【#30】映画memo『平場の月』
スキマからこんにちは。
「中年の恋物語ムービー」を観てきました。もう少し言いようがある気もしますが、最終的にはここに落ち着く。
土井裕泰監督最新作
『平場の月』。
うーん。年齢を重ねた人には刺さると思いますが、若者には多分ピンとこないだろうな、と思うので、“対象世代に左右される”作品ではあります。ただ内容はとてもよくできていて、私の中では81点という感じでしょうか。静かなラブストーリーとしてはだいぶ高得点。
ちなみに主人公カップルと同年代であるアラフィフおばさんの私は「後半から、やや泣き」でしたw
※展開がわかることが嫌な方は、鑑賞後にお読みいただけるとうれしいです。
あらすじ
妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、
平穏に日々を生活する、青砥健将。
青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子は、
夫と死別し地元に戻ってきた。
再び出逢った二人は、少しずつ、離れていた時を埋めていく―― 。
ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤。
「お前、あのとき何考えてたの?」
青砥にそう問われ、
「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」
そう答えた須藤。
再び、自然に惹かれ合うようになった二人。
やがて未来のことも話すようになるのだが・・・。
てこでも動かぬ女と、不器用な男
須藤葉子(井川遥)が淡々としています。ビジュアルの美しさはさておき、キャラクターの性格が可愛いかというと、可愛くない。
いい意味でも悪い意味でも男っぽくて優しい人・青砥健将(堺雅人)にとっては、そこが可愛いのかもしれない。
え、これ、うちみたいじゃない?(こんな美男美女ではないが……)と、観ながらちょっとだけ自分たちを思い出しました。
須藤はよく言えば芯がある、悪く言えばめちゃくちゃ気が強い人。頑固一徹おやじかよ。
ここからは完全に「もし私ならどうする?」という妄想の話です。
自分の病気が深刻だとわかったら、須藤のように青砥には隠す気もする。ただ、検診のことを聞かれて、萎れたピースサインなんてされても、ちょっとだけエスパー(TV観過ぎか?)でもない限り、見落とすよな。「察してちゃん」は面倒くさい。
自分が須藤と同じ状況なら、
「長くないかもしれないので、あんたのことを考えると別れた方がいいと思う。“どうしてもいてやる”って言うなら、任せるけど……。
あ、でも自分で化粧とかできなくなったら、会えなくなっちゃうかも」
的な話をするかもしれません。現実的には。
須藤はそばにいてくれたかもしれない青砥に事実を伝えるより、独りで(妹の力はちゃっかり借りているけど)がんばる道を選びました。
青砥は……LINEの既読無視ぐらいで1年待つなよな。さすがに様子を見に行くだろ、と思ってしまいました。病気なんだから。
ミッドライフクライシスと病気の罠
中年になると、ミッドライフクライシスこと、「なんかこのままでいいのかしらん症候群」に陥るものですが、この映画に出てくる中年たちもまさにそれ。
大森南朋演じる江口や宇野祥平(この人、いいですよね)演じる森も、わちゃわちゃ同級生と話しながら、寄る年波に抗おうとしている。
私も機能性ディスペプシアという胃の痛みで悩まされているので他人事ではありません。
身体が弱ると、心も弱る。
50年ほど生きると先も見えてきて、「あれ、こんな大人になるはずじゃなかったのに」と思う瞬間も増えます。
まして、大きな病気に罹ろうものなら、弱くなるのは当然。
この映画は、その“弱さ”を無理に隠さず、ただ淡々と描いているところがよかったです。
塩見三省と安藤玉恵、でんでんに間違いなし
須藤と青砥を見守る居酒屋さんの主人に塩見さん、同級生に安藤さん、青砥の同僚にでんでんさん(さん付けると字面が変だけどw)と、配役に抜かりなし。周りにいい人が溢れ過ぎですが。
「悪い人はいねぇのがー!」って若干、言いたくなります。
成田凌演じる鎌田も「貢がせちゃって、このぉ」と思いつつ、ちゃんとお金を返しに来ようとしたり(要らないけど)。なんだかんだ、ただのチャラ男ではない。
脇がしっかりしていて、特に塩見さんは闘病を乗り越えての出演という背景もあり、役柄の優しさと相まって泣かせてきます(劇場でどうぞ)。
青砥の中学生時代を演じている坂元愛登くんもいい。
どこかで見たと思ったら『不適切にもほどがある!』の子。
この子はいいぞー。才能ある族、羨ましい。
他にも私の大好きな俊太郎(その呼び方止めろ)や前野朋哉が出演。元妻以外のキャスティングがナイスでした。元妻役は美智子じゃないよな?と観た人と語りたいです。青砥はS気味の美人好きってことで諦めるか。
ラブシーンが妙に生々しい問題
独特の雰囲気と歌舞伎町の喧騒に疲れたようで、鑑賞後、気づいたら、あのちゃんと田中みな実がシール交換をする動画を観ていました。
なんだろう。ラブシーンが生っぽ過ぎるんですよね。
「親のセックス見ちゃった」まではいかないけど、近しい感情が湧きました。あえての演出なんでしょうが。『ストロベリームーン 余命半年の恋』ぐらいとまでは言わないまでも、もう少し爽やかにしてくれてもよかったです。
6回観ると1回無料で観られる「TOHO6ポイント鑑賞」をちゃっかり使って本作を観た私。
一番最初に書いた理由(&少ーし夢を壊すかも)で若者には激推しできませんが、ミドル世代にはかなり刺さる一本だと思います。
『平場の月』が気になってきたあなた!
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ちまちま映画のことを書いていたら10本目になりましたYO。
観た映画の感想は“マガジン”にまとめているので、他の作品の記事も読んでやってくださいね。
特に『爆弾』。2回観に行ってしまったほど面白かった!
『平場の月』も『爆弾』も、まだ劇場に行かれていない方はぜひ!
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