帝国海軍は真珠湾攻撃で強気になり、攻守限界点を見誤った米豪遮断作戦を策定、陸軍を巻き込む 日本海軍悪玉論3
帝国海軍は、真珠湾攻撃で大戦果を挙げたことで、今度も開戦前の計画にないオーストラリア・アメリカ遮断作戦を実行しようとした。そのため陸軍は、予定外のソロモン諸島、ニューギニア戦で消耗を強いられ、インパール作戦の発動が遅れたため、インド独立支援という開戦当初の大戦略が狂ってしまった。(インパール作戦は、ドイツが北アフリカ戦線で戦っている間に実行されるべきであった。)
帝国海軍は、1942年1月、トラック島から南、ニューブリテン島(ビスマルク諸島)のラバウル(オーストラリア委任統治領)を占領し航空基地を建設した。さらに海軍軍令部は、緒戦の大勝利で強気になり、オーストラリアをアメリカから切り離す作戦、米豪遮断作戦(FS作戦)を策定した。これは1941年11月の大本営政府連絡会議で策定された「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」にはない作戦であったが、開戦時の攻勢後は、持久戦に転換することを主張していた陸軍参謀本部も妥協した。
陸軍最上層部は太平洋の作戦に興味はなく、海軍との共同作戦については若手参謀(下僚)に任せきりであった。太平洋上の占領地は海軍管轄になるからである。
(地図は中華人民共和国の太平洋戦略、第2列島戦(グアム)の次の拡張目標は、ソロモン、フィジー・サモアと不思議な一致が見られる)
ラバウル基地が、ニューギニアにあるオーストラリア自治領のポートモレスビー基地の英米爆撃機の攻撃圏内であることから、まずポートモレスビー攻略作戦(MO作戦)を発動したが、5月珊瑚海海戦で日米双方が空母を喪失する引き分けとなったことで、日本海軍はポートモレスビー攻略を中断した。6月ミッドウェイ海戦で4隻の空母を喪失したためFS作戦も中止した。
帝国海軍は大本営発表で、アリューシャン、ミッドウェイ作戦を総括し、戦果は、米空母2隻及び重巡洋艦1隻撃沈、飛行機150機撃墜、日本側損害は空母1隻喪失、同一隻大破、巡洋艦一隻大破、未帰還機35機と発表した。
実際の損害は、日本側、空母4隻及び重巡洋艦1隻沈没、重巡1隻、駆逐艦2隻損傷、飛行機253機喪失、アメリカ側は、空母、駆逐艦それぞれ1隻損傷、飛行機150機喪失であった。
しかし南洋部隊の井上成美中将は、6月ポートモレスビー攻略作戦を継続決定、8月日本からさらに離れたソロモン諸島(英の委任統治領)ガタルカナル島を占領、攻勢終末点を無視し島に航空基地を建設しようとした。ところが飛行場が完成ま近になったところを、アメリカ海兵隊に飛行場を奪取されてしまった。すると帝国海軍は帝国陸軍に泣きつき、飛行場奪還と陸路のポートモレスビー攻略を依頼した。
陸軍少壮参謀はミッドウエイの敗北を知らされないまま、海軍の支援を前提にMO作戦に協力し、ソロモン諸島やニューギニアに陸軍を派遣した。しかし海軍は米艦隊との決戦にしか興味がなく、米軍の輸送船への攻撃には消極であった。日本海軍は米海軍と海戦を繰り返し、勝利(第1次ソロモン海戦、南太平洋海戦)はあったものの、1942年11月の第三次ソロモン海戦で日本は戦艦2隻を喪失したことで、陸軍に無断で、日本主力艦隊をトラック島に引きあげてしまった。
1943年に入ると帝国海軍のうち、ビスマルク諸島ニューブリテン島ラバウル基地の航空隊と軽巡、駆逐艦部隊だけが戦闘を継続し、消耗していた。
2月にガダルカナルから撤収したが、その後も陸路によるポートモレスビー攻略作戦(MO作戦)は陸軍の手によって継続され、陸軍は終戦までニューギニアにいた。1943年3月3日、日本側大輸送船団は、アメリカ陸軍航空部隊の爆撃機の反跳爆撃による大規模攻撃を受け、さらに4日には魚雷艇部隊が実施した追撃と掃討作戦により大損害を受ける。(ビスマルク海戦、ダンピールの悲劇)
同年4月、い号作戦督励のためブーゲンビル島のブイン基地を経て、ショートランド島の近くにあるバラレ島基地に視察に赴く山本五十六連合艦隊司令長官が搭乗する1式陸上攻撃機を、アメリカはガダルカナル島ヘンダーソン基地から出撃させたP-38戦闘機18機で待ち伏せ攻撃し、撃墜した。(海軍甲事件)
アメリカは1940年7月両洋艦隊法を成立させ、1943年には米海軍の船舶数が7割増しになることは、日本にもわかっていた。そこで1943年9月御前会議で絶対国防圏を定めたが、帝国海軍は、開戦後に海軍陸戦隊によって占領した島々の防衛を優先した。
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