番だけは最初に一度お願いします。以降は入れ直し不要です。
無料プランでも動作します。 プログラミングの知識は必要ありません。設定はすべて日本語です。
アップデートを行った場合はこの記事を更新します。買い直しは不要です。
注意事項
1ロットの数量は、必ずご自身の業者の値を入れてください。
初期値は一般的な海外FXの値を入れてありますが、業者によって違います。ここが違うと数量が桁ごとずれます。 取引条件のページに記載されています。
表示される数量は、入力された条件から計算した結果です。
実際に発注できる数量は、業者の最小・最大ロット、証拠金、建玉の上限によって制限されます。発注前に取引画面でご確認ください。
スプレッド・手数料・スワップは含みません。
エントリー価格と損切り価格の差だけで計算しています。実際の損失はこれより大きくなります。
約定価格は、指定した価格と一致するとは限りません。
指標発表時や窓開けでは、損切り価格を超えて約定することがあります。計算どおりの損失に収まることを保証するものではありません。
リスク率の目安は書いていません。
何%にすべきかは、このツールの範囲外としています。
自動で置かれる損切り位置は、推奨ではありません。
何も入力しない状態でも動くようにするための初期値です。
再配布・転売はご遠慮ください。
ご購入者ご自身の利用に限ります。ご自身のチャートで使う分には、複数の端末・複数のアカウントでも問題ありません。
投資助言ではありません。
本記事および本ツールは計算と表示の補助を目的としたものであり、特定の売買や資金配分を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
本記事にはTradingViewの紹介リンクを含みます。
リンク経由でご登録いただくと、当方に紹介料が入ることがあります。ツールの動作や価格、掲載内容に影響はありません。
ほかに作っているツール
価格
980円
電卓を出す動作が、これ以降なくなります。判断材料は以上です。
含まれるもの
コード全文(貼り付けてすぐ使えます)
全パラメータの解説(初期値と調整の目安つき)
契約サイズの調べ方と入れ方
設定レシピ集(5種類)
計算式の全文(何をどう計算しているか)
表示がうまくいかない場合の対処一覧
アップデート版(買い直し不要)
よくある質問
Q. 1ロットの数量は、毎回入れ直す必要がありますか。
A. ありません。銘柄の種類ごとに欄が分かれていて、一度入れれば銘柄を切り替えるたびに自動で選ばれます。
Q. 自分の使っている業者の契約サイズが分かりません。
A. 業者の「取引条件」「銘柄仕様」といったページに、契約サイズまたは1ロットあたりの数量として記載されています。有料エリアに調べ方を書いています。
Q. 国内のFX業者でも使えますか。
A. 使えます。「通貨ペア」の欄を10,000(1万通貨)に変えてください。海外FXを想定して作っていますが、契約サイズを入れ替えれば国内業者でも同じように動きます。
A. 契約サイズを判定できていません。「その銘柄だけ上書き」の欄に、業者の契約サイズを直接入れてください。銘柄情報の行に、TradingViewがその銘柄をどう扱っているかが出ています。
Q. 損切りを置かずに使えますか。
A. 数量は損切りまでの値幅から計算するため、値幅が決まらないと計算できません。何も入れない場合は自動で仮の位置に置かれます。
Q. 利確価格やリスクリワード比は出ますか。
A. 現在は出ません。検討中の項目に入れています。
Q. pips表示はありますか。
A. ありません。pipsの桁の扱いがブローカーによって違い、同じ値でも表示が食い違うためです。距離は価格差で表示しています。
Q. 数量が切り捨てられているようです。
A. 切り捨てています。切り上げると、指定した許容リスクを超えるためです。刻みは設定で変えられます。
Q. 通知はありますか。
A. ありません。計算して表示するだけのツールです。
Q. 複数の銘柄を同時に計算できますか。
A. できません。表示しているチャートの銘柄について計算します。
Q. 仮想通貨でも使えますか。
A. 使えます。契約サイズを「その他」または「この銘柄だけ上書き」に入れてください。業者による差が大きいため、自動判定の対象にしていません。
Q. 無料プランでも使えますか。
A. 使えます。
Q. MT4 / MT5版はありますか。
A. TradingView専用です。
Q. 返金はできますか。
A. お受けできません。ご購入と同時にコードの全文が閲覧可能になる仕組みのためです。判断材料として、この無料エリアに表示される内容をすべて記載しました。
最後に
数量の計算は、答えがひとつに決まる作業です。条件を入れれば同じ結果が出ます。そういう作業ほど、道具に渡してしまったほうがいいと思っています。
判断が要るのはどこで切るかまでで、そこから先は計算です。
ここから先は
¥ 980
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
