おひとりさまの老後|介護するとき 介護されるとき|日めくりカレンダー
夏至を過ぎた。
日めくりカレンダーは春分の日で止まっていた。
日めくりカレンダーをめくることが、日課だった彼女。
止まったカレンダーに言葉を失った。
ベッドに腰かけていた彼女は、だんだんと後ろに倒れていく。
隣に座っていたわたしは、しばらく背中を支えていたけれど、横になることをすすめた。
すると、そのまま倒れるように横になってしまう。
ぎりぎり壁に頭をぶつけなくてよかったが、ベッドに体が垂直だ。
このままではまずかろう。
靴を脱がせて、足をベッドにあげる。
体の向きをなんとかベッドの向きに合わせたけれど、枕の位置が合わない。
上に引き上げてやることもできない。
子どもなら抱きかかえることもできるが、高齢者は子どもよりも壊れてしまいそうだ。
介助の知識も経験もないことが悔やまれた。
彼女はわたしの手を握ったまま、眠りにつきそうだった。
うとうとしながら、大丈夫だと手で合図をする。
「オッケー、オッケー」
彼女の口癖は、声にはならなかった。
居室での面会が、許可された。
今まで見えなかったものが、見えるようになった。
そのことがありがたい。
でも、その部屋は今までとは何か違う。
止まってしまったものたちが
静かに彼女を見守っているようだった。
彼女の時間は、どんな風に流れているのだろう。
日めくりカレンダーを破りながら、今できることを探した。
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