帝国海軍の大本営発表「台湾沖航空戦」 海軍悪玉論2
大本営発表では、海軍軍令部は陸軍参謀本部以上に、デタラメな戦果を発表していた。しかも戦局に与えた影響から考えて、悪質性は海軍のほうがはるかに高い。典型的事例として台湾沖航空戦を挙げておく。
ハルゼー率いる第三艦隊は、1944年10月10日、艦載機により沖縄を攻撃、11日にはルソン飛行場、12日には台湾と、続けて3日間で600機をもって航空作戦を展開した。
日本は、陸軍航空戦力が初日でほぼ壊滅したため、主に海軍の基地航空戦力を、450機投入し反撃した。
豊田副武海軍大将連合艦隊司令長官は、まだ6月のマリアナ沖海戦の痛手から再建中の小沢機動艦隊に下命し、航空部隊350機を投入、14日、15日に昼夜の別なく米艦隊を攻撃し、最大の航空戦が展開された。(写真はウィキベディアから)
16日、台湾沖航空戦の戦果として次のとおり大本営発表が行われた。もちろん、大本営に出向している海軍報道部が発表したのである。ちなみにこの出鱈目な戦果を海軍報道部に報告したのは、海軍乙号事件で有名な第2航空艦隊司令長官福留繁中将である。
豪撃沈:空母11,戦艦2,巡洋艦3,撃破:空母6,戦艦1,巡洋艦4,戦艦または巡洋艦1
ところが実際の米軍の被害は、沈没なし、損傷、空母1,巡洋艦2大破,航空機89機、
一方、日本側の損害は航空機650機、沖縄および台湾の飛行場、船舶、軍事施設等。
19日に撃墜した米艦載機のパイロット捕虜を、憲兵が尋問したところ、正規空母12隻が健在であることが判明、陸軍の堀少佐は参謀本部に打電した。しかし海軍の発表を鵜呑みにし、電報を握り潰した(瀬島龍三説あり)参謀本部下僚は、本来山下奉文大将率いる第14方面軍は、ルソン島での持久戦を基本戦略としていたところを「機動部隊が消滅した米陸上部隊をレイテにおいて殲滅する好機」として、山下奉文大将に対しレイテにおいて総力で上陸してくる米軍と決戦を行うよう強要した。
日本海軍は、台湾沖航空戦の戦果が虚報であることは、気が付いていた。しかし、真実を天皇陛下、陸軍や国民に隠したまま、軍令部は参謀本部下僚の要請に従ってレイテ決戦に臨むことになる。
しかも捷一号作戦の誤報による発動が発生する(ダバオ誤報事件)。
台湾沖航空戦で艦隊航空部隊が壊滅し、小沢機動艦隊は四隻の空母に乗せる艦載機、パイロットをかき集めても100機程度しか集まらなかった。
そこで戦力として期待できない小沢機動艦隊は、大本営発表では壊滅したことになっているハルゼーの機動部隊の攻撃を引き付ける囮部隊となった。
小沢機動艦隊が米機動艦隊を引き付けているスキに、日本帝国の戦艦、巡洋艦群が、レイテ湾を目指すという博打のような作戦となった。
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